全裸追放から始まる成り上がり生活!〜育ててくれた貴族パーティーから追放されたので、前世の記憶を使ってイージーモードの生活を送ります〜

仁徳

文字の大きさ
上 下
63 / 122
第五章

第六話 メイデスからの招待?

しおりを挟む
 クリスタウロスを倒した後、俺はマーペとパーぺの念話を盗み聞きするために、パペット人形の中に手を突っ込んだ。

『おい、今何て言った? 途中でお前の声が聞き取りづらくなったのだが?』

『ごめん、兄ちゃん。またテオのやつが、兄ちゃんの居場所を確認したいからって、僕の中に手を突っ込んでさ。もう、びっくりしちゃったよ』

 2体の会話が聞こえてくる。今回も上手く念話を盗聴することができたみたいだ。

『もう1回言うけど、テオのやつがクリスタウロスを倒してしまったよ』

『そうか』

 おや? 思ったよりもマーペのやつは冷静だな。もっと驚くかと思っていたのだが。

『あれ? 予想以上に冷静だね。もっと驚くかと思ったよ』

 俺の心を代弁するかのように、パーペが訊ねる。

『ああ、メイデス様はクリスタウロスが倒されるパターンも考えられてある。そちらのルートに進むだけさ』

『うわー、さすがメイデス様! あらゆる可能性も考えてある何て凄いや。それで、次はどんな、モンスターと戦わせるの?』

『次の指示は待ってくれ。話しが纏り次第にまた連絡する』

 2体の念話を盗み聞きしていたが、そろそろ怪しまれそうだな。この辺でやめておくとするか。

 パーぺから腕を抜いて籠の中に戻すと、念話が終わったようで彼は顔を向けてくる。

『もう、どうして毎回、断りもなしで僕に手を突っ込むのさ! びっくりしてしまうじゃないか』

「悪いな。俺は簡単にモンスターの言葉を信用しない。だから定期的に確認はさせてもらう」

 パーぺから視線を外して籠を持ち上げると、ルナさんとメリュジーナが俺のところに来る。

「テオ君お待たせ」

ご主人様マスター、早くギルドに報告しに行こうよ」

「ああ、そうだな」

 討伐対象のモンスターを倒し、俺たちは来た道を引き返すと町に戻った。

 討伐の証となるモンスターの残骸を提出し、報酬を受け取ると、再びパーぺの誘導に従って町から出ることになる。





 それから数日が経つと、隣町にたどり着いた。

「うーん! ようやく町のある場所にこられたよ! 早く宿を取ってシャワーを浴びたい!」

 町に着くなり、ルナさんが両腕を上げて背筋を伸ばし、シャワーを浴びたいと言って来た。

 ここ数日は水浴びすらしていなかったからな。俺も早く体の汚れを落としたい。

 首を左右に振って宿屋の看板がある建物を探す。

 すると、すれ違う町民たちがチラリと俺たちを見ると、無言でそのまま歩き去った。

「ねぇ、ご主人様マスター、さっきからわたしたち、町の人から見られていない?」

「やっぱりメリュジーナもそう思ったか。直ぐに視線は逸らされているからあんまり気にしないようにしていたけど」

「テ、テオ君」

 メリュジーナと町民の視線について話していると、ルナさんが俺の腕を引っ張ってくる。

「ルナさん、どうした?」

「あ、あのね。自意識過剰だと思われるかもしれないけど、町の人、私を見ているような気がするの」

 町民がルナさんを見ている?

「分かった。確かめよう。悪いけど、少しだけ先を歩いてくれないか?」

「う、うん。分かった」

 先を歩くように促すと、ルナさんは不安そうな顔をしながら道を歩く。

 俺はその場で立ち止まり、すれ違う町民を観察する。

 確かにルナさんの言う通りだ。俺やメリュジーナには目もくれないが、ルナさんにだけ視線を向けられている。

「ルナばかり見られているね。彼女の自意識過剰ではなかったみたいだよ」

「ああ、なぜかルナさんばかりが見られている。これは何かありそうだな。ルナさん! 戻って来てくれ」

 引き返して来るように言うと、ルナさんは急いでこちらに走って来た。そして俺の腕に自身の腕を絡ませてくる。

「テオ君、私この町怖い」

「だ、大丈夫だって。きっとルナさんが美人だからみんな見惚れているだけだよ」

ご主人様マスター、それフォローになっていないよ。町民たちの視線はそんなものではない」

 どうにかして彼女の不安を和らげようとするも、メリュジーナの言葉でぶち壊しになる。

 彼女の気持ちを考えるのであれば、一刻も早くこの町から立ち去るべきだろう。

 だけどパーぺの導きのもと、道を歩いている現状では、次にいつ町を訪れるか分からない。

 食料の買い出しをする必要がある以上は、1泊くらいはしておくべきだ。

「とにかく、今日は宿屋を探して泊まろう。ルナさんにはメリュジーナや俺がついている。何かあれば俺たちが守ってやるさ」

「う、うん」

 1日だけ我慢してもらい、再び宿屋を探す。

 街中をしばらく歩くと、宿屋の看板がある建物を発見した。

「どうにか宿屋を見つけることができたな」

「は、早く入ろうよ! 私、外に居たくない」

 宿屋の中に入るように促され、扉を開けて建物の中に入る。

「いらっしゃいま……」

 カウンターにいる宿屋の女将と思われる70代くらいの女性が俺たちに気付き、声をかけようとした。しかし直ぐに顔を引き締め、険しい顔をした。

「あんたたち、旅の者かい?」

「あ、はい。さっきこの町に着きました」

「そうかい。なら1泊したらさっさとこの町から出て行きな! 得にその赤髪のお嬢ちゃん」

 女性がルナさんを指差し、声音を強める。

「あのう、どうしてルナさんに対してそんな態度を取るのですか? 町の人も彼女ばかり見ていたのですが?」

「そう言えば、あんたたちはこの町に来たばかりだったね。この町の事情を教えるから、その子は部屋から1歩も出すんじゃないよ。彼女が大切なら尚更ね」

 前置きをしつつ、女将さんと思われる女性は事情を語り出した。
しおりを挟む
script?guid=on
感想 97

あなたにおすすめの小説

土属性を極めて辺境を開拓します~愛する嫁と超速スローライフ~

にゃーにゃ
ファンタジー
「土属性だから追放だ!」理不尽な理由で追放されるも「はいはい。おっけー」主人公は特にパーティーに恨みも、未練もなく、世界が危機的な状況、というわけでもなかったので、ササッと王都を去り、辺境の地にたどり着く。 「助けなきゃ!」そんな感じで、世界樹の少女を襲っていた四天王の一人を瞬殺。 少女にほれられて、即座に結婚する。「ここを開拓してスローライフでもしてみようか」 主人公は土属性パワーで一瞬で辺境を開拓。ついでに魔王を超える存在を土属性で作ったゴーレムの物量で圧殺。 主人公は、世界樹の少女が生成したタネを、育てたり、のんびりしながら辺境で平和にすごす。そんな主人公のもとに、ドワーフ、魚人、雪女、魔王四天王、魔王、といった亜人のなかでも一際キワモノの種族が次から次へと集まり、彼らがもたらす特産品によってドンドン村は発展し豊かに、にぎやかになっていく。

無能と呼ばれたレベル0の転生者は、効果がチートだったスキル限界突破の力で最強を目指す

紅月シン
ファンタジー
 七歳の誕生日を迎えたその日に、レオン・ハーヴェイの全ては一変することになった。  才能限界0。  それが、その日レオンという少年に下されたその身の価値であった。  レベルが存在するその世界で、才能限界とはレベルの成長限界を意味する。  つまりは、レベルが0のまま一生変わらない――未来永劫一般人であることが確定してしまったのだ。  だがそんなことは、レオンにはどうでもいいことでもあった。  その結果として実家の公爵家を追放されたことも。  同日に前世の記憶を思い出したことも。  一つの出会いに比べれば、全ては些事に過ぎなかったからだ。  その出会いの果てに誓いを立てた少年は、その世界で役立たずとされているものに目を付ける。  スキル。  そして、自らのスキルである限界突破。  やがてそのスキルの意味を理解した時、少年は誓いを果たすため、世界最強を目指すことを決意するのであった。 ※小説家になろう様にも投稿しています

フリーター転生。公爵家に転生したけど継承権が低い件。精霊の加護(チート)を得たので、努力と知識と根性で公爵家当主へと成り上がる 

SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
400倍の魔力ってマジ!?魔力が多すぎて範囲攻撃魔法だけとか縛りでしょ 25歳子供部屋在住。彼女なし=年齢のフリーター・バンドマンはある日理不尽にも、バンドリーダでボーカルからクビを宣告され、反論を述べる間もなくガッチャ切りされそんな失意のか、理不尽に言い渡された残業中に急死してしまう。  目が覚めると俺は広大な領地を有するノーフォーク公爵家の長男の息子ユーサー・フォン・ハワードに転生していた。 ユーサーは一度目の人生の漠然とした目標であった『有名になりたい』他人から好かれ、知られる何者かになりたかった。と言う目標を再認識し、二度目の生を悔いの無いように、全力で生きる事を誓うのであった。 しかし、俺が公爵になるためには父の兄弟である次男、三男の息子。つまり従妹達と争う事になってしまい。 ユーサーは富国強兵を掲げ、先ずは小さな事から始めるのであった。 そんな主人公のゆったり成長期!!

スキル間違いの『双剣士』~一族の恥だと追放されたが、追放先でスキルが覚醒。気が付いたら最強双剣士に~

きょろ
ファンタジー
この世界では5歳になる全ての者に『スキル』が与えられる――。 洗礼の儀によってスキル『片手剣』を手にしたグリム・レオハートは、王国で最も有名な名家の長男。 レオハート家は代々、女神様より剣の才能を与えられる事が多い剣聖一族であり、グリムの父は王国最強と謳われる程の剣聖であった。 しかし、そんなレオハート家の長男にも関わらずグリムは全く剣の才能が伸びなかった。 スキルを手にしてから早5年――。 「貴様は一族の恥だ。最早息子でも何でもない」 突如そう父に告げられたグリムは、家族からも王国からも追放され、人が寄り付かない辺境の森へと飛ばされてしまった。 森のモンスターに襲われ絶対絶命の危機に陥ったグリム。ふと辺りを見ると、そこには過去に辺境の森に飛ばされたであろう者達の骨が沢山散らばっていた。 それを見つけたグリムは全てを諦め、最後に潔く己の墓を建てたのだった。 「どうせならこの森で1番派手にしようか――」 そこから更に8年――。 18歳になったグリムは何故か辺境の森で最強の『双剣士』となっていた。 「やべ、また力込め過ぎた……。双剣じゃやっぱ強すぎるな。こりゃ1本は飾りで十分だ」 最強となったグリムの所へ、ある日1体の珍しいモンスターが現れた。 そして、このモンスターとの出会いがグレイの運命を大きく動かす事となる――。

ようこそ異世界へ!うっかりから始まる異世界転生物語

Eunoi
ファンタジー
本来12人が異世界転生だったはずが、神様のうっかりで異世界転生に巻き込まれた主人公。 チート能力をもらえるかと思いきや、予定外だったため、チート能力なし。 その代わりに公爵家子息として異世界転生するも、まさかの没落→島流し。 さぁ、どん底から這い上がろうか そして、少年は流刑地より、王政が当たり前の国家の中で、民主主義国家を樹立することとなる。 少年は英雄への道を歩き始めるのだった。 ※第4章に入る前に、各話の改定作業に入りますので、ご了承ください。

大工スキルを授かった貧乏貴族の養子の四男だけど、どうやら大工スキルは伝説の全能スキルだったようです

飼猫タマ
ファンタジー
田舎貴族の四男のヨナン・グラスホッパーは、貧乏貴族の養子。義理の兄弟達は、全員戦闘系のレアスキル持ちなのに、ヨナンだけ貴族では有り得ない生産スキルの大工スキル。まあ、養子だから仕方が無いんだけど。 だがしかし、タダの生産スキルだと思ってた大工スキルは、じつは超絶物凄いスキルだったのだ。その物凄スキルで、生産しまくって超絶金持ちに。そして、婚約者も出来て幸せ絶頂の時に嵌められて、人生ドン底に。だが、ヨナンは、有り得ない逆転の一手を持っていたのだ。しかも、その有り得ない一手を、本人が全く覚えてなかったのはお約束。 勿論、ヨナンを嵌めた奴らは、全員、ザマー百裂拳で100倍返し! そんなお話です。

転生幼女の攻略法〜最強チートの異世界日記〜

みおな
ファンタジー
 私の名前は、瀬尾あかり。 37歳、日本人。性別、女。職業は一般事務員。容姿は10人並み。趣味は、物語を書くこと。  そう!私は、今流行りのラノベをスマホで書くことを趣味にしている、ごくごく普通のOLである。  今日も、いつも通りに仕事を終え、いつも通りに帰りにスーパーで惣菜を買って、いつも通りに1人で食事をする予定だった。  それなのに、どうして私は道路に倒れているんだろう?後ろからぶつかってきた男に刺されたと気付いたのは、もう意識がなくなる寸前だった。  そして、目覚めた時ー

(完結)魔王討伐後にパーティー追放されたFランク魔法剣士は、超レア能力【全スキル】を覚えてゲスすぎる勇者達をザマアしつつ世界を救います

しまうま弁当
ファンタジー
魔王討伐直後にクリードは勇者ライオスからパーティーから出て行けといわれるのだった。クリードはパーティー内ではつねにFランクと呼ばれ戦闘にも参加させてもらえず場美雑言は当たり前でクリードはもう勇者パーティーから出て行きたいと常々考えていたので、いい機会だと思って出て行く事にした。だがラストダンジョンから脱出に必要なリアーの羽はライオス達は分けてくれなかったので、仕方なく一階層づつ上っていく事を決めたのだった。だがなぜか後ろから勇者パーティー内で唯一のヒロインであるミリーが追いかけてきて一緒に脱出しようと言ってくれたのだった。切羽詰まっていると感じたクリードはミリーと一緒に脱出を図ろうとするが、後ろから追いかけてきたメンバーに石にされてしまったのだった。

処理中です...