全裸追放から始まる成り上がり生活!〜育ててくれた貴族パーティーから追放されたので、前世の記憶を使ってイージーモードの生活を送ります〜

仁徳

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第二章

第十三話 あれだけ散々待ってたったの一人だけかよ!

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「くそう! どうして誰も来ないんだよ!」

 俺ことイルムガルドは、護衛任務を引き受けてくれる冒険者を待っていた。しかし何時間待っても任務を引き受けてくれる冒険者が現れず、とうとう感情が爆発して声を荒げてしまう。

「おい! ギルドマスター! これはいったいどう言うことだ! いくら待っても1人も来ないぞ! ちゃんと依頼を貼り付けていたのか!」

 思いっきり床を踏み、わざと音を出しながら責任者に近付く。

「イルムガルド……様……依頼の方はちゃんと掲示板の方に貼り付けてあります。ですが、誰もあなた様の護衛任務を引き受けようとはしないのですよ」

「何だと!」

 ギルドマスターの言葉に、耳を疑う。

 どうして誰も任務を引き受けようとはしない。こんなこと初めてだぞ。

「どうして今回に限って誰も引き受けない! こんなこと初めてだぞ!」

「それが……イルムガルド……様の悪い噂が広まっておりまして」

「噂だと?」

 悪い噂が広まっていると言われ、心臓の鼓動が早鐘を打つ。

 いったいどんな噂だ。確かにこれまで非人道的な行動を起こしたことはある。その目撃者は力や金、そして権力を使って口封じをしてきた。

 情報が漏れるようなミスはやっていなかったと思うが?

「その噂とはどんなものだ?」

「それが、イルムガルド……様が護衛の兵士を盾に使ってモンスターの攻撃を防いだり、英雄であるにも関わらず、兵士にトラップの確認をさせたり、モンスターの餌として兵士を生贄にしたりなど、色々と広まっております」

 ギルドマスターが教えてくれた悪い噂を聞いた瞬間、一人の人物が頭に浮かぶ。

 くそう。あの兵士か。数多くのモンスターを見てビビって逃げやがったあいつが、言い振らかしたんだな。

 あの男に対して憎しみが増し、拳を強く握る。

 ここまで影響力が出てくるとは誤算だった。あの時、どんな手を使っても逃さなければよかった。

 だけど過ぎたことを悔やんでも仕方がない。今はどうにかしてでも戦力の補充をしなければ。

「なぁ、ギルドマスター、お前がこのギルドが運営できているのは誰のお陰だ?」

「それはもちろんイルムガルド……様のお陰です」

「分かっているのなら俺の命令を聞け! 今すぐに俺の護衛をする冒険者か兵士希望の連中を集めろ! でなければこのギルドへの金銭的援助を断ち切るからな!」

 援助をしないと脅すと、ギルドマスターは顔色が悪くなる。

「わ、分かりました。ですが、時間をください。1日あればどうにかして人材を集めみます」

「チッ、まぁ、1日くらいなら待ってやろう。それまでに俺たちの護衛をしてくれるやつを集めておけよ。でなければこのギルドは終わったと思え」

 警告を促し、踵を返す。

「メルセデス、シモン。引き上げだ。今日は帰るぞ」

 2人に帰ると告げ、俺たちはギルドを出て行く。






 翌日、ギルドでギルドマスターが用意した人物を待っていると、1人の少年が俺たちの前に現れる。

「初めまして。僕、ユリウスって言います。ギルドマスターから言われてあなたたちの護衛をすることになりました。冒険者に成り立てですが、一生懸命に頑張ります」

 彼は自己紹介を初め、ギルドマスターが用意した冒険者だと名乗る。

 ユリウス? その名前はどこかで聞いたことがあるような? まぁいいか。それにしてもこの男。

 再び少年を見る。

 冒険者に成り立てのひよっこじゃないか。こんなやつしか用意できなかったのかよ。

 頭を抱えたい気分になりながらも、ユリウスを見る。黄緑色の髪に水色の瞳、顔立ちは整っている少年って言ったところか。きっと年を重ねれば俺のようなイケメンになるかもしれないな。

 だけど、こいつを見ているとテオを思い出してムシャクシャしてくる。

 どうしてギルドマスターはこんなやつしか用意できなかったんだ。

 仕方がない。こんなやつでもいないよりかはマシか。

「今から俺たちは、エレファントエンペラーの討伐に向かう。直ぐに準備しろ」

「イルムガルド正気なの!」

「こんなガキ、足手纏いだ」

「それでもいないよりかはマシだ。こんなやつでも荷物持ちくらいならできる。テオのようにな」

 あの男の名を出すと、2人は納得したようで、自分たちの荷物をユリウスに押し付ける。

 2人分の荷物を持たされ、重そうにしている。だが、こんなものは序の口だ。

「ほらよ! 俺の分の荷物もちゃんと持ちやがれ!」

 最後に俺の荷物を持たせると、ユリウスは転倒してしまう。

 そんな姿に、俺は思わず苛立ってしまった。

「早く立て! 何倒れているんだ! その程度の荷物も持てないのかよ!」

 あまりにも無様な姿に、思わず彼を蹴ってしまいたい衝動に駆られる。だが、周囲を見て踏みとどまった。

 こんなところで暴力を振るっては、更に悪い噂が立ってしまう。

「仕方がない。今回はシモンの分は持たなくて良い。だけどその代わりに2人分は持て」

 シモンの荷物を掴み、彼に投げ渡す。

 荷物を自分で持つことになったシモンは、なんで俺だけと言いたげな表情をしていたが、そんなことは完全に無視だ。

「さっさと行くぞ」

 ギルドを出て行くと、俺たちはエレファントエンペラーがいる草原に来た。

「居たな。あいつを討伐することができれば、今回の依頼は終わりだ」

 草原に1体の象型のモンスターを発見する。

 エレファントエンペラーの特徴は、頭部が王冠のような形になっている。その他にも上唇の鼻が斧のような形になっており、刃物のように鋭い切れ味があると言ったものが挙げられる。

 その他にも雷を操ることもできるので、注意が必要なモンスターだ。

「あのモンスターをこちらに誘き寄せます」

 敵が油断しているタイミングで奇襲を仕掛けようと考えていたその時、ユリウスが近くに落ちていた石を掴み、エレファントエンペラーに向けて投擲してしまう。

「お前! なに勝手な行動をしやがる!」

 思わず声を出したのがいけなかった。

 ユリウスは腕力がなく、モンスターには当たらなかったが、俺の大声がやつの耳に入ったようで、全速力で駆け寄った。

「グハッ!」

 避けるタイミングを失い、エレファントエンペラーの突進を受けた俺は、空中に舞う。

「どうしてこうなってしまうんだよ!」
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