全裸追放から始まる成り上がり生活!〜育ててくれた貴族パーティーから追放されたので、前世の記憶を使ってイージーモードの生活を送ります〜

仁徳

文字の大きさ
上 下
8 / 122
第一章

第八話 男女が同じ部屋に泊まるのは色々と問題がある

しおりを挟む
「はぁー、どうしてこうなってしまったのだろうか」

 ベッドに腰を下ろしながら小さく息を吐く。

 部屋に入るなり、ルナさんはシャワーを浴てくると言って、シャワールームに入った。

 やっぱり普通じゃない。一般常識で考えたとしても、普通なら別々で部屋を取るはずだ。

 高い部屋を2部屋借りるのが嫌だった? いや、そんな訳ない。ルナさんのお金の使い方を観察するからに、そんな性格ではない。

 それに高い金を出すのが嫌だったとしても、安い部屋を借りれば良いだけの話だ。

 それなのに、どうしてわざわざ同じ部屋で寝泊まりをする必要がある?

 彼女は何か企んでいる可能性が出てきた。今思えば俺に親切にしすぎだ。

 初めて会った時は俺が全裸だったから可哀想に思われたのだろう。でも、俺がテオ・ローゼであることが分かり、更に魔力量がえげつないことが分かってから、親切にしてくれる度合いがおかしい。普通なら、魔力鑑定アイテムを壊しても怒らなかったり、ギルドマスターの暴言から庇ってくれたりはしない。

 色々と思考を巡らせると、どんどんルナさんが怪しく思えてくる。

 きっとこの部屋で何かを仕掛けてくるかもしれない。対策を考えていたほうが良いな。

「きゃあああああああぁぁぁぁぁぁ!」

 最悪の場合の対処方法を考えていると、シャワールームの方からルナさんの悲鳴が聞こえてきた。

 ルナさんの身に何かが起きた!

 疑っていることなんかお構いなしに、急いでシャワールームの扉を開けて中に入る。

「ルナさん! 大丈夫ですか!」

 声を上げてルナさんの名を呼ぶと、俺の視界には豊満な胸がぶら下がっている赤い髪の女の子の裸体が映った。

「テ……オ……君……きゃあああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」

 俺の存在を認識した途端、ルナさんが再び声を上げた。そして近くにあった桶を投げ付けてくる。

 このままではまずい。

 身の危険を感じて咄嗟に扉を閉めたことで、桶は扉に当たったようだ。扉越しに床に当たる音が聞こえた。

「どうして入ってくるのよ! テオ君のエッチ! 変態!」

「いきなり入って来たことは謝ります。でも、ルナさんが悲鳴を上げたので、それで心配して」

 シャワールームに入った理由を語り、彼女に謝る。

「シャワールームにゴキがいたのよ! まさか高い部屋でも出るなんて思わなかったから、びっくりしてしまって、つい叫んでしまったのよ」

 ゴキとは、一般家庭に住み着く虫だ。とにかく繁殖力があり、1つの卵から20から40匹の子どもが産まれると言われる。

 よく1匹を見つけたら100匹はいると思えと言われているらしい。だけど、このことはルナさんには話さない方が良いだろう。

「そうだったのですね。てっきり何者かに襲われたのかと思ってしまいました。それでゴキの方は?」

「悲鳴を上げたら窓から出て行ったわ」

「そうですか。それは良かったです。今回はすみませんでした。直ぐに出て行きます」

 もう1度謝り、シャワールームから出る。そしてベッドの上に倒れた。

 彼女の反応を見る限り、考えすぎだったのだろうか? 内心ルナさんの策の1つではないかと思っていたが、俺が現れた瞬間の彼女の反応をみる限り、演技ではなさそうだった。

「本当にもう嫌だ。お金があるのなら、別の部屋を取っているのに」

 そんなことを考えていると、シャワールームからルナさんが出て来た。

 完全には乾いていないようで、赤い髪には湿り気がある。

「テオ君、さっきはごめんね。次使って良いわよ」

 シャワールームを使って良いと言われ、俺は無言でベッドから起き上がるとシャワールームに入る。

 とりあえずはシャワーを浴びて疲れを取ろう。





「それじゃあ、今日はもう寝ましょうか」

「そうですね。今日は色々とありすぎて疲れたので、早めに寝ましょう」

 早めに就寝することになり、ベッドに入る。灯が消されて辺りが暗くなると、俺は目を閉じた。

 今日は直ぐに眠れそうだ。そう思っていると布団が剥がされ、誰かが潜り込んで来る。

「あのう、ルナさん? どうして俺のベッドに入って来るのですか?」

「だって、またゴキが出るかもしれないじゃない。怖くて眠れないわよ」

 だったら起きていれば良いじゃないか! どうして就寝しようと言い出したんだよ。

 彼女の行動が意味不明な状況の中、ルナさんは体をくっつけてくる。

 背中に柔らかい感触があり、相当密着していることが感覚的に分かる。

「お願い。今日だけで良いから、一緒に寝て。それとも、私と一緒に寝るのが嫌?」

 嫌じゃない。

 彼女の問いに、心の中で答える。

 ルナさんはとても綺麗で美しい女性だ。そんな彼女のお願いを聞かない男など、この世にいないだろう。

 でも、越えてはならない一線がある。

 だけど彼女には色々と借りがあるのも事実だ。ここでルナさんのお願いを聞かないなんて男が廃る。

「分かりました。ルナさんには色々と借りがありますから良いですよ。でも、今回だけですからね」

「ありがとう」

 礼を言われると、更に密着感が増したような気がした。

 これは色々な意味でやばい。早く眠らなければ。

 そう思って強く瞼を閉じるも、変に意識してしまい、中々眠れない。

 おかしい。あれだけ疲れていたら普通は眠くなるものだろう。

 寝ようとすればするほど余計に目が冴えてしまう。

 こうなったら魔法に頼ろう。睡眠魔法だ。

 頭の中で睡眠のメカニズムをイメージして魔法を発動すると、俺の意識は次第に薄れ、気が付くと眠っていた。
しおりを挟む
script?guid=on
感想 97

あなたにおすすめの小説

土属性を極めて辺境を開拓します~愛する嫁と超速スローライフ~

にゃーにゃ
ファンタジー
「土属性だから追放だ!」理不尽な理由で追放されるも「はいはい。おっけー」主人公は特にパーティーに恨みも、未練もなく、世界が危機的な状況、というわけでもなかったので、ササッと王都を去り、辺境の地にたどり着く。 「助けなきゃ!」そんな感じで、世界樹の少女を襲っていた四天王の一人を瞬殺。 少女にほれられて、即座に結婚する。「ここを開拓してスローライフでもしてみようか」 主人公は土属性パワーで一瞬で辺境を開拓。ついでに魔王を超える存在を土属性で作ったゴーレムの物量で圧殺。 主人公は、世界樹の少女が生成したタネを、育てたり、のんびりしながら辺境で平和にすごす。そんな主人公のもとに、ドワーフ、魚人、雪女、魔王四天王、魔王、といった亜人のなかでも一際キワモノの種族が次から次へと集まり、彼らがもたらす特産品によってドンドン村は発展し豊かに、にぎやかになっていく。

無能と呼ばれたレベル0の転生者は、効果がチートだったスキル限界突破の力で最強を目指す

紅月シン
ファンタジー
 七歳の誕生日を迎えたその日に、レオン・ハーヴェイの全ては一変することになった。  才能限界0。  それが、その日レオンという少年に下されたその身の価値であった。  レベルが存在するその世界で、才能限界とはレベルの成長限界を意味する。  つまりは、レベルが0のまま一生変わらない――未来永劫一般人であることが確定してしまったのだ。  だがそんなことは、レオンにはどうでもいいことでもあった。  その結果として実家の公爵家を追放されたことも。  同日に前世の記憶を思い出したことも。  一つの出会いに比べれば、全ては些事に過ぎなかったからだ。  その出会いの果てに誓いを立てた少年は、その世界で役立たずとされているものに目を付ける。  スキル。  そして、自らのスキルである限界突破。  やがてそのスキルの意味を理解した時、少年は誓いを果たすため、世界最強を目指すことを決意するのであった。 ※小説家になろう様にも投稿しています

フリーター転生。公爵家に転生したけど継承権が低い件。精霊の加護(チート)を得たので、努力と知識と根性で公爵家当主へと成り上がる 

SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
400倍の魔力ってマジ!?魔力が多すぎて範囲攻撃魔法だけとか縛りでしょ 25歳子供部屋在住。彼女なし=年齢のフリーター・バンドマンはある日理不尽にも、バンドリーダでボーカルからクビを宣告され、反論を述べる間もなくガッチャ切りされそんな失意のか、理不尽に言い渡された残業中に急死してしまう。  目が覚めると俺は広大な領地を有するノーフォーク公爵家の長男の息子ユーサー・フォン・ハワードに転生していた。 ユーサーは一度目の人生の漠然とした目標であった『有名になりたい』他人から好かれ、知られる何者かになりたかった。と言う目標を再認識し、二度目の生を悔いの無いように、全力で生きる事を誓うのであった。 しかし、俺が公爵になるためには父の兄弟である次男、三男の息子。つまり従妹達と争う事になってしまい。 ユーサーは富国強兵を掲げ、先ずは小さな事から始めるのであった。 そんな主人公のゆったり成長期!!

スキル間違いの『双剣士』~一族の恥だと追放されたが、追放先でスキルが覚醒。気が付いたら最強双剣士に~

きょろ
ファンタジー
この世界では5歳になる全ての者に『スキル』が与えられる――。 洗礼の儀によってスキル『片手剣』を手にしたグリム・レオハートは、王国で最も有名な名家の長男。 レオハート家は代々、女神様より剣の才能を与えられる事が多い剣聖一族であり、グリムの父は王国最強と謳われる程の剣聖であった。 しかし、そんなレオハート家の長男にも関わらずグリムは全く剣の才能が伸びなかった。 スキルを手にしてから早5年――。 「貴様は一族の恥だ。最早息子でも何でもない」 突如そう父に告げられたグリムは、家族からも王国からも追放され、人が寄り付かない辺境の森へと飛ばされてしまった。 森のモンスターに襲われ絶対絶命の危機に陥ったグリム。ふと辺りを見ると、そこには過去に辺境の森に飛ばされたであろう者達の骨が沢山散らばっていた。 それを見つけたグリムは全てを諦め、最後に潔く己の墓を建てたのだった。 「どうせならこの森で1番派手にしようか――」 そこから更に8年――。 18歳になったグリムは何故か辺境の森で最強の『双剣士』となっていた。 「やべ、また力込め過ぎた……。双剣じゃやっぱ強すぎるな。こりゃ1本は飾りで十分だ」 最強となったグリムの所へ、ある日1体の珍しいモンスターが現れた。 そして、このモンスターとの出会いがグレイの運命を大きく動かす事となる――。

ようこそ異世界へ!うっかりから始まる異世界転生物語

Eunoi
ファンタジー
本来12人が異世界転生だったはずが、神様のうっかりで異世界転生に巻き込まれた主人公。 チート能力をもらえるかと思いきや、予定外だったため、チート能力なし。 その代わりに公爵家子息として異世界転生するも、まさかの没落→島流し。 さぁ、どん底から這い上がろうか そして、少年は流刑地より、王政が当たり前の国家の中で、民主主義国家を樹立することとなる。 少年は英雄への道を歩き始めるのだった。 ※第4章に入る前に、各話の改定作業に入りますので、ご了承ください。

大工スキルを授かった貧乏貴族の養子の四男だけど、どうやら大工スキルは伝説の全能スキルだったようです

飼猫タマ
ファンタジー
田舎貴族の四男のヨナン・グラスホッパーは、貧乏貴族の養子。義理の兄弟達は、全員戦闘系のレアスキル持ちなのに、ヨナンだけ貴族では有り得ない生産スキルの大工スキル。まあ、養子だから仕方が無いんだけど。 だがしかし、タダの生産スキルだと思ってた大工スキルは、じつは超絶物凄いスキルだったのだ。その物凄スキルで、生産しまくって超絶金持ちに。そして、婚約者も出来て幸せ絶頂の時に嵌められて、人生ドン底に。だが、ヨナンは、有り得ない逆転の一手を持っていたのだ。しかも、その有り得ない一手を、本人が全く覚えてなかったのはお約束。 勿論、ヨナンを嵌めた奴らは、全員、ザマー百裂拳で100倍返し! そんなお話です。

転生幼女の攻略法〜最強チートの異世界日記〜

みおな
ファンタジー
 私の名前は、瀬尾あかり。 37歳、日本人。性別、女。職業は一般事務員。容姿は10人並み。趣味は、物語を書くこと。  そう!私は、今流行りのラノベをスマホで書くことを趣味にしている、ごくごく普通のOLである。  今日も、いつも通りに仕事を終え、いつも通りに帰りにスーパーで惣菜を買って、いつも通りに1人で食事をする予定だった。  それなのに、どうして私は道路に倒れているんだろう?後ろからぶつかってきた男に刺されたと気付いたのは、もう意識がなくなる寸前だった。  そして、目覚めた時ー

(完結)魔王討伐後にパーティー追放されたFランク魔法剣士は、超レア能力【全スキル】を覚えてゲスすぎる勇者達をザマアしつつ世界を救います

しまうま弁当
ファンタジー
魔王討伐直後にクリードは勇者ライオスからパーティーから出て行けといわれるのだった。クリードはパーティー内ではつねにFランクと呼ばれ戦闘にも参加させてもらえず場美雑言は当たり前でクリードはもう勇者パーティーから出て行きたいと常々考えていたので、いい機会だと思って出て行く事にした。だがラストダンジョンから脱出に必要なリアーの羽はライオス達は分けてくれなかったので、仕方なく一階層づつ上っていく事を決めたのだった。だがなぜか後ろから勇者パーティー内で唯一のヒロインであるミリーが追いかけてきて一緒に脱出しようと言ってくれたのだった。切羽詰まっていると感じたクリードはミリーと一緒に脱出を図ろうとするが、後ろから追いかけてきたメンバーに石にされてしまったのだった。

処理中です...