追放騎手の霊馬召喚〜トウカイテイオーを召喚できずに勘当された俺は、伝説の負け馬と共に霊馬競馬界で成り上がる!

仁徳

文字の大きさ
154 / 183
第九章

第七話 コスモス賞

しおりを挟む
 ~大気釈迦流エアシャカール視点~





 兜城カブトシローたち、八百長組みが出て行ったあと、俺も下見所パドックへと向かって行く。

 カブトシロー、中央競馬界史上最大と言われた八百長事件に使われた馬だ。騎乗騎手がヤクザと手を組み、裏で盤面を操ってレースを行っていたらしい。

 八百長の手段としては、色々な方法があるが、俺が兜城カブトシローに言われたように、賄賂を渡されて八百長に参加するケースが多い。

 それにしてもカブトシローが相手か。面白いな。新聞が読める馬と競う日が来るとは。

 カブトシローは競走馬の中では扱いが難しいと言われている。その理由は人気が上がると負け、人気が低いと勝って穴を開ける傾向にある馬だからだ。

 人気があると凡走し、人気がない時に好走することから、新聞が読める馬とも呼ばれている。

 このような傾向にあることからも、八百長事件に利用されたのかもしれないがな。

 主な勝ち鞍は天皇賞・秋と有馬記念、どちらもG Iレースであることから、実力もある。

 能力的に考えれば、人気は高くなるだろう。そう考えると今回のレースは、やつは負けるつもりだ。そして大穴の馬に勝ちを譲り、自分が大儲けをする。そのように考えているはず。

 なら勝利条件は決まっている。やつを勝たせ、馬券を外させる。それが今回のレースで俺が勝利と言える状態だ。

 本当に面白いレースだ。この俺が、敢えて負けるレースをしようと言うのだからな。

 下見所パドックに辿り着き、エアグルーヴと周滝音アグネスタキオンのところに向かう。

「どうだ? エアグルーヴの調子は?」

「悪くはないと思うよ。でも、観客たちが1番注目しているのはカブトシローぽいね。多分、エアグルーヴは2、3番人気になりそう」

『ふん、妾の魅力が分からないとは愚かなことよ。まぁ良い。女帝の走りがどれほどのものであるのか、妾の単勝馬券を買わなかった者に知ら示してやろう』

 どうやらエアグルーヴの人気は悪くはないが、1番人気とまではいかないようだな。

「そうだ。やっぱりこれをあいつに渡してくれないか? やっぱりピアスをしたまま走るのは邪魔になりそうだ」

 耳に付けている特注で作った馬の装飾が施されたピアスを外し、周滝音アグネスタキオンに手渡す。

「分かった。渡しておくよ。それで、君の勝率はどれくらいあるんだい?」

「俺の勝率、それは決まっている0パーセントだ」

「はぁ?」

 周滝音アグネスタキオンが少々間抜け面で言葉を漏らす。

 それもそうだろう。今までのレースで、俺の勝率は95パーセント以上と言えるように仕上げている。それが0パーセントなんて言えば、誰だってあのような顔をするだろう。

「ごめん、どうやら聞き間違えたみたいだね。もう一度聞くけど、君の勝率は何パーセントだい?」

「だから0パーセントと言っているじゃないか。言い方を変えれば、馬券内に入る確率は97パーセントだ。俺は今回のレースで全力を出して負けてみせる」

大気釈迦流エアシャカールの頭がおかしくなった! きゅ、救急車を呼ばないと! レースどころではないよ! 早く頭の精密検査を受けさせないと! やっぱり馬券を外し続けたショックで脳がやられたんだ!」

「やめろ! 俺は正常だと言っているだろうが!」

 声を荒げ、タブレットを取り出そうとした彼を止める。

 くそう。レース前に余計な体力を使ってしまったじゃないか。

「とにかく、俺は今回のレースは出走するからな。お前はお前の役割をしろ。それに、競馬は勝つことが全てではない。時には敢えて負けることも大事だ」

「分かった。君が何を考えているのか、分からないのはいつものことだし、信じるよ」

「そうしてくれ。それじゃ、行って来る」

 エアグルーヴに騎乗し、俺と彼女はコースへと向かって行く。

 エアグルーヴに騎乗した俺は、誘導馬の後を付いて行く。そして芝のコースに出ると返し馬を初め、軽く走らせてウォーミングアップをさせる。

 よし、久しぶりの騎乗だが、彼女の調子は悪くないな。

『小僧、久しぶりのレースだが、ちゃんと妾のアシストは頼むぞ』

「分かっている。勝たせてやると約束はできないが、好走はさせてやるさ」

 今回のレースは、基本的にエアグルーヴ個人……いや、個馬の実力のみで頑張ってもらうことになるだろう。俺が今回用意したアビリティは、彼女をサポートする系ではなく、他の馬をサポートするアビリティをセットしている。

 返し馬を終え、屋根付きのポケットと呼ばれる場所にエアグルーヴを向かわせ、彼女の昂った気持ちを一旦リセットさせる。

 ポケット内を何周もさせ、気持ちが落ち着いたと思われる頃に丁度発走時刻が近付き、ゲート前へと移動させた。

 エアグルーヴの番号は4枠4番だ。

 因みに奇数番号よりも偶数番号、そして偶数番号よりも大外枠の方が若干有利だと言われている。その理由はゲート内に入るのが遅いからだ。

 ゲート入りの順番は①先入馬②奇数番号③偶数番号④大外枠の順番が基本であり、先に入った馬はゲート内に居る時間が長い。

 馬と言うのは、どちらかと言うと狭い空間を苦手とする。だからゲート入りを嫌がる競走馬が度々出てくる。

 先に入った馬は、それだけ長い時間狭い空間に閉じ込められることになるので、ストレスを感じてパフォーマンスが低下する恐れがあるのだ。

 先に先入馬、そして奇数番号の馬が次々と入り、偶数番号となったタイミングで俺とエアグルーヴもゲート入りを行う。

「もう直ぐ発走だ。気合い入れて行くぞ。エアグルーヴ」









出走ゲート一覧
1枠1番   ウインアグライア
2枠2番   ナイママ
3枠3番   ナムラアース
4枠4番   エアグルーヴ
5枠5番   マチカネアカツキ
5枠6番   ネームヴァリュー
6枠7番   アイアムザプリンス
6枠8番   ナリタファースト
7枠9番   メジロパーマー
7枠10番  カブトシロー
8枠11番  ゴールドシチー
8枠12番  フリートーク



本日の販売馬券
単勝……1着を当てる馬券

複勝……3着までに入る馬を当てる馬券

応援馬券……単勝と複勝の効果を持つ馬券

枠連……1着と2着になる馬の枠番号の組み合わせを当てる馬券(組み合わせとして合っていればO K。1着と2着の着順は関係ない)
(例)1着12番、2着3番、3着2番の場合、3枠-8枠

馬連……1着と2着になる馬の馬番号の組み合わせを当てる馬券(組み合わせとして合っていればO K。1着と2着の着順は関係ない)
(例)1着12番、2着3番、3着2番の場合、3番-12番

馬単……1着と2着になる馬の番号を着順通りに当てる馬券(着順通りに当てないと的中しない。)
(例)1着12番、2着3番、3着2番の場合、3番▷12番

ワイド……3着までに入る2頭の組み合わせを馬番号で当てる馬券(組み合わせとして合っていればO K。1着と2着の着順は関係ない)
(例)1着12番、2着3番、3着2番の場合、3番-12番、2番-12番、2番-3番

三連複……1着、2着、3着となる馬の組み合わせを馬番号で当てる馬券(組み合わせとして合っていればO K。1着と2着の着順は関係ない)
(例)1着12番、2着3番、3着2番の場合、2番-3番-12番

三連単……1着、2着、3着となる馬の馬番号を着順通りに当てる馬券(着順通りに当てないと的中しない。)
(例)1着12番、2着3番、3着2番の場合、12番▷3番▷2番





今回のオッズ

人気順               倍率
カブトシロー            2.6倍
エアグルーヴ            3.1倍
ゴールドシチー           5.7倍
メジロパーマー            8.3倍
フリートーク           10.3倍
ウインアグラア          12.4倍
ネームヴァリュー         20.3倍
マチカネアカツキ         21.5倍
ナリタファースト         33.2倍
ナイママ             55.8倍
ナムラアース           72.8倍
アイアムザプリンス        82.7倍
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる

よっしぃ
ファンタジー
2巻決定しました! 【書籍版 大ヒット御礼!オリコン18位&続刊決定!】 皆様の熱狂的な応援のおかげで、書籍版『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』が、オリコン週間ライトノベルランキング18位、そしてアルファポリス様の書店売上ランキングでトップ10入りを記録しました! 本当に、本当にありがとうございます! 皆様の応援が、最高の形で「続刊(2巻)」へと繋がりました。 市丸きすけ先生による、素晴らしい書影も必見です! 【作品紹介】 欲望に取りつかれた権力者が企んだ「スキル強奪」のための勇者召喚。 だが、その儀式に巻き込まれたのは、どこにでもいる普通のサラリーマン――白河小次郎、45歳。 彼に与えられたのは、派手な攻撃魔法ではない。 【鑑定】【いんたーねっと?】【異世界売買】【テイマー】…etc. その一つ一つが、世界の理すら書き換えかねない、規格外の「便利スキル」だった。 欲望者から逃げ切るか、それとも、サラリーマンとして培った「知識」と、チート級のスキルを武器に、反撃の狼煙を上げるか。 気のいいおっさんの、優しくて、ずる賢い、まったり異世界サバイバルが、今、始まる! 【書誌情報】 タイトル: 『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』 著者: よっしぃ イラスト: 市丸きすけ 先生 出版社: アルファポリス ご購入はこちらから: Amazon: https://www.amazon.co.jp/dp/4434364235/ 楽天ブックス: https://books.rakuten.co.jp/rb/18361791/ 【作者より、感謝を込めて】 この日を迎えられたのは、長年にわたり、Webで私の拙い物語を応援し続けてくださった、読者の皆様のおかげです。 そして、この物語を見つけ出し、最高の形で世に送り出してくださる、担当編集者様、イラストレーターの市丸きすけ先生、全ての関係者の皆様に、心からの感謝を。 本当に、ありがとうございます。 【これまでの主な実績】 アルファポリス ファンタジー部門 1位獲得 小説家になろう 異世界転移/転移ジャンル(日間) 5位獲得 アルファポリス 第16回ファンタジー小説大賞 奨励賞受賞 第6回カクヨムWeb小説コンテスト 中間選考通過 復活の大カクヨムチャレンジカップ 9位入賞 ファミ通文庫大賞 一次選考通過

追放された最強ヒーラーは、美少女令嬢たちとハーレム生活を送る ~公爵令嬢も義妹も幼馴染も俺のことを大好きらしいので一緒の風呂に入ります~

軽井広@北欧美少女 書籍化!
ファンタジー
白魔道師のクリスは、宮廷魔導師団の副団長として、王国の戦争での勝利に貢献してきた。だが、国王の非道な行いに批判的なクリスは、反逆の疑いをかけられ宮廷を追放されてしまう。 そんなクリスに与えられた国からの新たな命令は、逃亡した美少女公爵令嬢を捕らえ、処刑することだった。彼女は敵国との内通を疑われ、王太子との婚約を破棄されていた。だが、無実を訴える公爵令嬢のことを信じ、彼女を助けることに決めるクリス。 クリスは国のためではなく、自分のため、そして自分を頼る少女のために、自らの力を使うことにした。やがて、同じような境遇の少女たちを助け、クリスは彼女たちと暮らすことになる。 一方、クリスのいなくなった王国軍は、隣国との戦争に負けはじめた……。

戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件

さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。 数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、 今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、 わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。 彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。 それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。 今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。   「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」 「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」 「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」 「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」   命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!? 順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場―― ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。   これは―― 【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と 【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、 “甘くて逃げ場のない生活”の物語。   ――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。 ※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

S級クラフトスキルを盗られた上にパーティから追放されたけど、実はスキルがなくても生産力最強なので追放仲間の美少女たちと工房やります

内田ヨシキ
ファンタジー
[第5回ドラゴンノベルス小説コンテスト 最終選考作品] 冒険者シオンは、なんでも作れる【クラフト】スキルを奪われた上に、S級パーティから追放された。しかしシオンには【クラフト】のために培った知識や技術がまだ残されていた! 物作りを通して、新たな仲間を得た彼は、世界初の技術の開発へ着手していく。 職人ギルドから追放された美少女ソフィア。 逃亡中の魔法使いノエル。 騎士職を剥奪された没落貴族のアリシア。 彼女らもまた、一度は奪われ、失ったものを、物作りを通して取り戻していく。 カクヨムにて完結済み。 ( https://kakuyomu.jp/works/16817330656544103806 )

クラス全員で転移したけど俺のステータスは使役スキルが異常で出会った人全員を使役してしまいました

髙橋ルイ
ファンタジー
「クラス全員で転移したけど俺のステータスは使役スキルが異常で出会った人全員を使役してしまいました」 気がつけば、クラスごと異世界に転移していた――。 しかし俺のステータスは“雑魚”と判定され、クラスメイトからは置き去りにされる。 「どうせ役立たずだろ」と笑われ、迫害され、孤独になった俺。 だが……一人きりになったとき、俺は気づく。 唯一与えられた“使役スキル”が 異常すぎる力 を秘めていることに。 出会った人間も、魔物も、精霊すら――すべて俺の配下になってしまう。 雑魚と蔑まれたはずの俺は、気づけば誰よりも強大な軍勢を率いる存在へ。 これは、クラスで孤立していた少年が「異常な使役スキル」で異世界を歩む物語。 裏切ったクラスメイトを見返すのか、それとも新たな仲間とスローライフを選ぶのか―― 運命を決めるのは、すべて“使役”の先にある。 毎朝7時更新中です。⭐お気に入りで応援いただけると励みになります! 期間限定で10時と17時と21時も投稿予定 ※表紙のイラストはAIによるイメージです

俺だけ毎日チュートリアルで報酬無双だけどもしかしたら世界の敵になったかもしれない

宍戸亮
ファンタジー
朝起きたら『チュートリアル 起床』という謎の画面が出現。怪訝に思いながらもチュートリアルをクリアしていき、報酬を貰う。そして近い未来、世界が一新する出来事が起こり、主人公・花房 萌(はなぶさ はじめ)の人生の歯車が狂いだす。 不意に開かれるダンジョンへのゲート。その奥には常人では決して踏破できない存在が待ち受け、萌の体は凶刃によって裂かれた。 そしてチュートリアルが発動し、復活。殺される。復活。殺される。気が狂いそうになる輪廻の果て、萌は光明を見出し、存在を継承する事になった。 帰還した後、急速に馴染んでいく新世界。新しい学園への編入。試験。新たなダンジョン。 そして邂逅する謎の組織。 萌の物語が始まる。

処理中です...