追放騎手の霊馬召喚〜トウカイテイオーを召喚できずに勘当された俺は、伝説の負け馬と共に霊馬競馬界で成り上がる!

仁徳

文字の大きさ
上 下
125 / 183
第八章

第二話 とある休日の帝王の競馬ゲーム②

しおりを挟む
 出走馬を決め、騎乗する騎手を選択すると、マッチングが始まる。

 暫く待つと、メンバーが決まったようで、対戦ゲームが開始された。

「今回の会場は、フランスのロンシャン競馬場の凱旋門賞か。偽りの直線と呼ばれるフォレスストレートが癖のあるコースだよな」

 画面に凱旋門賞の文字が表示されると、次に出走馬たちの返し馬が始まる。

『前走快進撃を見せたこの馬が、フランスの凱旋門賞に挑戦します。果たして、前走の様な凄い末脚が炸裂するのか。ツイホウキシュ』

『クラシック三冠を見事に無敗で勝ち抜いたこの馬の実力は、欧州でも引けを取らないでしょう。レイバショウカン』

『人気薄ではありますが、それが一番怖い。騎乗騎手は人気薄の馬に乗せることで力を発揮するあの方だ。黒い弾丸の様にダークホースとなるでしょう。ニージョジョ』

『栗毛の馬体が、一層ターフに映えます。名手の手綱捌きに導かれて、優勝を狙います。ウーリーロング』

『不良馬場で走らせると、一番怖い馬がこの馬です。有利な馬場状態を物にすることができるのか。キララカサブランカ』

『ファンはこの馬を1番人気にしました。これまで無敗の絶対王者が、フランスの凱旋門賞に帰ってきた。2度目の優勝となるのか。リーヴハイツ』

 よし、俺のリーヴハイツが1番人気になった。

 このゲームは馬の能力順で人気順が決まるからな。他の馬がどれくらいのものなのかは不明だが、これで勝てる可能性は出てくるだろう。

 何せ、セーブ&ロードを繰り返して、負けたレースはなかったことにしている。絶対王者に、敗北は許されない。

『初のG Iレースでどこまで順位を上げることができるか。名手の手綱捌きに注目です。エンディアベッピン』

『良血馬のハイブリッドがこの欧州にやって来ました。果たしてその走りは、どんなドラマを見せてくれるのか。ズールペッパー』

『牝馬三冠を成し遂げたこの牝馬は、例え牡馬相手でも引けを取らないでしょう。宿舎のボスの登場です。ヒースアンティネア』

『有馬記念4着だった悔しさをバネにして、欧州で反撃の狼煙を上げることができるのでしょうか。サンキューコアラ』

『目立ちたがりのこの馬が、この凱旋門賞でもその走りを見せることができるのか。ビューパージュペル』

『G I7勝を上げたこの馬の実力は、上位でありましょう。あの走りを見せつけ、ファンの心を掴みたいところです。オイルアンクシャス』

『牝馬2冠を達成した馬に騎乗するのはあの名手。その走りで1着を狙います。ネココネコロガール』

『凱旋門賞2着だった父の屈辱を果たすことができるのでしょうか。父の無念を晴らすための娘が欧州へと参戦だ。スピークチャート』

『クラシック三冠を果たし、早くも引退したあの馬の遺伝子を引き継いたこの子が凱旋門賞に挑戦です。父の様な走りを見せることができるか。オービアジャスミン』

『さぁ、優勝パレードの準備は良いか。名前の通り、勝ってパレードといこうじゃないか。ブレイヴパレード』

『軽めの馬場を得意とするこの馬が、重馬場である欧州の競馬場でどこまでの走りを見せることができるのか。ユーナライ』

 出走する馬たちを見ていると、みんな変わった名前だなと思う。まぁ、冠名を指定していない限り、名前はランダムで決まるし、その名前も競走馬にありそうな名前だ。

『逃げから追い込みまで、自由な走りをするこの馬が、今回のレースでどのような走りを見せてくれるのか。人気は譲っても、優勝は譲りません。スケベニンゲン』

「はぁ?」

 思わず声が漏れてしまった。

 今、実況者がスケベニンゲンって言ったか? 気のせいだよな? 流石にそんな名前なんてあるはずがない。

 きっと聞き間違いだ。そう思っていると、画面は一度出馬表に切り替わる。

 そこには、2番人気の馬にスケベニンゲンと表示されてあった。

 マジかよ! 本当にそんな名前になることなんてあるのか!

 確か2020年代のゲームって、名前に制限をかけられていたよな?

 確か見た相手を不快な気持ちにさせないために、NGワードを設けてあり、その言葉が使われていたら使用できないようになっていたはず。

 俺はこんな話を聞いたことがある。とある人物が、プレイヤー名を『ブルーレイプレイヤー』にしていたが、この名前を使用することはできませんと言う表示が出たそうだ。

 当時はどうして使用できないのか疑問に思っていたそうだが。この名前には卑猥なワードが隠されていることに気付いたらしい。

 プルーレイの『レイ』とプレイヤーの『プ』がくっついてしまい、NGワード判定を受けていたのだ。

 それぐらい些細なことでも使用できないくらい、言葉選びには慎重にしなければいけないくらいに厳しいのに、このゲームはそれが許されているのか?

 まさか、スケベはセーフなのか? もし、そうだとしたら、判断基準が分からない。

 どうしてプルーレイプレイヤーはダメで、スケベは許される。

 しかもこのゲームの実況者の言葉は、音声付きだ。つまり、収録されている。開発段階で、スケベと言う言葉が許されていると言うことだろう。

 それにしてもおかしな冠名を作ったものだ。こいつを送り出したプレイヤーって、絶対に小学生か中学生男子だろう。

 まぁ、性への興味が目覚める年齢だ。そんな言葉を使って楽しみたい年頃なのだろう。

 年上の男として、ここは暖かい目で見守ってあげようではないか。

 それにしてもある意味凄い確率だよな。冠名をスケベにすれば、所有する馬の名前は全てスケベから始まる。それに続く言葉がランダムに選ばれ、ニンゲンと言うワードとなるなんて、天文学レベルの奇跡としか言いようがない。

 そんなことを思っていると、画面が切り替わり、ゲート入りを始める。

『各馬それぞれゲート入りをしていきます。おっと、サンキューコアラが暴れています。大丈でしょうか? 大丈夫です。無事にゲート入りを果たしました。最後にスケベニンゲンがゲートに入っていきます』

 やばい。ゲームとは言え、実況者が平然とスケベニンゲンと言っているところが笑いを誘ってきやがる。

『欧州3冠第2戦、凱旋門賞、今、ゲートが開きました』
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

薬漬けレーサーの異世界学園生活〜無能被験体として捨てられたが、神族に拾われたことで、ダークヒーローとしてナンバーワン走者に君臨します〜

仁徳
ファンタジー
少年はとある研究室で実験動物にされていた。毎日薬漬けの日々を送っていたある日、薬を投与し続けても、魔法もユニークスキルも発動できない落ちこぼれの烙印を押され、魔の森に捨てられる。 森の中で魔物が現れ、少年は死を覚悟したその時、1人の女性に助けられた。 その後、女性により隠された力を引き出された少年は、シャカールと名付けられ、魔走学園の唯一の人間魔競走者として生活をすることになる。 これは、薬漬けだった主人公が、走者として成り上がり、ざまぁやスローライフをしながら有名になって、世界最強になって行く物語 今ここに、新しい異世界レースものが開幕する!スピード感のあるレースに刮目せよ! 競馬やレース、ウマ娘などが好きな方は、絶対に楽しめる内容になっているかと思います。レース系に興味がない方でも、異世界なので、ファンタジー要素のあるレースになっていますので、楽しめる内容になっています。 まずは1話だけでも良いので試し読みをしていただけると幸いです。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

ブラックギルドマスターへ、社畜以下の道具として扱ってくれてあざーす!お陰で転職した俺は初日にSランクハンターに成り上がりました!

仁徳
ファンタジー
あらすじ リュシアン・プライムはブラックハンターギルドの一員だった。 彼はギルドマスターやギルド仲間から、常人ではこなせない量の依頼を押し付けられていたが、夜遅くまで働くことで全ての依頼を一日で終わらせていた。 ある日、リュシアンは仲間の罠に嵌められ、依頼を終わらせることができなかった。その一度の失敗をきっかけに、ギルドマスターから無能ハンターの烙印を押され、クビになる。 途方に暮れていると、モンスターに襲われている女性を彼は見つけてしまう。 ハンターとして襲われている人を見過ごせないリュシアンは、モンスターから女性を守った。 彼は助けた女性が、隣町にあるハンターギルドのギルドマスターであることを知る。 リュシアンの才能に目をつけたギルドマスターは、彼をスカウトした。 一方ブラックギルドでは、リュシアンがいないことで依頼達成の効率が悪くなり、依頼は溜まっていく一方だった。ついにブラックギルドは町の住民たちからのクレームなどが殺到して町民たちから見放されることになる。 そんな彼らに反してリュシアンは新しい職場、新しい仲間と出会い、ブッラックギルドの経験を活かして最速でギルドランキング一位を獲得し、ギルドマスターや町の住民たちから一目置かれるようになった。 これはブラックな環境で働いていた主人公が一人の女性を助けたことがきっかけで人生が一変し、ホワイトなギルド環境で最強、無双、ときどきスローライフをしていく物語!

Sランク昇進を記念して追放された俺は、追放サイドの令嬢を助けたことがきっかけで、彼女が押しかけ女房のようになって困る!

仁徳
ファンタジー
シロウ・オルダーは、Sランク昇進をきっかけに赤いバラという冒険者チームから『スキル非所持の無能』とを侮蔑され、パーティーから追放される。 しかし彼は、異世界の知識を利用して新な魔法を生み出すスキル【魔学者】を使用できるが、彼はそのスキルを隠し、無能を演じていただけだった。 そうとは知らずに、彼を追放した赤いバラは、今までシロウのサポートのお陰で強くなっていたことを知らずに、ダンジョンに挑む。だが、初めての敗北を経験したり、その後借金を背負ったり地位と名声を失っていく。 一方自由になったシロウは、新な町での冒険者活動で活躍し、一目置かれる存在となりながら、追放したマリーを助けたことで惚れられてしまう。手料理を振る舞ったり、背中を流したり、それはまるで押しかけ女房だった! これは、チート能力を手に入れてしまったことで、無能を演じたシロウがパーティーを追放され、その後ソロとして活躍して無双すると、他のパーティーから追放されたエルフや魔族といった様々な追放少女が集まり、いつの間にかハーレムパーティーを結成している物語!

役立たずと言われダンジョンで殺されかけたが、実は最強で万能スキルでした !

本条蒼依
ファンタジー
地球とは違う異世界シンアースでの物語。  主人公マルクは神聖の儀で何にも反応しないスキルを貰い、絶望の淵へと叩き込まれる。 その役に立たないスキルで冒険者になるが、役立たずと言われダンジョンで殺されかけるが、そのスキルは唯一無二の万能スキルだった。  そのスキルで成り上がり、ダンジョンで裏切った人間は落ちぶれざまあ展開。 主人公マルクは、そのスキルで色んなことを解決し幸せになる。  ハーレム要素はしばらくありません。

クラス転移で無能判定されて追放されたけど、努力してSSランクのチートスキルに進化しました~【生命付与】スキルで異世界を自由に楽しみます~

いちまる
ファンタジー
ある日、クラスごと異世界に召喚されてしまった少年、天羽イオリ。 他のクラスメートが強力なスキルを発現させてゆく中、イオリだけが最低ランクのEランクスキル【生命付与】の持ち主だと鑑定される。 「無能は不要だ」と判断した他の生徒や、召喚した張本人である神官によって、イオリは追放され、川に突き落とされた。 しかしそこで、川底に沈んでいた謎の男の力でスキルを強化するチャンスを得た――。 1千年の努力とともに、イオリのスキルはSSランクへと進化! 自分を拾ってくれた田舎町のアイテムショップで、チートスキルをフル稼働! 「転移者が世界を良くする?」 「知らねえよ、俺は異世界を自由気ままに楽しむんだ!」 追放された少年の第2の人生が、始まる――! ※本作品は他サイト様でも掲載中です。

スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活

昼寝部
ファンタジー
 この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。  しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。  そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。  しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。  そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。  これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。

俺だけ毎日チュートリアルで報酬無双だけどもしかしたら世界の敵になったかもしれない

亮亮
ファンタジー
朝起きたら『チュートリアル 起床』という謎の画面が出現。怪訝に思いながらもチュートリアルをクリアしていき、報酬を貰う。そして近い未来、世界が一新する出来事が起こり、主人公・花房 萌(はなぶさ はじめ)の人生の歯車が狂いだす。 不意に開かれるダンジョンへのゲート。その奥には常人では決して踏破できない存在が待ち受け、萌の体は凶刃によって裂かれた。 そしてチュートリアルが発動し、復活。殺される。復活。殺される。気が狂いそうになる輪廻の果て、萌は光明を見出し、存在を継承する事になった。 帰還した後、急速に馴染んでいく新世界。新しい学園への編入。試験。新たなダンジョン。 そして邂逅する謎の組織。 萌の物語が始まる。

処理中です...