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第七章
第七話 天皇賞・春の出走メンバー発表
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~大和主流視点~
「おや? これは、これは、嘘吐きの大和主流君じゃないか?」
生徒会の仕事を終わらせ、寮に帰ろうとしていると、周滝音がニヤついた笑みで声をかけてきた。
「嘘吐きだと? それはどう言う意味だ? お前に嘘を言った覚えはないのだが?」
「惚けないで良いよ。こっちは証拠が上がっているのだから。大和鮮赤ちゃんから聞いたよ。別に彼氏はいないって。何? 君の頭の中では彼女に妄想彼氏が居るって設定なのかな?」
周滝音の言葉を聞き、少しだけ驚いてしまった。
まさか、直接妹に事実を聞きに行く行動力を持っているとは思わなかったな。
だが、彼氏は居ない? どう言うことだ? 東海帝王君と付き合っているのは間違いないはず。
何せ、この俺と約束をしたのだからな。どんなことがあろうと、妹の側に居て支えてくれると約束したのだ。
思考を巡らせる中、彼は俺の返答を待ちつつも、ニヤついた笑みを向けてくる。
こいつを調子に乗らせる訳にはいかない。このまま俺が何も言わないでいると、やつの言っていることを認めることになってしまうからだ。
しかし反論をするにしても、どうして妹が彼氏は居ないと言ったのか、その理由が分からない以上は、こいつを納得させることはできないだろう。
さて、どのように言葉を言い繕ってこいつを納得させようか。
妹の心理を想像すると、あることを思い付く。
そうだ。照れ隠しだ! いや、こいつに対して照れ隠しで嘘を吐くとは思えないな。なら、他の理由は?
更に考えを巡らせると、別の可能性に思い当たる。
そうか。分かったぞ! 妹は東海帝王君を守ろうとしたのだ。自分に執着している周滝音に彼のことを告げれば、嫉妬で殴り込みをする可能性がある。だから妹は東海帝王君を守る意味でも、彼氏は居ないと言ったのだ。
ああ、我が妹ながら何ともいじらしい。なら、兄として精一杯サポートをしてやらなければ。例え周滝音の敵対心を更に上げることになったとしても。
決断に至った俺は、長い沈黙を破り、口を開く。
「お前、妹のことを何も分かっていないな。妹は優しく、賢いんだ。お前に彼氏の存在を明かしたら、嫉妬して彼に嫌がらせをするとでも思ったのだろう。だからあんな言い方をして、彼氏の存在を隠したんだ」
「な、何だって! 確かに、大和鮮赤ちゃんの性格ならあり得る! 僕としたことが、優勝候補の本命を狙いすぎて、大穴が勝つ可能性を考慮していなかった! 確かに、2024年のヴィクトリアマイルで、14番人気のテンハッピーローズが優勝して、世間に驚きを与えたもんね!」
両手を頬に当て、口を大きく開ける周滝音を見て、吹き出しそうになった。
一部の人間にしか伝わらない例えだな。
「それじゃ、大和鮮赤ちゃんの彼氏は誰なの! カチコミに行くから!」
「カチコミ前提で話す訳がないだろう! そもそもお前、そんなに力がないだろう?」
「うん。だから霊馬競馬の勝負を挑んで、そいつの力量を測ろうと思っているの」
「もし、彼が勝った場合は、妹との交際を認めてくれるのか?」
「そんな訳がないだろう? 僕は何があってもそいつを認めない。ただ力量を測りたいだけだよ」
こいつのワガママは、度を過ぎて子どものような発想だな。
「なら、教える訳にはいかない」
「教えろ!」
「教えない!」
「教えろ!」
「教えない!」
「お前らうるさいぞ! 廊下で騒ぎを起こすな! それにお前は風紀委員だろうが! もっと風紀委員の自覚を持って行動しろ! 周滝音」
俺たちが言い合っていると、不良のような見た目の男が声を上げながら近付いてくる。
「お前は、大気釈迦流じゃないか」
「周滝音から話は聞いていたが、無事に退院できたんだな。退院おめでとう。そしてバカが迷惑をかけてすまなかった」
大気釈迦流が頭を軽く下げる。見た目は不良なのにそんなところは真面目だな。
「よし、今までは知り合いの程で話した。ここからは風紀委員長として話す。お前たちの騒ぎは、風紀委員として見過ごす訳にはいかない。だから、週末に行われる天皇賞・春で順位が上のやつの指示に従うって約束しろ」
「天皇賞・春って、もしかして、今回の出走メンバーが決まっているのか!」
「ああ、先ほど張り出された。大和主流、周滝音、そしてこの俺の名もな」
「あら、あら。これは面白い話を聞きましたわね。それじゃ、これはある意味、生徒会と風紀委員の代理戦争のようなものになるではないですか?」
聞き覚えのある女性の声が聞こえ、振り向く。そこには、肩にかかる黒髪のセミロングの女の子が、優雅に佇んでいた。
「貴婦人生徒会長」
いつの間に背後に居たのだろうか? 全然気付かなかった。
「もし、大和主流が天皇賞・春で優勝できましたら、追加の条件でエアシャカールの格好を直してもらいます。風紀委員長と言う特権で許されているあなたのスタイル、最初からわたくしは許していませんので。そうですね、指し寄り頭を丸刈りにしてピアスも外して修行僧のような雰囲気になってもらえれば、より一層風紀委員らしくなるのではないかと思っております」
「ププ! 大気釈迦流の修行僧スタイルを想像したら、笑いが込み上げてきた」
周滝音が突如笑い出し、俺も釣られて想像してしまった。すると、彼と同じように笑いが込み上げてくる。
「お前ら、良い度胸だな! 喧嘩を売っているのなら、高く買い取ってやるぜ」
「では、100万ポイントで大和主流の喧嘩を売ってあげましょう」
額に青筋を浮かべ、大気釈迦流が指を鳴らす中、貴婦人生徒会長は挑発なのか、本気で言っているのか不明だが、話に乗っかってきた。
大気釈迦流と貴婦人生徒会長が睨み合う。もし、これが漫画やアニメの世界だったら、火花が散っていただろう。
「おや? これは、これは、嘘吐きの大和主流君じゃないか?」
生徒会の仕事を終わらせ、寮に帰ろうとしていると、周滝音がニヤついた笑みで声をかけてきた。
「嘘吐きだと? それはどう言う意味だ? お前に嘘を言った覚えはないのだが?」
「惚けないで良いよ。こっちは証拠が上がっているのだから。大和鮮赤ちゃんから聞いたよ。別に彼氏はいないって。何? 君の頭の中では彼女に妄想彼氏が居るって設定なのかな?」
周滝音の言葉を聞き、少しだけ驚いてしまった。
まさか、直接妹に事実を聞きに行く行動力を持っているとは思わなかったな。
だが、彼氏は居ない? どう言うことだ? 東海帝王君と付き合っているのは間違いないはず。
何せ、この俺と約束をしたのだからな。どんなことがあろうと、妹の側に居て支えてくれると約束したのだ。
思考を巡らせる中、彼は俺の返答を待ちつつも、ニヤついた笑みを向けてくる。
こいつを調子に乗らせる訳にはいかない。このまま俺が何も言わないでいると、やつの言っていることを認めることになってしまうからだ。
しかし反論をするにしても、どうして妹が彼氏は居ないと言ったのか、その理由が分からない以上は、こいつを納得させることはできないだろう。
さて、どのように言葉を言い繕ってこいつを納得させようか。
妹の心理を想像すると、あることを思い付く。
そうだ。照れ隠しだ! いや、こいつに対して照れ隠しで嘘を吐くとは思えないな。なら、他の理由は?
更に考えを巡らせると、別の可能性に思い当たる。
そうか。分かったぞ! 妹は東海帝王君を守ろうとしたのだ。自分に執着している周滝音に彼のことを告げれば、嫉妬で殴り込みをする可能性がある。だから妹は東海帝王君を守る意味でも、彼氏は居ないと言ったのだ。
ああ、我が妹ながら何ともいじらしい。なら、兄として精一杯サポートをしてやらなければ。例え周滝音の敵対心を更に上げることになったとしても。
決断に至った俺は、長い沈黙を破り、口を開く。
「お前、妹のことを何も分かっていないな。妹は優しく、賢いんだ。お前に彼氏の存在を明かしたら、嫉妬して彼に嫌がらせをするとでも思ったのだろう。だからあんな言い方をして、彼氏の存在を隠したんだ」
「な、何だって! 確かに、大和鮮赤ちゃんの性格ならあり得る! 僕としたことが、優勝候補の本命を狙いすぎて、大穴が勝つ可能性を考慮していなかった! 確かに、2024年のヴィクトリアマイルで、14番人気のテンハッピーローズが優勝して、世間に驚きを与えたもんね!」
両手を頬に当て、口を大きく開ける周滝音を見て、吹き出しそうになった。
一部の人間にしか伝わらない例えだな。
「それじゃ、大和鮮赤ちゃんの彼氏は誰なの! カチコミに行くから!」
「カチコミ前提で話す訳がないだろう! そもそもお前、そんなに力がないだろう?」
「うん。だから霊馬競馬の勝負を挑んで、そいつの力量を測ろうと思っているの」
「もし、彼が勝った場合は、妹との交際を認めてくれるのか?」
「そんな訳がないだろう? 僕は何があってもそいつを認めない。ただ力量を測りたいだけだよ」
こいつのワガママは、度を過ぎて子どものような発想だな。
「なら、教える訳にはいかない」
「教えろ!」
「教えない!」
「教えろ!」
「教えない!」
「お前らうるさいぞ! 廊下で騒ぎを起こすな! それにお前は風紀委員だろうが! もっと風紀委員の自覚を持って行動しろ! 周滝音」
俺たちが言い合っていると、不良のような見た目の男が声を上げながら近付いてくる。
「お前は、大気釈迦流じゃないか」
「周滝音から話は聞いていたが、無事に退院できたんだな。退院おめでとう。そしてバカが迷惑をかけてすまなかった」
大気釈迦流が頭を軽く下げる。見た目は不良なのにそんなところは真面目だな。
「よし、今までは知り合いの程で話した。ここからは風紀委員長として話す。お前たちの騒ぎは、風紀委員として見過ごす訳にはいかない。だから、週末に行われる天皇賞・春で順位が上のやつの指示に従うって約束しろ」
「天皇賞・春って、もしかして、今回の出走メンバーが決まっているのか!」
「ああ、先ほど張り出された。大和主流、周滝音、そしてこの俺の名もな」
「あら、あら。これは面白い話を聞きましたわね。それじゃ、これはある意味、生徒会と風紀委員の代理戦争のようなものになるではないですか?」
聞き覚えのある女性の声が聞こえ、振り向く。そこには、肩にかかる黒髪のセミロングの女の子が、優雅に佇んでいた。
「貴婦人生徒会長」
いつの間に背後に居たのだろうか? 全然気付かなかった。
「もし、大和主流が天皇賞・春で優勝できましたら、追加の条件でエアシャカールの格好を直してもらいます。風紀委員長と言う特権で許されているあなたのスタイル、最初からわたくしは許していませんので。そうですね、指し寄り頭を丸刈りにしてピアスも外して修行僧のような雰囲気になってもらえれば、より一層風紀委員らしくなるのではないかと思っております」
「ププ! 大気釈迦流の修行僧スタイルを想像したら、笑いが込み上げてきた」
周滝音が突如笑い出し、俺も釣られて想像してしまった。すると、彼と同じように笑いが込み上げてくる。
「お前ら、良い度胸だな! 喧嘩を売っているのなら、高く買い取ってやるぜ」
「では、100万ポイントで大和主流の喧嘩を売ってあげましょう」
額に青筋を浮かべ、大気釈迦流が指を鳴らす中、貴婦人生徒会長は挑発なのか、本気で言っているのか不明だが、話に乗っかってきた。
大気釈迦流と貴婦人生徒会長が睨み合う。もし、これが漫画やアニメの世界だったら、火花が散っていただろう。
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