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第七章
第二話 馬の骨捜索
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~周滝音視点~
大和鮮赤ちゃんに彼氏がいると言う衝撃の事実を知ってしまった僕は、その馬の骨とも言える男を探していた。
けれど、情報は何もない。こうなるのであれば、大和主流からその男のことを聞き出せば良かった。少なくとも、彼はその男を知っていたのだから。
一度引き返して大和主流を探すも、彼の姿はどこにも見当たらない。
「うーん、困ったなぁ。さすがに大和鮮赤ちゃんに問い詰める程バカではないからなぁ」
僕は彼女から嫌われている。だけど、どうして嫌われているのか心当たりはない。僕はただ、競走馬の史実のように、彼女と親子のように仲良くなりたいだけなのに。
「こうなったら、あいつに協力をしてもらおう」
1人では困難な壁も、他の人と手を取り合って立ち向かえば、きっと乗り越えられるはず。
そう決断し、一刻も早く風紀委員室へと向かっていく。
「くそう。このデータにも載っていない。東海帝王の使っていた絆アビリティ、あれは一体何なんだ? 次にリベンジをするときは、俺のデータ競馬の方が上だと知らしめ、あいつを風紀委員に引き込んでやる」
風紀委員室の扉を開けるなり、幼馴染の大気釈迦流がブツブツと独り言を漏らしながら、空中ディスプレイと睨めっこをしている光景が視界に入る。
「大気釈迦流、悪いけれど、僕の手伝いをしてくれないかな?」
「断る。お前のことだ。どうせ下らないことに決まっている。それよりも、俺はデータ集めで忙しいんだ。次こそは、東海帝王を倒してやる。そのためにも、多くの情報収集が必要なんだ」
僕のお願いを下らないことだと決め付け、幼馴染は話すら聞いてくれない。
何が下らないだ。僕はいつでも真剣なんだぞ! 結果的に世間一般的には下らないことになってしまうだけだ!
もう怒った! 激おこプンプン丸だよ! 絶対に協力させてやる!
「うわー、話も聞かないで下らないことだと決めつけるなんて酷いなぁ。今、君が一番必要としている情報なのに」
「何?」
大気釈迦流がジロリと僕に視線だけ送ってくる。
「君が必死になって探している絆アビリティ、それに詳しい人物を知っている人の情報を得たんだ」
「このバカが! なぜそれを早く言わない!」
座っていた椅子から立ち上がり、大気釈迦流は声を上げて僕に詰め寄ってくる。
「それで、その人物とは誰だ?」
「いやぁーそれがまだ特定していないんだよね。大和鮮赤ちゃんの親しい人物ってことくらいしか分かっていないんだ」
「なるほど、つまりあの女から聞き出せば良いんだな。そろそろ巡回の時間だ。校内を見回るついでに大和鮮赤を探すとするか。周滝音付いて来い」
大気釈迦流が真剣な表情で風紀委員室から出て行った。
作戦通りだ。幼馴染である僕は、どのように扱えば彼を思うように動かせられるのか熟知している。
彼の頭脳で捜索すれば、絶対に大和鮮赤ちゃんの彼氏に辿り着くことができる。
待っていろよ。大和鮮赤ちゃんの彼氏! 見つけしだい、アグネスタキオンに蹴りを入れてもらう。
校内を見回って探すも、目的の人物が見当たらない。それもそうか。時間は夕方の18時だ。殆どの学生が学生寮に帰って、各々の時間を過ごしている。
「今日は見当たらないね。また明日探すしかなさそうだよ」
見回りの時間が過ぎてしまい、僕は今日の捜索は諦めるように促す。
「何を言っている。探す人物が分かっているんだ。部屋に向かえば済む話だろう」
「え! 女子寮に忍び込むの! いくら風紀委員でも、やって良いことと悪いことがあるよ! 風紀委員が風紀を乱すなんて! あ、君は最初から風紀を乱していたね」
「何をごちゃごちゃと言っている。ちゃんと許可を取ってから話を聞いてもらうに決まっているだろうが! ふざけていないでさっさと行くぞ!」
知りたい情報が近くまで来ているから、なんとしても知りたいんだ。この行動力は恐ろしいけれど見習いたいものだ。
彼は僕の嘘を本気で信じてしまっている。もし嘘だと知ったら、半殺しにされてしまいそう。
僕たちは女子寮へと向かい、女子寮を管理する寮長に話を通した。
彼の話術に見事引っかかった寮長は、紐付きの許可書を渡してくれた。
これを首にかけることで、女子生徒に見つかっても許可を取っていることを知らしめることができる。
「それにしても、さすが大気釈迦流だよね。没収した物を返却しに来たと言ったら、すんなりと通してくれた。嘘が上手い」
「何を言っている? 本当にこの前没収していた物を持って来たぞ。この件が終わったら、ついでに返すつもりだ。寮長が女子生徒を呼び出すなんて言ったら、詰んでいたがな」
大気釈迦流の言葉に苦笑いを浮かべる。
まさか本当のことを言っていたなんて。この元不良はどこまで真面目なんだよ。
廊下を歩いていると、奥から女子生徒が歩いてきた。その瞬間、首にかけていた許可書を前に突き出す。
この許可書が目に入らぬか! 僕らを誰と心得るか! ちゃんと許可を取った風紀委員だぞ!
「お前、何をしている?」
「え、だって。ちゃんと相手に見えるようにしないと、女子寮に侵入した変質者だと間違われるじゃないか」
「そんなものわざわざ見せなくとも、首にかけていれば気付くだろう?」
「そうだけど、怖くない? 昔女子寮に忍び込んだ男子生徒が女子生徒に見つかってしまい、その男子生徒は女子生徒たちにリンチにされた上に、パンツ一枚で磔にされたらしいじゃないか」
「それはその男がバカだったと言うだけだ。堂々としていれば良い。寧ろ、オドオドとしている方が怪しまれるぞ」
堂々とするように促され、僕は背筋を伸ばす。
そして廊下を歩き、大和鮮赤ちゃんの部屋の前に来た。
心臓が早鐘を打つ中、先導して大気釈迦流が扉をノックした。
大和鮮赤ちゃんに彼氏がいると言う衝撃の事実を知ってしまった僕は、その馬の骨とも言える男を探していた。
けれど、情報は何もない。こうなるのであれば、大和主流からその男のことを聞き出せば良かった。少なくとも、彼はその男を知っていたのだから。
一度引き返して大和主流を探すも、彼の姿はどこにも見当たらない。
「うーん、困ったなぁ。さすがに大和鮮赤ちゃんに問い詰める程バカではないからなぁ」
僕は彼女から嫌われている。だけど、どうして嫌われているのか心当たりはない。僕はただ、競走馬の史実のように、彼女と親子のように仲良くなりたいだけなのに。
「こうなったら、あいつに協力をしてもらおう」
1人では困難な壁も、他の人と手を取り合って立ち向かえば、きっと乗り越えられるはず。
そう決断し、一刻も早く風紀委員室へと向かっていく。
「くそう。このデータにも載っていない。東海帝王の使っていた絆アビリティ、あれは一体何なんだ? 次にリベンジをするときは、俺のデータ競馬の方が上だと知らしめ、あいつを風紀委員に引き込んでやる」
風紀委員室の扉を開けるなり、幼馴染の大気釈迦流がブツブツと独り言を漏らしながら、空中ディスプレイと睨めっこをしている光景が視界に入る。
「大気釈迦流、悪いけれど、僕の手伝いをしてくれないかな?」
「断る。お前のことだ。どうせ下らないことに決まっている。それよりも、俺はデータ集めで忙しいんだ。次こそは、東海帝王を倒してやる。そのためにも、多くの情報収集が必要なんだ」
僕のお願いを下らないことだと決め付け、幼馴染は話すら聞いてくれない。
何が下らないだ。僕はいつでも真剣なんだぞ! 結果的に世間一般的には下らないことになってしまうだけだ!
もう怒った! 激おこプンプン丸だよ! 絶対に協力させてやる!
「うわー、話も聞かないで下らないことだと決めつけるなんて酷いなぁ。今、君が一番必要としている情報なのに」
「何?」
大気釈迦流がジロリと僕に視線だけ送ってくる。
「君が必死になって探している絆アビリティ、それに詳しい人物を知っている人の情報を得たんだ」
「このバカが! なぜそれを早く言わない!」
座っていた椅子から立ち上がり、大気釈迦流は声を上げて僕に詰め寄ってくる。
「それで、その人物とは誰だ?」
「いやぁーそれがまだ特定していないんだよね。大和鮮赤ちゃんの親しい人物ってことくらいしか分かっていないんだ」
「なるほど、つまりあの女から聞き出せば良いんだな。そろそろ巡回の時間だ。校内を見回るついでに大和鮮赤を探すとするか。周滝音付いて来い」
大気釈迦流が真剣な表情で風紀委員室から出て行った。
作戦通りだ。幼馴染である僕は、どのように扱えば彼を思うように動かせられるのか熟知している。
彼の頭脳で捜索すれば、絶対に大和鮮赤ちゃんの彼氏に辿り着くことができる。
待っていろよ。大和鮮赤ちゃんの彼氏! 見つけしだい、アグネスタキオンに蹴りを入れてもらう。
校内を見回って探すも、目的の人物が見当たらない。それもそうか。時間は夕方の18時だ。殆どの学生が学生寮に帰って、各々の時間を過ごしている。
「今日は見当たらないね。また明日探すしかなさそうだよ」
見回りの時間が過ぎてしまい、僕は今日の捜索は諦めるように促す。
「何を言っている。探す人物が分かっているんだ。部屋に向かえば済む話だろう」
「え! 女子寮に忍び込むの! いくら風紀委員でも、やって良いことと悪いことがあるよ! 風紀委員が風紀を乱すなんて! あ、君は最初から風紀を乱していたね」
「何をごちゃごちゃと言っている。ちゃんと許可を取ってから話を聞いてもらうに決まっているだろうが! ふざけていないでさっさと行くぞ!」
知りたい情報が近くまで来ているから、なんとしても知りたいんだ。この行動力は恐ろしいけれど見習いたいものだ。
彼は僕の嘘を本気で信じてしまっている。もし嘘だと知ったら、半殺しにされてしまいそう。
僕たちは女子寮へと向かい、女子寮を管理する寮長に話を通した。
彼の話術に見事引っかかった寮長は、紐付きの許可書を渡してくれた。
これを首にかけることで、女子生徒に見つかっても許可を取っていることを知らしめることができる。
「それにしても、さすが大気釈迦流だよね。没収した物を返却しに来たと言ったら、すんなりと通してくれた。嘘が上手い」
「何を言っている? 本当にこの前没収していた物を持って来たぞ。この件が終わったら、ついでに返すつもりだ。寮長が女子生徒を呼び出すなんて言ったら、詰んでいたがな」
大気釈迦流の言葉に苦笑いを浮かべる。
まさか本当のことを言っていたなんて。この元不良はどこまで真面目なんだよ。
廊下を歩いていると、奥から女子生徒が歩いてきた。その瞬間、首にかけていた許可書を前に突き出す。
この許可書が目に入らぬか! 僕らを誰と心得るか! ちゃんと許可を取った風紀委員だぞ!
「お前、何をしている?」
「え、だって。ちゃんと相手に見えるようにしないと、女子寮に侵入した変質者だと間違われるじゃないか」
「そんなものわざわざ見せなくとも、首にかけていれば気付くだろう?」
「そうだけど、怖くない? 昔女子寮に忍び込んだ男子生徒が女子生徒に見つかってしまい、その男子生徒は女子生徒たちにリンチにされた上に、パンツ一枚で磔にされたらしいじゃないか」
「それはその男がバカだったと言うだけだ。堂々としていれば良い。寧ろ、オドオドとしている方が怪しまれるぞ」
堂々とするように促され、僕は背筋を伸ばす。
そして廊下を歩き、大和鮮赤ちゃんの部屋の前に来た。
心臓が早鐘を打つ中、先導して大気釈迦流が扉をノックした。
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