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第六章
第七話 シャーロックウララの情報集め
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~ハルウララ視点~
帝王の冤罪を成立させるために、シャーロックウララとなった私は、早速聞き込みを始めた。
『帝王、まずは君の行動を教えて貰っても良い?』
「さっき、大気釈迦流に説明した時に聞いていただろう?」
『そうだけど、確認のために、もう一度教えてよ』
そう、決して忘れた訳ではない。これはあくまでも確認するためなの。忘れた訳じゃないんだからね! 重要なことだから2回言うよ!
「女子たちが着替えた後、俺はここで体操服に着替えた。そして授業が終わって疲労困憊だった俺は、しばらく休憩した後に教室に戻ったよ。教室に戻った時は誰も居なかったな。俺1人で着替えていると、遅れて他の生徒たちも教室に入って来た。そして鞄の中を確認した時には、クロの下着が入れられてあったんだ」
『なるほど、つまり犯行時刻はホームルームが終わった後から、帝王が教室に戻ってくるまでの約1時間か。ありがとう。参考になったよ』
さて、今ので犯行時刻を割り出すことができた。次は被害者のことについて調べてみるとしよう。
『あ、クロちゃん。私とお話ししようよ!』
「ハルウララ? 何を聞きたいの?」
『クロちゃんのブラジャーについ……グエッ』
盗まれた下着のことを聞こうとしたら、いきなりクロちゃんに口を押さえつけられた。
力を入れ過ぎているようで、ちょっと苦しい。
『ク、クロちゃん。く、苦しい、ギブ、ギブ』
「あ、ごめんなさい」
降参であることを告げると、ようやく彼女は掴んでいた手を離してくれた。
あ、危なかった。危うく2度目の死を迎えるところだったよ。
「ごめんね。でも、デリケートな話題を世間話感覚で話すハルウララが悪いのだからね」
『ごめんね。それじゃ、場所を移動しようか。女子更衣室に行きたいから、連れて行ってよ』
「はい、はい。分かった」
クロちゃんに抱っこされながら、更衣室へと向かって行った。更衣室の前に来ると扉を開けてもらい、中に入る。
『ここまで連れて来てもらってありがとう』
彼女に礼を言いつつ、飛び降りると辺りを見渡す。
女子更衣室内は至って普通だ。着替え用のロッカーが置かれているだけ。
『あ、そうだ! 重要なことだから聞きたいのだけど?』
「今度は何を聞きたいの? なんだか嫌な予感がするのだけど?」
『クロちゃんって、今ノーブラ?』
「着けているわよ! 体育の授業中着けていた物をそのまま! 盗まれたのは着替え用に用意していたやつ!」
クロちゃんは顔を赤くしながら声を荒げた。
なるほど、盗まれたのは着替え用のブラジャーだった訳か。
『そのブラジャーは、どんな風に収納していたの?』
「ロッカーの中よ。直ぐに着替えられるように一番上に置いたわ」
クロちゃんからロッカーの場所を教えてもらう。彼女のロッカーは奥の窓際だった。
『ねぇ、クロちゃん?』
クロちゃんに声をかけられると、彼女は私を睨んでくる。
うう、調子に乗っちゃった罰かな? 私の質問は彼女の機嫌を損ねる内容だと思われているみたい。
『ごめん! もうふざけたりしないから! だから私を抱っこした状態で窓を開けて!』
泣き付くように懇願すると、クロちゃんは小さく息を吐いて私を抱っこしてくれた。
そして窓に近付き、扉を開けるが、中々開かない。
「ここの窓、立て付けが悪くて、中々開けられないのよね。ちょっと、下ろすわね」
一度降ろされ、クロちゃんは両手を使って窓を開ける。すると、窓はすんなりと横にスライドした。
『ここの窓、開けるのにコツがいるの?』
「そうね。持ち上げるようにしながらスライドさせないといけないから、更衣室を利用している女子生徒以外は知らないコツかもしれないわ」
『なるほど、そんな仕掛けになっていたのか』
ポツリと言葉を漏らす中、私はクロちゃんに抱き抱えられる。
女子更衣室があるのは3階、そして窓は建て付けが悪い。外部の犯行の可能性は低いね。
あれ? あれは何かな?
窓の桟の部分に引っ掻き傷のようなものがある? しかも新しい。これって何かの手掛かりになるかな?
窓から外の風景を見ていると、1羽のカラスがこちらに向かって飛んで来るのが見えた。
「あのカラス、また来たの?」
カラスの存在を認めたクロちゃんが、慌てて窓を閉める。すると、窓越しにカラスが接近するが、直ぐに上方へと飛んで行った。
「本当に迷惑なカラスね」
『クロちゃんはさっき、また来たって言っていたのだけど?』
「あ、うん。どうやら屋上にカラスの巣があるらしくって、巣の材料作りになりそうなものを探し回っているらしいのよ。だから、基本的にはこの窓は開けないようになっているわ」
なるほど、迷惑なカラスも居たものだな。
『これが最後の質問になるのだけど、クロちゃんが着替え終わったあと、他にも着替えている人は居た?』
「うん、居たよ」
『その人ってどんな人か分かる?』
クロちゃんから二つ名を教えてもらったけれど、全然知らない人だった。私が知らないので、取り敢えずモブ子と名付けよう。モブ子の特徴を教えてもらい、今度はその人に声をかけに行った。
モブ子からも情報を得ることができた。どうやら空気の入れ替えの際に、あのカラスが入ってきたらしい。そして女子更衣室内はパニックになっていたと言う。
さらに彼女は小石を集めると言う趣味があるらしい。なので、カラスに向けて石を投げたとか。
カラスによるパニック事件、そして窓の桟の部分にあった引っ掻き傷。そしてロッカーの中に入っていたはずのクロちゃんのブラジャーが帝王の鞄の中に転移していた。
『全てが繋がった! この事件の犯人が分かったよ!』
私は急いで関係者たちを集めた。
招集に応えてくれて、この場には帝王にクロちゃん、愛馬先生に大気釈迦流、周滝音と大和鮮赤が来ていた。
『お集まり皆さん。お待たせしました。真犯人が分かりましたよ』
「ハルウララ、本当に真犯人を見つけたんだな! いったい誰なんだ! 俺に冤罪をかけたやつは!」
帝王が先走り、声を荒げる。冤罪をかけられて気持ちが早まるのは分かるけれど、もう少し落ち着いてほしいよ。
『では、言いましょう。帝王に罪を擦りつけた犯人は、この中に居る!』
帝王の冤罪を成立させるために、シャーロックウララとなった私は、早速聞き込みを始めた。
『帝王、まずは君の行動を教えて貰っても良い?』
「さっき、大気釈迦流に説明した時に聞いていただろう?」
『そうだけど、確認のために、もう一度教えてよ』
そう、決して忘れた訳ではない。これはあくまでも確認するためなの。忘れた訳じゃないんだからね! 重要なことだから2回言うよ!
「女子たちが着替えた後、俺はここで体操服に着替えた。そして授業が終わって疲労困憊だった俺は、しばらく休憩した後に教室に戻ったよ。教室に戻った時は誰も居なかったな。俺1人で着替えていると、遅れて他の生徒たちも教室に入って来た。そして鞄の中を確認した時には、クロの下着が入れられてあったんだ」
『なるほど、つまり犯行時刻はホームルームが終わった後から、帝王が教室に戻ってくるまでの約1時間か。ありがとう。参考になったよ』
さて、今ので犯行時刻を割り出すことができた。次は被害者のことについて調べてみるとしよう。
『あ、クロちゃん。私とお話ししようよ!』
「ハルウララ? 何を聞きたいの?」
『クロちゃんのブラジャーについ……グエッ』
盗まれた下着のことを聞こうとしたら、いきなりクロちゃんに口を押さえつけられた。
力を入れ過ぎているようで、ちょっと苦しい。
『ク、クロちゃん。く、苦しい、ギブ、ギブ』
「あ、ごめんなさい」
降参であることを告げると、ようやく彼女は掴んでいた手を離してくれた。
あ、危なかった。危うく2度目の死を迎えるところだったよ。
「ごめんね。でも、デリケートな話題を世間話感覚で話すハルウララが悪いのだからね」
『ごめんね。それじゃ、場所を移動しようか。女子更衣室に行きたいから、連れて行ってよ』
「はい、はい。分かった」
クロちゃんに抱っこされながら、更衣室へと向かって行った。更衣室の前に来ると扉を開けてもらい、中に入る。
『ここまで連れて来てもらってありがとう』
彼女に礼を言いつつ、飛び降りると辺りを見渡す。
女子更衣室内は至って普通だ。着替え用のロッカーが置かれているだけ。
『あ、そうだ! 重要なことだから聞きたいのだけど?』
「今度は何を聞きたいの? なんだか嫌な予感がするのだけど?」
『クロちゃんって、今ノーブラ?』
「着けているわよ! 体育の授業中着けていた物をそのまま! 盗まれたのは着替え用に用意していたやつ!」
クロちゃんは顔を赤くしながら声を荒げた。
なるほど、盗まれたのは着替え用のブラジャーだった訳か。
『そのブラジャーは、どんな風に収納していたの?』
「ロッカーの中よ。直ぐに着替えられるように一番上に置いたわ」
クロちゃんからロッカーの場所を教えてもらう。彼女のロッカーは奥の窓際だった。
『ねぇ、クロちゃん?』
クロちゃんに声をかけられると、彼女は私を睨んでくる。
うう、調子に乗っちゃった罰かな? 私の質問は彼女の機嫌を損ねる内容だと思われているみたい。
『ごめん! もうふざけたりしないから! だから私を抱っこした状態で窓を開けて!』
泣き付くように懇願すると、クロちゃんは小さく息を吐いて私を抱っこしてくれた。
そして窓に近付き、扉を開けるが、中々開かない。
「ここの窓、立て付けが悪くて、中々開けられないのよね。ちょっと、下ろすわね」
一度降ろされ、クロちゃんは両手を使って窓を開ける。すると、窓はすんなりと横にスライドした。
『ここの窓、開けるのにコツがいるの?』
「そうね。持ち上げるようにしながらスライドさせないといけないから、更衣室を利用している女子生徒以外は知らないコツかもしれないわ」
『なるほど、そんな仕掛けになっていたのか』
ポツリと言葉を漏らす中、私はクロちゃんに抱き抱えられる。
女子更衣室があるのは3階、そして窓は建て付けが悪い。外部の犯行の可能性は低いね。
あれ? あれは何かな?
窓の桟の部分に引っ掻き傷のようなものがある? しかも新しい。これって何かの手掛かりになるかな?
窓から外の風景を見ていると、1羽のカラスがこちらに向かって飛んで来るのが見えた。
「あのカラス、また来たの?」
カラスの存在を認めたクロちゃんが、慌てて窓を閉める。すると、窓越しにカラスが接近するが、直ぐに上方へと飛んで行った。
「本当に迷惑なカラスね」
『クロちゃんはさっき、また来たって言っていたのだけど?』
「あ、うん。どうやら屋上にカラスの巣があるらしくって、巣の材料作りになりそうなものを探し回っているらしいのよ。だから、基本的にはこの窓は開けないようになっているわ」
なるほど、迷惑なカラスも居たものだな。
『これが最後の質問になるのだけど、クロちゃんが着替え終わったあと、他にも着替えている人は居た?』
「うん、居たよ」
『その人ってどんな人か分かる?』
クロちゃんから二つ名を教えてもらったけれど、全然知らない人だった。私が知らないので、取り敢えずモブ子と名付けよう。モブ子の特徴を教えてもらい、今度はその人に声をかけに行った。
モブ子からも情報を得ることができた。どうやら空気の入れ替えの際に、あのカラスが入ってきたらしい。そして女子更衣室内はパニックになっていたと言う。
さらに彼女は小石を集めると言う趣味があるらしい。なので、カラスに向けて石を投げたとか。
カラスによるパニック事件、そして窓の桟の部分にあった引っ掻き傷。そしてロッカーの中に入っていたはずのクロちゃんのブラジャーが帝王の鞄の中に転移していた。
『全てが繋がった! この事件の犯人が分かったよ!』
私は急いで関係者たちを集めた。
招集に応えてくれて、この場には帝王にクロちゃん、愛馬先生に大気釈迦流、周滝音と大和鮮赤が来ていた。
『お集まり皆さん。お待たせしました。真犯人が分かりましたよ』
「ハルウララ、本当に真犯人を見つけたんだな! いったい誰なんだ! 俺に冤罪をかけたやつは!」
帝王が先走り、声を荒げる。冤罪をかけられて気持ちが早まるのは分かるけれど、もう少し落ち着いてほしいよ。
『では、言いましょう。帝王に罪を擦りつけた犯人は、この中に居る!』
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