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第四章
第十三話 なぞなぞ博士の謎かけ
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なぞなぞ博士から、宣戦布告? のようなものを受けた俺は、その後軽く彼女と話しをすると、なぞなぞ博士は2年生であることが分かった。
「なぞなぞ博士は先輩だったのですか」
「そうナゾ? なぞなぞと謎解きを心から愛する謎の先輩ナゾ? どんなお題を出されても、直ぐに答えて上げるナゾ? だから敬うナゾ?」
お題を直ぐに答えられるから敬うように言うが、そんなもので敬うのもどうかと思う。それに彼女はどちらかと言うと童顔であり、身長も小さいせいで同級生のように思えてしまう。下手をすれば、年下と言っても通用するだろう。
「その目、ワタシを年下のようにしか見えないと思っているナゾね」
「いや……そんなことは……思っていないですよ」
「ワタシの女としての勘が囁いているナゾ? こいつはワタシに、小動物を愛でるような視線を送っているナゾ?と」
流石にそのような視線を送ってはいない。寧ろ、なぜかこの場にいる女性陣からの視線が突き刺さって、居心地の悪ささえ感じている。
「良いナゾ? ワタシは2年生ナゾ? そして君は1年生ナゾ? だから、先輩として敬うようにナゾ? お、今ので整いましたナゾ?」
「整ったって何が?」
彼女の言葉の意味が分からず、訊ねた瞬間になぞなぞ博士は口を開く。
「2年生と掛けまして、引退馬と解きます」
いきなり謎かけを始めたなぞなぞ博士が、俺に視線を向けた。合いの手を入れろってことだろうか。
「その心は?」
「どちらもその後に『コウハイ』ができるでしょう」
彼女の言葉に一瞬だけ考えると、何が言いたいのか理解した。
なるほど、後輩と交配をかけたのか。意外と上手いな。
『面白い! 座布団1枚! えーと、座布団はどこにあるの?』
「いや、そんなもの、この部屋にある訳がないだろう」
俺の肩から飛び降りたハルウララが辺りを見渡すが、そんな彼女を見て小さく息を吐く。
『えー、座布団ないの? それじゃ10枚集めてプレゼントがもらえないじゃない』
「いや、10枚集めても、誰からもらうんだよ。番組じゃないんだぞ」
『まぁ、良いや。それじゃ、今度は私のターンだ! 帝王と掛けまして、帝王の無敗伝説への過程と解きます』
自分も遊びたくなったのか、ハルウララはいきなり謎かけを始める。しかし、意外にもまともそうなことを言っているので、正直驚いた。
珍しく、まともなことを言うな。せっかくだし、付き合ってやるか。
「その心は?」
『どちらもドウテイでしょう』
俺の合いの手を受けて、ハルウララが続きを語った。しかしその瞬間、この部屋が凍り付いたように感じた。
『あれ? どうしてみんな何も言わないの? 私、何か間違ったことを言った? 謎かけになっていなかった?』
沈黙状態となり、誰も反応できていないでいると、ハルウララが声をかけてくる。
ハルウララのことだ。いつものようにボケたんだよな。いや、分かるよ。童貞と道程をかけたんだよな。お前の言いたいことは伝わっている。でもよ、どうしてそんなものをチョイスする?
『あれ? 何を言いたいのか分からなかった? 帝王の無敗伝説の過程である道程と、帝王の――』
「「「「「説明しなくて良い!」」」」」
この場に居る全員が同じタイミングで叫び、彼女の言葉を制止させる。
「だ、大丈夫だよ。帝王ならいずれ卒業できるから、相手が誰かは分からないけれど」
「そうよ、東海帝王なら、いずれ捨てられると思うわ。相手が誰なのかは分からないけれど」
「奇跡の名馬さんなら大丈夫ですぅ。その内できますよぉ。遅くともぉ、魔法使いになるようなことはないと思いますぅ。確かにぃ、相手が誰かは分からないですがぁ」
クロと大和鮮赤、そして明日屯麻茶无が気を聞かせて慰めの言葉を言ってくれる。だが、正直に言うと、それは俺にとって傷口に塩を塗る行為に等しかった。
そもそも、俺はまだ高校生になったばかりだ。経験がなくて当たり前。
『でも、早い人は中学生で経験しているって言うよ』
ハルウララの何気ない一言が、俺にトドメを刺した。
なぞなぞ博士のラブレター騒動から数日後、桜花賞出走騎手に選ばれたメンバーが発表された。
俺はハルウララと一緒に電光掲示板のある廊下に向かうと、そこには多くの生徒が集まっており、そのせいで電光掲示板を覗くことができない。
「これだと、内容が見えないな」
『ここは私に任せて! 帝王の頭の上なら、見えると思うから』
俺の肩に乗せていた後ろ足を上げて、ハルウララが頭によじ登る。
『見えた。見えたけれど、何で! 帝王の名前が載っていない! 私、桜花賞にも出てみたかった!』
頭の上で文句を言うハルウララであったが、内心俺はホッとした。ハルウララでは、桜花賞で勝つのは難しいと思っていたから。
『あ、でも。大和鮮赤の名前は載っている! 良いなぁ、良いなぁ』
どうやら、大和鮮赤はメンバーに選ばれたみたいだな。まぁ、それは必然だったのかもしれない。ダイワスカーレットは第67回の桜花賞で優勝し、桜の女王の称号を得た馬だからな。みんな、霊馬として再び桜の女王へ返り咲くのを見たいのだろう。
「俺たちの知り合いの名前は他にあるか?」
『うーん、そもそも、魚華の二つ名は知らないよ。でも、学園のアイドルの名前は載っていないね。気になるのなら、彼女に聞きに行けば?』
気になるのなら、魚華に直接訊ねろとハルウララは言う。確かにそっちの方が早いだろう。まぁ、俺は出走する訳でもないし、今度出会った時にでも聞いてみるとするか。
電光掲示板を見ていると、軽くパーマを当てられ、緩くウェーブがかけられている赤いロングヘアーの女の子がこちらに向かって歩いて来た。
「可憐なる貴族、お前の名前が載っていたぞ」
こちらに向かって歩いて居たのは、大和鮮赤だ。周辺には他の生徒が居るので、二つ名の方で呼んでいる。
「そっか。あたしの名前が載っているのね。なら、2度目の桜の女王を目指さないと」
言葉では落ち着いている感じに見えたが、若干表情がにやけているようにも見えた。
気のせいかもしれないけれど、もしかしたら嬉しいのだろう。
「ねぇ、今日の放課後って時間ある?」
「あるけど?」
「そう。なら、付き合ってくれない。あなたに紹介したい人が居るのよ」
オマケコーナー
トラちゃんの突撃質問コーナー!
「はい、と言う訳で、今回のゲストはなぞなぞ博士です。それでは早速質問してみましょう。なぞなぞ博士のスリーサイズを教えてください」
「いきなり怒直球なものを聞いて来るナゾ? まぁ、いいナゾ? 上から、謎? 謎? 謎? だナゾ?」
「つまり内緒と言う訳ですか。なら、次の質問です。好きな異性のタイプは?」
「謎です」
「では、好きなものは?」
「なぞなぞと謎解きナゾ?」
「あ、それは答えてくれるのですね。では、最後に読者の皆様に一言お願いします」
「読者の感想により、馬のみ出演のナゾは、サブレギュラーとして昇格したナゾ? これからはナゾと一緒にワタシも活躍する機会が出て来るので、応援してほしいナゾ? よろしくナゾ?」
「なぞなぞ博士は先輩だったのですか」
「そうナゾ? なぞなぞと謎解きを心から愛する謎の先輩ナゾ? どんなお題を出されても、直ぐに答えて上げるナゾ? だから敬うナゾ?」
お題を直ぐに答えられるから敬うように言うが、そんなもので敬うのもどうかと思う。それに彼女はどちらかと言うと童顔であり、身長も小さいせいで同級生のように思えてしまう。下手をすれば、年下と言っても通用するだろう。
「その目、ワタシを年下のようにしか見えないと思っているナゾね」
「いや……そんなことは……思っていないですよ」
「ワタシの女としての勘が囁いているナゾ? こいつはワタシに、小動物を愛でるような視線を送っているナゾ?と」
流石にそのような視線を送ってはいない。寧ろ、なぜかこの場にいる女性陣からの視線が突き刺さって、居心地の悪ささえ感じている。
「良いナゾ? ワタシは2年生ナゾ? そして君は1年生ナゾ? だから、先輩として敬うようにナゾ? お、今ので整いましたナゾ?」
「整ったって何が?」
彼女の言葉の意味が分からず、訊ねた瞬間になぞなぞ博士は口を開く。
「2年生と掛けまして、引退馬と解きます」
いきなり謎かけを始めたなぞなぞ博士が、俺に視線を向けた。合いの手を入れろってことだろうか。
「その心は?」
「どちらもその後に『コウハイ』ができるでしょう」
彼女の言葉に一瞬だけ考えると、何が言いたいのか理解した。
なるほど、後輩と交配をかけたのか。意外と上手いな。
『面白い! 座布団1枚! えーと、座布団はどこにあるの?』
「いや、そんなもの、この部屋にある訳がないだろう」
俺の肩から飛び降りたハルウララが辺りを見渡すが、そんな彼女を見て小さく息を吐く。
『えー、座布団ないの? それじゃ10枚集めてプレゼントがもらえないじゃない』
「いや、10枚集めても、誰からもらうんだよ。番組じゃないんだぞ」
『まぁ、良いや。それじゃ、今度は私のターンだ! 帝王と掛けまして、帝王の無敗伝説への過程と解きます』
自分も遊びたくなったのか、ハルウララはいきなり謎かけを始める。しかし、意外にもまともそうなことを言っているので、正直驚いた。
珍しく、まともなことを言うな。せっかくだし、付き合ってやるか。
「その心は?」
『どちらもドウテイでしょう』
俺の合いの手を受けて、ハルウララが続きを語った。しかしその瞬間、この部屋が凍り付いたように感じた。
『あれ? どうしてみんな何も言わないの? 私、何か間違ったことを言った? 謎かけになっていなかった?』
沈黙状態となり、誰も反応できていないでいると、ハルウララが声をかけてくる。
ハルウララのことだ。いつものようにボケたんだよな。いや、分かるよ。童貞と道程をかけたんだよな。お前の言いたいことは伝わっている。でもよ、どうしてそんなものをチョイスする?
『あれ? 何を言いたいのか分からなかった? 帝王の無敗伝説の過程である道程と、帝王の――』
「「「「「説明しなくて良い!」」」」」
この場に居る全員が同じタイミングで叫び、彼女の言葉を制止させる。
「だ、大丈夫だよ。帝王ならいずれ卒業できるから、相手が誰かは分からないけれど」
「そうよ、東海帝王なら、いずれ捨てられると思うわ。相手が誰なのかは分からないけれど」
「奇跡の名馬さんなら大丈夫ですぅ。その内できますよぉ。遅くともぉ、魔法使いになるようなことはないと思いますぅ。確かにぃ、相手が誰かは分からないですがぁ」
クロと大和鮮赤、そして明日屯麻茶无が気を聞かせて慰めの言葉を言ってくれる。だが、正直に言うと、それは俺にとって傷口に塩を塗る行為に等しかった。
そもそも、俺はまだ高校生になったばかりだ。経験がなくて当たり前。
『でも、早い人は中学生で経験しているって言うよ』
ハルウララの何気ない一言が、俺にトドメを刺した。
なぞなぞ博士のラブレター騒動から数日後、桜花賞出走騎手に選ばれたメンバーが発表された。
俺はハルウララと一緒に電光掲示板のある廊下に向かうと、そこには多くの生徒が集まっており、そのせいで電光掲示板を覗くことができない。
「これだと、内容が見えないな」
『ここは私に任せて! 帝王の頭の上なら、見えると思うから』
俺の肩に乗せていた後ろ足を上げて、ハルウララが頭によじ登る。
『見えた。見えたけれど、何で! 帝王の名前が載っていない! 私、桜花賞にも出てみたかった!』
頭の上で文句を言うハルウララであったが、内心俺はホッとした。ハルウララでは、桜花賞で勝つのは難しいと思っていたから。
『あ、でも。大和鮮赤の名前は載っている! 良いなぁ、良いなぁ』
どうやら、大和鮮赤はメンバーに選ばれたみたいだな。まぁ、それは必然だったのかもしれない。ダイワスカーレットは第67回の桜花賞で優勝し、桜の女王の称号を得た馬だからな。みんな、霊馬として再び桜の女王へ返り咲くのを見たいのだろう。
「俺たちの知り合いの名前は他にあるか?」
『うーん、そもそも、魚華の二つ名は知らないよ。でも、学園のアイドルの名前は載っていないね。気になるのなら、彼女に聞きに行けば?』
気になるのなら、魚華に直接訊ねろとハルウララは言う。確かにそっちの方が早いだろう。まぁ、俺は出走する訳でもないし、今度出会った時にでも聞いてみるとするか。
電光掲示板を見ていると、軽くパーマを当てられ、緩くウェーブがかけられている赤いロングヘアーの女の子がこちらに向かって歩いて来た。
「可憐なる貴族、お前の名前が載っていたぞ」
こちらに向かって歩いて居たのは、大和鮮赤だ。周辺には他の生徒が居るので、二つ名の方で呼んでいる。
「そっか。あたしの名前が載っているのね。なら、2度目の桜の女王を目指さないと」
言葉では落ち着いている感じに見えたが、若干表情がにやけているようにも見えた。
気のせいかもしれないけれど、もしかしたら嬉しいのだろう。
「ねぇ、今日の放課後って時間ある?」
「あるけど?」
「そう。なら、付き合ってくれない。あなたに紹介したい人が居るのよ」
オマケコーナー
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「つまり内緒と言う訳ですか。なら、次の質問です。好きな異性のタイプは?」
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