追放騎手の霊馬召喚〜トウカイテイオーを召喚できずに勘当された俺は、伝説の負け馬と共に霊馬競馬界で成り上がる!

仁徳

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第四章

第七話 初夢特別、決着

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 最終直線に入ったその時、ライデンリーダーが名馬の伝説レジェンドオブアフェイマスホース11連勝の捲りザ・エンドオブアン・イレブンウイニングストリークを発動して追い付いてきた。

前座オープニングアウトサンキュ! お前たちがモタモタしていたモタるっていたお陰で俺は盛り上がってきたぜ!」

 やっぱり、最後の直線で追い付いてきやがったか。しかもさっきから音楽用語を所々混ぜてきているお陰で、なんて言っているのか分からない。

『ライデンリーダーの頭っておかしいよね。レース前から意味の分からない言葉を言って、何語なの? ちゃんと日本で喋ってくれないと意味が分からないのだけど、ライデンリーダー、通訳よろしく』

『いや、実は私もさっぱり分からないわ。おそらく、勝つのは俺たちだと言いたいのでしょうね』

「このままライデンリーダーの優勝で終わらせてやる! 俺には聞こえる! 観客席ホームストレッチにいる立ち見客オールスタンディングたちからの訴える声が! 俺たちと言う霊馬界のアーティストを叫ぶ声が!」

『いや、それって幻聴じゃない? まだ観客席ホームストレッチからの声は聞こえないよ。このレースの後、病院に行った方が良いと思う』

 ハルウララの言葉に、思わず苦笑いを浮かべてしまう。

 最終直線に入ったが、まだ観客席ホームストレッチからの歓声は聞こえて来ない。だが、それも間もなくすれば聞こえてくるだろう。

 次第にゴールへと近付き、観客席ホームストレッチから僅かに声が聞こえて来る。

『残り200メートル! ゴール板を先に駆け抜けるのはライデンリーダーか! それともハルウララか! はたまたコパノフウジンや他の馬たちか!』

『ゴールまでもう少しだ! 頑張るぞ!』

 疲労により、減速しかけていたハルウララの速度が再び上がり始める。

 どうやら、自動能力オートアビリティの【もう一踏ん張り】が発動したようだ。

 ゴール板まで残り僅か。ここで先ほど使い損ねた任意能力アービトラリーアビリティの【闘魂注入】を使わせてもらう。

「アビリティー発動! 【闘魂注入】」

 ハルウララの体に鞭を打ち、アビリティを発動する。

『何だか気配が入って来たよ! 絶対に負けられない! 負け馬根性を舐めるな!』

『ここでハルウララが僅かに前に出た! しかしその差はクビ! 差し返される可能性はまだあるぞ!』

「ライデンリーダー行け!」

「ハルウララ負けるな! 3連勝期待しているぞ!」

「コパノフウジンなら行ける! 優勝を掻っ攫え!」

 ゴール板までの距離が近付き、今度は観客たちの声援がはっきりと聞こえるようになった。

 みんなそれぞれの思いを胸に、応援してくれている。その期待に応えるためにも、負ける訳にはいかない。

『マイル戦だから負けて良い訳がない! 芝だろうが、ダートだろうが、今度こそハルウララに勝って見せる! 名馬の伝説レジェンドオブアフェイマスホース! 芝と砂の二刀流ア・ツー・ソードストリームオブグラスアンドダート

『ここでコパノフウジンが最後の追い上げを見せる! しかし、伸びない! 必殺技を使用しても、前を走る2頭には追いつけていない!』

『くそう。ここまでか。やっぱりお前は凄いよ。どうして生前まともに走らなかったのかが不思議なくらいだ。行け! 俺に連勝できるんだ! そのまま優勝しやがれ! ライデンリーダーに負けたら、テメーのケツに噛みついてやるからな!』

『コパノフウジンがウマハラしてきた! あそこまで言われたら、絶対に勝つしかないね!』

「ああ、あいつの想いに報いるためにも、お前を勝たせてやる」

『先頭は僅かにハルウララのまま、ライデンリーダーが追いかける! しかし差は縮まらないままだ! 残り100メートル!』

 残り100メートルを切ったか。油断は出来ないが、このままなら勝てる。

「くそう、どうして追いつけない! この粘りの強さは異常だ! ライデンリーダーはとても強いフォルティッシモ! 弱いピアノであるハルウララに負けるはずがない!」

 左斜め後に居る雷の頭目が言葉を吐き捨てる。

 ハルウララはバッドステータスを克服し、グッドステータスが追加された。それは高知競馬場の救世主だ。

 この能力は、最後の直線でおい比べ状態になると、根性に補正が入り、粘り強くなる。そしてこの能力は、観客の人数に比例してステータス補正が異なり、更に高知競馬場でのレースの場合、効果が更に上がる。

 俺やハルウララの連勝と言う実績が、生徒観客たちをこの会場へと呼び寄せているはず。なので、観客の人数はそれなりに多いはずだ。

 生前負け続けたハルウララが負けを更新する度に観客を増やしたように、今度は霊馬となって勝ち続けることで、観客を呼び寄せる。

『先頭はハルウララのまま、ライデンリーダーが追いかける! クビからアタマの差にまで縮めたが、更に伸びることができない! 追い越せない! 追い越せないままだ!』

『私は負けられない! 勝って、帝王が世界で一番の霊馬騎手であることを証明するんだ!』

『みんな私の追い込みに期待してくれている! 私は強い! そして凄い! 当時の実況者が褒めてくれた言葉の誇りにかけて、負ける訳にはいかないわ! 私はデビューしてから11連勝している強者よ! 霊馬となってからも、11連勝! 生前叶えられなかった12連勝記録を、霊馬となって達成してみせる!』

『『うおおおおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!』』

 2頭の馬の心の叫びとも言える雄叫びが俺たちに届く。相手はまだ諦めていない! 俺たちだって、負ける訳にはいかない!

「このレースに勝って、ハルウララに勝利を捧げる!」

『このレースに勝って、帝王に勝利を捧げるのは私だ!』

『ハルウララ! ライデンリーダー! 並ぶようにゴールイン! 3着はコパノフウジン4着ラッキートップ5着はオノゾミドオリと言う結果になりました!』

 ゴール板を駆け抜け、俺は掲示板に顔を向ける。1着と2着は写真判定のようで、写真と言う文字が点滅していた。

『写真判定……もし負けたらごめん。私が弱いからギリギリの戦いになっちゃった』

『いや、お前は良く頑張った。ダート専用のアビリティもない状態で、あのライデンリーダーと接戦したのだから』

 しばらく待っても、写真の文字は点滅したままだ。他の順位は確定しているが、1着と2着の決着は判定するのが際どいのだろう。

「そろそろ10分が経つか。この長さ、ダイワスカーレットとウオッカの判定が際どくて長引いた時と同じだな」

「ヒャヒャヒャ! このドキドキ感、良いねぇ! 舞台脇で本番を控えて緊張している時と同じだ。さて、優勝して観客たちから声援を受けるのはどっちか楽しみだぜ」

 本当に緊張しているのだろうか? そう思ってしまうほど、雷の頭目は結果を楽しんでいる。

 負ければ転入と言う俺とは違い、雷の頭目は別に負けてもペナルティと言うものは存在しない。だから余裕でいられるのだろう。

 それから数分後、掲示板に番号が表示される。1着に入ったのは8番、そして2着は5番、その差はハナと表示が確定する。

「おめでとう。良く頑張ったな」

 俺は相棒のハルウララに労いの言葉をかける。

『長い判定の結果、勝ったのはハルウララ! これで3連勝だ! そしてライデンリーダーはまたしても11連勝止まり!』

 実況担当の中山が結果を発表すると、観客席ホームストレッチから歓声が上がる。

 これで俺は4連勝、そしてハルウララは3連勝だ。どうにか首の皮一枚で繋がった今回のレースは、嬉しさよりも安堵の方が強かった。






掲示板の結果

1着8番
    >ハナ
2着5番
    >2
3着7番
    >1 
4着3番
    >クビ
5着1番






払い戻し名          払い戻し金
単勝             5280ポイント
馬連             4470P
馬単             19500P
三連単            85900P
三連複            2060P
ワイド5ー8         3020P
   5-7          380P
   7-8         3710P
複勝 8番          4224P
   5番           256P
   7番           384P

(100P購入での計算)
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