25 / 181
第三章
第二話 ハルウララの別側面
しおりを挟む
ハルウララのヌイグルミをバッグに詰め込んだまま、俺は男子寮から出た。
「あ、やっと来た! もう、遅いよ! 奇跡の名馬!」
寮の玄関から出ると、玄関先にクロが待っていた。
「悪い、悪い。ちょっと支度に手間取ってしまった。遅くなってすまない」
クロに近付き、彼女に謝罪の言葉を述べる。
『クロ、今日も可愛いな。俺のお嫁さんにしたいくらいだ』
「え!」
突如俺の鞄の中から、ハルウララが声を発する。
「このバカ、大人しくするように言ったじゃないか」
小声でハルウララに叱責の言葉を投げる。念のためにクロの方を見ると、彼女の顔は次第に赤くなりつつあった。
あ、これは勘違いして、感情的になった彼女から殴られるパターンだ。
咄嗟に判断した俺は彼女の拳を受け止める体勢を取る。しかしその瞬間、何を血迷ったのか、鞄の中からハルウララが飛び出した。
『クロちゃん引っかかった? 今のセリフは私だったんだよ』
「な、なな、何を言っているのよ! 帝王のバカ! お姉さんを揶揄わないで!」
『え? ぶっひゃああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!』
ハルウララが飛び出した瞬間に、クロが顔を赤くしながら拳を放つ。彼女の右ストレートがハルウララに直撃した瞬間、彼女は吹き飛ばされて後方に飛んで行く。
まぁ、自業自得だな。俺との約束を破って、自分がやりたいことをした罰が当たった。
『クロちゃん酷いよ! ちょっと揶揄っただけなのに! 暴力反対! そんなんじゃ、帝王に嫌われるよ!』
クロに殴られたハルウララは、ゆっくりと立ち上がると、俺の所に戻って来た。そして器用に俺の足を登ると、前足を頭の上に置き、後ろ足は肩に乗せた。
「え? ハルウララのヌイグルミが動いて言葉を喋っている?」
「あー、実はだな」
俺は昨日、丸善好学園長からハルウララのヌイグルミが送られてきたこと、そして翌日、ハルウララがヌイグルミに憑依していたことを話した。
「そんなことがあったんだ。でも、勝手なことをしたらダメだよ、ハルウララ」
『うん。もう揶揄ったりしない。痛くなくとも、殴られるのは嫌だから』
どうやら彼女の一撃が効いたようだ。ハルウララは大人しくしてくれることを約束してくれた。
「そうだ。クロに聞きたかったことがあるんだった」
「うん? 何を聞きたいの?」
「実は、ハルウララのステータスに変化が起きてだな。バッドステータスが消えて、グッドステータスと言うものが追加されたんだ」
胸ポケットからタブレットを取り出し、アプリを起動させて画面をクロに見せる。
「あ、本当だ! 良かったじゃない。馬によっては無くならないバッドステータスもあるけれど、バッドステータスを克服した馬は、グッドステータスが追加されるんだよ」
「へぇー、そうだったのか。それで、ハルウララのグッドステータスに高知競馬場の救世主となっているのだけど、ハルウララが救世主ってどう言うことだ?」
疑問に思っていたことをクロに訊ねる。すると彼女は嫌そうな顔をせずに語ってくれた。
「ハルウララは、どちらかと言うと負け馬の印象が強いもんね。実は、ハルウララは高知競馬場の英雄でもあるのよ。その昔、高知競馬場は寂れていて、お客も少なかった。赤字経営が続いて、倒産寸前だったの。でも、その競馬場にはハルウララがいた。彼女の負けっぷりが話題になると、ハルウララを見に、多くの客が高知競馬場に押し寄せた。その結果、ハルウララのラストランでは、観客席が満員となり、高知競馬場は黒字経営に返り咲くことができたのよ」
クロの説明を聞き、どうしてハルウララが救世主とも呼ばれるのかが理解できた。
なるほど、そんなことがあったのか。
「ハルウララは高知競馬場の運営者や競馬場で働く人々の仕事を守り、その家族を路頭に迷うことを阻止した。赤字から黒字にさせることを可能にした馬は、競馬界の歴史の中では、ハルウララだけなの。だから、ハルウララは救世主と言う側面も持っているの」
『どうだ! 私は凄いんだぞ! だから今度からは私を敬ってよ!』
「いや、どうしてそうなるんだよ」
偉そうにドヤっとした口調で言葉を放つハルウララに対して、苦笑いを浮かべる。
ハルウララが英雄や救世主となったのも、負け続けた馬生があってこそだ。もし、彼女が平凡な馬だったのであれば、高知競馬場は途中から競馬界の歴史からは消えていただろう。そう考えると、やっぱりハルウララはある意味凄い馬だったんだなと思い知らされる。
「なぁ、良い加減に降りてくれないか?」
いつまでも頭の上から降りないハルウララに、退いてくれるように頼む。
「嫌! 私、帝王の頭の上が気に入った!」
「いや、重いから退いてくれ」
早く退いてほしいと思った俺は、頭の上に手を持って行くと、ハルウララを掴んでバッグの中に押し込む。だが、すぐに彼女が飛び出すと、再び先ほどいたポジションに戻った。
「うふふ、帝王とハルウララ、なんやかんやで良いコンビよね。私もいつかは、帝王たちみたいに愛馬のヌイグルミとお散歩してみたい」
「だったらすれば良いんじゃないのか? 丸善好学園長に頼めば、作ってもらえると思うけど?」
「うーん、それはまだ遠慮しておくよ。私の愛馬は凄く有名な馬だから、ヌイグルミを持っていたら真名がバレちゃうもの」
確かにそれは一理あるかもしれないな。彼女の真名は未だに分かってはいないが、ヌイグルミを持って居れば、勘の良い人は察してしまうかもしれない。
俺の場合は真名とかはともかくとして、ハルウララの騎手としては知られているから、別に問題はないってだけだ。
そんなことを考えていると、予鈴のチャイムが鳴り響く。
「ウソ! もうそんな時間なの!」
「ハルウララのせいで遅刻しちゃうじゃないか!」
『何で私のせいになるの! 歩きもしないで話に没頭していた2人が悪いじゃない』
「とにかく急ごうよ! 間に合わなくなってしまうわ」
クロが俺の手を握り、校舎へと駆けて行く。
いつの日か、彼女の愛馬を知る日が来るのだろうか? その時は、競い合う敵としてではなく、普通に紹介してもらう形で知りたいものだ。
「あ、やっと来た! もう、遅いよ! 奇跡の名馬!」
寮の玄関から出ると、玄関先にクロが待っていた。
「悪い、悪い。ちょっと支度に手間取ってしまった。遅くなってすまない」
クロに近付き、彼女に謝罪の言葉を述べる。
『クロ、今日も可愛いな。俺のお嫁さんにしたいくらいだ』
「え!」
突如俺の鞄の中から、ハルウララが声を発する。
「このバカ、大人しくするように言ったじゃないか」
小声でハルウララに叱責の言葉を投げる。念のためにクロの方を見ると、彼女の顔は次第に赤くなりつつあった。
あ、これは勘違いして、感情的になった彼女から殴られるパターンだ。
咄嗟に判断した俺は彼女の拳を受け止める体勢を取る。しかしその瞬間、何を血迷ったのか、鞄の中からハルウララが飛び出した。
『クロちゃん引っかかった? 今のセリフは私だったんだよ』
「な、なな、何を言っているのよ! 帝王のバカ! お姉さんを揶揄わないで!」
『え? ぶっひゃああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!』
ハルウララが飛び出した瞬間に、クロが顔を赤くしながら拳を放つ。彼女の右ストレートがハルウララに直撃した瞬間、彼女は吹き飛ばされて後方に飛んで行く。
まぁ、自業自得だな。俺との約束を破って、自分がやりたいことをした罰が当たった。
『クロちゃん酷いよ! ちょっと揶揄っただけなのに! 暴力反対! そんなんじゃ、帝王に嫌われるよ!』
クロに殴られたハルウララは、ゆっくりと立ち上がると、俺の所に戻って来た。そして器用に俺の足を登ると、前足を頭の上に置き、後ろ足は肩に乗せた。
「え? ハルウララのヌイグルミが動いて言葉を喋っている?」
「あー、実はだな」
俺は昨日、丸善好学園長からハルウララのヌイグルミが送られてきたこと、そして翌日、ハルウララがヌイグルミに憑依していたことを話した。
「そんなことがあったんだ。でも、勝手なことをしたらダメだよ、ハルウララ」
『うん。もう揶揄ったりしない。痛くなくとも、殴られるのは嫌だから』
どうやら彼女の一撃が効いたようだ。ハルウララは大人しくしてくれることを約束してくれた。
「そうだ。クロに聞きたかったことがあるんだった」
「うん? 何を聞きたいの?」
「実は、ハルウララのステータスに変化が起きてだな。バッドステータスが消えて、グッドステータスと言うものが追加されたんだ」
胸ポケットからタブレットを取り出し、アプリを起動させて画面をクロに見せる。
「あ、本当だ! 良かったじゃない。馬によっては無くならないバッドステータスもあるけれど、バッドステータスを克服した馬は、グッドステータスが追加されるんだよ」
「へぇー、そうだったのか。それで、ハルウララのグッドステータスに高知競馬場の救世主となっているのだけど、ハルウララが救世主ってどう言うことだ?」
疑問に思っていたことをクロに訊ねる。すると彼女は嫌そうな顔をせずに語ってくれた。
「ハルウララは、どちらかと言うと負け馬の印象が強いもんね。実は、ハルウララは高知競馬場の英雄でもあるのよ。その昔、高知競馬場は寂れていて、お客も少なかった。赤字経営が続いて、倒産寸前だったの。でも、その競馬場にはハルウララがいた。彼女の負けっぷりが話題になると、ハルウララを見に、多くの客が高知競馬場に押し寄せた。その結果、ハルウララのラストランでは、観客席が満員となり、高知競馬場は黒字経営に返り咲くことができたのよ」
クロの説明を聞き、どうしてハルウララが救世主とも呼ばれるのかが理解できた。
なるほど、そんなことがあったのか。
「ハルウララは高知競馬場の運営者や競馬場で働く人々の仕事を守り、その家族を路頭に迷うことを阻止した。赤字から黒字にさせることを可能にした馬は、競馬界の歴史の中では、ハルウララだけなの。だから、ハルウララは救世主と言う側面も持っているの」
『どうだ! 私は凄いんだぞ! だから今度からは私を敬ってよ!』
「いや、どうしてそうなるんだよ」
偉そうにドヤっとした口調で言葉を放つハルウララに対して、苦笑いを浮かべる。
ハルウララが英雄や救世主となったのも、負け続けた馬生があってこそだ。もし、彼女が平凡な馬だったのであれば、高知競馬場は途中から競馬界の歴史からは消えていただろう。そう考えると、やっぱりハルウララはある意味凄い馬だったんだなと思い知らされる。
「なぁ、良い加減に降りてくれないか?」
いつまでも頭の上から降りないハルウララに、退いてくれるように頼む。
「嫌! 私、帝王の頭の上が気に入った!」
「いや、重いから退いてくれ」
早く退いてほしいと思った俺は、頭の上に手を持って行くと、ハルウララを掴んでバッグの中に押し込む。だが、すぐに彼女が飛び出すと、再び先ほどいたポジションに戻った。
「うふふ、帝王とハルウララ、なんやかんやで良いコンビよね。私もいつかは、帝王たちみたいに愛馬のヌイグルミとお散歩してみたい」
「だったらすれば良いんじゃないのか? 丸善好学園長に頼めば、作ってもらえると思うけど?」
「うーん、それはまだ遠慮しておくよ。私の愛馬は凄く有名な馬だから、ヌイグルミを持っていたら真名がバレちゃうもの」
確かにそれは一理あるかもしれないな。彼女の真名は未だに分かってはいないが、ヌイグルミを持って居れば、勘の良い人は察してしまうかもしれない。
俺の場合は真名とかはともかくとして、ハルウララの騎手としては知られているから、別に問題はないってだけだ。
そんなことを考えていると、予鈴のチャイムが鳴り響く。
「ウソ! もうそんな時間なの!」
「ハルウララのせいで遅刻しちゃうじゃないか!」
『何で私のせいになるの! 歩きもしないで話に没頭していた2人が悪いじゃない』
「とにかく急ごうよ! 間に合わなくなってしまうわ」
クロが俺の手を握り、校舎へと駆けて行く。
いつの日か、彼女の愛馬を知る日が来るのだろうか? その時は、競い合う敵としてではなく、普通に紹介してもらう形で知りたいものだ。
0
お気に入りに追加
10
あなたにおすすめの小説

薬漬けレーサーの異世界学園生活〜無能被験体として捨てられたが、神族に拾われたことで、ダークヒーローとしてナンバーワン走者に君臨します〜
仁徳
ファンタジー
少年はとある研究室で実験動物にされていた。毎日薬漬けの日々を送っていたある日、薬を投与し続けても、魔法もユニークスキルも発動できない落ちこぼれの烙印を押され、魔の森に捨てられる。
森の中で魔物が現れ、少年は死を覚悟したその時、1人の女性に助けられた。
その後、女性により隠された力を引き出された少年は、シャカールと名付けられ、魔走学園の唯一の人間魔競走者として生活をすることになる。
これは、薬漬けだった主人公が、走者として成り上がり、ざまぁやスローライフをしながら有名になって、世界最強になって行く物語
今ここに、新しい異世界レースものが開幕する!スピード感のあるレースに刮目せよ!
競馬やレース、ウマ娘などが好きな方は、絶対に楽しめる内容になっているかと思います。レース系に興味がない方でも、異世界なので、ファンタジー要素のあるレースになっていますので、楽しめる内容になっています。
まずは1話だけでも良いので試し読みをしていただけると幸いです。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

ブラックギルドマスターへ、社畜以下の道具として扱ってくれてあざーす!お陰で転職した俺は初日にSランクハンターに成り上がりました!
仁徳
ファンタジー
あらすじ
リュシアン・プライムはブラックハンターギルドの一員だった。
彼はギルドマスターやギルド仲間から、常人ではこなせない量の依頼を押し付けられていたが、夜遅くまで働くことで全ての依頼を一日で終わらせていた。
ある日、リュシアンは仲間の罠に嵌められ、依頼を終わらせることができなかった。その一度の失敗をきっかけに、ギルドマスターから無能ハンターの烙印を押され、クビになる。
途方に暮れていると、モンスターに襲われている女性を彼は見つけてしまう。
ハンターとして襲われている人を見過ごせないリュシアンは、モンスターから女性を守った。
彼は助けた女性が、隣町にあるハンターギルドのギルドマスターであることを知る。
リュシアンの才能に目をつけたギルドマスターは、彼をスカウトした。
一方ブラックギルドでは、リュシアンがいないことで依頼達成の効率が悪くなり、依頼は溜まっていく一方だった。ついにブラックギルドは町の住民たちからのクレームなどが殺到して町民たちから見放されることになる。
そんな彼らに反してリュシアンは新しい職場、新しい仲間と出会い、ブッラックギルドの経験を活かして最速でギルドランキング一位を獲得し、ギルドマスターや町の住民たちから一目置かれるようになった。
これはブラックな環境で働いていた主人公が一人の女性を助けたことがきっかけで人生が一変し、ホワイトなギルド環境で最強、無双、ときどきスローライフをしていく物語!

Sランク昇進を記念して追放された俺は、追放サイドの令嬢を助けたことがきっかけで、彼女が押しかけ女房のようになって困る!
仁徳
ファンタジー
シロウ・オルダーは、Sランク昇進をきっかけに赤いバラという冒険者チームから『スキル非所持の無能』とを侮蔑され、パーティーから追放される。
しかし彼は、異世界の知識を利用して新な魔法を生み出すスキル【魔学者】を使用できるが、彼はそのスキルを隠し、無能を演じていただけだった。
そうとは知らずに、彼を追放した赤いバラは、今までシロウのサポートのお陰で強くなっていたことを知らずに、ダンジョンに挑む。だが、初めての敗北を経験したり、その後借金を背負ったり地位と名声を失っていく。
一方自由になったシロウは、新な町での冒険者活動で活躍し、一目置かれる存在となりながら、追放したマリーを助けたことで惚れられてしまう。手料理を振る舞ったり、背中を流したり、それはまるで押しかけ女房だった!
これは、チート能力を手に入れてしまったことで、無能を演じたシロウがパーティーを追放され、その後ソロとして活躍して無双すると、他のパーティーから追放されたエルフや魔族といった様々な追放少女が集まり、いつの間にかハーレムパーティーを結成している物語!

俺が異世界帰りだと会社の後輩にバレた後の話
猫野 ジム
ファンタジー
会社員(25歳・男)は異世界帰り。現代に帰って来ても魔法が使えるままだった。
バレないようにこっそり使っていたけど、後輩の女性社員にバレてしまった。なぜなら彼女も異世界から帰って来ていて、魔法が使われたことを察知できるから。
『異世界帰り』という共通点があることが分かった二人は後輩からの誘いで仕事終わりに食事をすることに。職場以外で会うのは初めてだった。果たしてどうなるのか?
※ダンジョンやバトルは無く、現代ラブコメに少しだけファンタジー要素が入った作品です
※カクヨム・小説家になろうでも公開しています
追放された技術士《エンジニア》は破壊の天才です~仲間の武器は『直して』超強化! 敵の武器は『壊す』けどいいよね?~
いちまる
ファンタジー
旧題:追放されたエンジニアは解体の天才です~人型最強兵器と俺の技術でダンジョン無双~
世界中に無数の地下迷宮『ダンジョン』が出現し、数十年の月日が流れた。
多くの冒険者や戦士、魔法使いは探索者へと職を変え、鋼鉄の体を持つ怪物『魔獣(メタリオ)』ひしめく迷宮へと挑んでいた。
探索者愛用の武器を造る技術士(エンジニア)のクリスは、所属しているパーティー『高貴なる剣』と、貴族出身の探索者であるイザベラ達から無能扱いされ、ダンジョンの奥底で殺されかける。
運よく一命をとりとめたクリスだが、洞穴の奥で謎の少女型の兵器、カムナを発見する。
並外れた技術力で彼女を修理したクリスは、彼を主人と認めた彼女と共にダンジョンを脱出する。
そして離れ離れになった姉を探す為、カムナの追い求める『アメノヌボコ』を探す為、姉の知人にして元女騎士のフレイヤの協力を得て、自ら結成したパーティーと再び未知の世界へと挑むのだった。
その過程で、彼は自ら封印した『解体術』を使う決意を固める。
誰かの笑顔の為に「直し」、誰かを守る為に「壊す」。
ひと癖ある美少女に囲まれたクリスの新たな技術士人生の幕が今、上がるのであった。
一方、クリスを追放した『高貴なる剣』は、今まで一同を支えていた彼の力が常軌を逸したものだと気づく。
彼女達は自称Aランク探索者から一転、破滅への道を転げ落ちてゆくのであった。
●一話~百二話…クリス・オーダー結成編(ざまぁ多め)
●百三話~百六十七話…仲間の過去編(シリアス中心)
●百六十七話~現在…スローライフ編(のんびりドタバタ)
※書籍版とWEB版では一部内容が異なります。ご了承ください。
役立たずと言われダンジョンで殺されかけたが、実は最強で万能スキルでした !
本条蒼依
ファンタジー
地球とは違う異世界シンアースでの物語。
主人公マルクは神聖の儀で何にも反応しないスキルを貰い、絶望の淵へと叩き込まれる。
その役に立たないスキルで冒険者になるが、役立たずと言われダンジョンで殺されかけるが、そのスキルは唯一無二の万能スキルだった。
そのスキルで成り上がり、ダンジョンで裏切った人間は落ちぶれざまあ展開。
主人公マルクは、そのスキルで色んなことを解決し幸せになる。
ハーレム要素はしばらくありません。

調子に乗りすぎて処刑されてしまった悪役貴族のやり直し自制生活 〜ただし自制できるとは言っていない〜
EAT
ファンタジー
「どうしてこうなった?」
優れた血統、高貴な家柄、天賦の才能────生まれときから勝ち組の人生により調子に乗りまくっていた侯爵家嫡男クレイム・ブラッドレイは殺された。
傍から見ればそれは当然の報いであり、殺されて当然な悪逆非道の限りを彼は尽くしてきた。しかし、彼はなぜ自分が殺されなければならないのか理解できなかった。そして、死ぬ間際にてその答えにたどり着く。簡単な話だ………信頼し、友と思っていた人間に騙されていたのである。
そうして誰もにも助けてもらえずに彼は一生を終えた。意識が薄れゆく最中でクレイムは思う。「願うことならば今度の人生は平穏に過ごしたい」と「決して調子に乗らず、謙虚に慎ましく穏やかな自制生活を送ろう」と。
次に目が覚めればまた新しい人生が始まると思っていたクレイムであったが、目覚めてみればそれは10年前の少年時代であった。
最初はどういうことか理解が追いつかなかったが、また同じ未来を繰り返すのかと絶望さえしたが、同時にそれはクレイムにとって悪い話ではなかった。「同じ轍は踏まない。今度は全てを投げ出して平穏なスローライフを送るんだ!」と目標を定め、もう一度人生をやり直すことを決意する。
しかし、運命がそれを許さない。
一度目の人生では考えられないほどの苦難と試練が真人間へと更生したクレイムに次々と降りかかる。果たしてクレイムは本当にのんびり平穏なスローライフを遅れるのだろうか?
※他サイトにも掲載中
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる