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第二章
第八話 学園のアイドルの愛馬の考察
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魚華からヒントを貰えることになり、俺は彼女に注目した。
「良いか、一度しか言わないからちゃんと聞いておけよ」
聞き逃しは厳禁だと告げられ、耳をそばたてる。
「ウオッカと言えばダイワスカーレット、ダイワスカーレットと言えばウオッカと、この2頭は切っても切り離せられないライバル関係にあると言う話は以前しただろう? 実は、一部の人間たちの間では、当時の牝馬は2強ではなく3強と言われていたんだ。ウオッカ、ダイワスカーレットに続く第3の実力を持つ名馬、それが学園のアイドルの使う愛馬だ」
ウオッカとダイワスカーレットに続く第3の実力を持つ名馬か。同期の馬なんて数が多すぎる。このヒントだけでは、まだ絞り込めないな。
「ダイワスカーレット、そしてウオッカに続く第3の名馬ねぇ、何か居たかしら?」
「ちょっと待てくれ!」
ポツリと大和鮮赤が呟く。すると、魚華が声を上げて大和鮮赤に近付く。
「な、何よ。いきなり詰め寄って、びっくりするじゃないのよ」
「ダイワスカーレット、ウオッカじゃない! ウオッカ、ダイワスカーレットだ」
「順番なんてどうでも良いじゃない」
「良くない! ダイワスカーレットの次に名前を出されたら、まるでウオッカの方が格下のように聞こえるじゃないか。だから、ウオッカを先に言え!」
どうやら魚華は、ウオッカが2番目に言われるのが気に入らないみたいだ。だけど正直に言うと、俺も順番なんてものはどうでも良いと思う。その人の好きに言わせてくれって感じだ。
「何を言っているのよ。実際にウオッカは格下じゃない。ダイワスカーレットとのレースで、ウオッカは2勝3敗。あたしの愛馬に生前3回も負けているのよ。1勝勝ち越しているのだから、ダイワスカーレットの方は格上よ」
「その内の1勝はたった2センチの差じゃないか! あれは首の上げ下げの体勢の差で、運良く勝っただけだからな!」
「運も実力の内よ。つまり、実力でウオッカはダイワスカーレットに負けていることになるわ!」
「何だと!」
「何よ!」
魚華と大和鮮赤が互いに睨み合う。
今は学園のアイドルの使う名馬の考察をするべきなのに、どうしてこうなってしまったのだろうか? これもライバル同士の名馬と契約したものの定めなのかもしれないな。
「うーん、あの2人は放っておいて、私たちだけで考察をしようか」
「そうだな」
彼女たちのことは一旦置いといて、俺とクロは学園のアイドルが契約しているであろう名馬の特定を急ぐ。
「私、考えたのだけど、牡馬は排除して、牝馬限定で考えた方が良いと思うの?」
「何でだ?」
「だって、ダイワスカーレットとウォッカ、共に牝馬何だよ。女の子限定のレースに出走もしているし、2頭の共通点から考えると、牝馬の可能性が高い」
「なるほど、一理あるな」
確かにそっちの方が可能性としては高いだろうな。
クロの言葉を参考にして考えてみるとするか。一部の人間の間で3強と呼ばれていたと言うことは、彼女たちが出場するレースに出たと言う牝馬に絞り込めば良い。
デバイスを起動させ、ダイワスカーレットとウオッカが出場したレースと、そのレースに出走した時の出走馬たちを調べる。
2頭が同じレースに出たレースは全部で6つ。G IIIのチューリップ賞、G Iの桜花賞、G Iの秋華賞、G Iのエリザベス女王杯、G Iの有馬記念、G Iの天皇賞・秋、翌年のG Iの有馬記念だ。
そして牝馬のみが出場可能なレースはチューリップ賞と桜花賞、それに秋華賞とエリザベス女王杯だ。この4つのレースに出場した牝馬から、共通点のある馬を探し出すと。
レインダンス、3回。ローブデコルデ、4回。この2頭だ。だが、同じレースを共に走ったと言うだけで、彼女たちのライバルになり得るような記述はどこにも書かれてはいなかった。
どこを探しても詳しいことは書かれてはいない。つまり、この2頭は同じレースには出たが、ネットに書かれるほどの有名な馬ではないと言うことになる。
「ああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
時間が刻一刻と過ぎて行く中、学園のアイドルが使う名馬の特定ができないでいると、突如クロが叫び声を上げる。
「ど、どうした? いきなり声を上げて?」
「こ、これを見てよ!」
驚いた様子でクロが自分のデバイスの画面を俺に見せる。
そこには、アストンマーチャンと言う名の牝馬の情報が入っていた。
「クロ、何をそんなに驚いているんだよ。アストンマーチャンはスプリンターだ。短距離メインの馬が、ダイワスカーレットやウオッカのライバルになる訳がないだろう?」
まったく、こいつは何を言っているんだ。
半ば呆れていると、クロが頬を膨らませながら、画面の一部を指し示す。
指先にある記事を読むと、俺は苦笑いを浮かべることになった。
マジかよ。
記事にはこう書かれてあった
『桜花賞トライアルの報知杯フィリーズレビューでは単勝オッズ1.1倍の断然人気に応えて2馬身半差の快勝を飾る。アストンマーチャンは、ウオッカ、ダイワスカーレットと並び、桜花賞戦線の“3強”と称されるまでになったのである』
「私2頭が出ていたレースの牝馬を1頭ずつ調べていたのだけど、まさかアストンマーチャンだったなんて」
確か、桜花賞の順位が原因で、短距離に転向した馬だったはず。
短距離がメインとなっていた馬だから、脳内で勝手に排除していたが、まさか、あのアストンマーチャンだったとはな。
しかも、彼女と競うレースが、シルクロードステークスとは、皮肉なものだ。
シルクロードステークス、それはアストンマーチャンが最後に走ったレースだ。そのレース後、アストンマーチャンはたった4歳の若さで病気を患い、亡くなった。アストンマーチャンは、ある意味悲劇のヒロイン的存在な名馬だ。
今回のレース、波乱な展開になりそうだな。
「良いか、一度しか言わないからちゃんと聞いておけよ」
聞き逃しは厳禁だと告げられ、耳をそばたてる。
「ウオッカと言えばダイワスカーレット、ダイワスカーレットと言えばウオッカと、この2頭は切っても切り離せられないライバル関係にあると言う話は以前しただろう? 実は、一部の人間たちの間では、当時の牝馬は2強ではなく3強と言われていたんだ。ウオッカ、ダイワスカーレットに続く第3の実力を持つ名馬、それが学園のアイドルの使う愛馬だ」
ウオッカとダイワスカーレットに続く第3の実力を持つ名馬か。同期の馬なんて数が多すぎる。このヒントだけでは、まだ絞り込めないな。
「ダイワスカーレット、そしてウオッカに続く第3の名馬ねぇ、何か居たかしら?」
「ちょっと待てくれ!」
ポツリと大和鮮赤が呟く。すると、魚華が声を上げて大和鮮赤に近付く。
「な、何よ。いきなり詰め寄って、びっくりするじゃないのよ」
「ダイワスカーレット、ウオッカじゃない! ウオッカ、ダイワスカーレットだ」
「順番なんてどうでも良いじゃない」
「良くない! ダイワスカーレットの次に名前を出されたら、まるでウオッカの方が格下のように聞こえるじゃないか。だから、ウオッカを先に言え!」
どうやら魚華は、ウオッカが2番目に言われるのが気に入らないみたいだ。だけど正直に言うと、俺も順番なんてものはどうでも良いと思う。その人の好きに言わせてくれって感じだ。
「何を言っているのよ。実際にウオッカは格下じゃない。ダイワスカーレットとのレースで、ウオッカは2勝3敗。あたしの愛馬に生前3回も負けているのよ。1勝勝ち越しているのだから、ダイワスカーレットの方は格上よ」
「その内の1勝はたった2センチの差じゃないか! あれは首の上げ下げの体勢の差で、運良く勝っただけだからな!」
「運も実力の内よ。つまり、実力でウオッカはダイワスカーレットに負けていることになるわ!」
「何だと!」
「何よ!」
魚華と大和鮮赤が互いに睨み合う。
今は学園のアイドルの使う名馬の考察をするべきなのに、どうしてこうなってしまったのだろうか? これもライバル同士の名馬と契約したものの定めなのかもしれないな。
「うーん、あの2人は放っておいて、私たちだけで考察をしようか」
「そうだな」
彼女たちのことは一旦置いといて、俺とクロは学園のアイドルが契約しているであろう名馬の特定を急ぐ。
「私、考えたのだけど、牡馬は排除して、牝馬限定で考えた方が良いと思うの?」
「何でだ?」
「だって、ダイワスカーレットとウォッカ、共に牝馬何だよ。女の子限定のレースに出走もしているし、2頭の共通点から考えると、牝馬の可能性が高い」
「なるほど、一理あるな」
確かにそっちの方が可能性としては高いだろうな。
クロの言葉を参考にして考えてみるとするか。一部の人間の間で3強と呼ばれていたと言うことは、彼女たちが出場するレースに出たと言う牝馬に絞り込めば良い。
デバイスを起動させ、ダイワスカーレットとウオッカが出場したレースと、そのレースに出走した時の出走馬たちを調べる。
2頭が同じレースに出たレースは全部で6つ。G IIIのチューリップ賞、G Iの桜花賞、G Iの秋華賞、G Iのエリザベス女王杯、G Iの有馬記念、G Iの天皇賞・秋、翌年のG Iの有馬記念だ。
そして牝馬のみが出場可能なレースはチューリップ賞と桜花賞、それに秋華賞とエリザベス女王杯だ。この4つのレースに出場した牝馬から、共通点のある馬を探し出すと。
レインダンス、3回。ローブデコルデ、4回。この2頭だ。だが、同じレースを共に走ったと言うだけで、彼女たちのライバルになり得るような記述はどこにも書かれてはいなかった。
どこを探しても詳しいことは書かれてはいない。つまり、この2頭は同じレースには出たが、ネットに書かれるほどの有名な馬ではないと言うことになる。
「ああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
時間が刻一刻と過ぎて行く中、学園のアイドルが使う名馬の特定ができないでいると、突如クロが叫び声を上げる。
「ど、どうした? いきなり声を上げて?」
「こ、これを見てよ!」
驚いた様子でクロが自分のデバイスの画面を俺に見せる。
そこには、アストンマーチャンと言う名の牝馬の情報が入っていた。
「クロ、何をそんなに驚いているんだよ。アストンマーチャンはスプリンターだ。短距離メインの馬が、ダイワスカーレットやウオッカのライバルになる訳がないだろう?」
まったく、こいつは何を言っているんだ。
半ば呆れていると、クロが頬を膨らませながら、画面の一部を指し示す。
指先にある記事を読むと、俺は苦笑いを浮かべることになった。
マジかよ。
記事にはこう書かれてあった
『桜花賞トライアルの報知杯フィリーズレビューでは単勝オッズ1.1倍の断然人気に応えて2馬身半差の快勝を飾る。アストンマーチャンは、ウオッカ、ダイワスカーレットと並び、桜花賞戦線の“3強”と称されるまでになったのである』
「私2頭が出ていたレースの牝馬を1頭ずつ調べていたのだけど、まさかアストンマーチャンだったなんて」
確か、桜花賞の順位が原因で、短距離に転向した馬だったはず。
短距離がメインとなっていた馬だから、脳内で勝手に排除していたが、まさか、あのアストンマーチャンだったとはな。
しかも、彼女と競うレースが、シルクロードステークスとは、皮肉なものだ。
シルクロードステークス、それはアストンマーチャンが最後に走ったレースだ。そのレース後、アストンマーチャンはたった4歳の若さで病気を患い、亡くなった。アストンマーチャンは、ある意味悲劇のヒロイン的存在な名馬だ。
今回のレース、波乱な展開になりそうだな。
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