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最終章
第十一話 マッスル妨害
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「マッスルウウウウウウウウゥゥゥゥゥゥ!」
腹部に腕を持って来て腕や胸の筋肉を強調するラットスプレッド・フロントのポージングをしながら、マッスル先生が声を上げる。
『さぁ、第二のギミックはなんと、脳筋たちによる肉体的妨害だ! 脳筋たちの攻撃を避け、先に進むことができるか!』
実況者のアルティメットの言葉が耳に入り、思わず苦笑いを浮かべそうになるのを必死に堪える。
一見するとバカかと言えるようなギミックだが、決して油断できるものではない。
先ほど俺に向かってマッスル先生が飛び蹴りをしてきたが、地面に触れた瞬間に割れ、地面が剥き出しになっている。
いくらマッスル先生が筋肉バカであっても、強化魔法なしで普通はあそこまではいかない。きっと魔王プリパラに何かをされているのだろう。
「マッスル先生、後は頼んだぜ。シャカールたちの足止めをよろしく」
俺の横を通り過ぎ、追い抜いたはずのコールドシーフがマッスル先生に声をかける。
くそう。もう追いつかれたか。しかもあいつの言葉からして、マッスル先生たち脳筋は、俺たちのチームのみを妨害するようになっているのだろうな。
「シャカール! ここを通してやっても良いが、その変わり今からマッスル授業だ! マッスルダンス1時間の講習を今から受ければ、ここのギミック突破と言うことにしてやろう」
「いや、そんなことをしていたら、レースが終わってしまうだろうが!」
思わずツッコミを入れる。
1時間もこいつの筋肉授業を受けていたら、100パーセント負けが決まってしまう。
「アイリン、俺がマッスル先生を引き付けておく。その間にお前は先にここのギミックを突破していてくれ」
「突破って、あんな筋肉ダルマたちを掻い潜る自信はないですよ。現に、タマモさんたちも苦戦しているじゃないですか!」
自信がなさそうにアイリンが答える。
確かに、先を走っているタマモたちも、マッスル男たちからの攻撃を避けて中々前に進むことができていない。だが、アイリンにも攻略ができるはずだ。
「大丈夫だ。自分を信じろ。タマモたちも諦めた目をしていない。自分なら、突破できると思っているからこそ、あの目をしている。お前も自信を持て、お前ならやれる」
「分かりました。シャカールトレーナーも直ぐに追い付いてくださいね」
「ああ、すぐに追いつくさ。だから、先で待っていろ」
後で合流することを約束すると、アイリンはギミック突破に向けて奥へと走って行く。
「ここを通さないと言っているだろうが! マッスルパンチ」
「エンハンスドボディー! スピードスター!」
魔力回路に魔力を流し、体全体に行き渡らせると肉体強化と俊足の魔法を発動し、マッスル先生の前に移動。アイリンに向けられた拳を掴み、押さえ付ける。
「ほう、手加減をしていたとは言え、良く俺の拳を押さえ付けられたな」
「マッスル先生、あんたのマッスル授業を受けてやっても良い。だが、あんたはアイツらよりも強いのか?」
「なんだと? 俺がアイツらよりも弱いと言うのか?」
「いや、弱いとも言っていないさ。ただ、授業を受けるとなると、最高の教師から教わりたいと思うのが、生徒心だろう? だから、証明してくれないか? あんたが教わるに相応しい強者であると」
「舐めてもらっては困る! この俺、マッス先生こそが、マッスル授業を教えるに相応しい先生であることを証明してやる!」
マッスル先生が宣言をすると、彼は他のマッスル男たちに向かって走り、己の拳を叩き付ける。
誘導成功だ。これでアイツらは互いを攻撃し合ってくれるだろう。
マッスル先生からしたら意味のある仲間割れでも、他の者からしたらそうではない。いきなり殴られれば、戸惑いながらも怒りが湧き上がってくるもの。
互いに殴り合えば、それを止めようとする者も巻き込み、大乱闘へと繋がる。
ただ、大乱闘へと繋がる展開は50パーセントと言ったところだった。一歩間違えれば、互いの筋肉を自慢し合うボディービル大会が始まり、正気に戻れば再び襲ってくる。
そうならないためにも、俺は先ほどのセリフに『強者』と言うワードを入れた。
脳筋のやつからしたら、強者とは肉体的に強い者をイメージするだろう。その結果、殴り合いに発展すると予想していたが、俺の思い通りの展開になってくれて良かった。
マッスル先生の最強の武器は、強制的に筋トレをさせるマッスルダンスにあるからな。アレを発動させる展開を防げただけでも大きい。
走りつつもマッスル先生たちの様子を伺っていると、戦いは激しくなっている。
殴られたマッスル男たちはダメージが蓄積されているからか、次第に吹っ飛びやすくなり、先ほど1人が吹き飛ばされて走者場から姿を消した。
「マッスルハンマー! こいつで全員纏めて吹き飛ばしてくれる!」
マッスル先生が魔法で召喚したようで、空中にハンマーが出現した。そのハンマーを握ると、彼は素早くハンマーを振り下ろし、次々とマッスル男たちを場外へと吹き飛ばしていく。
もう、筋肉関係なくないか? いや、ハンマーを握る腕には力がいるから、一応筋肉は関係しているのか?
そんなことを考えていると、最後の1人となったマッスル先生がこちらに向かってきた。
「シャカール! 言われた通りに証明してやったぞ! 俺こそが、ナンバーワンマッスル男だ」
「ああ、そうだな。でも、これってお前にとっては負けイベントなんだよ。スリープ」
「なん……だと」
マッスル先生に向けて睡眠魔法を放つ。
大暴れした体には疲労が溜まっている。そのため、脳は疲労回復を望んでいる。疲労を回復させるには睡眠が一番だ。
魔法で脳内の睡眠物質を増加させたことにより、彼の脳は抵抗することなく疲労した肉体の回復を努めるために眠りについたようで瞼を閉じた。
そして芝の上に倒れると、イビキをかいて気持ちよさそうな寝顔を晒す。
「ふぅ、これでここのギミックもクリアだな」
さてと、アイリンと合流するか。
アイリンと合流しようと走る。すると、目の前に広がる光景になんだか身に覚えがあるように感じた。
あれ? 初めてのはずなのに、どこかで見たことがあるような気がする? なんだ? このデジャブは?
腹部に腕を持って来て腕や胸の筋肉を強調するラットスプレッド・フロントのポージングをしながら、マッスル先生が声を上げる。
『さぁ、第二のギミックはなんと、脳筋たちによる肉体的妨害だ! 脳筋たちの攻撃を避け、先に進むことができるか!』
実況者のアルティメットの言葉が耳に入り、思わず苦笑いを浮かべそうになるのを必死に堪える。
一見するとバカかと言えるようなギミックだが、決して油断できるものではない。
先ほど俺に向かってマッスル先生が飛び蹴りをしてきたが、地面に触れた瞬間に割れ、地面が剥き出しになっている。
いくらマッスル先生が筋肉バカであっても、強化魔法なしで普通はあそこまではいかない。きっと魔王プリパラに何かをされているのだろう。
「マッスル先生、後は頼んだぜ。シャカールたちの足止めをよろしく」
俺の横を通り過ぎ、追い抜いたはずのコールドシーフがマッスル先生に声をかける。
くそう。もう追いつかれたか。しかもあいつの言葉からして、マッスル先生たち脳筋は、俺たちのチームのみを妨害するようになっているのだろうな。
「シャカール! ここを通してやっても良いが、その変わり今からマッスル授業だ! マッスルダンス1時間の講習を今から受ければ、ここのギミック突破と言うことにしてやろう」
「いや、そんなことをしていたら、レースが終わってしまうだろうが!」
思わずツッコミを入れる。
1時間もこいつの筋肉授業を受けていたら、100パーセント負けが決まってしまう。
「アイリン、俺がマッスル先生を引き付けておく。その間にお前は先にここのギミックを突破していてくれ」
「突破って、あんな筋肉ダルマたちを掻い潜る自信はないですよ。現に、タマモさんたちも苦戦しているじゃないですか!」
自信がなさそうにアイリンが答える。
確かに、先を走っているタマモたちも、マッスル男たちからの攻撃を避けて中々前に進むことができていない。だが、アイリンにも攻略ができるはずだ。
「大丈夫だ。自分を信じろ。タマモたちも諦めた目をしていない。自分なら、突破できると思っているからこそ、あの目をしている。お前も自信を持て、お前ならやれる」
「分かりました。シャカールトレーナーも直ぐに追い付いてくださいね」
「ああ、すぐに追いつくさ。だから、先で待っていろ」
後で合流することを約束すると、アイリンはギミック突破に向けて奥へと走って行く。
「ここを通さないと言っているだろうが! マッスルパンチ」
「エンハンスドボディー! スピードスター!」
魔力回路に魔力を流し、体全体に行き渡らせると肉体強化と俊足の魔法を発動し、マッスル先生の前に移動。アイリンに向けられた拳を掴み、押さえ付ける。
「ほう、手加減をしていたとは言え、良く俺の拳を押さえ付けられたな」
「マッスル先生、あんたのマッスル授業を受けてやっても良い。だが、あんたはアイツらよりも強いのか?」
「なんだと? 俺がアイツらよりも弱いと言うのか?」
「いや、弱いとも言っていないさ。ただ、授業を受けるとなると、最高の教師から教わりたいと思うのが、生徒心だろう? だから、証明してくれないか? あんたが教わるに相応しい強者であると」
「舐めてもらっては困る! この俺、マッス先生こそが、マッスル授業を教えるに相応しい先生であることを証明してやる!」
マッスル先生が宣言をすると、彼は他のマッスル男たちに向かって走り、己の拳を叩き付ける。
誘導成功だ。これでアイツらは互いを攻撃し合ってくれるだろう。
マッスル先生からしたら意味のある仲間割れでも、他の者からしたらそうではない。いきなり殴られれば、戸惑いながらも怒りが湧き上がってくるもの。
互いに殴り合えば、それを止めようとする者も巻き込み、大乱闘へと繋がる。
ただ、大乱闘へと繋がる展開は50パーセントと言ったところだった。一歩間違えれば、互いの筋肉を自慢し合うボディービル大会が始まり、正気に戻れば再び襲ってくる。
そうならないためにも、俺は先ほどのセリフに『強者』と言うワードを入れた。
脳筋のやつからしたら、強者とは肉体的に強い者をイメージするだろう。その結果、殴り合いに発展すると予想していたが、俺の思い通りの展開になってくれて良かった。
マッスル先生の最強の武器は、強制的に筋トレをさせるマッスルダンスにあるからな。アレを発動させる展開を防げただけでも大きい。
走りつつもマッスル先生たちの様子を伺っていると、戦いは激しくなっている。
殴られたマッスル男たちはダメージが蓄積されているからか、次第に吹っ飛びやすくなり、先ほど1人が吹き飛ばされて走者場から姿を消した。
「マッスルハンマー! こいつで全員纏めて吹き飛ばしてくれる!」
マッスル先生が魔法で召喚したようで、空中にハンマーが出現した。そのハンマーを握ると、彼は素早くハンマーを振り下ろし、次々とマッスル男たちを場外へと吹き飛ばしていく。
もう、筋肉関係なくないか? いや、ハンマーを握る腕には力がいるから、一応筋肉は関係しているのか?
そんなことを考えていると、最後の1人となったマッスル先生がこちらに向かってきた。
「シャカール! 言われた通りに証明してやったぞ! 俺こそが、ナンバーワンマッスル男だ」
「ああ、そうだな。でも、これってお前にとっては負けイベントなんだよ。スリープ」
「なん……だと」
マッスル先生に向けて睡眠魔法を放つ。
大暴れした体には疲労が溜まっている。そのため、脳は疲労回復を望んでいる。疲労を回復させるには睡眠が一番だ。
魔法で脳内の睡眠物質を増加させたことにより、彼の脳は抵抗することなく疲労した肉体の回復を努めるために眠りについたようで瞼を閉じた。
そして芝の上に倒れると、イビキをかいて気持ちよさそうな寝顔を晒す。
「ふぅ、これでここのギミックもクリアだな」
さてと、アイリンと合流するか。
アイリンと合流しようと走る。すると、目の前に広がる光景になんだか身に覚えがあるように感じた。
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