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最終章
第二話 狙われた学園
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魔王プリパラが魔王杯開催宣言をしたその後、俺たちは学園へと戻ってきた。
「ワタシは生徒たちの安否を確認してくる。お前たちはシェアハウスで今日は休んでおくように」
シェアハウスで待機をしておくようにルーナが伝えると、彼女は血相を変えて校舎へと向かって行った。
魔王プリパラは『我は他の場所でチームメンバーを集めておく』と言っていた。走者の育成を目的としたこの学園が狙われていないと言う保証はない。
学園のみんなが無事であることを心の中で祈りつつ、シェアハウスの扉を開ける。
『シャカール! お前が帰って来るのを待っていたぞ! お前は無事だったんだな!』
扉を開けると、仔犬が俺の胸に飛び込んできた。
「ルオ!」
俺の胸に飛び込んできた仔犬の名を叫び、彼を抱きしめる。俺のことを毛嫌いしていたこいつがこんな反応を示すと言うことは、尋常ではない。
「え? 今ルオがしゃべていた?」
やばい。タマモたちは、こいつがルーナの弟の魂を持っていることを知らない。
『ワン! ワン! ワン!』
「あれ? 普通に吠えているわね。どうやら疲れて幻聴を聞いてしまったみたいね」
「色々とありましたからね。とりあえずはルーナ学園長が言った通りに体を休めておきましょう。ママが紅茶の準備をして来ますね」
直ぐにルオが起点を利かせて普通に吠えたことで、どうやらタマモたちは幻聴だと錯覚してくれたみたいだ。
とりあえずは彼女たちから離れたところで何があったのかを聞いておくか。
「悪い、俺はトイレで篭ってくる」
ルオを抱えたままトイレへと入り、扉を開ける。そして扉を開けられないように鍵もかけた。
「それで、俺たちが学園に居ない間に何が起きたんだ?」
便座の蓋の上にルオを置き、何が起きたのかを訊ねる。
『おい、これは俺への嫌がらせか? 便座の蓋の上に起きやがって』
「俺に抱き抱えられたままだとお前も嫌だろうが。俺なりの配慮だ。それで、何が起きた?」
『実は――』
何が起きたのかを訊ねると、彼は口を開いで語り始める。
~ルオ視点~
『今日も一日、このシェアハウスの平和を守ってやる! それがこの俺、自宅警備員であるルオの仕事だ……とは言っても、何も起きない日々で退屈だ。早くシャカールたちが戻って来てくれないだろうか?』
ポツリと言葉を漏らしつつ、外に出ることにした。
俺の肉体はマネットライムと呼ばれるスライムの肉体だ。だから色々な物に変身することができる。
一度シャカールの姿に変身して扉を開けた。
暇だし、散歩でもするか。姉さんの学園の平和を守るのも、俺の仕事だろう。
『うん? 何んだ? 鳥か? 飛行物体か?』
最初はそのように思っていたが、目を凝らしてみると全く違った。
膨大な魔力を持っている少女が学園の上空を飛行していた。
『魔王様?』
この肉体がスライムであるからか、彼女の持つ魔力が魔王の物であることが分かった。
「ここがあのシャカールが通っていると言う学園か。ここで生活をしている魔族なら、きっと素晴らしい仲間を見つけることができるであろう。さぁ、魔族の走者たちよ! 我の元へと集うのだ!」
魔王様が声を上げた瞬間、何か波動のようなものが出たのを感じた。
肉体が魔物だから分かる。これは魔族同士が共鳴する波動だ。でも、この共鳴の波動は波長の合う者でなければ毒でしかない。
きっと、この学園の魔族の生徒たちは篩にかけられているんだ。
『姉さんの生徒を守るのはこの俺だ! ウイング!』
俺はシャカールの姿のまま魔王様へと突っ込む。
俺の変身能力は、変身した者の能力をコピーした状態で変身することができる。つまり、あいつの使える魔法は、この姿である限り使いたい放題だ。
『姉さんの生徒に手を出すな!』
「お前はシャカール! いや、この感じは偽物か。どうして偽物がいるのかが分からないが、邪魔だ。ミニチュアファイヤーボール!」
俺に向かって火球が飛んで来る。ミニチュアと言いつつ、その火球は通常のファイヤーボールよりも、一回り大きかった。
『ウォーターポンプ!』
例え通常サイズの火球よりも大きくとも、所詮は炎だ。炎が水に勝つなんてことはない。
火球と水圧の強い水が接触し、周辺に水蒸気が散らばっていく。
『くそう! なぜだ! シャカールの魔法が通用しないだと!』
「所詮は猿真似に過ぎないな。あいつと同じ姿だから少しだけ期待をしていたと言うのに、肩透かしではないか。我の邪魔をしないほうが身のためであるぞ。グラビティプラス」
『ガハッ!』
体に普段以上の重力がのしかかり、空中に浮いていた俺の姿は地面へと叩き付けられる。
肉体がスライムであるため痛みを感じはしない。だけど、指一本動かすことができない。
重力に押さえつけられている影響なのか、それとも他の魔法の影響を受けたのか、意識が朦朧とし始める。
「ほう、良くぞここまで来てくれた。お主、名をなんと言う? そうか。ウイニングライブとシャワーライトと言うのか? うん? まだ奥に居るな?」
「ま、待ってください。俺も連れって行ってください。俺の名はピッグと言います。魔王様の椅子係を希望します。どうぞ私に腰を下ろし、お好きなようにお使いください」
「気持ち悪いな。ここまで来られたことに対して褒めてやるが、気持ち悪いからお前はいらない。では、ウイニングライブとシャワーライトよ。共に行くとしよう」
その会話を最後に、俺の意識は途切れてしまった。
「ワタシは生徒たちの安否を確認してくる。お前たちはシェアハウスで今日は休んでおくように」
シェアハウスで待機をしておくようにルーナが伝えると、彼女は血相を変えて校舎へと向かって行った。
魔王プリパラは『我は他の場所でチームメンバーを集めておく』と言っていた。走者の育成を目的としたこの学園が狙われていないと言う保証はない。
学園のみんなが無事であることを心の中で祈りつつ、シェアハウスの扉を開ける。
『シャカール! お前が帰って来るのを待っていたぞ! お前は無事だったんだな!』
扉を開けると、仔犬が俺の胸に飛び込んできた。
「ルオ!」
俺の胸に飛び込んできた仔犬の名を叫び、彼を抱きしめる。俺のことを毛嫌いしていたこいつがこんな反応を示すと言うことは、尋常ではない。
「え? 今ルオがしゃべていた?」
やばい。タマモたちは、こいつがルーナの弟の魂を持っていることを知らない。
『ワン! ワン! ワン!』
「あれ? 普通に吠えているわね。どうやら疲れて幻聴を聞いてしまったみたいね」
「色々とありましたからね。とりあえずはルーナ学園長が言った通りに体を休めておきましょう。ママが紅茶の準備をして来ますね」
直ぐにルオが起点を利かせて普通に吠えたことで、どうやらタマモたちは幻聴だと錯覚してくれたみたいだ。
とりあえずは彼女たちから離れたところで何があったのかを聞いておくか。
「悪い、俺はトイレで篭ってくる」
ルオを抱えたままトイレへと入り、扉を開ける。そして扉を開けられないように鍵もかけた。
「それで、俺たちが学園に居ない間に何が起きたんだ?」
便座の蓋の上にルオを置き、何が起きたのかを訊ねる。
『おい、これは俺への嫌がらせか? 便座の蓋の上に起きやがって』
「俺に抱き抱えられたままだとお前も嫌だろうが。俺なりの配慮だ。それで、何が起きた?」
『実は――』
何が起きたのかを訊ねると、彼は口を開いで語り始める。
~ルオ視点~
『今日も一日、このシェアハウスの平和を守ってやる! それがこの俺、自宅警備員であるルオの仕事だ……とは言っても、何も起きない日々で退屈だ。早くシャカールたちが戻って来てくれないだろうか?』
ポツリと言葉を漏らしつつ、外に出ることにした。
俺の肉体はマネットライムと呼ばれるスライムの肉体だ。だから色々な物に変身することができる。
一度シャカールの姿に変身して扉を開けた。
暇だし、散歩でもするか。姉さんの学園の平和を守るのも、俺の仕事だろう。
『うん? 何んだ? 鳥か? 飛行物体か?』
最初はそのように思っていたが、目を凝らしてみると全く違った。
膨大な魔力を持っている少女が学園の上空を飛行していた。
『魔王様?』
この肉体がスライムであるからか、彼女の持つ魔力が魔王の物であることが分かった。
「ここがあのシャカールが通っていると言う学園か。ここで生活をしている魔族なら、きっと素晴らしい仲間を見つけることができるであろう。さぁ、魔族の走者たちよ! 我の元へと集うのだ!」
魔王様が声を上げた瞬間、何か波動のようなものが出たのを感じた。
肉体が魔物だから分かる。これは魔族同士が共鳴する波動だ。でも、この共鳴の波動は波長の合う者でなければ毒でしかない。
きっと、この学園の魔族の生徒たちは篩にかけられているんだ。
『姉さんの生徒を守るのはこの俺だ! ウイング!』
俺はシャカールの姿のまま魔王様へと突っ込む。
俺の変身能力は、変身した者の能力をコピーした状態で変身することができる。つまり、あいつの使える魔法は、この姿である限り使いたい放題だ。
『姉さんの生徒に手を出すな!』
「お前はシャカール! いや、この感じは偽物か。どうして偽物がいるのかが分からないが、邪魔だ。ミニチュアファイヤーボール!」
俺に向かって火球が飛んで来る。ミニチュアと言いつつ、その火球は通常のファイヤーボールよりも、一回り大きかった。
『ウォーターポンプ!』
例え通常サイズの火球よりも大きくとも、所詮は炎だ。炎が水に勝つなんてことはない。
火球と水圧の強い水が接触し、周辺に水蒸気が散らばっていく。
『くそう! なぜだ! シャカールの魔法が通用しないだと!』
「所詮は猿真似に過ぎないな。あいつと同じ姿だから少しだけ期待をしていたと言うのに、肩透かしではないか。我の邪魔をしないほうが身のためであるぞ。グラビティプラス」
『ガハッ!』
体に普段以上の重力がのしかかり、空中に浮いていた俺の姿は地面へと叩き付けられる。
肉体がスライムであるため痛みを感じはしない。だけど、指一本動かすことができない。
重力に押さえつけられている影響なのか、それとも他の魔法の影響を受けたのか、意識が朦朧とし始める。
「ほう、良くぞここまで来てくれた。お主、名をなんと言う? そうか。ウイニングライブとシャワーライトと言うのか? うん? まだ奥に居るな?」
「ま、待ってください。俺も連れって行ってください。俺の名はピッグと言います。魔王様の椅子係を希望します。どうぞ私に腰を下ろし、お好きなようにお使いください」
「気持ち悪いな。ここまで来られたことに対して褒めてやるが、気持ち悪いからお前はいらない。では、ウイニングライブとシャワーライトよ。共に行くとしよう」
その会話を最後に、俺の意識は途切れてしまった。
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