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第十三章
第二十一話 和の神の襲来
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『第2のギミックをクリアし、最終ギミックに向かうのは1番人気のルビー、そして2番人気のシャカールだ。ルビーとシャカールの差はおよそ5メートル』
最初にルビーがギミックをクリアし、俺は彼女を追いかける形となってレースを行っている。
まだ諦める距離ではない。最終ギミックで差を縮めてやる。
慣れない芝の上を懸命に走る中、ルビーが最終ギミックのエリア内に入った。すると、彼女に向かって巨大な火球が飛んでくる。
あれはデスボールか? いや、それ以上に大きいような。
様子を伺っていると、ルビーは水の魔法を放ち、巨大な火球を打ち消そうとする。だが、炎の発熱量の方が多いようで、消火することができなかったようだ。
彼女は横に跳躍し、火球を躱す。
ここまで熱が伝わってくる。あんな火球が直撃したら、火傷では済まないだろう。
『ほう、妾の火球を躱すか。我々神の創造物である以上、そうでなければな』
上空から声が聞こえ、顔を上げる。上空には巫女服のような衣装を着た長い黒髪の女性が浮遊していた。
『挑戦者はウマの獣族と人族か。第一の関門を突破してみよ!』
ギミックエリアに先ほど足を踏み入れた。そのため、俺も妨害対象となり、上空にいる女性が俺に向けて火球を放ってくる。
「ウォーターポンプ」
空気中の水分子を集めて水を作り、水圧の強い筒状の水を放つ。火球と水が接触し、蒸発して水蒸気が辺りを覆う。だが、火球が消えることはなかった。
どれだけの熱量を持っているんだよ。
「くそう。なんて熱量のデスボールだ」
『デスボール? 何を言っておる。今のはファイヤーボールだ』
空中浮遊をしている女性の言葉に耳を疑う。
今のが下級魔法のファイヤーボールだって? 嘘だろう?
『そこの人間、今疑っておるな。なら、妾のデスボールを見せてやろう』
女性が右手を挙げて人差し指を伸ばす。すると火球が生まれ、どんどん大きくなっていく。その大きさは、直径100メートルはありそうなほどの大きさだった。
『これが妾のデスボールだ。火とは、空気中の酸素を取り入れることでその大きさを変える。お前たちが言うファイヤーボールは、妾に取っては火種にすぎない。それに酸素を加えることで、大きさを自由自在に変えることができる』
なるほど、そう言うことか。俺たちは、ファイヤーボールはこれくらいの大きさだと昔から決め付けていた。だけど、それは固定概念に過ぎない。使用者が工夫すれば、大きさくらいはいくらでも変えることができるというわけか。
それにしても、どうして彼女は俺の心を読んだかのように疑っていると勘付いた? いや、普通は疑うものだ。だからあのような発言をしたのだろう。
『さぁ、妾天照大神の火球を掻い潜るが良い!』
女性は再び火球を放ってくる。
『第3のギミック、それは転生者の国に言い伝えられる神々の妨害を掻い潜るギミックだ! 果たして走者は神々の攻撃から掻い潜ることができるのか!』
実況者からギミックの内容が明かされる。
転生者の国に言い伝えられている神からの妨害、こんなギミックは初めてだ。
次々と降り注ぐ火球を躱すことが精一杯で前に進むことができない。
このままだと、疲弊して最後は躱すことができずに火球に呑まれて俺の丸焼きが完成してしまう。
あいつの攻撃をやめさせないと。
そう思っていると、コースの奥から炎の姿をした巨大な龍がこちらに向けて突っ込んできた。
天照大神が別の魔法を使って来たのか?
とにかく避けないといけない。
炎の龍が突っ込んで来るのを横に跳躍して躱す。やつの行く末を目で追って行くと、第2のギミックをクリアした走者に突っ込んでいき、龍が獲物を噛み殺すかのように大きく口を開いて走者を飲み込む。
「ぎゃあああああああぁぁぁぁぁぁぁ」
走者の悲鳴が耳に届き思わず耳を塞ぎたくなった。
走者の悲鳴が途絶えると、炎の龍から走者が姿を現す。どこも火傷をしているようには見えないが、気を失っているようでぴくりとも動かない。
『ペリス走者失格となりました。彼関連の走券は投げ捨てないようにお願いします』
実況者が言葉を紡ぐ中、炎の龍は人の姿へと姿を変える。
『我の名はヒノカグツチ、産みの親であるイザナミを我の炎で焼き殺した神である。我の炎は即死の炎、飲み込まれれば即失格であるぞ』
ヒノカグツチと名乗った男は、再び炎の龍へと姿を変える。
即死ギミックかよ。飲み込まれると即リタイアって、これまで頑張った意味がなくなるじゃないか。
今までは対応さえできれば即リタイアを免れるギミックだったが、ここに来てまた難易度が跳ね上がったな。
本当にゴールさせる気があるのかよ。
最初にルビーがギミックをクリアし、俺は彼女を追いかける形となってレースを行っている。
まだ諦める距離ではない。最終ギミックで差を縮めてやる。
慣れない芝の上を懸命に走る中、ルビーが最終ギミックのエリア内に入った。すると、彼女に向かって巨大な火球が飛んでくる。
あれはデスボールか? いや、それ以上に大きいような。
様子を伺っていると、ルビーは水の魔法を放ち、巨大な火球を打ち消そうとする。だが、炎の発熱量の方が多いようで、消火することができなかったようだ。
彼女は横に跳躍し、火球を躱す。
ここまで熱が伝わってくる。あんな火球が直撃したら、火傷では済まないだろう。
『ほう、妾の火球を躱すか。我々神の創造物である以上、そうでなければな』
上空から声が聞こえ、顔を上げる。上空には巫女服のような衣装を着た長い黒髪の女性が浮遊していた。
『挑戦者はウマの獣族と人族か。第一の関門を突破してみよ!』
ギミックエリアに先ほど足を踏み入れた。そのため、俺も妨害対象となり、上空にいる女性が俺に向けて火球を放ってくる。
「ウォーターポンプ」
空気中の水分子を集めて水を作り、水圧の強い筒状の水を放つ。火球と水が接触し、蒸発して水蒸気が辺りを覆う。だが、火球が消えることはなかった。
どれだけの熱量を持っているんだよ。
「くそう。なんて熱量のデスボールだ」
『デスボール? 何を言っておる。今のはファイヤーボールだ』
空中浮遊をしている女性の言葉に耳を疑う。
今のが下級魔法のファイヤーボールだって? 嘘だろう?
『そこの人間、今疑っておるな。なら、妾のデスボールを見せてやろう』
女性が右手を挙げて人差し指を伸ばす。すると火球が生まれ、どんどん大きくなっていく。その大きさは、直径100メートルはありそうなほどの大きさだった。
『これが妾のデスボールだ。火とは、空気中の酸素を取り入れることでその大きさを変える。お前たちが言うファイヤーボールは、妾に取っては火種にすぎない。それに酸素を加えることで、大きさを自由自在に変えることができる』
なるほど、そう言うことか。俺たちは、ファイヤーボールはこれくらいの大きさだと昔から決め付けていた。だけど、それは固定概念に過ぎない。使用者が工夫すれば、大きさくらいはいくらでも変えることができるというわけか。
それにしても、どうして彼女は俺の心を読んだかのように疑っていると勘付いた? いや、普通は疑うものだ。だからあのような発言をしたのだろう。
『さぁ、妾天照大神の火球を掻い潜るが良い!』
女性は再び火球を放ってくる。
『第3のギミック、それは転生者の国に言い伝えられる神々の妨害を掻い潜るギミックだ! 果たして走者は神々の攻撃から掻い潜ることができるのか!』
実況者からギミックの内容が明かされる。
転生者の国に言い伝えられている神からの妨害、こんなギミックは初めてだ。
次々と降り注ぐ火球を躱すことが精一杯で前に進むことができない。
このままだと、疲弊して最後は躱すことができずに火球に呑まれて俺の丸焼きが完成してしまう。
あいつの攻撃をやめさせないと。
そう思っていると、コースの奥から炎の姿をした巨大な龍がこちらに向けて突っ込んできた。
天照大神が別の魔法を使って来たのか?
とにかく避けないといけない。
炎の龍が突っ込んで来るのを横に跳躍して躱す。やつの行く末を目で追って行くと、第2のギミックをクリアした走者に突っ込んでいき、龍が獲物を噛み殺すかのように大きく口を開いて走者を飲み込む。
「ぎゃあああああああぁぁぁぁぁぁぁ」
走者の悲鳴が耳に届き思わず耳を塞ぎたくなった。
走者の悲鳴が途絶えると、炎の龍から走者が姿を現す。どこも火傷をしているようには見えないが、気を失っているようでぴくりとも動かない。
『ペリス走者失格となりました。彼関連の走券は投げ捨てないようにお願いします』
実況者が言葉を紡ぐ中、炎の龍は人の姿へと姿を変える。
『我の名はヒノカグツチ、産みの親であるイザナミを我の炎で焼き殺した神である。我の炎は即死の炎、飲み込まれれば即失格であるぞ』
ヒノカグツチと名乗った男は、再び炎の龍へと姿を変える。
即死ギミックかよ。飲み込まれると即リタイアって、これまで頑張った意味がなくなるじゃないか。
今までは対応さえできれば即リタイアを免れるギミックだったが、ここに来てまた難易度が跳ね上がったな。
本当にゴールさせる気があるのかよ。
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