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第十一章
第十五話 10時間の逃亡
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クリープが誤って作ってしまった発情を促す菓子によって、女子生徒が発情してしまった。そしてゾンビに噛まれた者がゾンビになるように、彼女たちの持つ菓子を食べた者は発情し、下着姿となってゾンビのように徘徊しているのが現状だ。
シャワーライトとルーナまでが発情してしまった。もう、俺の味方はこの学園には存在していない。
だが、まだ希望がある。あと10時間経過すれば、薬の効果が切れて女子生徒たちは元に戻る。制限時間一杯逃げ回ることができれば、俺の勝ちだ。
学園長室を飛び出し、俺は再び隠れられるような場所を探す。
「とは言ったものの、隠れられるような場所ってあるか?」
シェアハウスにはタマモとクリープが居るし、外にはアイリンの姿があった。そして校舎内はマーヤが占領している。
簡単には隠れられない。学園の外に逃亡することも考えたが、被害者が増大する可能性もある。しかもそれが女性だった場合、新たなる発情者が生まれ、ゾンビのように襲いかかってくるのは明白だ。そうなると、障害物で身を隠しつつ、女子生徒たちの視界に入らないようにしなければ。
今後の方針を決めると、階段を駆け下り、1階へと降りた。
「さて、無事に1階に降りることはできたが、昇降口には女子生徒たちが居るな」
下駄箱の側面に隠れつつ、外の様子を伺う。だが、外には女子生徒が徘徊している。
ここからは逃げることが出来なさそうだな。
どこかに脱出する方法がないか、思考を巡らせる。すると、ナナミの通っている中等部の校舎であれば、そこにある昇降口から脱出できるのではと考えた。
今、この場でジッとしていても埒が明かない。なら、僅かでも可能性がある場所へと向った方が懸命だろう。
この場を離れ、俺は中等部の校舎へと向って行く。
高等部と中等部は、渡り廊下で繋がっている。だから廊下を真っ直ぐに走っていれば、中等部の校舎に避難することができる。
流石に中等部までには影響が及んでいないはず。
「あ、三冠王のお兄さんだ♡」
「私たちとい・い・こ・と・しましょう♡ 少しでも若い方がいいよね」
渡り廊下を走っていると、中等部と思われる女子生徒が頬を赤らめながらこちらに向ってくる。
「チッ、中等部も菓子の影響を受けていたのか」
彼女たちの様子を見て、思わず舌打ちをしてしまう」
それもそうだよな。ナナミが友達にも分けると言っていたし、渡り廊下で繋がっているんだ。中等部も汚染されていてもおかしくはない。
「ゼロナ兄に手を出させないのだから! ストロングウインド!」
「「きゃあああああああぁぁぁぁぁぁ!」」
前方を塞がれて困っていると、突然突風が発生し、女子生徒たちを吹き飛ばす。
「ゼロナ兄、大丈夫?」
「ナナミ!」
俺のピンチを助けてくれたのはナナミだった。
ピンチを助けてもらったことでホッとする反面、油断はできない。彼女はあの菓子を食べている。当然発情をしてもおかしくはない。俺を油断させるための作戦なのかもしれない。
「良かった! ゼロナ兄は正気のようだね。ゼロナ兄もあのお菓子を食べていたから、発情しているのかと思っていた」
「俺は大丈夫だ。でもお前は本当に正気なのか?」
本当は疑いたくないのだが、どうしても疑ってしまう。俺以外は全員敵、そう思っているのだ。
「みんながこの有り様だから疑ってしまうのも仕方がないけれど、ナナミは大丈夫だよ。そもそも、兄に発情してしまうほど、男に飢えてはいないもん」
ナナミの発言に安堵しつつも、なぜか心にグサリと来てしまった。
どうしてなのか、妙にショックを受けている自分が居る。
だけど、今言えるのは、ナナミは俺の味方と言うことだ。
「疑ってすまなかった。菓子の効果が切れるまで、あと9時間と30分くらいだ。それまで、俺たちで協力してこの状況を乗り切ろう」
「分かった! 任せて! ナナミが安全な場所に案内してあげる。付いて来て」
付いて来るように促され、俺はナナミの後を追いかける。
彼女が案内してくれた場所は、使われていない空き教室だ。
「ここの教室、鍵がかかっているのだけど、地窓の一ヶ所だけが鍵が空いているんだよね。だから友達と秘密基地にしているの」
床に近い小さい戸を開け、七海が教室へと進入する。続いて俺も中へと入って行く。
窮屈ではあったが、どうにか通り抜けることができた。
ナナミが秘密基地にしていると言っていただけあって、掃除が行き届いており、テーブルや椅子、そして仮眠用なのか、布団まで置かれてあった。
「確かにここなら、誰も来られなさそうだな。これなら、時間制限まで逃げ切れる」
「そうだね。これで誰にも邪魔をされることなく、ゼロナ兄……いや、下ネタ番号を独り占めできると言うものじゃ」
途中でナナミの口調が変わり、俺は背筋に寒気を覚える。
ナナミが地窓の鍵を閉め、俺に怪しい笑みを浮かべた。
「ナナミ……いや、お前はカレンニサキホコルの方か?」
『そうじゃ、これでお主を騙すのは二度目じゃな。少しは気付くかと思っておったが、買い被りすぎたようじゃ。いや、妾のナナミの真似が上手いからこその結果であったのだろう。ナナミは今眠らせておる。さっきまでの会話は、全て妾の演技じゃ。さぁ、下ネタ番号よ、妾と熱い一夜を凄そうではないか』
くそう。カレンニサキホコルの策にまんまと引っかかってしまったか。唯一の逃げ道はあの地窓だけだ。だけど、あそこから逃げようにも時間がかかってしまう。
脱出しようとした瞬間に、引き摺り込まれるだけだ。
思考を巡らせている最中、カレンニサキホコルは自身の来ている衣服を脱ぎ始める。
シャワーライトとルーナまでが発情してしまった。もう、俺の味方はこの学園には存在していない。
だが、まだ希望がある。あと10時間経過すれば、薬の効果が切れて女子生徒たちは元に戻る。制限時間一杯逃げ回ることができれば、俺の勝ちだ。
学園長室を飛び出し、俺は再び隠れられるような場所を探す。
「とは言ったものの、隠れられるような場所ってあるか?」
シェアハウスにはタマモとクリープが居るし、外にはアイリンの姿があった。そして校舎内はマーヤが占領している。
簡単には隠れられない。学園の外に逃亡することも考えたが、被害者が増大する可能性もある。しかもそれが女性だった場合、新たなる発情者が生まれ、ゾンビのように襲いかかってくるのは明白だ。そうなると、障害物で身を隠しつつ、女子生徒たちの視界に入らないようにしなければ。
今後の方針を決めると、階段を駆け下り、1階へと降りた。
「さて、無事に1階に降りることはできたが、昇降口には女子生徒たちが居るな」
下駄箱の側面に隠れつつ、外の様子を伺う。だが、外には女子生徒が徘徊している。
ここからは逃げることが出来なさそうだな。
どこかに脱出する方法がないか、思考を巡らせる。すると、ナナミの通っている中等部の校舎であれば、そこにある昇降口から脱出できるのではと考えた。
今、この場でジッとしていても埒が明かない。なら、僅かでも可能性がある場所へと向った方が懸命だろう。
この場を離れ、俺は中等部の校舎へと向って行く。
高等部と中等部は、渡り廊下で繋がっている。だから廊下を真っ直ぐに走っていれば、中等部の校舎に避難することができる。
流石に中等部までには影響が及んでいないはず。
「あ、三冠王のお兄さんだ♡」
「私たちとい・い・こ・と・しましょう♡ 少しでも若い方がいいよね」
渡り廊下を走っていると、中等部と思われる女子生徒が頬を赤らめながらこちらに向ってくる。
「チッ、中等部も菓子の影響を受けていたのか」
彼女たちの様子を見て、思わず舌打ちをしてしまう」
それもそうだよな。ナナミが友達にも分けると言っていたし、渡り廊下で繋がっているんだ。中等部も汚染されていてもおかしくはない。
「ゼロナ兄に手を出させないのだから! ストロングウインド!」
「「きゃあああああああぁぁぁぁぁぁ!」」
前方を塞がれて困っていると、突然突風が発生し、女子生徒たちを吹き飛ばす。
「ゼロナ兄、大丈夫?」
「ナナミ!」
俺のピンチを助けてくれたのはナナミだった。
ピンチを助けてもらったことでホッとする反面、油断はできない。彼女はあの菓子を食べている。当然発情をしてもおかしくはない。俺を油断させるための作戦なのかもしれない。
「良かった! ゼロナ兄は正気のようだね。ゼロナ兄もあのお菓子を食べていたから、発情しているのかと思っていた」
「俺は大丈夫だ。でもお前は本当に正気なのか?」
本当は疑いたくないのだが、どうしても疑ってしまう。俺以外は全員敵、そう思っているのだ。
「みんながこの有り様だから疑ってしまうのも仕方がないけれど、ナナミは大丈夫だよ。そもそも、兄に発情してしまうほど、男に飢えてはいないもん」
ナナミの発言に安堵しつつも、なぜか心にグサリと来てしまった。
どうしてなのか、妙にショックを受けている自分が居る。
だけど、今言えるのは、ナナミは俺の味方と言うことだ。
「疑ってすまなかった。菓子の効果が切れるまで、あと9時間と30分くらいだ。それまで、俺たちで協力してこの状況を乗り切ろう」
「分かった! 任せて! ナナミが安全な場所に案内してあげる。付いて来て」
付いて来るように促され、俺はナナミの後を追いかける。
彼女が案内してくれた場所は、使われていない空き教室だ。
「ここの教室、鍵がかかっているのだけど、地窓の一ヶ所だけが鍵が空いているんだよね。だから友達と秘密基地にしているの」
床に近い小さい戸を開け、七海が教室へと進入する。続いて俺も中へと入って行く。
窮屈ではあったが、どうにか通り抜けることができた。
ナナミが秘密基地にしていると言っていただけあって、掃除が行き届いており、テーブルや椅子、そして仮眠用なのか、布団まで置かれてあった。
「確かにここなら、誰も来られなさそうだな。これなら、時間制限まで逃げ切れる」
「そうだね。これで誰にも邪魔をされることなく、ゼロナ兄……いや、下ネタ番号を独り占めできると言うものじゃ」
途中でナナミの口調が変わり、俺は背筋に寒気を覚える。
ナナミが地窓の鍵を閉め、俺に怪しい笑みを浮かべた。
「ナナミ……いや、お前はカレンニサキホコルの方か?」
『そうじゃ、これでお主を騙すのは二度目じゃな。少しは気付くかと思っておったが、買い被りすぎたようじゃ。いや、妾のナナミの真似が上手いからこその結果であったのだろう。ナナミは今眠らせておる。さっきまでの会話は、全て妾の演技じゃ。さぁ、下ネタ番号よ、妾と熱い一夜を凄そうではないか』
くそう。カレンニサキホコルの策にまんまと引っかかってしまったか。唯一の逃げ道はあの地窓だけだ。だけど、あそこから逃げようにも時間がかかってしまう。
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