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第十一章
第二話 ヒロインの帰省②
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~マーヤ視点~
「シャカールちゃんは~格好良い♪ マーヤのダークヒーロー♪」
大好きなシャカールちゃんのオリジナル曲を口遊ながら、マーヤは実家のある街へと戻って来ました。
実家へと帰る道、周囲を見渡しながら歩いていたけれど、ワシワシ詐欺のおじさんが魔物となって暴れた際に破壊していた建物は、大分復興が進んで殆ど元の状態となっているね。
「良かった。街が元に戻りつつあるようで」
街が本来の姿を取り戻しつつあることに安堵しながら歩いていると、行列の出来ているお店が視界に入ります。
「良かった。あれからも、お客さんが来てくれているんだ」
以前、シャカールちゃんの協力の元、潰れかけていたお店を立て直すことができたの。その結果、昔以上にお客さんが来てくれるようになったのだけど、その効果は今も持続しているみたい。
お店の状態も修復されているみたいだし、繁盛していることが分かって安心です。
「ただいま! マーヤ、帰って来たよ!」
お店の裏の入り口から入り、私は両親に帰省したことを伝えました。
「お、マーヤ。帰って来てくれたか。すまないが、厨房の手伝いをしてくれないか? 落ち着いたら、今度はママの方を手伝ってくれ」
「うぇ! いきなりお店の手伝い!」
帰ってくるなり、マーヤに投げかけられた言葉は、お店の手伝いでした。
お店が繁盛していることは嬉しいけれど、人手が足りない程忙しくなっているの!
「分かった! 何から始めれば良い?」
カウンターの上にママが客から聞いた注文が置いてある。それを見て、食材の用意をしてくれ」
「アイコピー!」
パパの指示にしたがい、マーヤはカウンターの上に置いてある注文の品を見て、必要な材料を判断し、必要な食材をテーブルの上に置いていきます。
「ありがとう。助かった」
パパからお礼を言われ、その後のマーヤは、実家のお手伝いに追われる時間を過ごしました。
お店が閉店の時間を迎え、最後の客が帰って行ったのを見送り、マーヤたちはやっと一息吐きます。
ふぅ、こんなにお客さんが多いなんて、思わなかった。
「マーヤ、お疲れ様、はい」
ママが水の入ったコップを手渡し、それを受けとると一気に喉に流し込みます。疲れた体に水が染み込むような感覚を覚え、仕事が終わったと言う実感をした瞬間に、一気に脱力感を覚えました。
「どうして、こんなに繁盛しているのに、バイトを雇わないの?」
マーヤは思ったことを訊ねました。
こんなに忙しい日々を送っているのなら、バイトを雇えば良いのに。
「それがねぇ、一応雇おうとはしているのだけど、パパが面接の段階で不採用にしているから、新しいバイトを雇えないのよ」
「だって、あんな腰抜けのやつらでは、雇ったところで3日と保たない。マーヤも今日1日働いて分かっただろう。並以上のスタミナがないやつは、長続きしない。だから体力のなさそうなやつらは不採用にしたと言う訳だ。パパやママ、そしてマーヤはこの仕事に慣れているから、毎日働いても問題はない」
いや、どこの脳筋理論なのよ。現役の走者であるマーヤでさえ、こんなに疲れているのに、問題ない訳がないじゃない。
「つまり、店が忙しくなったから、マーヤを呼びつけたの? 流石に実家と学園の往復には無理があるよ」
「いや、今回マーヤを呼び付けた理由は別にある。取り敢えず風呂にでも入って、疲れを落としてくれ。話はそれからだ」
風呂に入るように促され、マーヤはお風呂へと向かいます。
お風呂で体の汚れと疲れを取った後、寝巻き姿でパパとママの居る部屋へと向かいます。
「お、入浴を終えたようだな」
部屋に入ると、パパは晩酌をしていたようで、片手にお酒の入ったジョッキを持ちながら声をかけて来ました。そしてママは減ったジョッキにお酒を注いでいます。
「それで、マーヤを呼び出したのは、何故なの?」
パパの正面に座り、呼び出した理由を言うように促します。
「前にこの店の復興に協力してくれた少年、シャカールとか言ったか。彼とはどんな感じだ?」
突然シャカールちゃんの話題を始め、マーヤは驚きました。どちらかと言うと、パパはシャカールちゃんのことはあまり良く思っていないのです。娘のマーヤを大事にするばかりに、悪い虫のように思っているからです。
でも、問われたからには言わないといけません。
「うーん、まずまずかな? この前、妹さんのナナミちゃんからも気に入られてもらったから、少しは前進しているかも」
右手の人差し指を頬に当て、軽く小首を傾げます。
「そうか。実は、小耳に挟んだのだが、彼が三冠王になったと言うのは本当のことか?」
「うん、本当だよ。マーヤは事情があって、その瞬間を見てはいないのだけど。シャカールちゃんは三冠王になったよ」
「そう……か」
シャカールちゃんが三冠王になったことを告げると、パパは持っていたジョッキをテーブルの上に起きます。
「分かった。マーヤが本気なら、彼を自分のものにしてみせろ。三冠王となる実力があるのであれば、マーヤとも釣り合う」
え? パパが認めてくれた? いったいどういうこと?
困惑していると、ママが立ち上がり、こちらに来て耳打ちして来ました。
「パパはねぇ、お店を立て直した段階でシャカール君のことを認めていたのよ。でも、自分に素直になれないから、今まで反発していただけ。そんな時に、シャカール君が三冠王になったと言う知らせを聞いてね。パパは自分ことのように舞い上がっていたのよ。だからマーヤを呼び出して、彼のことを許してくれたって訳」
ママから事情を聞かされ、マーヤは思わずニヤニヤとしてしまい、パパを見つめます。
「なんだよ、その目は」
「うん、うん。なんでもないよ。パパも可愛いところがあるんだなって思っただけ」
「男に向かって可愛いとか言うな! 人によっては傷付くんだぞ! もう良い! 俺はさっさと飯食って風呂入って寝る」
どうやらマーヤの言葉に不貞腐れてしまったようです。
パパはそれ以上何も言うことはなく、黙々とツマミを食べ始めました。
何はともあれ、シャカールちゃんとの仲を認められた以上は、これからは頑張らないと!
「シャカールちゃんは~格好良い♪ マーヤのダークヒーロー♪」
大好きなシャカールちゃんのオリジナル曲を口遊ながら、マーヤは実家のある街へと戻って来ました。
実家へと帰る道、周囲を見渡しながら歩いていたけれど、ワシワシ詐欺のおじさんが魔物となって暴れた際に破壊していた建物は、大分復興が進んで殆ど元の状態となっているね。
「良かった。街が元に戻りつつあるようで」
街が本来の姿を取り戻しつつあることに安堵しながら歩いていると、行列の出来ているお店が視界に入ります。
「良かった。あれからも、お客さんが来てくれているんだ」
以前、シャカールちゃんの協力の元、潰れかけていたお店を立て直すことができたの。その結果、昔以上にお客さんが来てくれるようになったのだけど、その効果は今も持続しているみたい。
お店の状態も修復されているみたいだし、繁盛していることが分かって安心です。
「ただいま! マーヤ、帰って来たよ!」
お店の裏の入り口から入り、私は両親に帰省したことを伝えました。
「お、マーヤ。帰って来てくれたか。すまないが、厨房の手伝いをしてくれないか? 落ち着いたら、今度はママの方を手伝ってくれ」
「うぇ! いきなりお店の手伝い!」
帰ってくるなり、マーヤに投げかけられた言葉は、お店の手伝いでした。
お店が繁盛していることは嬉しいけれど、人手が足りない程忙しくなっているの!
「分かった! 何から始めれば良い?」
カウンターの上にママが客から聞いた注文が置いてある。それを見て、食材の用意をしてくれ」
「アイコピー!」
パパの指示にしたがい、マーヤはカウンターの上に置いてある注文の品を見て、必要な材料を判断し、必要な食材をテーブルの上に置いていきます。
「ありがとう。助かった」
パパからお礼を言われ、その後のマーヤは、実家のお手伝いに追われる時間を過ごしました。
お店が閉店の時間を迎え、最後の客が帰って行ったのを見送り、マーヤたちはやっと一息吐きます。
ふぅ、こんなにお客さんが多いなんて、思わなかった。
「マーヤ、お疲れ様、はい」
ママが水の入ったコップを手渡し、それを受けとると一気に喉に流し込みます。疲れた体に水が染み込むような感覚を覚え、仕事が終わったと言う実感をした瞬間に、一気に脱力感を覚えました。
「どうして、こんなに繁盛しているのに、バイトを雇わないの?」
マーヤは思ったことを訊ねました。
こんなに忙しい日々を送っているのなら、バイトを雇えば良いのに。
「それがねぇ、一応雇おうとはしているのだけど、パパが面接の段階で不採用にしているから、新しいバイトを雇えないのよ」
「だって、あんな腰抜けのやつらでは、雇ったところで3日と保たない。マーヤも今日1日働いて分かっただろう。並以上のスタミナがないやつは、長続きしない。だから体力のなさそうなやつらは不採用にしたと言う訳だ。パパやママ、そしてマーヤはこの仕事に慣れているから、毎日働いても問題はない」
いや、どこの脳筋理論なのよ。現役の走者であるマーヤでさえ、こんなに疲れているのに、問題ない訳がないじゃない。
「つまり、店が忙しくなったから、マーヤを呼びつけたの? 流石に実家と学園の往復には無理があるよ」
「いや、今回マーヤを呼び付けた理由は別にある。取り敢えず風呂にでも入って、疲れを落としてくれ。話はそれからだ」
風呂に入るように促され、マーヤはお風呂へと向かいます。
お風呂で体の汚れと疲れを取った後、寝巻き姿でパパとママの居る部屋へと向かいます。
「お、入浴を終えたようだな」
部屋に入ると、パパは晩酌をしていたようで、片手にお酒の入ったジョッキを持ちながら声をかけて来ました。そしてママは減ったジョッキにお酒を注いでいます。
「それで、マーヤを呼び出したのは、何故なの?」
パパの正面に座り、呼び出した理由を言うように促します。
「前にこの店の復興に協力してくれた少年、シャカールとか言ったか。彼とはどんな感じだ?」
突然シャカールちゃんの話題を始め、マーヤは驚きました。どちらかと言うと、パパはシャカールちゃんのことはあまり良く思っていないのです。娘のマーヤを大事にするばかりに、悪い虫のように思っているからです。
でも、問われたからには言わないといけません。
「うーん、まずまずかな? この前、妹さんのナナミちゃんからも気に入られてもらったから、少しは前進しているかも」
右手の人差し指を頬に当て、軽く小首を傾げます。
「そうか。実は、小耳に挟んだのだが、彼が三冠王になったと言うのは本当のことか?」
「うん、本当だよ。マーヤは事情があって、その瞬間を見てはいないのだけど。シャカールちゃんは三冠王になったよ」
「そう……か」
シャカールちゃんが三冠王になったことを告げると、パパは持っていたジョッキをテーブルの上に起きます。
「分かった。マーヤが本気なら、彼を自分のものにしてみせろ。三冠王となる実力があるのであれば、マーヤとも釣り合う」
え? パパが認めてくれた? いったいどういうこと?
困惑していると、ママが立ち上がり、こちらに来て耳打ちして来ました。
「パパはねぇ、お店を立て直した段階でシャカール君のことを認めていたのよ。でも、自分に素直になれないから、今まで反発していただけ。そんな時に、シャカール君が三冠王になったと言う知らせを聞いてね。パパは自分ことのように舞い上がっていたのよ。だからマーヤを呼び出して、彼のことを許してくれたって訳」
ママから事情を聞かされ、マーヤは思わずニヤニヤとしてしまい、パパを見つめます。
「なんだよ、その目は」
「うん、うん。なんでもないよ。パパも可愛いところがあるんだなって思っただけ」
「男に向かって可愛いとか言うな! 人によっては傷付くんだぞ! もう良い! 俺はさっさと飯食って風呂入って寝る」
どうやらマーヤの言葉に不貞腐れてしまったようです。
パパはそれ以上何も言うことはなく、黙々とツマミを食べ始めました。
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