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第九章
第二十話 マッスル先生登場!
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翌日、俺たちはいつもの日課である朝練を終え、朝食を食べ終えた後に午前のトレーニングに励もうと砂浜に集まっていた。
さて、今日はどんなトレーニングをするのだろうか?
「ルーナ、今日はどんなトレーニングをするんだ?」
トレーニングメニューが気になり、彼女に訊ねる。
「発表するからもう少し待ってくれ。まだ時間ではないのでな……お、どうやら到着したようだ」
ルーナが海の方に顔を向けたので、俺もそちらを見る。すると、遠くから木製の小舟がこちらに向かって来ているのが見えた。
目を凝らして見ると、顔は豚で肉体はゴリラと言う特徴から、魔族であることが分かった。
うん? どこかで見たことがあるような?
小舟が近付いて島に上陸すると、乗っていた魔族は砂浜に降り立つ。
俺よりも背が高いな。2メートル近くはあるんじゃないのか? それに筋肉が凄い。ぱっと見ただけで、只者ではないのを感じ取った。
「ルーナ学園長、此度を俺の生徒たちが迷惑をかけたな」
体格の良い魔族は、ルーナに向けて頭を下げる。
「いや、彼女たちが居たことで、面白い……楽しい日々を過ごせた。別に迷惑だと思ってはいないので、頭を上げてくれ。それに、ちゃんと詫びはしてくれるのだろう?」
「ああ、もちろんだ。今からでも構わないぞ」
「そうか。なら、早速始めてくれ……おっと、その前に自己紹介が先だったな。みんな、こいつはマッスル先生だ。体育専門の先生だ。今日は彼の指導の元、筋トレをしてもらう」
ルーナが軽く説明をすると、マッスル先生と呼ばれた魔族は一歩前に出た。
「ルーナ学園長から軽く説明があった通り、俺の名はマッスルだ。ピックと同じクラスメートの子はいるかな? 俺はあいつの兄だ」
ピックの兄と言われ、俺は衝撃を受けた。
あいつの兄かよ! どおりでどこかで見たことがあるような気がした訳だ。
「それでは早速トレーニングをしたいところだが……おや? 1人足りないではないか?」
マッスル先生が辺りを見渡す。
この場にはコールドシーフが居ない。彼女は夏合宿の間はトレーニングをせずに夏を満喫したいと言うことで、毎回隠れている。
しかし、一応メイドの仕事はしてくれるそうなので、みんな見て見ぬふりをしている。
「やはりあいつが居ないのか。この俺の授業から逃げられると思うな! みんな、少しの間だけ待っていてくれ」
待つように告げると、マッスル先生は別荘の方に向かった。そして暫くすると、彼はメイド姿の人物を担ぎ上げてこちらに向かって来る。
そして俺たちのところに戻ってくると、担ぎ上げていたメイドを砂浜に置いた。
「くそう! どうしてアタシが隠れているところが分かった!」
「ワハハハハ! 俺の筋肉センサーを舐めるではない! どこに隠れようと、筋肉が教えてくれるのだ! ワハハハハ!」
マッスル先生は声高らかに笑い声を上げる。
いや、筋肉センサーって何だよ! そんなもの、聞いたことがないぞ!
「とにかく、今から筋トレを始める。手始めに、君たちがどれくらい筋肉のことを理解しているのかを確認するために、軽くテストを行う。そこにプリティーガール」
「え、マーヤのこと?」
「そう、君だ! このダンベルを貸すから、普段の筋トレをしてみてくれ」
マーヤを指名したマッスル先生は自分の荷物からダンベルを取り出した。
大きさからすると、1キログラムしかなさそうだ。
「こんなに小さいので良いの? こんなのラクショーだよ!」
簡単だと言い、マーヤは素早くダンベルを持ち上げる。そしてあっという間に10回終わらせた。
しかし彼女の筋トレの風景を見た瞬間、マッスル先生の顔色が変わって行く。
「お前は筋トレをバカにしているのか!」
「きゃああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
いきなり怒鳴り声を浴びせられ、驚いたマーヤは握っていたダンベルを落とし、俺の後に隠れる。
「何だ! その力の入っていない筋トレは! たかがダンベル1キログラムだぁ? それなら手を抜いて良いとでも思っているのか! 筋トレを舐めるなあああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
顔を真っ赤にして怒鳴り声を上げるマッスル先生の姿に怯えたのか、マーヤが俺に腕を回し、抱きしめてくる。
「ははは、相変わらずのヒゴモッコスバイ。これだからみんなから嫌われるとタイ」
怒りを顕にするマッスル先生に対して、サザンクロスがポツリと言葉を漏らす。
「良いか! 筋トレに大事なことは、筋肉のことを理解することだ! 筋肉を理解し、筋肉の声に耳を傾ける。そうすれば、筋肉との対話だって可能だ! たく、まさかここまで筋トレを舐めているやつがいるとは。良いかお前ら! 次は絶対に筋肉のことを理解した筋トレをするように! さて、次は誰にさせるか。これ以上、俺の機嫌を損なわせるなよ」
マッスル先生がジロリと俺たちを睨んで来る。その姿に、タマモたちは萎縮してしまったようだ。
このままでは、まともなトレーニングができそうにないな。仕方がない。なるべく面倒事を避けるためにも、俺の方から動くとするか。
「マッスル先生、俺がやる」
「ほう、ハーレム王、お前がすると言うのか? 面白い、俺をガッカリさせるなよ」
誰がハーレム王だ! 変なニックネームを付けるな!
マーヤに離れるように伝え、彼女が落としたダンベルを拾う。
マッスル先生が先ほど言ったあのセリフ、理解に苦しむ発言ではあったが、一応ヒントは隠されていた。
筋肉はただ反動を付ければ良いと言うものではない。いかにして筋肉に負担をかけられるのかが大事だ。
俺はダンベルを持ち上げるその瞬間、腕に力を入れる。そしてまるで10キログラムのダンベルを持ち上げるかのようにゆっくりと動かした。そして下げるときも筋肉に負担をかけることを心がけてゆっくりと落とす。それを10回繰り返した。
「ブラボー! そうだ! 俺はそれが見たかった! ハーレム王、お前は見どころがあるじゃないか!俺は感動した!」
先ほどまで怒りを顕にしていたマッスル先生ではあったが、今は顔色が戻り、笑みを浮かべて拍手を送って来る。
どうやら、ただ短気と言うだけではなさそうだ。筋トレを愛するあまりに、普通の人よりも情熱的になっている。だから形だけの筋トレが我慢ならなかったのだろう。
「ハーレム王のやり方を見たか! 筋肉とは破壊と再生により成り立っている! 筋肉に負担をかけて筋肉の細胞を一度壊し、新たな強靭な細胞を作り出す。それを繰り返すことで、脂肪は筋肉へと変わり、太く、逞しい筋肉へと変わるのだ!」
どのように強靭な肉体が作られていくのかの説明をした後、彼は俺の肩に手を置く。
「その調子で、全身の筋肉を鍛えておくように。もちろん、股間の筋トレも欠かすなよ! 頻繁に勃起させておかないと、男性器の硬化時間が短くなってしまう。毎日とは言わないが、週2回は抜くついでに鍛えておくように」
さらりと下ネタを言ってくる。だが、きっと彼はこれでも真面目に言っているのだろう。マッスル先生から注がれる視線には、真剣な思いが感じ取れた。
そして何故か女性陣が俺の股間付近に視線が注がれているようにも思えた。
またしてもキャラが濃ゆいと言うか、変わった人が俺の知り合いに増えてしまったな。
さて、今日はどんなトレーニングをするのだろうか?
「ルーナ、今日はどんなトレーニングをするんだ?」
トレーニングメニューが気になり、彼女に訊ねる。
「発表するからもう少し待ってくれ。まだ時間ではないのでな……お、どうやら到着したようだ」
ルーナが海の方に顔を向けたので、俺もそちらを見る。すると、遠くから木製の小舟がこちらに向かって来ているのが見えた。
目を凝らして見ると、顔は豚で肉体はゴリラと言う特徴から、魔族であることが分かった。
うん? どこかで見たことがあるような?
小舟が近付いて島に上陸すると、乗っていた魔族は砂浜に降り立つ。
俺よりも背が高いな。2メートル近くはあるんじゃないのか? それに筋肉が凄い。ぱっと見ただけで、只者ではないのを感じ取った。
「ルーナ学園長、此度を俺の生徒たちが迷惑をかけたな」
体格の良い魔族は、ルーナに向けて頭を下げる。
「いや、彼女たちが居たことで、面白い……楽しい日々を過ごせた。別に迷惑だと思ってはいないので、頭を上げてくれ。それに、ちゃんと詫びはしてくれるのだろう?」
「ああ、もちろんだ。今からでも構わないぞ」
「そうか。なら、早速始めてくれ……おっと、その前に自己紹介が先だったな。みんな、こいつはマッスル先生だ。体育専門の先生だ。今日は彼の指導の元、筋トレをしてもらう」
ルーナが軽く説明をすると、マッスル先生と呼ばれた魔族は一歩前に出た。
「ルーナ学園長から軽く説明があった通り、俺の名はマッスルだ。ピックと同じクラスメートの子はいるかな? 俺はあいつの兄だ」
ピックの兄と言われ、俺は衝撃を受けた。
あいつの兄かよ! どおりでどこかで見たことがあるような気がした訳だ。
「それでは早速トレーニングをしたいところだが……おや? 1人足りないではないか?」
マッスル先生が辺りを見渡す。
この場にはコールドシーフが居ない。彼女は夏合宿の間はトレーニングをせずに夏を満喫したいと言うことで、毎回隠れている。
しかし、一応メイドの仕事はしてくれるそうなので、みんな見て見ぬふりをしている。
「やはりあいつが居ないのか。この俺の授業から逃げられると思うな! みんな、少しの間だけ待っていてくれ」
待つように告げると、マッスル先生は別荘の方に向かった。そして暫くすると、彼はメイド姿の人物を担ぎ上げてこちらに向かって来る。
そして俺たちのところに戻ってくると、担ぎ上げていたメイドを砂浜に置いた。
「くそう! どうしてアタシが隠れているところが分かった!」
「ワハハハハ! 俺の筋肉センサーを舐めるではない! どこに隠れようと、筋肉が教えてくれるのだ! ワハハハハ!」
マッスル先生は声高らかに笑い声を上げる。
いや、筋肉センサーって何だよ! そんなもの、聞いたことがないぞ!
「とにかく、今から筋トレを始める。手始めに、君たちがどれくらい筋肉のことを理解しているのかを確認するために、軽くテストを行う。そこにプリティーガール」
「え、マーヤのこと?」
「そう、君だ! このダンベルを貸すから、普段の筋トレをしてみてくれ」
マーヤを指名したマッスル先生は自分の荷物からダンベルを取り出した。
大きさからすると、1キログラムしかなさそうだ。
「こんなに小さいので良いの? こんなのラクショーだよ!」
簡単だと言い、マーヤは素早くダンベルを持ち上げる。そしてあっという間に10回終わらせた。
しかし彼女の筋トレの風景を見た瞬間、マッスル先生の顔色が変わって行く。
「お前は筋トレをバカにしているのか!」
「きゃああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
いきなり怒鳴り声を浴びせられ、驚いたマーヤは握っていたダンベルを落とし、俺の後に隠れる。
「何だ! その力の入っていない筋トレは! たかがダンベル1キログラムだぁ? それなら手を抜いて良いとでも思っているのか! 筋トレを舐めるなあああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
顔を真っ赤にして怒鳴り声を上げるマッスル先生の姿に怯えたのか、マーヤが俺に腕を回し、抱きしめてくる。
「ははは、相変わらずのヒゴモッコスバイ。これだからみんなから嫌われるとタイ」
怒りを顕にするマッスル先生に対して、サザンクロスがポツリと言葉を漏らす。
「良いか! 筋トレに大事なことは、筋肉のことを理解することだ! 筋肉を理解し、筋肉の声に耳を傾ける。そうすれば、筋肉との対話だって可能だ! たく、まさかここまで筋トレを舐めているやつがいるとは。良いかお前ら! 次は絶対に筋肉のことを理解した筋トレをするように! さて、次は誰にさせるか。これ以上、俺の機嫌を損なわせるなよ」
マッスル先生がジロリと俺たちを睨んで来る。その姿に、タマモたちは萎縮してしまったようだ。
このままでは、まともなトレーニングができそうにないな。仕方がない。なるべく面倒事を避けるためにも、俺の方から動くとするか。
「マッスル先生、俺がやる」
「ほう、ハーレム王、お前がすると言うのか? 面白い、俺をガッカリさせるなよ」
誰がハーレム王だ! 変なニックネームを付けるな!
マーヤに離れるように伝え、彼女が落としたダンベルを拾う。
マッスル先生が先ほど言ったあのセリフ、理解に苦しむ発言ではあったが、一応ヒントは隠されていた。
筋肉はただ反動を付ければ良いと言うものではない。いかにして筋肉に負担をかけられるのかが大事だ。
俺はダンベルを持ち上げるその瞬間、腕に力を入れる。そしてまるで10キログラムのダンベルを持ち上げるかのようにゆっくりと動かした。そして下げるときも筋肉に負担をかけることを心がけてゆっくりと落とす。それを10回繰り返した。
「ブラボー! そうだ! 俺はそれが見たかった! ハーレム王、お前は見どころがあるじゃないか!俺は感動した!」
先ほどまで怒りを顕にしていたマッスル先生ではあったが、今は顔色が戻り、笑みを浮かべて拍手を送って来る。
どうやら、ただ短気と言うだけではなさそうだ。筋トレを愛するあまりに、普通の人よりも情熱的になっている。だから形だけの筋トレが我慢ならなかったのだろう。
「ハーレム王のやり方を見たか! 筋肉とは破壊と再生により成り立っている! 筋肉に負担をかけて筋肉の細胞を一度壊し、新たな強靭な細胞を作り出す。それを繰り返すことで、脂肪は筋肉へと変わり、太く、逞しい筋肉へと変わるのだ!」
どのように強靭な肉体が作られていくのかの説明をした後、彼は俺の肩に手を置く。
「その調子で、全身の筋肉を鍛えておくように。もちろん、股間の筋トレも欠かすなよ! 頻繁に勃起させておかないと、男性器の硬化時間が短くなってしまう。毎日とは言わないが、週2回は抜くついでに鍛えておくように」
さらりと下ネタを言ってくる。だが、きっと彼はこれでも真面目に言っているのだろう。マッスル先生から注がれる視線には、真剣な思いが感じ取れた。
そして何故か女性陣が俺の股間付近に視線が注がれているようにも思えた。
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