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第九章

第十四話 裸の付き合いをしよう

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 サザンクロスと同じベッドで一夜を明かした俺は、眠れぬ夜を過ごし、寝不足となっていた。

 そのせいでトレーニングに集中できずに、ルーナから叱られてばかりの1日だった。

 本日のトレーニングが終わり、今はサザンクロスと脱衣所にいる。

「今日のヌシャーお前テレットぼーとしてイッチョン全然トレーニングに集中してナカッタタイなかったよドゲンどうしたと?」

 心配そうな顔で、彼が俺のことを見てくる。

 お前のせいだ! と言いたいところだが、これは俺自身の落ち度であるため、八つ当たりすることはできない。

 今日も彼と同じベッドで眠ることになる。今日こそは、しっかりと熟睡できるだろうか?

「それじゃ、先に浴室に行っているからな」

 先に浴室に入ることを伝え、脱衣所から浴室へと入る。

 風呂は男女兼用であり、男が先に浸かると言うルールらしいので、先に入らせてもらった。

 先に体を洗い、トレーニングで付着した汚れを洗い流す。

「よし、入るとするか」

 体を洗い終え、浴槽に浸かる。

 別荘とはいえ、スカーレット家の持ち家であるためか、浴槽は広い。

 おそらく、合宿に参加しているメンバー全員が入ることが可能だろう。

「お、ここの浴槽はダゴヒロカッとても広い! これなら疲れも吹き飛びそうバイだよ

「サザンクロス、やっとお前もき……た……か?」

 サザンクロスが浴室に入って来た瞬間、彼に視線を向ける。すると、彼の姿に衝撃を受ける。

 お前! ムスコをどこに置いて来た!

 彼の容姿は異常だった。男の象徴たる男性器が股間になく、そして胸のほうには膨らみがあった。

 え? 女? いや、いや、いや。そんな訳ない。確かに女みたいな見た目だが、あいつは自分の口で男だと言っていた。自分の体が異性と違うのはあの年なら理解しているはずだ。

 そう言えば、体と心の性別が違うと言う人物がいると言うのを聞いたことがあるな。

 いや、それなら彼の言動に違和感を感じる。サザンクロスは自分を本気で男だと思い込んでいる様子だった。もし、体と心が違うのであれば、初めてあった時にそう説明しているはずだ。

 きっと、寝不足のせいで、幻覚を見てしまったのだろう。

 そうだよな。サザンクロスが本当は女だったなんてこと、ありはしない。寝不足による幻覚に違いない。今日は彼が部屋に戻って来る前に眠るとしよう。2日連続で徹夜は体に良くないからな。

 就寝のことについて考えていると、サザンクロスは体を洗いに向かった。

 彼が浴槽に浸かりに来たときに、もう一度見よう。これは邪な気持ちではなく、確認のためだ。俺自身が安心するため、確認をしなければならない。

 そんなことを考えていると、サザンクロスは体を洗い終えたようで、こちらに向かって来る。

 ああ、これは悪夢だ。そうに決まっている。だって、彼が女である訳がない。

 こちらに向かって歩いて来るサザンクロスの股間には、男性器がなかった。そして女性のように、小振りながらもしっかりとした膨らみを持っていた。

「お前! ムスコを何処に置いてきた!」

 驚きのあまり、俺はその場で立ち上がる。そして彼に指を向けた。

 温泉のお湯で体の体温が上がり、上せ気味になっていたのかもしれない。俺は気が付くと、おかしな発言をしていた。

「息子? ナンバイイヨットネ何を言っているとね。自分に子供はいないタイ。そもそも、子どもの居る年でもナカドないど? お湯に浸かってノボスッタのぼせたと?」

 俺のおかしな言葉に対して、サザンクロスは平然とした口調で言葉を返す。

「お、お前、その体は!」

 今度こそ、はっきりと言う。

「ああ、これか。笑ってしまうだろう? この年になってもコギャンこんなダケンだから、驚くのはむりナカッない。どんなにトレーニングを積んで修練しても、いつまで立っても一人前の体にならないとタイ

 一人前の体? いったいどう言うことなんだ?

 思考を巡らしていると、サザンクロスからの視線を感じる。彼は、俺の股間を凝視していた。

 そして俺は反射的に立ち上がって、ムスコを曝け出していたことに気付く。

「うわっ!」

 咄嗟に両手で股間を隠す。

ナンバ何を隠すと! ソギャンそんなことをしないで、もっと自分にミセナッセ見せてよ

 俺のムスコを見たいだと! こいつはいったい何を考えている!

 サザンクロスの考えが分からず、困惑をしていると、彼は浴槽に足を入れ、こちらに近付く。

「見ての通り、自分はコギャンこんな年にもなっても、一人前の男の姿になっていない。だから、一人前の男の体がどんなものなのか、観察して目に焼き付けておきたいとタイ

 彼の言葉に益々混乱して来る。とにかく、一旦頭の中にある情報を整理しなければ。

「とにかく、お湯に疲れ、そして胸と股間を隠せ」

「どうして、自分がそんなオナゴのようなことをせんといかんと? オナゴは格好だけで十分タイだよ

「良いから言うことを聞いてくれ!」

「分かった。分かった。セカラシカうるさい。言うことを聞くケンから、あんまり大きな声を出さんといて」

 俺の指示に従い、サザンクロスは胸と股間部分を隠しながら湯船に浸かる。

 ふぅ、これで一旦は落ち着くことができるだろう。

 もう一度お湯に肩まで浸かり直し、彼に問いかける。

「それで、一人前の男ってどう言う意味だ?」

「言葉通りの意味だよ」

「いや、全然意味がわからないのだが」

「それじゃ、分かりやすくするとするか。では、自分から質問するから、それに答えてくれ。シャカールは、何歳頃からクリちゃんが男性器に成長した?」

「はぁ?」

 意味の分からない質問をされ、思わず間抜けな声が漏れる。

「だから、何歳からクリちゃんがそんなに逞しい男性器になったのかを問うているタイとよ

 お前の性教育は一体どんなものを受けていたんだ!

 クリちゃんと言うのは、女性器にある陰核のことを指しているのだろう。でも、それは母親の体内にいる段階で決まっており、成長と共に変化するものではない。

「単刀直入に言うぞ! お前は間違った知識を植え付けられている! 男か女かは、母親の体内に居る頃から決まっており、体内に居るころから男性器は存在している! 成長と共に変化するものではない! つまり、お前は男ではなく、女だ!」

 俺は彼女が性別を勘違いしていることに気付いてもらおうと、真実を告げる。

 すると彼、いや、彼女の肩は小ギザミに震えた。

「アハハハハ! ヌシャーお前は面白いことを言うな! 自分が本当は女で、クリちゃんは成長しない? そんな訳ないじゃないか。嘘を吐くなら、もっとマシな嘘を吐かんと、自分は騙せないバイ

 真実を告げるもサザンクロスには効果がなかった。俺の言葉を嘘だと捉えられ、笑われてしまう。

 このまま間違った知識で今後生活をさせる訳にはいかない。

 今のうちに彼女の誤った知識を正さなければ。

 どうするべきか考えていると、サザンクロスが俺の股間に手を伸ばしてくる。

「何をしようとした」

 咄嗟に立ち上がり、両手で股間を押さえてガードをしながら訪ねた。

「いや、一人前の男の男性器がどんなものか興味があって。この機会に触ってみようかと」

 ふざけるな!

 心の中で叫ぶ。

どうすれば良い? どうすればこの状況を打破することができる?
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