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第九章
第五話 夏の強化合宿
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期末テストが終わり、もう直ぐ夏の強化合宿が行われる日がやって来る。
「では、特別クラスの強化合宿メンバーを伝えます。このクラスには、2名の方が選ばれましたので、名前を呼ばれた方はプリントを取りに来てください」
特別クラスって確か、普通の夏の強化合宿とは違って、少人数で行う合宿メンバーだったよな。確かルーナのやつが監督となって指導を受けるとかなんとか。
クラスメートの奴らは、ルーナから直々に指導を受けることができると勇んでいたが、俺だったら避けたいところだ。
あいつと関わると面倒なことに巻き込まれそうな気がしてならない。
「シャカール君、シャカール君、聞こえていますか?」
特別クラスのことを考えていると、担任教師が俺の名を呼ぶ。俺がボーッとしていたから、注意を促しているのだろう。
「はーい、ちゃんと聞いていますよ」
気だるげに右手を上げ、話を聞いていたことをアピールする。すると、何故か担任教師の頬が膨れ上がって、怒っているような気がした。気がすると言うのも、彼女は感情を強く出さない。だからちょっとした行動で、こちらが察してあげないといけないのだ。
「聞いているのなら、前に来てください。タマモさんは既に来ていますよ」
少し語気を強めながら、教卓の方に来るようにと促してきた。
あれ? これって俺を注意したのではなく、俺が選ばれたから来いと言っているのか?
マジかよ。夏合宿までルーナの顔を見ないといけなくなるのかよ。
できることなら辞退したい。特別クラスの夏合宿に参加すれば、色々なことに巻き込まれそうな気がしてならなかった。
取り敢えず教卓の方へと向かい、担任教師の顔を見る。
「先生、すみません。特別クラスを辞退しても良いですか?」
「ダメです。特別クラスに選ばれた生徒1人につき、担任教師のボーナスが上がるので、私のボーナスのために強制参加です。もし、拒否をした場合、シャカール君が無理やり私を犯そうとしてきたと、全校生徒に嘘の話をばら撒きますよ」
お前のボーナスのために犠牲になれって言うのか! 生徒の自主性よりも金の方が大事ってか!
心の中で叫びつつ、肩を落とす。
どうやら俺は、担任教師の懐を温かくするためにも、何がなんでも特別クラスの夏合宿に参加させられるようだ。
「では、タマモさんとシャカール君に拍手をお願いします」
拍手をするように担任教師が促すと、クラスメートたちは一斉に手を叩き始める。
「では、こちらが特別クラス用のプリントになります」
担任教師からプリントを受け取り、紙に書かれている内容に目を通す。
「ちょっとこれ、いったいどう言うことなのですか!」
紙に視線を向けた瞬間、タマモが声を上げ、担任教師に詰め寄ってきた。彼女が声を上げて担任教師に詰め寄るのは珍しい。いったい何がそんなに彼女を驚かせたのだろうか。
「な、何をそんなに怒っているのですか?」
いきなり声を上げるタマモに対して、担任教師は困惑した表情で彼女に訊ねる。
「夏合宿をする場所が、スカーレット家の所有する島になっているのですが、どう言うことなのですか!」
「そ、そうなのですか。でも、場所はルーナ学園長が決めたことなので、私は何も知りません。そのことでしたら、直接ルーナ学園長の方に言ってくださいよ」
タマモの剣幕に押され、担任教師はおどおどとした様子でルーナに苦情を言うように伝える。
「分かりました。放課後にでも、学園長室に行ってみます。シャカール君、この後あなたにも付き合ってもらうから」
他の人の目もあるからか、タマモは俺のことを君付けで呼び、一緒にルーナに直談判をするように言われる。
「わ、分かった」
本当であれば、俺はあんまり関係ない。なので、断りたかったのだが、彼女の目は強制参加だと訴えていた。なので、断ると言うことが、俺の選択肢から外されてしまった。
それから普通クラスの夏合宿の話へと移り変わり、連絡事項が全て終わる。そしてホームルームが終わり、放課後になると、俺はタマモと一緒に学園長室を訪れた。
タマモが扉をノックすると、部屋の中からルーナが入室するように促す。
扉を開け、学園長室内に入ると、タマモは不機嫌そうな顔をしてルーナに近付く。
「おや、どうしたのだい? そんなに膨れっ面になって、せっかくの美人が台無しじゃないか?」
「ルーナ学園長、これ、どう言うことですか! どうして特別クラスの強化合宿の場所が、スカーレット家の所有する島になっているのですか!」
プリントを叩きつけるように机の上に置き、タマモは声音を強めて抗議を行う。
「ああ、そのことか。どうやらフェインのやつは、君に伝えていなかったようだな」
「兄さんが? と言うことは、これには兄さんも絡んでいるのですか?」
「そうだ。特別クラスの強化合宿の場所は、フェインの方から申し出てくれた。実際、ワタシも場所に困っていたからね。二つ返事で承諾したよ」
「兄さん、いったい何を考えているのよ」
兄の考えが分からないようで、タマモは困惑した表情を浮かべていた。
「彼の思惑を知りたいのであれば、君が直接聞き出すことだね。学園のリピートバードなら貸し出すから、直接訊ねてみると良いさ」
「そうですか。分かりました。では、お言葉に甘えてそうさせてもらいます」
ルーナの提案を受け入れると、タマモは小さく息を吐いた。彼女の中でも色々と気苦労があるのだろう。
「それで、シャカールはどうしてタマモと一緒にいるのだい? ワタシに何か用でもあるのか?」
「いや、別に用はない。タマモが心細いらしくってな。付き合って欲しいと頼まれたから、付いて来ただけだ」
「こ、心細いとは言っていないでしょうが! どうせ帰っても特にすることはなさそうだろうなと思ったから、時間潰しをさせてあげているのよ!」
ただタマモに付き添いを頼まれただけだと言ったが、俺の言葉が癇に障ったようだ。彼女は声を上げて否定してくる。
「と、とにかく。用が済んだ以上は、もうここには用はないわ。行くわよ」
1秒でもこの場から去りたいのか、タマモは語気を強めたまま踵を返してそのまま歩き、部屋から出て行く。
そしてそれから数日が過ぎ、夏合宿当日となった。
「あ、シャカールちゃんだ! やったー! シャカールちゃん、特別クラスに選ばれたんだね!」
特別クラスが集合する場所でメンバーが揃うのを待っていると、マーヤが俺のことを見つけて抱き付いて来た。
「マーヤ、お前も特別クラスに選ばれたのか」
「うん。こう見えても、マーヤは優秀だから。この夏の合宿で、シャカールちゃんのことをメロメロにして上げる。覚悟していてね! あ、そうそう。クリープちゃんも同じ特別クラスだよ」
「へー、そうなのか」
俺、タマモ、マーヤ、クリープが特別クラスに選ばれたのか。後、アイリンが居たら、シェアハウスのメンバーが全員揃うことになる。でも、さすがにアイリンは無理だな。何せ赤点を超ギリギリで逃れる程度だ。絶対に選ばれるはずがない。マーヤも、クリープも、ちゃんと選ばれる理由がある程の優勝な走者だ。
「とにかくマーヤ、離れてくれ。他の生徒の目もあるんだ。あんまり引っ付くな」
抱き付いて来るマーヤを引き剥がし、離れるように言う。
「マーヤはもっとシャカールちゃんとイチャイチャしたいのだけどなぁ。まぁ、いいや。夏合宿になれば、海でイチャイチャできるもんね!」
嫌そうな顔をしていたマーヤだったが、どうやら落とし所を見つけてくれたみたいだ。彼女が一歩分離れてくれたので、ホッとする。
「あれ? シャカールトレーナーじゃないですか? ここに居るってことは、シャカールトレーナーも特別クラスなのですか?」
「アイリン、嘘を吐くな。お前が特別クラスに入れるようなことがあれば、それは天変地異の前触れだ」
「う、嘘じゃないですよ! 本当に選ばれたのですから! それに、わたしが特別クラスに入ると天変地異が起きるって、あまりにも酷い言い方ですよ!」
真剣な眼差しでアイリンが訴えかけてくる。
この様子、もしかして本当にアイリンも特別クラスに入れたのか、もしかして誰かの書類と誤って入れ替わってしまったとか?
「アイネスビジンさんもどうしてなのかと怒っていましたが、プリントに書いてあることを読んだら、納得してくれました」
「プリントに書いてあったこと?」
「はい、こちらです」
アイリンからプリントを受け取り、内容を黙読する。
すると、採用理由のところにおバカ枠と書かれ、赤点を免れた人がもっと気を引き締めるために、優秀な人たちの行動を見て己を反省するためだと理由が書かれてある。
あ、なるほど、確かにこれなら、アイリンが採用されるのに十分な理由だ。
「疑ってしまってすまなかったな。まぁ、頑張ってくれ。次は普通の合宿に行けるといいな」
「どうしてアイネスビジンさんと同じ表情をするのですか! どんな理由であれ、特別クラスはすごいのですよ! つまり、わたしも凄いのです!」
「そうだな。凄い、凄い。だから次は普通に戻れるように頑張ってくれ」
俺の言葉を受け、アイリンは納得していないようで頬を膨らませる。まぁ、少しだけ揶揄って遊んでいるのは事実だ。
「後来ていないのは、クリープとタマモか」
アイリンを無視して辺りを見渡し、まだ来ていない2名を探す。するとウサギとキツネのケモノ族がこちらに向かって歩いて来ているのを目撃する。
「お待たせしました。まぁ! まさかシェアハウスのメンバー全員が揃っているなんて、ママは嬉しいです」
「待たせたわね。ちょっと、連絡を受けていたから遅れてしまったわ」
クリープとタマモがこの場に来ると、俺はタマモに近付く。そして彼女の耳に顔を近付け、小声で話した。
「何かフェインから聞き出せたか?」
「ダメだった。何か裏があると思うのだけど、フェイン兄さんはただの人助けだとしか言わなかったわ。この夏合宿、何かが起きるかもしれない。一応気を付けなさい」
「分かった」
小声で2人だけで話していると、複数の視線を感じ、タマモから1歩離れて辺りを見る。すると、タマモ以外の女子メンバーたちがこちらに視線を向けていた。
どうして、彼女たちはそんなに俺たちのことを見ているんだ?
「おや、どうやら全員が揃ったようだね。では、今から特別クラスの夏合宿の場へと向かおうじゃないか」
疑問に思っていると、ルーナがやって来る。
さて、どんな夏合宿になるのやら、少しだけ不安になってきたな。
「では、特別クラスの強化合宿メンバーを伝えます。このクラスには、2名の方が選ばれましたので、名前を呼ばれた方はプリントを取りに来てください」
特別クラスって確か、普通の夏の強化合宿とは違って、少人数で行う合宿メンバーだったよな。確かルーナのやつが監督となって指導を受けるとかなんとか。
クラスメートの奴らは、ルーナから直々に指導を受けることができると勇んでいたが、俺だったら避けたいところだ。
あいつと関わると面倒なことに巻き込まれそうな気がしてならない。
「シャカール君、シャカール君、聞こえていますか?」
特別クラスのことを考えていると、担任教師が俺の名を呼ぶ。俺がボーッとしていたから、注意を促しているのだろう。
「はーい、ちゃんと聞いていますよ」
気だるげに右手を上げ、話を聞いていたことをアピールする。すると、何故か担任教師の頬が膨れ上がって、怒っているような気がした。気がすると言うのも、彼女は感情を強く出さない。だからちょっとした行動で、こちらが察してあげないといけないのだ。
「聞いているのなら、前に来てください。タマモさんは既に来ていますよ」
少し語気を強めながら、教卓の方に来るようにと促してきた。
あれ? これって俺を注意したのではなく、俺が選ばれたから来いと言っているのか?
マジかよ。夏合宿までルーナの顔を見ないといけなくなるのかよ。
できることなら辞退したい。特別クラスの夏合宿に参加すれば、色々なことに巻き込まれそうな気がしてならなかった。
取り敢えず教卓の方へと向かい、担任教師の顔を見る。
「先生、すみません。特別クラスを辞退しても良いですか?」
「ダメです。特別クラスに選ばれた生徒1人につき、担任教師のボーナスが上がるので、私のボーナスのために強制参加です。もし、拒否をした場合、シャカール君が無理やり私を犯そうとしてきたと、全校生徒に嘘の話をばら撒きますよ」
お前のボーナスのために犠牲になれって言うのか! 生徒の自主性よりも金の方が大事ってか!
心の中で叫びつつ、肩を落とす。
どうやら俺は、担任教師の懐を温かくするためにも、何がなんでも特別クラスの夏合宿に参加させられるようだ。
「では、タマモさんとシャカール君に拍手をお願いします」
拍手をするように担任教師が促すと、クラスメートたちは一斉に手を叩き始める。
「では、こちらが特別クラス用のプリントになります」
担任教師からプリントを受け取り、紙に書かれている内容に目を通す。
「ちょっとこれ、いったいどう言うことなのですか!」
紙に視線を向けた瞬間、タマモが声を上げ、担任教師に詰め寄ってきた。彼女が声を上げて担任教師に詰め寄るのは珍しい。いったい何がそんなに彼女を驚かせたのだろうか。
「な、何をそんなに怒っているのですか?」
いきなり声を上げるタマモに対して、担任教師は困惑した表情で彼女に訊ねる。
「夏合宿をする場所が、スカーレット家の所有する島になっているのですが、どう言うことなのですか!」
「そ、そうなのですか。でも、場所はルーナ学園長が決めたことなので、私は何も知りません。そのことでしたら、直接ルーナ学園長の方に言ってくださいよ」
タマモの剣幕に押され、担任教師はおどおどとした様子でルーナに苦情を言うように伝える。
「分かりました。放課後にでも、学園長室に行ってみます。シャカール君、この後あなたにも付き合ってもらうから」
他の人の目もあるからか、タマモは俺のことを君付けで呼び、一緒にルーナに直談判をするように言われる。
「わ、分かった」
本当であれば、俺はあんまり関係ない。なので、断りたかったのだが、彼女の目は強制参加だと訴えていた。なので、断ると言うことが、俺の選択肢から外されてしまった。
それから普通クラスの夏合宿の話へと移り変わり、連絡事項が全て終わる。そしてホームルームが終わり、放課後になると、俺はタマモと一緒に学園長室を訪れた。
タマモが扉をノックすると、部屋の中からルーナが入室するように促す。
扉を開け、学園長室内に入ると、タマモは不機嫌そうな顔をしてルーナに近付く。
「おや、どうしたのだい? そんなに膨れっ面になって、せっかくの美人が台無しじゃないか?」
「ルーナ学園長、これ、どう言うことですか! どうして特別クラスの強化合宿の場所が、スカーレット家の所有する島になっているのですか!」
プリントを叩きつけるように机の上に置き、タマモは声音を強めて抗議を行う。
「ああ、そのことか。どうやらフェインのやつは、君に伝えていなかったようだな」
「兄さんが? と言うことは、これには兄さんも絡んでいるのですか?」
「そうだ。特別クラスの強化合宿の場所は、フェインの方から申し出てくれた。実際、ワタシも場所に困っていたからね。二つ返事で承諾したよ」
「兄さん、いったい何を考えているのよ」
兄の考えが分からないようで、タマモは困惑した表情を浮かべていた。
「彼の思惑を知りたいのであれば、君が直接聞き出すことだね。学園のリピートバードなら貸し出すから、直接訊ねてみると良いさ」
「そうですか。分かりました。では、お言葉に甘えてそうさせてもらいます」
ルーナの提案を受け入れると、タマモは小さく息を吐いた。彼女の中でも色々と気苦労があるのだろう。
「それで、シャカールはどうしてタマモと一緒にいるのだい? ワタシに何か用でもあるのか?」
「いや、別に用はない。タマモが心細いらしくってな。付き合って欲しいと頼まれたから、付いて来ただけだ」
「こ、心細いとは言っていないでしょうが! どうせ帰っても特にすることはなさそうだろうなと思ったから、時間潰しをさせてあげているのよ!」
ただタマモに付き添いを頼まれただけだと言ったが、俺の言葉が癇に障ったようだ。彼女は声を上げて否定してくる。
「と、とにかく。用が済んだ以上は、もうここには用はないわ。行くわよ」
1秒でもこの場から去りたいのか、タマモは語気を強めたまま踵を返してそのまま歩き、部屋から出て行く。
そしてそれから数日が過ぎ、夏合宿当日となった。
「あ、シャカールちゃんだ! やったー! シャカールちゃん、特別クラスに選ばれたんだね!」
特別クラスが集合する場所でメンバーが揃うのを待っていると、マーヤが俺のことを見つけて抱き付いて来た。
「マーヤ、お前も特別クラスに選ばれたのか」
「うん。こう見えても、マーヤは優秀だから。この夏の合宿で、シャカールちゃんのことをメロメロにして上げる。覚悟していてね! あ、そうそう。クリープちゃんも同じ特別クラスだよ」
「へー、そうなのか」
俺、タマモ、マーヤ、クリープが特別クラスに選ばれたのか。後、アイリンが居たら、シェアハウスのメンバーが全員揃うことになる。でも、さすがにアイリンは無理だな。何せ赤点を超ギリギリで逃れる程度だ。絶対に選ばれるはずがない。マーヤも、クリープも、ちゃんと選ばれる理由がある程の優勝な走者だ。
「とにかくマーヤ、離れてくれ。他の生徒の目もあるんだ。あんまり引っ付くな」
抱き付いて来るマーヤを引き剥がし、離れるように言う。
「マーヤはもっとシャカールちゃんとイチャイチャしたいのだけどなぁ。まぁ、いいや。夏合宿になれば、海でイチャイチャできるもんね!」
嫌そうな顔をしていたマーヤだったが、どうやら落とし所を見つけてくれたみたいだ。彼女が一歩分離れてくれたので、ホッとする。
「あれ? シャカールトレーナーじゃないですか? ここに居るってことは、シャカールトレーナーも特別クラスなのですか?」
「アイリン、嘘を吐くな。お前が特別クラスに入れるようなことがあれば、それは天変地異の前触れだ」
「う、嘘じゃないですよ! 本当に選ばれたのですから! それに、わたしが特別クラスに入ると天変地異が起きるって、あまりにも酷い言い方ですよ!」
真剣な眼差しでアイリンが訴えかけてくる。
この様子、もしかして本当にアイリンも特別クラスに入れたのか、もしかして誰かの書類と誤って入れ替わってしまったとか?
「アイネスビジンさんもどうしてなのかと怒っていましたが、プリントに書いてあることを読んだら、納得してくれました」
「プリントに書いてあったこと?」
「はい、こちらです」
アイリンからプリントを受け取り、内容を黙読する。
すると、採用理由のところにおバカ枠と書かれ、赤点を免れた人がもっと気を引き締めるために、優秀な人たちの行動を見て己を反省するためだと理由が書かれてある。
あ、なるほど、確かにこれなら、アイリンが採用されるのに十分な理由だ。
「疑ってしまってすまなかったな。まぁ、頑張ってくれ。次は普通の合宿に行けるといいな」
「どうしてアイネスビジンさんと同じ表情をするのですか! どんな理由であれ、特別クラスはすごいのですよ! つまり、わたしも凄いのです!」
「そうだな。凄い、凄い。だから次は普通に戻れるように頑張ってくれ」
俺の言葉を受け、アイリンは納得していないようで頬を膨らませる。まぁ、少しだけ揶揄って遊んでいるのは事実だ。
「後来ていないのは、クリープとタマモか」
アイリンを無視して辺りを見渡し、まだ来ていない2名を探す。するとウサギとキツネのケモノ族がこちらに向かって歩いて来ているのを目撃する。
「お待たせしました。まぁ! まさかシェアハウスのメンバー全員が揃っているなんて、ママは嬉しいです」
「待たせたわね。ちょっと、連絡を受けていたから遅れてしまったわ」
クリープとタマモがこの場に来ると、俺はタマモに近付く。そして彼女の耳に顔を近付け、小声で話した。
「何かフェインから聞き出せたか?」
「ダメだった。何か裏があると思うのだけど、フェイン兄さんはただの人助けだとしか言わなかったわ。この夏合宿、何かが起きるかもしれない。一応気を付けなさい」
「分かった」
小声で2人だけで話していると、複数の視線を感じ、タマモから1歩離れて辺りを見る。すると、タマモ以外の女子メンバーたちがこちらに視線を向けていた。
どうして、彼女たちはそんなに俺たちのことを見ているんだ?
「おや、どうやら全員が揃ったようだね。では、今から特別クラスの夏合宿の場へと向かおうじゃないか」
疑問に思っていると、ルーナがやって来る。
さて、どんな夏合宿になるのやら、少しだけ不安になってきたな。
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