117 / 269
第八章
第十二話 物理的に記憶を消すのみ
しおりを挟む
~ルーナ視点~
「うーん、朝か? いつの間に寝ていたのだろうか?」
目が覚めたワタシは、いつの間にか酔い潰れていたようで、降り注ぐ太陽光から朝になっていたことに気付く。
「いたたた。頭痛がする。さすがに飲み過ぎたか。まさかこのワタシが二日酔いになるとは」
心の中でため息を吐く。昨日は実家から連絡があり、その内容が最悪だった。つい、感情が乱れてしまい、久しぶりに酒を飲んで忘れようとしていた。
けれど、酒を飲んでいた間の記憶は完全に消えているが、酒を飲む前の記憶は残っている。
「はぁー、どうして都合良く忘れさせてくれないのだろうか」
楽しい記憶は忘れるが、嫌な記憶は残り続ける。それは生き物の防衛本能によるものだ。何かの過ちを犯した場合、同じことを繰り返さないために、自身の身を守ろうとして、嫌な記憶は教訓として残り続ける。
「二日酔いの状態だが、今日も仕事がある。しっかりと学園の運営に力を入れなければ……うん? 何か掴んでいるな? って、これは手首じゃないか! いたたたた」
誰かの手首を掴んでいることに驚き、声を上げてしまった。しかし、声を上げたことで脳を刺激してしまったことにより、頭痛が発生してしまう。
今は刺激になるようなことは避けた方が良さそうだ。ひとまず誰の手首を掴んでいるのか確認しなければ。
視線を下に向ける。
まさか、手首だけがあり、その先は何もないとか言う、ホラー展開なんてことは起きないよな?
更に視線を下げると、黒髪の男の子が床に寝ており、彼の腕を掴んでいることを知る。
シャ、シャシャ、シャカール! どうしてお前がワタシの部屋で寝ている!
床に寝ているのが魔の森で拾った教え子だと知り、心臓の鼓動が早鐘を打つ。それと同時に頭痛がぶり返してきた。
頭が痛い中、どうして彼がいるのか必死になって記憶を辿る。しかし、どんなに頑張って思い出そうとしても、酒を飲んでいる間の記憶は欠如しており、空白となっていた。
どうして彼がいるのかは不明だが、それを知っているのはシャカール自身だ。
ここは彼から聞くべきだろう。
「シャカール、おい、シャカール。起きろ。朝だぞ」
「うーん、まだ眠い、お願いだから後五分寝かせくれ。クリープ」
声をかけると、シャカールは仰向けから側臥位に体勢を変え、横向きになる。
どうやらワタシをクリープと間違えているようだ。つまり、彼は普段からクループに起こされる習慣を過ごしており、彼女は今のような寝顔をほぼ毎日見ていると言うことになる。
少しだけ羨ましいような気がするが、ワタシは大人だ。こんなことで軽い嫉妬をするほど、精神年齢は幼くはない。
「このワタシが起こしてやっていると言うのに、目覚めないとは、肝が据わっているではないか」
どうやって彼を起こそうかと思考を巡らせていると、ふっと良いアイディアを思い付く。
さすがワタシだ。二日酔いで頭が痛いが、脳の回転は早いようだ。
シャカールの耳元に口を近づけ、そっと囁く。
「早く目を覚さないと悪戯しちゃうぞ。フ~」
呟いた後、小さく息を吹きかける。すると、生暖かい息吹が彼の耳を通して鼓膜に触れたようで、違和感を検知したようだ。
半覚醒中の脳が完全に覚醒したようで、シャカールは目を見開く。そして状態を起こすと、直ぐに息を吹きかけた耳を両手で覆う。
「な、なんだ! 一体何が起きた」
「やっと起きたようだな。この寝坊助。もう朝だぞ」
声をかけると、シャカールは大きく見開いた目でワタシの方を見る。
「ルーナ……そうだった。俺はルーナに捕まって、ここで一泊をすることになったんだった」
ワタシがシャカールを捕まえた? その結果、彼がこの部屋で寝泊まりをすることになった? 全然記憶に残っていない。
「目が覚めたのなら、話してくれないか? 実は、酒を飲んでいる間の記憶がないのだよ」
正直に答えると、シャカールは小さく息を吐く。そして何故かワタシから視線を逸らした。
「なんだ? その目の逸らし方は? 何か後めたいことでもあるのか?」
「いや、後めたいことはない。ただ、この話をすれば、ルーナはきっと後悔することになると思ってだな」
「ワタシが後悔するだと!」
彼の話を聞けばワタシが後悔するだと! それほどのことをワタシはやらかしたと言うのか?
いや、シャカールのことだ。普段ワタシがオモチャとして弄っていることを根に持っているはずだ。きっと反撃とばかりに、ありもしないことを言う可能性がある。
「とにかく話してみろ。お前が何を言おうと動揺したりはしないはずだ」
「分かった。ルーナがそこまで言うのなら話してやる。お前は酒を飲んでいる最中に、リピートバードを使ってマーヤの店に注文をしてきた」
彼はワタシの机の上を指差す。机には注文したと思われるツマミが置かれていた。
あの料理を机に持って来た覚えはない。つまり、彼は今のところ本当のことを言っている。
「そしてお前はリピートバードにこう言った『酒のつまみになりそうなものを適当に持って来てくれ。あ、オマケのサインはシャカ~ル?のサインが良いよぉ。ちゃんと『愛するルーナお姉様へ』とメッセージも添えてね♡キャハハハ!』」
少々テレがあるのか、シャカールは恥ずかしそうにしながらワタシが言ったと思われる言葉を口にした。
このワタシがそんな間抜け丸出しの言葉を言っただと!
「そんなの嘘に決まっている! このワタシがそんなおめでたい頭をしたパリピのような発言をするはずがない!」
「俺だって、聞いた時は耳を疑ったさ。まさか、ルーナが酒に呑まれると、こんな風に変わってしまうなんて。俺だって信じたくはない……でも、事実なんだ。お前のメッセージを受け取ったリピートバードが、他の言葉で上書きされていなければ、履歴として残っているはずだ」
落ち込んだように肩を落とすシャカール。彼の姿を見て、もしや本当のことなのだろうかと思ってしまう。
いや、確かに真実味のある話だが、彼の作り話の可能性もある、シャカールは人を騙すのも得意だ。だから、ワタシを騙そうとして仕返しをしている可能性もまだ残っている。
「その後、料理を持って来た俺を見て、自分のことをお姉ちゃんと言ったり、俺に酒を注がせた挙句に熱くなったと言って、服を脱ぎ始めたりした。それを証明するのが、今のお前の状態だ」
指を向けられ視線を下に向ける。するとシャツのボタンが全て外された状態となっており、左右に分かれ、ブラが丸見えの状態となっていた。
「きゃああああああぁぁぁぁぁぁ!」
今の自分が半裸の状態であることを知り、思わず悲鳴を上げる。少女のように叫んだのは何年振りだろうか。
直ぐにソファーの上にある毛布で体を覆い、彼を睨む。
「ワタシは信じない。信じないからな。このワタシが、無敗の三冠王コレクターと呼ばれ、多くの種族から尊敬の眼差しを集めたこのワタシがそんなことをするはずがない」
「お前からしたらそう思いたいと思う気持ちは良く分かる。俺がお前の立場なら、同じように考えるさ。でも、証拠がある。これを覚えているか?」
シャカールがポケットから何かを取り出す。
「それは、前にワタシがシャカールに上げた録音機」
「そう、その通りだ。これには昨日のお前のセリフが全て録音されている」
シャカールが録音機を操作すると、録音された言葉が次々に再生されていく。
『シャカ~ル~! お姉ちゃん会いたかったぞ!』
『別に良いじゃないか。姉弟のスキンシップなんだし、これくらい許されるよぉ』
『誰が弟だ! 良い加減にしないか!』
『ムッ! そんなことを言うなんて、反抗期か? お姉ちゃん悲しいぞ。えーん、えん』
『やったー! さすがお姉ちゃんのシャカールだ! お姉ちゃんは嬉しいぞ!』
『ありがろう。シャカ~ル。お姉ちゃん。体がほれってきらよ』
『おい! ルーナ! 何をやっているんだ! やめろ!』
『な~に? シャカ~ル? まさか。お姉ちゃんの下着姿が見られないの? 別に構わないじゃないかきょうらいだし。ちゃんとこっちを見なさい』
次々と流れるワタシとシャカールの会話に一気に羞恥心が込み上げて来る。
「これを作ったお前なら分かるよな。この録音機に編集能力はないことくらい。つまり、この録音機に収録されている音声は、昨日起きた出来事が事実であると言う証明になる」
録音の証拠を出され、ワタシは一気に羞恥心が込み上げてきた。
もう、酒は飲み過ぎない。
「シャカール。頼む昨日の出来事は忘れてくれ」
忘れるように懇願し、頭を下げる。
「そうは言われても、あれだけインパクトのある出来事は、簡単には忘れられないって」
簡単には忘れられないと言われ、ワタシは絶望に叩き落とされる。
そうだよな。都合の良いように記憶が自分で消せれたのなら苦労はしない。つまり、自分ではなく、他人から記憶を消すようにすれば良いと言うことだ。
「ストーンハンマー」
小声で呟き、魔法を発動させる。すると空中に石でできたハンマーが現れ、ワタシの手に収まる。
「ま、待て! ルーナ! いくら記憶を無くしたいからと言って、物理的による記憶消去に頼るのは良くない。それにここは学園だ。学園内での魔法は御法度だろうが!」
「そんなこと関係ない。ワタシはこの学園のトップだ。つまり、校則などいくらでも変えられる。この瞬間だけは、ワタシだけが魔法の使用はOKだ!」
「そんな無茶苦茶な!」
悲鳴を上げながら逃げ惑うシャカールに、何度もハンマーを振り下ろす。しかし彼の頭部に命中させるは難しい。しばらくの間、ワタシとシャカールの追いかけっこは続くのであった。
「うーん、朝か? いつの間に寝ていたのだろうか?」
目が覚めたワタシは、いつの間にか酔い潰れていたようで、降り注ぐ太陽光から朝になっていたことに気付く。
「いたたた。頭痛がする。さすがに飲み過ぎたか。まさかこのワタシが二日酔いになるとは」
心の中でため息を吐く。昨日は実家から連絡があり、その内容が最悪だった。つい、感情が乱れてしまい、久しぶりに酒を飲んで忘れようとしていた。
けれど、酒を飲んでいた間の記憶は完全に消えているが、酒を飲む前の記憶は残っている。
「はぁー、どうして都合良く忘れさせてくれないのだろうか」
楽しい記憶は忘れるが、嫌な記憶は残り続ける。それは生き物の防衛本能によるものだ。何かの過ちを犯した場合、同じことを繰り返さないために、自身の身を守ろうとして、嫌な記憶は教訓として残り続ける。
「二日酔いの状態だが、今日も仕事がある。しっかりと学園の運営に力を入れなければ……うん? 何か掴んでいるな? って、これは手首じゃないか! いたたたた」
誰かの手首を掴んでいることに驚き、声を上げてしまった。しかし、声を上げたことで脳を刺激してしまったことにより、頭痛が発生してしまう。
今は刺激になるようなことは避けた方が良さそうだ。ひとまず誰の手首を掴んでいるのか確認しなければ。
視線を下に向ける。
まさか、手首だけがあり、その先は何もないとか言う、ホラー展開なんてことは起きないよな?
更に視線を下げると、黒髪の男の子が床に寝ており、彼の腕を掴んでいることを知る。
シャ、シャシャ、シャカール! どうしてお前がワタシの部屋で寝ている!
床に寝ているのが魔の森で拾った教え子だと知り、心臓の鼓動が早鐘を打つ。それと同時に頭痛がぶり返してきた。
頭が痛い中、どうして彼がいるのか必死になって記憶を辿る。しかし、どんなに頑張って思い出そうとしても、酒を飲んでいる間の記憶は欠如しており、空白となっていた。
どうして彼がいるのかは不明だが、それを知っているのはシャカール自身だ。
ここは彼から聞くべきだろう。
「シャカール、おい、シャカール。起きろ。朝だぞ」
「うーん、まだ眠い、お願いだから後五分寝かせくれ。クリープ」
声をかけると、シャカールは仰向けから側臥位に体勢を変え、横向きになる。
どうやらワタシをクリープと間違えているようだ。つまり、彼は普段からクループに起こされる習慣を過ごしており、彼女は今のような寝顔をほぼ毎日見ていると言うことになる。
少しだけ羨ましいような気がするが、ワタシは大人だ。こんなことで軽い嫉妬をするほど、精神年齢は幼くはない。
「このワタシが起こしてやっていると言うのに、目覚めないとは、肝が据わっているではないか」
どうやって彼を起こそうかと思考を巡らせていると、ふっと良いアイディアを思い付く。
さすがワタシだ。二日酔いで頭が痛いが、脳の回転は早いようだ。
シャカールの耳元に口を近づけ、そっと囁く。
「早く目を覚さないと悪戯しちゃうぞ。フ~」
呟いた後、小さく息を吹きかける。すると、生暖かい息吹が彼の耳を通して鼓膜に触れたようで、違和感を検知したようだ。
半覚醒中の脳が完全に覚醒したようで、シャカールは目を見開く。そして状態を起こすと、直ぐに息を吹きかけた耳を両手で覆う。
「な、なんだ! 一体何が起きた」
「やっと起きたようだな。この寝坊助。もう朝だぞ」
声をかけると、シャカールは大きく見開いた目でワタシの方を見る。
「ルーナ……そうだった。俺はルーナに捕まって、ここで一泊をすることになったんだった」
ワタシがシャカールを捕まえた? その結果、彼がこの部屋で寝泊まりをすることになった? 全然記憶に残っていない。
「目が覚めたのなら、話してくれないか? 実は、酒を飲んでいる間の記憶がないのだよ」
正直に答えると、シャカールは小さく息を吐く。そして何故かワタシから視線を逸らした。
「なんだ? その目の逸らし方は? 何か後めたいことでもあるのか?」
「いや、後めたいことはない。ただ、この話をすれば、ルーナはきっと後悔することになると思ってだな」
「ワタシが後悔するだと!」
彼の話を聞けばワタシが後悔するだと! それほどのことをワタシはやらかしたと言うのか?
いや、シャカールのことだ。普段ワタシがオモチャとして弄っていることを根に持っているはずだ。きっと反撃とばかりに、ありもしないことを言う可能性がある。
「とにかく話してみろ。お前が何を言おうと動揺したりはしないはずだ」
「分かった。ルーナがそこまで言うのなら話してやる。お前は酒を飲んでいる最中に、リピートバードを使ってマーヤの店に注文をしてきた」
彼はワタシの机の上を指差す。机には注文したと思われるツマミが置かれていた。
あの料理を机に持って来た覚えはない。つまり、彼は今のところ本当のことを言っている。
「そしてお前はリピートバードにこう言った『酒のつまみになりそうなものを適当に持って来てくれ。あ、オマケのサインはシャカ~ル?のサインが良いよぉ。ちゃんと『愛するルーナお姉様へ』とメッセージも添えてね♡キャハハハ!』」
少々テレがあるのか、シャカールは恥ずかしそうにしながらワタシが言ったと思われる言葉を口にした。
このワタシがそんな間抜け丸出しの言葉を言っただと!
「そんなの嘘に決まっている! このワタシがそんなおめでたい頭をしたパリピのような発言をするはずがない!」
「俺だって、聞いた時は耳を疑ったさ。まさか、ルーナが酒に呑まれると、こんな風に変わってしまうなんて。俺だって信じたくはない……でも、事実なんだ。お前のメッセージを受け取ったリピートバードが、他の言葉で上書きされていなければ、履歴として残っているはずだ」
落ち込んだように肩を落とすシャカール。彼の姿を見て、もしや本当のことなのだろうかと思ってしまう。
いや、確かに真実味のある話だが、彼の作り話の可能性もある、シャカールは人を騙すのも得意だ。だから、ワタシを騙そうとして仕返しをしている可能性もまだ残っている。
「その後、料理を持って来た俺を見て、自分のことをお姉ちゃんと言ったり、俺に酒を注がせた挙句に熱くなったと言って、服を脱ぎ始めたりした。それを証明するのが、今のお前の状態だ」
指を向けられ視線を下に向ける。するとシャツのボタンが全て外された状態となっており、左右に分かれ、ブラが丸見えの状態となっていた。
「きゃああああああぁぁぁぁぁぁ!」
今の自分が半裸の状態であることを知り、思わず悲鳴を上げる。少女のように叫んだのは何年振りだろうか。
直ぐにソファーの上にある毛布で体を覆い、彼を睨む。
「ワタシは信じない。信じないからな。このワタシが、無敗の三冠王コレクターと呼ばれ、多くの種族から尊敬の眼差しを集めたこのワタシがそんなことをするはずがない」
「お前からしたらそう思いたいと思う気持ちは良く分かる。俺がお前の立場なら、同じように考えるさ。でも、証拠がある。これを覚えているか?」
シャカールがポケットから何かを取り出す。
「それは、前にワタシがシャカールに上げた録音機」
「そう、その通りだ。これには昨日のお前のセリフが全て録音されている」
シャカールが録音機を操作すると、録音された言葉が次々に再生されていく。
『シャカ~ル~! お姉ちゃん会いたかったぞ!』
『別に良いじゃないか。姉弟のスキンシップなんだし、これくらい許されるよぉ』
『誰が弟だ! 良い加減にしないか!』
『ムッ! そんなことを言うなんて、反抗期か? お姉ちゃん悲しいぞ。えーん、えん』
『やったー! さすがお姉ちゃんのシャカールだ! お姉ちゃんは嬉しいぞ!』
『ありがろう。シャカ~ル。お姉ちゃん。体がほれってきらよ』
『おい! ルーナ! 何をやっているんだ! やめろ!』
『な~に? シャカ~ル? まさか。お姉ちゃんの下着姿が見られないの? 別に構わないじゃないかきょうらいだし。ちゃんとこっちを見なさい』
次々と流れるワタシとシャカールの会話に一気に羞恥心が込み上げて来る。
「これを作ったお前なら分かるよな。この録音機に編集能力はないことくらい。つまり、この録音機に収録されている音声は、昨日起きた出来事が事実であると言う証明になる」
録音の証拠を出され、ワタシは一気に羞恥心が込み上げてきた。
もう、酒は飲み過ぎない。
「シャカール。頼む昨日の出来事は忘れてくれ」
忘れるように懇願し、頭を下げる。
「そうは言われても、あれだけインパクトのある出来事は、簡単には忘れられないって」
簡単には忘れられないと言われ、ワタシは絶望に叩き落とされる。
そうだよな。都合の良いように記憶が自分で消せれたのなら苦労はしない。つまり、自分ではなく、他人から記憶を消すようにすれば良いと言うことだ。
「ストーンハンマー」
小声で呟き、魔法を発動させる。すると空中に石でできたハンマーが現れ、ワタシの手に収まる。
「ま、待て! ルーナ! いくら記憶を無くしたいからと言って、物理的による記憶消去に頼るのは良くない。それにここは学園だ。学園内での魔法は御法度だろうが!」
「そんなこと関係ない。ワタシはこの学園のトップだ。つまり、校則などいくらでも変えられる。この瞬間だけは、ワタシだけが魔法の使用はOKだ!」
「そんな無茶苦茶な!」
悲鳴を上げながら逃げ惑うシャカールに、何度もハンマーを振り下ろす。しかし彼の頭部に命中させるは難しい。しばらくの間、ワタシとシャカールの追いかけっこは続くのであった。
0
お気に入りに追加
32
あなたにおすすめの小説

日本列島、時震により転移す!
黄昏人
ファンタジー
2023年(現在)、日本列島が後に時震と呼ばれる現象により、500年以上の時を超え1492年(過去)の世界に転移した。移転したのは本州、四国、九州とその周辺の島々であり、現在の日本は過去の時代に飛ばされ、過去の日本は現在の世界に飛ばされた。飛ばされた現在の日本はその文明を支え、国民を食わせるためには早急に莫大な資源と食料が必要である。過去の日本は現在の世界を意識できないが、取り残された北海道と沖縄は国富の大部分を失い、戦国日本を抱え途方にくれる。人々は、政府は何を思いどうふるまうのか。

ブラックギルドマスターへ、社畜以下の道具として扱ってくれてあざーす!お陰で転職した俺は初日にSランクハンターに成り上がりました!
仁徳
ファンタジー
あらすじ
リュシアン・プライムはブラックハンターギルドの一員だった。
彼はギルドマスターやギルド仲間から、常人ではこなせない量の依頼を押し付けられていたが、夜遅くまで働くことで全ての依頼を一日で終わらせていた。
ある日、リュシアンは仲間の罠に嵌められ、依頼を終わらせることができなかった。その一度の失敗をきっかけに、ギルドマスターから無能ハンターの烙印を押され、クビになる。
途方に暮れていると、モンスターに襲われている女性を彼は見つけてしまう。
ハンターとして襲われている人を見過ごせないリュシアンは、モンスターから女性を守った。
彼は助けた女性が、隣町にあるハンターギルドのギルドマスターであることを知る。
リュシアンの才能に目をつけたギルドマスターは、彼をスカウトした。
一方ブラックギルドでは、リュシアンがいないことで依頼達成の効率が悪くなり、依頼は溜まっていく一方だった。ついにブラックギルドは町の住民たちからのクレームなどが殺到して町民たちから見放されることになる。
そんな彼らに反してリュシアンは新しい職場、新しい仲間と出会い、ブッラックギルドの経験を活かして最速でギルドランキング一位を獲得し、ギルドマスターや町の住民たちから一目置かれるようになった。
これはブラックな環境で働いていた主人公が一人の女性を助けたことがきっかけで人生が一変し、ホワイトなギルド環境で最強、無双、ときどきスローライフをしていく物語!

追放騎手の霊馬召喚〜トウカイテイオーを召喚できずに勘当された俺は、伝説の負け馬と共に霊馬競馬界で成り上がる!
仁徳
SF
この物語は、カクヨムの方でも投稿してあります。カクヨムでは高評価、レビューも多くいただいているので、それなりに面白い作品になっているかと。
知識0でも安心して読める競馬物語になっています。
S F要素があるので、ジャンルはS Fにしていますが、物語の雰囲気は現代ファンタジーの学園物が近いかと。
とりあえずは1話だけでも試し読みして頂けると助かります。
面白いかどうかは取り敢えず1話を読んで、その目で確かめてください。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

【書籍化】パーティー追放から始まる収納無双!~姪っ子パーティといく最強ハーレム成り上がり~
くーねるでぶる(戒め)
ファンタジー
【24年11月5日発売】
その攻撃、収納する――――ッ!
【収納】のギフトを賜り、冒険者として活躍していたアベルは、ある日、一方的にパーティから追放されてしまう。
理由は、マジックバッグを手に入れたから。
マジックバッグの性能は、全てにおいてアベルの【収納】のギフトを上回っていたのだ。
これは、3度にも及ぶパーティ追放で、すっかり自信を見失った男の再生譚である。
勇者パーティーにダンジョンで生贄にされました。これで上位神から押し付けられた、勇者の育成支援から解放される。
克全
ファンタジー
エドゥアルには大嫌いな役目、神与スキル『勇者の育成者』があった。力だけあって知能が低い下級神が、勇者にふさわしくない者に『勇者』スキルを与えてしまったせいで、上級神から与えられてしまったのだ。前世の知識と、それを利用して鍛えた絶大な魔力のあるエドゥアルだったが、神与スキル『勇者の育成者』には逆らえず、嫌々勇者を教育していた。だが、勇者ガブリエルは上級神の想像を絶する愚者だった。事もあろうに、エドゥアルを含む300人もの人間を生贄にして、ダンジョンの階層主を斃そうとした。流石にこのような下劣な行いをしては『勇者』スキルは消滅してしまう。対象となった勇者がいなくなれば『勇者の育成者』スキルも消滅する。自由を手に入れたエドゥアルは好き勝手に生きることにしたのだった。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

ユーヤのお気楽異世界転移
暇野無学
ファンタジー
死因は神様の当て逃げです! 地震による事故で死亡したのだが、原因は神社の扁額が当たっての即死。問題の神様は気まずさから俺を輪廻の輪から外し、異世界の神に俺をゆだねた。異世界への移住を渋る俺に、神様特典付きで異世界へ招待されたが・・・ この神様が超適当な健忘症タイプときた。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる