ブラックギルドマスターへ、社畜以下の道具として扱ってくれてあざーす!お陰で転職した俺は初日にSランクハンターに成り上がりました!

仁徳

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第十四章

第三話 こうなったら勝負だ!

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~フェルディナン視点~



「俺はあいつに復讐をしたい。だからお前の力を借りたい! 俺には、お前が必要なんだ!」

 俺ことフェルディナンは久しぶりに再開したリュシアンに、強力を求めた。

 真摯に頼み込むと、彼は胸の前で腕を組む。

 あの顔は何か考えている顔だな。確かに、俺はこれまでリュシアンを何度も陥れたし、連れ戻そうと勝負を挑んだことがある。

 そう簡単には首を縦には振ってくれないか。

「復讐には加担しないが、俺も個人的にはあの男に用がある。だからお前に力をかそう」

「それは本当か!」

 思わず感情的になり、勢いよく立ち上がる。

「ああ」

「なら話しは早い。今すぐに出発しよう」

「ちょっと待てよ。その前にエレーヌさんに依頼書の提出だ」

 リュシアンの言葉に、首を傾げる。

 どうして依頼書なんだ? 退職願の間違いではないのか?

「提出するのは退職願だろう?」

「はぁ? どうしてそうなってしまうんだよ」

 彼の返答に俺はようやく理解する。どうやら俺が言いたかったことが伝わっていなかったようだ。

「お前にはこのギルドを辞めてもらう。ペテンの行方が分からない以上は、この世界を歩き回らないといけない。限界がある以上、このギルドを辞めてもらう必要がある」

「分かった。それなら今の話しはなしだ」

「何だと!」

 リュシアンの返答に、俺は内心驚愕した。

「当たり前だろう。俺はこのギルドでの生活を気に入っている。だから、このギルドをやめるつもりはない」

「良かった! リュシアンピグレットが辞めたら、あたしも退職願を出さないといけないところだったわ」

 リュシアンのスカウトに失敗した中、内巻きモテロングの女が話しに割って入ってくる。

 この女は確か、砦でライトニングロウと戦った時にいたやつか。

「はい。この話しは終わりよ。さぁ、リュシアンピグレット。あたしと一緒に今日の任務を受けに行きましょう」

 女がリュシアンの腕を引っ張って立ち上がらせ、この場から連れ出そうとする。

 そうはいくか。今回ばかりはそう簡単には引き下がる訳にはいかない。

 鞘から大剣を抜くと、女の前に刃を振り下ろし、行手ゆくてを遮る。

「ちょっと、危ないじゃないのよ! ケガしたらどうしてくれるのよ!

 内巻きモテロングの女が喚くが、そんなことはお構いなしに、リュシアンを見る。

「悪いが今回ばかりは、はいそうですかっと簡単に諦める訳にはいかない! リュシアン、俺と勝負しろ! 俺が勝ったらこのギルドを辞めてもらう」

 声を上げて彼を睨む。

 絶対にこの機会を逃してたまるか。何としてもリュシアンをこちら側に引き込んでやる。

「分かった。その勝負受けよう」

リュシアンピグレット!」

「だけど、俺が勝ったら二度とこのギルドから引き剥がそうとはするな。それが条件だ」

「ああ、良いぜ。勝負方法は違いの得物を使っての撃ち合いだ。体のどこかに身につけているターゲットを先に破壊したやつの勝利だ。場所は闘技場でどうだ」

 勝負方法を伝えると、リュシアンは無言で頷く。

「決まりだな。俺は闘技場の支配人に交渉して場所を準備しておく。今から一時間後に来てくれ」

 場所と時間の説明をすると、大剣を鞘に収めてギルドを出て行く。

 さて、準備を始めるか。絶対にリュシアンをあのギルドから辞めさせて俺と一緒に行動してもらう。そのためにも、ちゃんと準備をしなければな。





 闘技場に入ると、カウンターには受付嬢がいた。

「お客様、申し訳ありませんが、闘技場のイベントはまだありません」

「いや、観客ではない。闘技場の支配人に話しがあって来た」

「あ、支配人のお客様でしたか。今お呼びいたしますので、少々お待ちください」

 受付嬢が一旦奥の部屋に向かうと、しばらくして一人の男が現れた。

「私がこの闘技場を仕切る支配人ですがあなたですか? 私に用があるって人は?」

「ああ、この闘技場に多くの客を呼び寄せるビックなイベントを持って来た」

「ほほう。それは何とも興味深い。ぜひお聞かせください」

 男の言葉にニヤリと口角を上げる。単純な男だ。儲け話ぽいことを言えば、簡単に乗りやがる。

「それはな、この俺とこの町に在籍しているSランクハンターの一騎討ちだ」

「一騎討ちですか? それでは客が集まってこないかと?」

 はぁ、こいつは何も分かっていないな。仕方がない。ここは詳細を教えてやるとするか。

「よく考えてみてくれ。Sランクハンターの戦いって一般人は見る機会もないだろう? そんな雲の上のような存在を間近に見ることができるんだ。それだけで人の興味を引くことができる」

「確かに、そう言われるとそんな気がしてきますね」

 支配人は顎に手を添え、思案顔を作る。

「それにそれだけではない。用意できるだけのモンスターを配置して俺たちの勝負を妨害させるんだ。結果的に俺たちは先にモンスターを倒さなければならない。気が付くとモンスター対ハンターの戦いに切り替わり、観客は多いに盛り上がるだろうよ」

「素晴らしい! 確かにそれなら、客を呼び寄せられるかもしれない! いいイベント話を持ち込んでくれてありがとう。君には感謝しないといけないな」

「なあに、お互い様だ。俺は場所を提供させてもらい、支配人は儲けることができる。お互いに強力関係だ」

 俺たちは握手を交わす。

 よし、よし、上手くいった。あとはリュシアンをぶっ倒すだけだ。素直に俺の言うことを聞かなかったことを後悔して、多くの人が見ている前で恥じをかかせてやる。
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