ブラックギルドマスターへ、社畜以下の道具として扱ってくれてあざーす!お陰で転職した俺は初日にSランクハンターに成り上がりました!

仁徳

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第十三章

第十二話 暗黒龍の伝説

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 ベルトラムさんからドスケベミエール二号さんの回収を完了した俺は、彼と一緒に街に戻っている。

「それで、ワシに聞きたいこととはなんだ?」

 歩きながら、ベルトラムさんが問うてきた。

「ベルトラムさんは、暗黒龍について何か知っていますか?」

 彼に訊ねたかったことを口にすると、ベルトラムさんはその場で立ち止まった。そして険しい顔をして俺を見る。

「ボウズはサウザーのことを知っておったな。確かに暗黒龍のことについて知っておいた方が良いだろう」

 そう前置きをすると、ベルトラムさんは伝龍について語り始める。

 彼の話によると、暗黒龍は言うまでもなく伝龍だ。ベルトラムさんの何代も前のご先祖様の時代に、この世界を力で支配しようとしていたモンスターらしい。

 やつに対抗するために、ハンターたちが協力し合い、暗黒龍と戦った。しかし討伐するまでには至らなかったようだ。

 サウザーが現れたことにより、止めを刺すことができずに、ハンターは封印することを決断する。

 魂を三分割にすると、三つの宝玉の中に魂を封じ込める。

 しかし、主の魂を取り戻そうとサウザーが襲い掛かったその瞬間、天より降りし三体のモンスターが現れ、サウザーを拘束した。

 そのモンスターたちが翼神龍ラープロテクション、巨神兵龍ジャイリスク、天空龍スリシオだそうだ。

 三体のモンスターの攻撃を受け、サウザーはその場から逃走し、この世に平和が訪れた。

「それが、いにしえの時代より語り継がれる暗黒龍伝説だ。だが、実はこれには歴史の闇に葬り去られた続きがある」

「続きですか?」

 ベルトラムさんの話を聞きながら、俺は固唾を呑む。

「今から五十年ほど前に、実は暗黒龍が復活しているんだ」

「暗黒龍が復活! そんなバカな! そんな歴史、聞いたことがありませんよ」

「だから歴史の闇に葬り去られたと言っておろう。ワシが二十台だったころ、親友のリカルト・リバスと一緒に封印が解けた暗黒龍と戦い、魂を再度封印したのだ」

 ベルトラムさんの話を聞き、俺は色々なことを納得できた。

 暗黒龍と戦った経験があるから、サウザーのことを知っていたのか。それにしてもリバスっていう苗字はどこかで聞いたことがあるような?

 思考を巡らせて記憶を辿ると、ある人物と苗字が同じであることに気付く。

 そういえば、セシリオさんも苗字がリバスだ。それに彼はベルトラムさんの名を言ったときに、妙に動揺をしていた。何か関わりがあるのかもしれない。

「ベルトラムさん、セシリオ・リバスって言う人の名前に心当たりがあったりしませんか?」

「お、懐かしい名だな。ボウズはあやつとあったことがあるのか? セシリオはリカルトの孫だ」

「セシリオさんが、ベルトラムさんの親友の孫」

 セシリオさんのお爺さんは暗黒龍の魂を再度封印することに貢献した。だけどセシリオさんは復讐を果たすために暗黒龍の復活を望んでいる。

 やっぱり彼には、何かしらの事情がありそうだ。暗黒龍の封印が解かれるとどうなるのか、お爺さんから聞いているはず。

「どうやら何かあったようだな。よければ話してくれないか?」

 俺の表情から察したのだろう。ベルトラムさんは話すように促す。

 彼に話せば、セシリオさんの真意を知ることができるかもしれない。

「実は――」

 俺はセシリオさんの依頼で天空龍スリシオの無力化に向かい、そこで裏切られたことを話す。

「なるほどな。あやつが暗黒龍を復活させようとしているのか。全く、祖父に似て無茶をする」

 どうやら今の話でベルトラムさんは何かに気付いたようだ。

 セシリオさんがなんで敵に寝返ったのか、それが知りたい俺は彼に訊ねる。

「ベルトラムさんはセシリオさんの真意に気付いたのですね。教えてください。どうしてセシリオさんは、暗黒龍を復活させようとするのですか!」

「そんなにジッと見るではない。恥ずかしいではないか」

 ジッと彼を見つめるといきなりベルトラムさんが両手を頬に当て、体をくねらせてふざけ出す。

 このハゲジジイ、いきなりふざけやがって。

「ふざけていないで教えてください! 俺は真剣に聞いているのですよ」

 ベルトラムさんの肩を握り、真剣に見つめる。

「ふぅー、分かった。はぐらかすのは止めよう。だが、話してやる訳にはいかない。今話せば、ボウズは直ぐに飛び出すだろう。何も準備をしないで行動すると、痛み目に遭う」

「そんな」

「まぁ、安心せい。時が来ればその時に話してやる。まだ満月ではないからな。その時までボウズは力を付けるんだ。きっとお前が強くなれば、あやつの方から話してくれるであろう」

 釈然としないまま、俺たちは街へと帰って行く。
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