ブラックギルドマスターへ、社畜以下の道具として扱ってくれてあざーす!お陰で転職した俺は初日にSランクハンターに成り上がりました!

仁徳

文字の大きさ
上 下
153 / 171
第十三章

第十二話 暗黒龍の伝説

しおりを挟む
 ベルトラムさんからドスケベミエール二号さんの回収を完了した俺は、彼と一緒に街に戻っている。

「それで、ワシに聞きたいこととはなんだ?」

 歩きながら、ベルトラムさんが問うてきた。

「ベルトラムさんは、暗黒龍について何か知っていますか?」

 彼に訊ねたかったことを口にすると、ベルトラムさんはその場で立ち止まった。そして険しい顔をして俺を見る。

「ボウズはサウザーのことを知っておったな。確かに暗黒龍のことについて知っておいた方が良いだろう」

 そう前置きをすると、ベルトラムさんは伝龍について語り始める。

 彼の話によると、暗黒龍は言うまでもなく伝龍だ。ベルトラムさんの何代も前のご先祖様の時代に、この世界を力で支配しようとしていたモンスターらしい。

 やつに対抗するために、ハンターたちが協力し合い、暗黒龍と戦った。しかし討伐するまでには至らなかったようだ。

 サウザーが現れたことにより、止めを刺すことができずに、ハンターは封印することを決断する。

 魂を三分割にすると、三つの宝玉の中に魂を封じ込める。

 しかし、主の魂を取り戻そうとサウザーが襲い掛かったその瞬間、天より降りし三体のモンスターが現れ、サウザーを拘束した。

 そのモンスターたちが翼神龍ラープロテクション、巨神兵龍ジャイリスク、天空龍スリシオだそうだ。

 三体のモンスターの攻撃を受け、サウザーはその場から逃走し、この世に平和が訪れた。

「それが、いにしえの時代より語り継がれる暗黒龍伝説だ。だが、実はこれには歴史の闇に葬り去られた続きがある」

「続きですか?」

 ベルトラムさんの話を聞きながら、俺は固唾を呑む。

「今から五十年ほど前に、実は暗黒龍が復活しているんだ」

「暗黒龍が復活! そんなバカな! そんな歴史、聞いたことがありませんよ」

「だから歴史の闇に葬り去られたと言っておろう。ワシが二十台だったころ、親友のリカルト・リバスと一緒に封印が解けた暗黒龍と戦い、魂を再度封印したのだ」

 ベルトラムさんの話を聞き、俺は色々なことを納得できた。

 暗黒龍と戦った経験があるから、サウザーのことを知っていたのか。それにしてもリバスっていう苗字はどこかで聞いたことがあるような?

 思考を巡らせて記憶を辿ると、ある人物と苗字が同じであることに気付く。

 そういえば、セシリオさんも苗字がリバスだ。それに彼はベルトラムさんの名を言ったときに、妙に動揺をしていた。何か関わりがあるのかもしれない。

「ベルトラムさん、セシリオ・リバスって言う人の名前に心当たりがあったりしませんか?」

「お、懐かしい名だな。ボウズはあやつとあったことがあるのか? セシリオはリカルトの孫だ」

「セシリオさんが、ベルトラムさんの親友の孫」

 セシリオさんのお爺さんは暗黒龍の魂を再度封印することに貢献した。だけどセシリオさんは復讐を果たすために暗黒龍の復活を望んでいる。

 やっぱり彼には、何かしらの事情がありそうだ。暗黒龍の封印が解かれるとどうなるのか、お爺さんから聞いているはず。

「どうやら何かあったようだな。よければ話してくれないか?」

 俺の表情から察したのだろう。ベルトラムさんは話すように促す。

 彼に話せば、セシリオさんの真意を知ることができるかもしれない。

「実は――」

 俺はセシリオさんの依頼で天空龍スリシオの無力化に向かい、そこで裏切られたことを話す。

「なるほどな。あやつが暗黒龍を復活させようとしているのか。全く、祖父に似て無茶をする」

 どうやら今の話でベルトラムさんは何かに気付いたようだ。

 セシリオさんがなんで敵に寝返ったのか、それが知りたい俺は彼に訊ねる。

「ベルトラムさんはセシリオさんの真意に気付いたのですね。教えてください。どうしてセシリオさんは、暗黒龍を復活させようとするのですか!」

「そんなにジッと見るではない。恥ずかしいではないか」

 ジッと彼を見つめるといきなりベルトラムさんが両手を頬に当て、体をくねらせてふざけ出す。

 このハゲジジイ、いきなりふざけやがって。

「ふざけていないで教えてください! 俺は真剣に聞いているのですよ」

 ベルトラムさんの肩を握り、真剣に見つめる。

「ふぅー、分かった。はぐらかすのは止めよう。だが、話してやる訳にはいかない。今話せば、ボウズは直ぐに飛び出すだろう。何も準備をしないで行動すると、痛み目に遭う」

「そんな」

「まぁ、安心せい。時が来ればその時に話してやる。まだ満月ではないからな。その時までボウズは力を付けるんだ。きっとお前が強くなれば、あやつの方から話してくれるであろう」

 釈然としないまま、俺たちは街へと帰って行く。
しおりを挟む
感想 29

あなたにおすすめの小説

Sランク昇進を記念して追放された俺は、追放サイドの令嬢を助けたことがきっかけで、彼女が押しかけ女房のようになって困る!

仁徳
ファンタジー
シロウ・オルダーは、Sランク昇進をきっかけに赤いバラという冒険者チームから『スキル非所持の無能』とを侮蔑され、パーティーから追放される。 しかし彼は、異世界の知識を利用して新な魔法を生み出すスキル【魔学者】を使用できるが、彼はそのスキルを隠し、無能を演じていただけだった。 そうとは知らずに、彼を追放した赤いバラは、今までシロウのサポートのお陰で強くなっていたことを知らずに、ダンジョンに挑む。だが、初めての敗北を経験したり、その後借金を背負ったり地位と名声を失っていく。 一方自由になったシロウは、新な町での冒険者活動で活躍し、一目置かれる存在となりながら、追放したマリーを助けたことで惚れられてしまう。手料理を振る舞ったり、背中を流したり、それはまるで押しかけ女房だった! これは、チート能力を手に入れてしまったことで、無能を演じたシロウがパーティーを追放され、その後ソロとして活躍して無双すると、他のパーティーから追放されたエルフや魔族といった様々な追放少女が集まり、いつの間にかハーレムパーティーを結成している物語!

俺だけLVアップするスキルガチャで、まったりダンジョン探索者生活も余裕です ~ガチャ引き楽しくてやめられねぇ~

シンギョウ ガク
ファンタジー
仕事中、寝落ちした明日見碧(あすみ あおい)は、目覚めたら暗い洞窟にいた。 目の前には蛍光ピンクのガチャマシーン(足つき)。 『初心者優遇10連ガチャ開催中』とか『SSRレアスキル確定』の誘惑に負け、金色のコインを投入してしまう。 カプセルを開けると『鑑定』、『ファイア』、『剣術向上』といったスキルが得られ、次々にステータスが向上していく。 ガチャスキルの力に魅了された俺は魔物を倒して『金色コイン』を手に入れて、ガチャ引きまくってたらいつのまにか強くなっていた。 ボスを討伐し、初めてのダンジョンの外に出た俺は、相棒のガチャと途中で助けた異世界人アスターシアとともに、異世界人ヴェルデ・アヴニールとして、生き延びるための自由気ままな異世界の旅がここからはじまった。

無能扱いされた実は万能な武器職人、Sランクパーティーに招かれる~理不尽な理由でパーティーから追い出されましたが、恵まれた新天地で頑張ります~

詩葉 豊庸(旧名:堅茹でパスタ)
ファンタジー
鍛冶職人が武器を作り、提供する……なんてことはもう古い時代。 現代のパーティーには武具生成を役目とするクリエイターという存在があった。 アレンはそんなクリエイターの一人であり、彼もまたとある零細パーティーに属していた。 しかしアレンはパーティーリーダーのテリーに理不尽なまでの要望を突きつけられる日常を送っていた。 本当は彼の適性に合った武器を提供していたというのに…… そんな中、アレンの元に二人の少女が歩み寄ってくる。アレンは少女たちにパーティーへのスカウトを受けることになるが、後にその二人がとんでもない存在だったということを知る。 後日、アレンはテリーの裁量でパーティーから追い出されてしまう。 だが彼はクビを宣告されても何とも思わなかった。 むしろ、彼にとってはこの上なく嬉しいことだった。 これは万能クリエイター(本人は自覚無し)が最高の仲間たちと紡ぐ冒険の物語である。

スキル間違いの『双剣士』~一族の恥だと追放されたが、追放先でスキルが覚醒。気が付いたら最強双剣士に~

きょろ
ファンタジー
この世界では5歳になる全ての者に『スキル』が与えられる――。 洗礼の儀によってスキル『片手剣』を手にしたグリム・レオハートは、王国で最も有名な名家の長男。 レオハート家は代々、女神様より剣の才能を与えられる事が多い剣聖一族であり、グリムの父は王国最強と謳われる程の剣聖であった。 しかし、そんなレオハート家の長男にも関わらずグリムは全く剣の才能が伸びなかった。 スキルを手にしてから早5年――。 「貴様は一族の恥だ。最早息子でも何でもない」 突如そう父に告げられたグリムは、家族からも王国からも追放され、人が寄り付かない辺境の森へと飛ばされてしまった。 森のモンスターに襲われ絶対絶命の危機に陥ったグリム。ふと辺りを見ると、そこには過去に辺境の森に飛ばされたであろう者達の骨が沢山散らばっていた。 それを見つけたグリムは全てを諦め、最後に潔く己の墓を建てたのだった。 「どうせならこの森で1番派手にしようか――」 そこから更に8年――。 18歳になったグリムは何故か辺境の森で最強の『双剣士』となっていた。 「やべ、また力込め過ぎた……。双剣じゃやっぱ強すぎるな。こりゃ1本は飾りで十分だ」 最強となったグリムの所へ、ある日1体の珍しいモンスターが現れた。 そして、このモンスターとの出会いがグレイの運命を大きく動かす事となる――。

追放された最強賢者は悠々自適に暮らしたい

桐山じゃろ
ファンタジー
魔王討伐を成し遂げた魔法使いのエレルは、勇者たちに裏切られて暗殺されかけるも、さくっと逃げおおせる。魔法レベル1のエレルだが、その魔法と魔力は単独で魔王を倒せるほど強力なものだったのだ。幼い頃には親に売られ、どこへ行っても「貧民出身」「魔法レベル1」と虐げられてきたエレルは、人間という生き物に嫌気が差した。「もう人間と関わるのは面倒だ」。森で一人でひっそり暮らそうとしたエレルだったが、成り行きで狐に絆され姫を助け、更には快適な生活のために行ったことが切っ掛けで、その他色々が勝手に集まってくる。その上、国がエレルのことを探し出そうとしている。果たしてエレルは思い描いた悠々自適な生活を手に入れることができるのか。※小説家になろう、カクヨムでも掲載しています

回復力が低いからと追放された回復術師、規格外の回復能力を持っていた。

名無し
ファンタジー
回復術師ピッケルは、20歳の誕生日、パーティーリーダーの部屋に呼び出されると追放を言い渡された。みぐるみを剥がされ、泣く泣く部屋をあとにするピッケル。しかし、この時点では仲間はもちろん本人さえも知らなかった。ピッケルの回復術師としての能力は、想像を遥かに超えるものだと。

お荷物認定を受けてSSS級PTを追放されました。でも実は俺がいたからSSS級になれていたようです。

幌須 慶治
ファンタジー
S級冒険者PT『疾風の英雄』 電光石火の攻撃で凶悪なモンスターを次々討伐して瞬く間に最上級ランクまで上がった冒険者の夢を体現するPTである。 龍狩りの一閃ゲラートを筆頭に極炎のバーバラ、岩盤砕きガイル、地竜射抜くローラの4人の圧倒的な火力を以って凶悪モンスターを次々と打ち倒していく姿は冒険者どころか庶民の憧れを一身に集めていた。 そんな中で俺、ロイドはただの盾持ち兼荷物運びとして見られている。 盾持ちなのだからと他の4人が動く前に現地で相手の注意を引き、模擬戦の時は2対1での攻撃を受ける。 当然地味な役割なのだから居ても居なくても気にも留められずに居ないものとして扱われる。 今日もそうして地竜を討伐して、俺は1人後処理をしてからギルドに戻る。 ようやく帰り着いた頃には日も沈み酒場で祝杯を挙げる仲間たちに報酬を私に近づいた時にそれは起こる。 ニヤついた目をしたゲラートが言い放つ 「ロイド、お前役にたたなすぎるからクビな!」 全員の目と口が弧を描いたのが見えた。 一応毎日更新目指して、15話位で終わる予定です。 作品紹介に出てる人物、主人公以外重要じゃないのはご愛嬌() 15話で終わる気がしないので終わるまで延長します、脱線多くてごめんなさい 2020/7/26

出戻り国家錬金術師は村でスローライフを送りたい

新川キナ
ファンタジー
主人公の少年ジンが村を出て10年。 国家錬金術師となって帰ってきた。 村の見た目は、あまり変わっていないようでも、そこに住む人々は色々と変化してて…… そんな出戻り主人公が故郷で錬金工房を開いて生活していこうと思っていた矢先。王都で付き合っていた貧乏貴族令嬢の元カノが突撃してきた。 「私に貴方の子種をちょうだい!」 「嫌です」 恋に仕事に夢にと忙しい田舎ライフを送る青年ジンの物語。 ※話を改稿しました。内容が若干変わったり、登場人物が増えたりしています。

処理中です...