ブラックギルドマスターへ、社畜以下の道具として扱ってくれてあざーす!お陰で転職した俺は初日にSランクハンターに成り上がりました!

仁徳

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第十三章

第五話 エロ本に釣られないなんてお前偽物だな。

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「あなたは!」

 背後から聞き覚えのある声が聞こえ、俺は振り向く。するとそこにはスキンヘッドのお爺さんが立っていた。

「ベルトラムさん、無事だったのですね」

「ああ、どうにかな。これでも元ハンターだ。ハクギンロウ相手ならおくれをとることなどない。だが、さすがに年には勝てぬな。この後の戦闘はボウズに任せたい。エレーヌはワシが持とう」

「いえ、大丈夫です。エレーヌさんを背負っても戦うことはできます。これでも一応Sランクハンターですので」

 ベルトラムさんが手を差し伸ばすも、俺はその申し出を断る。

 何やかんやで、エレーヌさんもベルトラムさんに触れられることを嫌がっているからな。もし、彼女が目を覚ましたとき、ベルトラムさんに抱き抱えられていることを知ったら、我を忘れて暴れるかもしれない。

 俺にまで飛び火が来ることも考えると、ここは俺が背負った方が一番平和的な解決となるだろう。

 当然背負いながらの戦闘に発展すれば、彼女を気にしながら戦わないといけない。なので、やりにくさはあるがそこは俺の力量次第だ。

 お姫様抱っこからおんぶに変える。ギルドマスターを背負った瞬間、彼女の豊満な胸が背中に当たってしまう。

 まぁ、これに関しては仕方がない。変に意識しなければ良い話だ。

「そうか。ボウズがそう言うのなら、ワシは楽をさせてもらうとしよう。さぁ、みんなが避難している場所に向かうとするか」

 ベルトラムさんがきびすを返すと、ギルドから出て行く。

 あれ? ベルトラムさん妙にあっさりしていないか? 普段だったらもう少し粘りそうな気がするのだけど?

 まぁ、さすがに今はふざけていられる状況ではないからな。そのことを理解したうえでの行動だろう。

 彼に続いてギルドを出ると、ベルトラムさんの後を着いて行く。

「町のみんなはどこに避難したのですか?」

「深緑の森だ」

 深緑の森か。確かにあそこなら危険なモンスターはいないけど、たまにクイーンフレイヤが出てくるからな。他にハンターはいるだろうけど、正直俺やユリヤたちを除いたメンバーでは心もとないかもしれない。

 そう言えば、テレーゼたちとまだ合流していないよな。

「ベルトラムさん待ってください」

「何だ? 早くしないと、また幻覚のハクギンロウが襲ってくるかもしれないぞ」

「それは分かっています。ですが、俺はエリーザ姫たちとこの町に戻って来ました。俺が先行して先に町に戻ってきたので、今ごろ町の中にいるはずです。一度合流しないと」

 俺が町に戻って幻覚のハクギンロウやエレーヌさんを相手にしていた時間を考えると、彼女たちは町の中を彷徨うろついているはず。

 先に合流してからみんなで移動したほうが安全だ。

 耳を澄ませてどこかで戦闘が起きていないか確認をする。しかしどこからも物音すらしなかった。

 どこからも戦闘をしているような音が聞こえない。彼女たちは町に入っていないのか?

「何だ。そのことなら心配いらないぞ。彼女たちならワシが手を引いて深緑の森へと連れて行ってやったわい」

「え?」

 ベルトラムさんの言葉に一瞬驚く。

 彼女たちが素直にベルトラムさんの言うことを聞くのが意外だった。手を引いての部分は、彼の妄想から出た出任せだろう。でも、テレーゼくらいは彼の言葉を押し切ってでも俺を探しに来そうなものだ。

「どうかしたか?」

「いや、三人が素直にベルトラムさんの指示に従うのは意外だなと思って。テレーゼ辺りは、俺を探しに来そうなのになぁっと」

 自分で言っていて何だか恥ずかしい。俺ってもしかして自意識過剰なことを言っているんじゃないのか?

「ああ、確かにボウズの言う通り、テレーゼは一人でも探しに行こうとした。だが、他の二人がボウズを信じようと引き止めたのだ。本当にあの娘には手を焼く」

 なるほど、二人が引き止めてくれたのなら納得がいく。

「ムダ話をしている暇はないぞ。ボウズが来るのをみんな待っておるのだからな」

「ああ」

 再び歩き出したベルトラムさんの後を無言で付いて行く。すると彼が進む道に違和感を覚える。

 あれ? 深緑の森に行くにはこっちではないはず。

「ベルトラムさん、道を間違っていますよ」

「いや、こっちで合っておる。実はハクギンロウが道を塞いでおって、遠回りをする必要があるんじゃよ」

 彼の言葉に、違和感を覚えてしまった。

 なんかおかしくないか? 俺がいるのに、わざわざ遠回りをする理由がない。いくらエレーヌさんを背負っているからと言っても、ハクギンロウ相手なら普通に戦える。そのことを知らないベルトラムさんではないのにな。

 何かが可笑しい。そう思っていると、風が吹いて俺のところに一冊の本が転がってきた。

 表紙にはバニーガールの格好をした女の子がセクシーなポーズを取っている。

 これは! 世界に三冊しか存在しないという幻のエロ本、ピーチピチバニーちゃんではないか!

 どうしてエロ本お宝がこんな町に転がっている!

 気になったので、お宝本を手に取る。裏表紙を見ると持ち主と思われる名前が書いてあった。

 って、これベルトラムさんの私物じゃないか!

 さすがにこれをなくしたとあっては、彼は病んでしまうかもしれない。ここは教えてあげないと。

「ベルトラムさん。あなたの宝物が転がって来ましたよ」

 先頭を歩いているお爺さんに声をかける。

「何だ? その本か? 欲しければくれてやるぞ」

 彼の言葉を聞いた瞬間、俺は鞘から太刀を抜き、ベルトラムさんに斬りかかる。

 刃が触れた瞬間、彼は霧散して消えた。

「やっぱり幻覚だったか。あのベルトラムさんがエロ本を人に譲るわけがない。もし、そんなことが起きれば、天変地異の前触れだ」

『ワウウウウウウウウウゥゥゥゥゥゥゥゥン!』

 どこからかモンスターの遠吠えが聞こえて来る。

 それに気付いた瞬間、目の前にモンスターが現れた。
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