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第十一章
第四話 百人目のターゲットはリュシアン
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ロザリーさんと目的が一致したということで、俺たちはあのセイレーンを討伐することにした。
「テレーゼ、一応同族と戦うことになるけど大丈夫か?」
「大丈夫よ。あのセイレーンは野放しにしておけないもの。百人目の犠牲者が出る前に、早く倒さないと。それに半人半魔であるあたしよりも、お母様の方が辛いはず」
倒すべき相手が母親ではないと分かった途端に、テレーゼは客観的視点で見ることができるようになったな。
これなら、余計な感情に流されないで討伐することができそうだ。
「まずは作戦を考える前に、はぐらかされた質問をもう一度して良いですか? どうしてセイレーンが今のように、人型になることができるのですか?」
「あら、上手く話を逸らせたと思っていたのに、蒸し返してくるのね。女性の秘密を知ろうとするのはあまり感心しないわよ……まぁ、あなたは将来セイレーンたちと関わるかもしれないから特別に教えて上げるわ。あのモンスターの姿は戦闘する際の姿で、本来は人魚なのよ」
あの姿は一時的なもので、今の姿が本来のものであると説明すると、水面から魚の尻尾が突き出る。
失礼だと分かっているものの、一度水の中に潜って確認する。すると、ロザリーさんの腰から下は魚であった。
まさか人魚とセイレーンが同一の存在だったとは思わなかったな。
「質問に答えてくれてありがとうございます。では、被害者が出る前に早速セイレーンを追いかけましょう」
泳いでロザリーさんの横を通り過ぎようとすると、彼女から腕を掴まれる。
「慌てる必要はないわよ。多分、そう簡単には百人目は見つからないから」
「簡単には見つかならない? それはどういうことですか?」
「あの女が言っていたわ。記念すべき百人目は、強くて格好良い男と決めているって。あの女は面食いだから、簡単には条件に合う男性はいないと思うのよ」
百人目の獲物には条件を付けているのか。これなら少しは余裕ができそうだな。ここはルーレヌ水没林、そう簡単にはターゲットとなる男は見つからない。
「強くて格好良い男……それってリュシアンのことじゃない!」
「はぁ? 俺?」
百人目のターゲットとして俺が狙われるとテレーゼが言い出し、思わず間抜けな声が漏れる。
「確かに俺はSランクだ。だけど格好良いと言う条件では、当て嵌まらないんじゃないのか?」
「何を言っているのよ! リュシアンは格好良いわよ。この世界で一番なんだから!」
「そうね。私の旦那と比べても格好良いわ。やっぱり若いって言うのは良いわね。テレーゼのピグレットでなければ食べちゃいそう」
ロザリーさん、サラッと怖いことを言わないでくださいよ。そもそもそこは旦那さんを一番と言ってあげるところでしょう。
ロザリーさんの言葉に内心ツッコミを入れるが、俺ってそんなに格好良いのだろうか。
あんまり自覚はしていなかった。だけど、もし二人の言うとおりだったとしたら、俺が囮となることも可能だ。
俺が囮になることができれば、あのセイレーンが水没林を出て海の方に移動しない限り、被害が出ることはない。
「分かった。もし、俺が条件に合うのなら喜んで囮となろう。だけど、万が一俺があのセイレーンのお眼鏡に適わなかったときのことも考えないといけない」
「ここにはあたしたち以外のハンターが来ていると言う話は聞いていない。だから水没林内で被害が出ることはないわ。最終防衛ラインは、八番エリアになりそうね」
「そうだな。八番エリアを抜けられると海のエリアになってしまう。海には漁師もいるだろうし、浜辺には海水浴の人もいるはず」
セイレーンが八番エリアを抜ける前に、見つけて討伐しないといけない。
「このまま四番エリアを経由して六番、七番、八番の順番で移動しよう」
進むべく道順を決めると、俺たちは急いで四番エリアへと移動を開始した。
四番エリアに到達すると、皮膚は鱗に覆われ歯は魚のように尖っており、手には水掻きがついているモンスターを発見した。
「セイレーン! まさかこんなに近くにいたなんて!」
予想外であったものの、好都合だ。もし、俺が条件に合うようなら、声を掛ければこちらに向かって来るはず。
「リュシアン君止まってください」
そう思っていると、ロザリーさんが泳ぐのを止めるように言ってきた。
「どうかしましたか?」
「いくら戦闘形態ではないとは言え、私やテレーゼがいたら警戒するでしょう。なので、私たちは一旦離れて六番エリアの手前で待ち伏せをしておきます」
確かに彼女の言うとおりだ。二人が絶賛してくれたとはいえ、あのセイレーンの食欲をそそらせる魅力がなければ相手にしてもらえない。
「わかりました。では、二人が離れてからあのセイレーンに接触してみます」
「お願いね。戦闘になったら直ぐに加勢に入るので」
「リュシアンなら大丈夫よ。あのセイレーンは絶対にあなたを襲うから」
テレーゼの言葉に、思わず苦笑いが溢れる。
信頼してもらえて嬉しいけど、セイレーンに気に入られる=食糧と思われていることだからな。ちょっとだけ複雑だ。
ロザリーさんたちが離れて行き、一度その場で深呼吸をする。
そして、太刀の柄に手を添えて、いつでも抜けるようにした。
よし、準備は完了した。あとは天運に身を任せるだけだ。
「そこのセイレーン」
モンスターに近づき声をかける。
『キシャア!』
俺の声に反応して振り向いたセイレーンが声を上げ、俺に腕を伸ばしてきた。
最後まで読んでいただきありがとうございます。
一昨日追加されたエール機能ですが、1人の方からエールをいただきました。
本当にありがとうございます。
どうせ私の作品にエールをしてくれる人なんていないだろうと思っていただけに、嬉しい誤算です。
エールをしてくださった方、本当にありがとうございます。
お陰で今後の執筆にも気合を入れて書くことができます。
「テレーゼ、一応同族と戦うことになるけど大丈夫か?」
「大丈夫よ。あのセイレーンは野放しにしておけないもの。百人目の犠牲者が出る前に、早く倒さないと。それに半人半魔であるあたしよりも、お母様の方が辛いはず」
倒すべき相手が母親ではないと分かった途端に、テレーゼは客観的視点で見ることができるようになったな。
これなら、余計な感情に流されないで討伐することができそうだ。
「まずは作戦を考える前に、はぐらかされた質問をもう一度して良いですか? どうしてセイレーンが今のように、人型になることができるのですか?」
「あら、上手く話を逸らせたと思っていたのに、蒸し返してくるのね。女性の秘密を知ろうとするのはあまり感心しないわよ……まぁ、あなたは将来セイレーンたちと関わるかもしれないから特別に教えて上げるわ。あのモンスターの姿は戦闘する際の姿で、本来は人魚なのよ」
あの姿は一時的なもので、今の姿が本来のものであると説明すると、水面から魚の尻尾が突き出る。
失礼だと分かっているものの、一度水の中に潜って確認する。すると、ロザリーさんの腰から下は魚であった。
まさか人魚とセイレーンが同一の存在だったとは思わなかったな。
「質問に答えてくれてありがとうございます。では、被害者が出る前に早速セイレーンを追いかけましょう」
泳いでロザリーさんの横を通り過ぎようとすると、彼女から腕を掴まれる。
「慌てる必要はないわよ。多分、そう簡単には百人目は見つからないから」
「簡単には見つかならない? それはどういうことですか?」
「あの女が言っていたわ。記念すべき百人目は、強くて格好良い男と決めているって。あの女は面食いだから、簡単には条件に合う男性はいないと思うのよ」
百人目の獲物には条件を付けているのか。これなら少しは余裕ができそうだな。ここはルーレヌ水没林、そう簡単にはターゲットとなる男は見つからない。
「強くて格好良い男……それってリュシアンのことじゃない!」
「はぁ? 俺?」
百人目のターゲットとして俺が狙われるとテレーゼが言い出し、思わず間抜けな声が漏れる。
「確かに俺はSランクだ。だけど格好良いと言う条件では、当て嵌まらないんじゃないのか?」
「何を言っているのよ! リュシアンは格好良いわよ。この世界で一番なんだから!」
「そうね。私の旦那と比べても格好良いわ。やっぱり若いって言うのは良いわね。テレーゼのピグレットでなければ食べちゃいそう」
ロザリーさん、サラッと怖いことを言わないでくださいよ。そもそもそこは旦那さんを一番と言ってあげるところでしょう。
ロザリーさんの言葉に内心ツッコミを入れるが、俺ってそんなに格好良いのだろうか。
あんまり自覚はしていなかった。だけど、もし二人の言うとおりだったとしたら、俺が囮となることも可能だ。
俺が囮になることができれば、あのセイレーンが水没林を出て海の方に移動しない限り、被害が出ることはない。
「分かった。もし、俺が条件に合うのなら喜んで囮となろう。だけど、万が一俺があのセイレーンのお眼鏡に適わなかったときのことも考えないといけない」
「ここにはあたしたち以外のハンターが来ていると言う話は聞いていない。だから水没林内で被害が出ることはないわ。最終防衛ラインは、八番エリアになりそうね」
「そうだな。八番エリアを抜けられると海のエリアになってしまう。海には漁師もいるだろうし、浜辺には海水浴の人もいるはず」
セイレーンが八番エリアを抜ける前に、見つけて討伐しないといけない。
「このまま四番エリアを経由して六番、七番、八番の順番で移動しよう」
進むべく道順を決めると、俺たちは急いで四番エリアへと移動を開始した。
四番エリアに到達すると、皮膚は鱗に覆われ歯は魚のように尖っており、手には水掻きがついているモンスターを発見した。
「セイレーン! まさかこんなに近くにいたなんて!」
予想外であったものの、好都合だ。もし、俺が条件に合うようなら、声を掛ければこちらに向かって来るはず。
「リュシアン君止まってください」
そう思っていると、ロザリーさんが泳ぐのを止めるように言ってきた。
「どうかしましたか?」
「いくら戦闘形態ではないとは言え、私やテレーゼがいたら警戒するでしょう。なので、私たちは一旦離れて六番エリアの手前で待ち伏せをしておきます」
確かに彼女の言うとおりだ。二人が絶賛してくれたとはいえ、あのセイレーンの食欲をそそらせる魅力がなければ相手にしてもらえない。
「わかりました。では、二人が離れてからあのセイレーンに接触してみます」
「お願いね。戦闘になったら直ぐに加勢に入るので」
「リュシアンなら大丈夫よ。あのセイレーンは絶対にあなたを襲うから」
テレーゼの言葉に、思わず苦笑いが溢れる。
信頼してもらえて嬉しいけど、セイレーンに気に入られる=食糧と思われていることだからな。ちょっとだけ複雑だ。
ロザリーさんたちが離れて行き、一度その場で深呼吸をする。
そして、太刀の柄に手を添えて、いつでも抜けるようにした。
よし、準備は完了した。あとは天運に身を任せるだけだ。
「そこのセイレーン」
モンスターに近づき声をかける。
『キシャア!』
俺の声に反応して振り向いたセイレーンが声を上げ、俺に腕を伸ばしてきた。
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どうせ私の作品にエールをしてくれる人なんていないだろうと思っていただけに、嬉しい誤算です。
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