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第八章
第七話 神殿の守護獣ラープロテクション
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龍の女帝、ジャドーミストレスを倒した俺たちは、急いで十番エリアにある神殿に向かった。
道中小型のモンスターと遭遇することもあった。だけどクイーンフレイヤーとジャドーミストレスのような高ランクのモンスターとは出会わない。
きっと依頼にあったモンスターとは、龍の女王と龍の女帝のことだったのだろう。これなら滞ることなく、直ぐに神殿のある十番エリアに行けるはずだ。
エリア内を移動しながら、俺たちは九番エリアに来た。
念のために周囲を警戒するも、どこにもモンスターの気配はしない。
「どうやらこの九番エリアにもモンスターはいないみたいだな」
「そうみたいですね」
「見て! あそこに小道があるわ! あそこから十番エリアに行けるんじゃない!」
テレーゼが指を差す。
ポーチから地図を取り出して確認すると、地図に載っている小道と一致する。
「うん、あそこが十番エリアに繋がっているみたいだ」
「なら、早いところ神殿に向かって依頼を達成しましょう!」
テレーゼが駆け足で小道に向かう。
その時、上空から鳥の羽ばたく音が聞こえ、鳥の影が地面に現れる。
『キエエエエエエエエエエエエエエエエエエエェェェェェェェェェェェェェェェェェェ!』
上空を見上げると、巨大な鳥が現れた。赤い羽毛に鋭い嘴、そしてドラゴンのような翼を持つモンスターだ。
「テレーゼ! 上空!」
「え? きゃあ!」
彼女に声をかけると、テレーゼは足を止めた。その瞬間、上空から巨大な鳥が足の爪を剥き出しにして急降下してきた。
間に合え!
心の中で叫び、足の筋肉の収縮速度を速くすることを意識しながら全力で走る。
モンスターの爪が歌姫に当たるよりも速く辿り着き、跳んで彼女を抱きしめるとそのまま地面に倒れる。
巨大な鳥の攻撃は、ギリギリ当たることなくどうにか躱すことができた。
「リュシアン、ありがとう」
彼女が礼を言うと、俺は優しい笑みを浮かべる。
「それにしても二体の龍意外にも、こんなにでかいモンスターがいたとはな。こいつが依頼にあったモンスターのようだ」
立ち上がると、地面に降り立った巨大な鳥と対峙する。
モンスターの背後にはユリヤがいる。挟み撃ちができる状態だ。
だけど迂闊には攻撃できない。俺はこんなモンスターを見たことも聞いたこともないからだ。
やつの行動パターンを把握しないと、やられるリスクが高まる。
「リュシアンさん! ここは私がこのモンスターの相手をします。その間に神殿に向かってください!」
ユリヤが私を置いて先に行けと言う。確かに今回の任務は、十番エリアにある神殿に納められている宝玉を持って帰ることだ。このモンスターを討伐する必要はない。
でも、だからといってこんな危険なモンスターを、彼女一人に任せるわけにはいかない。
「何を言っているんだ! ユリヤ一人でどうにかなるモンスターではない! こいつはクイーンフレイヤーやジャドーミストレス以上の強敵だ」
モンスターから感じるこの威圧感は、今まで俺が倒してきたどのモンスターよりも強い。
きっと俺たち三人が協力して倒せるかどうかの次元だ。
「リュシアンの言うとおりよ! あんたを置いて行ける訳がないわ! ユリヤがいなくなったら、張り合いがないもの」
「リュシアンさん、テレーゼさん。分かりました。では、三人で十番エリアに向かいましょう」
三人で神殿に向かうために、巨大な鳥を倒すことを決める。そして、それぞれ武器を構えた。
「まずは俺がこいつの相手をする。二人は隙ができたら攻撃してくれ!」
「はい!」
「分かったわ」
地を蹴って駆けると、巨大な鳥に向けて走る。
『キエエエエエエエエエエエエエエエエエエエェェェェェェェェェェェェェェェェェェ!』
モンスターとの距離が縮まり、太刀の間合いに入ろうとした瞬間、モンスターは鳴いた。そして両翼を羽ばたかせて強風を生む。
強烈な風が俺を襲い、立っているのもままならない。
「くっ」
バランスを崩し、その場で尻餅をついた。
くそう。こいつの生み出す風が強すぎる。これでは近付いてやつを斬ることができない。
「私が攻撃します! 背後にいる私なら風の影響は殆ど受けません! うりゃ! あれ? うりゃ、うりゃ、うりゃ! 羽毛が分厚すぎて全然手応えがありません!」
どうやら短剣ではリーチが短すぎるようだ。
「こうなったら足を攻撃です!」
ユリヤがモンスターの足に一撃を与える。足から赤い液体が流れるところを見る限り、どうにかダメージを与えることができたみたいだ。
「うそ! 一発で刃が欠けちゃった!」
巨大な鳥にダメージを与えたユリヤが驚きの声をあげる。
足の方も相当な硬さがあるようだ。
「ユリヤ! 一度離れて砥石を使うんだ!」
「分かりました!」
俺の指示に従い、ユリヤはこの場から離れようとする。しかし彼女の攻撃を受けたことにより、モンスターは標的をユリヤに変えたようだ。身体を反転させると、彼女に強風を放つ。
「きゃあ!」
強風を受け、ユリヤは転倒した。
その際に彼女のスカートが捲れて白いパンツが見えてしまったが、それは見なかったことにしておこう。
標的をユリヤに変えられたが、その代わりに俺が攻撃することができる。
立ち上がると直ぐに巨大な鳥に接近し、背後からモンスターの背を斬る。
『キエエエエエエエエエエエエエエエエエエエェェェェェェェェェェェェェェェェェェ!』
やつの背から鮮血が流れ、悲鳴のような鳴き声を上げる。
俺の得物なら、こいつにダメージを与えることができる。太刀の切れ味を上げておいて正解だったな。
モンスターが振り返ると、両翼を広げて俺を睨みつける。目が血走ったかのように赤くなり、息も荒くなっていた。
どうやら憤怒状態に入ったようだな。本番はここからと言う訳か。
道中小型のモンスターと遭遇することもあった。だけどクイーンフレイヤーとジャドーミストレスのような高ランクのモンスターとは出会わない。
きっと依頼にあったモンスターとは、龍の女王と龍の女帝のことだったのだろう。これなら滞ることなく、直ぐに神殿のある十番エリアに行けるはずだ。
エリア内を移動しながら、俺たちは九番エリアに来た。
念のために周囲を警戒するも、どこにもモンスターの気配はしない。
「どうやらこの九番エリアにもモンスターはいないみたいだな」
「そうみたいですね」
「見て! あそこに小道があるわ! あそこから十番エリアに行けるんじゃない!」
テレーゼが指を差す。
ポーチから地図を取り出して確認すると、地図に載っている小道と一致する。
「うん、あそこが十番エリアに繋がっているみたいだ」
「なら、早いところ神殿に向かって依頼を達成しましょう!」
テレーゼが駆け足で小道に向かう。
その時、上空から鳥の羽ばたく音が聞こえ、鳥の影が地面に現れる。
『キエエエエエエエエエエエエエエエエエエエェェェェェェェェェェェェェェェェェェ!』
上空を見上げると、巨大な鳥が現れた。赤い羽毛に鋭い嘴、そしてドラゴンのような翼を持つモンスターだ。
「テレーゼ! 上空!」
「え? きゃあ!」
彼女に声をかけると、テレーゼは足を止めた。その瞬間、上空から巨大な鳥が足の爪を剥き出しにして急降下してきた。
間に合え!
心の中で叫び、足の筋肉の収縮速度を速くすることを意識しながら全力で走る。
モンスターの爪が歌姫に当たるよりも速く辿り着き、跳んで彼女を抱きしめるとそのまま地面に倒れる。
巨大な鳥の攻撃は、ギリギリ当たることなくどうにか躱すことができた。
「リュシアン、ありがとう」
彼女が礼を言うと、俺は優しい笑みを浮かべる。
「それにしても二体の龍意外にも、こんなにでかいモンスターがいたとはな。こいつが依頼にあったモンスターのようだ」
立ち上がると、地面に降り立った巨大な鳥と対峙する。
モンスターの背後にはユリヤがいる。挟み撃ちができる状態だ。
だけど迂闊には攻撃できない。俺はこんなモンスターを見たことも聞いたこともないからだ。
やつの行動パターンを把握しないと、やられるリスクが高まる。
「リュシアンさん! ここは私がこのモンスターの相手をします。その間に神殿に向かってください!」
ユリヤが私を置いて先に行けと言う。確かに今回の任務は、十番エリアにある神殿に納められている宝玉を持って帰ることだ。このモンスターを討伐する必要はない。
でも、だからといってこんな危険なモンスターを、彼女一人に任せるわけにはいかない。
「何を言っているんだ! ユリヤ一人でどうにかなるモンスターではない! こいつはクイーンフレイヤーやジャドーミストレス以上の強敵だ」
モンスターから感じるこの威圧感は、今まで俺が倒してきたどのモンスターよりも強い。
きっと俺たち三人が協力して倒せるかどうかの次元だ。
「リュシアンの言うとおりよ! あんたを置いて行ける訳がないわ! ユリヤがいなくなったら、張り合いがないもの」
「リュシアンさん、テレーゼさん。分かりました。では、三人で十番エリアに向かいましょう」
三人で神殿に向かうために、巨大な鳥を倒すことを決める。そして、それぞれ武器を構えた。
「まずは俺がこいつの相手をする。二人は隙ができたら攻撃してくれ!」
「はい!」
「分かったわ」
地を蹴って駆けると、巨大な鳥に向けて走る。
『キエエエエエエエエエエエエエエエエエエエェェェェェェェェェェェェェェェェェェ!』
モンスターとの距離が縮まり、太刀の間合いに入ろうとした瞬間、モンスターは鳴いた。そして両翼を羽ばたかせて強風を生む。
強烈な風が俺を襲い、立っているのもままならない。
「くっ」
バランスを崩し、その場で尻餅をついた。
くそう。こいつの生み出す風が強すぎる。これでは近付いてやつを斬ることができない。
「私が攻撃します! 背後にいる私なら風の影響は殆ど受けません! うりゃ! あれ? うりゃ、うりゃ、うりゃ! 羽毛が分厚すぎて全然手応えがありません!」
どうやら短剣ではリーチが短すぎるようだ。
「こうなったら足を攻撃です!」
ユリヤがモンスターの足に一撃を与える。足から赤い液体が流れるところを見る限り、どうにかダメージを与えることができたみたいだ。
「うそ! 一発で刃が欠けちゃった!」
巨大な鳥にダメージを与えたユリヤが驚きの声をあげる。
足の方も相当な硬さがあるようだ。
「ユリヤ! 一度離れて砥石を使うんだ!」
「分かりました!」
俺の指示に従い、ユリヤはこの場から離れようとする。しかし彼女の攻撃を受けたことにより、モンスターは標的をユリヤに変えたようだ。身体を反転させると、彼女に強風を放つ。
「きゃあ!」
強風を受け、ユリヤは転倒した。
その際に彼女のスカートが捲れて白いパンツが見えてしまったが、それは見なかったことにしておこう。
標的をユリヤに変えられたが、その代わりに俺が攻撃することができる。
立ち上がると直ぐに巨大な鳥に接近し、背後からモンスターの背を斬る。
『キエエエエエエエエエエエエエエエエエエエェェェェェェェェェェェェェェェェェェ!』
やつの背から鮮血が流れ、悲鳴のような鳴き声を上げる。
俺の得物なら、こいつにダメージを与えることができる。太刀の切れ味を上げておいて正解だったな。
モンスターが振り返ると、両翼を広げて俺を睨みつける。目が血走ったかのように赤くなり、息も荒くなっていた。
どうやら憤怒状態に入ったようだな。本番はここからと言う訳か。
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