ブラックギルドマスターへ、社畜以下の道具として扱ってくれてあざーす!お陰で転職した俺は初日にSランクハンターに成り上がりました!

仁徳

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第八章

第六話 ジャドーミストレスの邪道攻撃

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 竜の女帝と呼ばれるモンスター、ジャドーミストレスがとどめを刺さなかったので俺が倒した。だが、その光景を目の当たりにした竜の女帝は咆哮を上げ、口から炎を漏らして憤怒状態となっている。

 どうしてジャドーミストレスは怒っている? こいつらは縄張り争いをしていたのではないのか?

 状況が把握できずに困惑していると、ジャドーミストレスは両翼を広げて口から火球を放つ。

 迫り来る火の玉を横に跳んで回避し、竜の女帝を見た。

「どうして怒っているのか分からないが、どっちにしろこいつも討伐する必要があるのは事実だ」

 言い方は悪人ぽくなるが、あの世で会わせてやる。

 敵のモーションに気を付けつつ、竜の女帝に接近する。するとやつは俺に背を向けた。

 このモーションは尻尾で攻撃してくるな。

 ジャドーミストレスの攻撃パターンを予想し、モンスターの尻尾の間合い以上に下がって距離を離す。

 龍の女帝の尻尾はゴムのように伸び縮みする。見た目だけで間合いを判断すれば、痛い目に遭う。

 やつは尻尾を鞭のようにして振り回し、俺に当てようとしてくる。しかしかなりの距離をあけていたために、直撃することはなかった。

「リュシアンさん!」

リュシアンピグレット!」

 モンスターの攻撃を躱していると、エリーザ姫を一番エリアに送り届けていたユリヤとテレーゼが戻って来る。

「クイーンフレイヤーは倒した。あとはジャドーミストレスだけだ」

「もうクイーンフレイヤーの方は倒したのですか!」

「さすがリュシアンピグレットね。なら、早いところこいつを倒しましょう!」

 俺の対角線上にユリヤとテレーゼがおり、ジャドーミストレスは挟まれた状態になる。これなら片方がモンスターの気を引いて、隙が生じたときに攻撃をすればダメージを与えることができる。

 龍の女帝が俺の方を振り向く。

 さて、次はどんな攻撃をしてくる。どんな攻撃をしようとも、モーションさえ分かれば攻撃を躱して反撃に出ることは可能だ。

 敵の動きに注視していると、ジャドーミストレスは両翼を羽ばたかせて空中に上がる。

 そういえば、空に舞い上がるのは計算に入れていなかったな。

 ポーチに腕を突っ込み、中からマーキング玉を取り出す。

 もしかしたらエリア移動をするかもしれない。そうなったら探すのが面倒だ。

 腕に力を入れて全力で投球する。俺が投げた玉は龍の女帝の腹に辺り、お腹にマーキングすることに成功した。

 これでエリア移動をしたとしても、滴り落ちる液体で居場所をある程度特定することができる。

 モンスターの動きに注視していると、やつは空中で咆哮を上げた。俺に向けて急降下してくる。

 ジャドーミストレスの爪に当たれば毒に冒される。それだけは避けたい。

 ここは一か八かだ。

「ユリヤ、テレーゼ、目を閉じるんだ!」

 直ぐに二人に指示を出し、ポーチからフラッシュ玉を取り出して投げた。

 玉を投げた直後、俺も瞼を閉じる。そして心の中で三秒ほど数えるが、自身の肉体には激痛を感じることはなかった。

「どうやら上手くいったみたいだな」

 閉じていた瞼を開け、視界が良好になる。俺の目に映ったのは、地面に倒れているジャドーミストレスの姿だった。

 一時的に盲目となって目測を誤ったか。

 突然の強い光を目の当たりにすると、瞳孔の動きが遅れ、瞳の奥に大量の眩しい光が入ってしまう。

 瞳の奥には光の刺激を電気信号に変え、脳に伝えるための網膜がある。それに対して大量の光を急激に浴びると、刺激が大きすぎることで網膜に炎症や剥離が起こってしまうのだ。

 ジャドーミストレスが暴れる気配がない。攻撃するなら今だ!

「ユリヤ、テレーゼ! 総攻撃をかける」

「分かりました!」

「了解したわ。あたしの新しい武器、この槍で突き刺してあげる」

 俺たちは一斉に駆け、龍の女帝の肉体を切り裂いてダメージを与えていく。

『ギャオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオォォォォォォォォォォォォォォン!』

 すると、ジャドーミストレスは悲鳴を上げてピクリとも動かなくなった。

「あれ? もしかしてもう倒したのですか?」

「思ったのよりも呆気なかったわね」

 予想以上に早い討伐に、彼女たちは困惑している。

 当然俺もだ。ジャドーミストレスの強さはクイーンフレイヤーと同等だ。いくら俺が同時に攻撃したとしても、いくらなんでも早すぎる。

「とにかく、剥ぎ取りをしようか」

 違和感が拭えないまま、ポーチから剥ぎ取りようのナイフを取り出す。その瞬間、いきなりジャドーミストレスが暴れ出し、俺は吹き飛ばされて尻餅をつく。

 こいつ、死んだフリをしていたのか。

 俺たちを近付けさせないとしているのか、ジャドーミストレスは足を軸にして体を時計回りに回している。

 回転速度が早い。普通に近付けば間違いなくぶつかって吹き飛ばされるだろうな。

 地面の上に寝転がると、匍匐前進でモンスターに近づく。

 這いつくばるように進めば、やつの攻撃が当たることがない。

 龍の女帝の動きに注視しつつ、モンスターの足元に移動することに成功した。

 ここなら、やつに踏まれない限りダメージを受けることはない。

 比較的に安全な場所に来ることができた。後は太刀を振り回してジャドーミストレスの足首を斬るのみ。

 刃がモンスターの足を切り、鮮血が噴き出す。

『ギャオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオォォォォォォォォォォォォォォン!』

 龍の女帝は悲鳴を上げ、その場で転倒した。

「今だ! もう一度攻撃だ!」

「はい!」

「お願いだから次こそは倒されてよね」

 ジャドーミストレスの背後に周り、尻尾を攻撃する。しかし、今攻撃したばかりの尻尾は簡単には切断することができなかった。

 数秒が経ち、龍の女帝は立ち上がる。

 間に合わなかったか。

「最後の一撃だ!」

 腕に力を入れ、太刀を振り下ろす。すると尻尾が切断されて部位破壊に成功した。

 尻尾を切られた衝撃でジャドーミストレスは再び転倒した。

 その隙を逃さず、俺たちは三度目の総攻撃を仕掛ける。

『ギャオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオォォォォォォォォォォォォォォン!』

 再びモンスターが悲鳴を上げて倒れる。

「こ、今度こそ大丈夫ですよね」

「ちょっとユリヤ、変なフラグを立てようとしないでよ。もし、また起き上がったらどうするのよ」

 二人の言葉に少し不安になりながらも、俺はまたポーチから剥ぎ取りようのナイフを取り出す。

 そして龍の女帝の肉体に突き刺すも、反応はなかった。

「大丈夫だ。今度こそ討伐完了だ」

 死んだフリをする龍の女帝、このモンスターには今後できるだけ戦いたくはないな。

 そんなことを思いつつも、俺たちは協力して剥ぎ取り、二体のモンスターの素材を手に入れることができた。

「さて、エリーザ姫を待たせるわけにはいかない。もう一つの依頼を達成するために今から向かおう」











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