ブラックギルドマスターへ、社畜以下の道具として扱ってくれてあざーす!お陰で転職した俺は初日にSランクハンターに成り上がりました!

仁徳

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第八章

第五話 メスの戦いに水を差したからと言って怒らなくても良くない?

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 クイーンフレイヤーが吐き出した火炎が飛んでくる中、俺は太刀を構えて水の属性玉に意識を集中させる。

 すると空中の水分子が集まって知覚できる量になると、円形状に広がった。

 モンスターの火炎が円形状の水に接触した瞬間、水蒸気が発生して周辺に散らばる。

「クイーンフレイヤーは俺が足止めしておく。ユリヤとテレーゼは、エリーザ姫を安全な一番エリアに連れて行ってくれ」

「分かりました」

「了解したわ」

 エリーザ姫を安全な場所に連れて行くように二人に言うと、竜の女王を見る。

 やつは自分の火炎が防がれたことで、少し驚いているようだ。動きが止まり、ジッと俺の方を見てくる。

 クイーンフレイヤーの攻撃パターンは頭の中に入っている。やつのモーションに気を付けていれば、ダメージを受けることはないはずだ。

 やつの動きに注視していると、遠くから何者かが飛行してこちらに向かっているのが見えた。

 漆黒の鱗に鋭い爪を持ち、尻尾は鞭のように細長い翼竜だ。

「ジャドーミストレス! 竜の女帝までいるのかよ!」

 新たに現れたモンスターに驚きを隠せないでいると、竜の女帝の気配を感じたのか、クイーンフレイヤーは振り返る。

 そして両翼を広げて口を開け、ジャドーミストレスに向けて火炎を放つ。

 己に迫り来る炎に気付いたようで、竜の女帝も火炎を吐いて対抗する。

「モンスター同士が戦っている」

 モンスターも縄張りや伴侶の獲得のため戦うこともある。二匹ともメスであることを考えると、縄張り争いか。

 とにかくエリーザ姫様の救出には成功した。あとは十番エリアに向かってもう一つの依頼をやるだけだ。

 こいつらに関わる必要はない。

 今後の方針を考えていると、飛行していたジャドーミストレスが二番エリアに降り立つ。そしてこちらに突進してきた。

 クイーンフレイヤーは両翼を羽ばたかせて空中に移動して躱すが、竜の女帝の突進は止まらない。

 このままでは俺が激突する。

 回避したほうがいいと判断し、倒れるように横に飛んだ。

 モンスターとの接触を避け、起き上がる。

 するとジャドーミストレスは両翼を広げて短く鳴き、クイーンフレイヤーを挑発していた。

 こいつらを放置していたら、もう一つの依頼の妨げになるかもしれない。

 安全に依頼をクリアするには、二匹の竜を討伐する必要がある。

「女の戦いに水を差して悪いが、第三勢力として武力介入させてもらう!」

 二匹の内、強敵となり得るのはジャドーミストレスだ。やつの爪には毒があり、クイーンフレイヤーとは違う挙動をする。

「まずは竜の女王から倒させてもらう!」

 俺は二匹のモーションに気を付けつつ、クイーンフレイヤーに近づく。

 そして竜の女王の足元に潜り込むと、足首を斬った。

『ギャオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオォォォォォォォォォォォォォォン!』

 鮮血が噴き出し、痛みを感じたモンスターが悲鳴を上げる。

 クイーンフレイヤーは足を軸にして体を時計回りに動かすが、安全地帯にいる俺にはダメージを受けることはない。

 このまま足を斬って転ばせる。そして尻尾を斬って部位破壊だ。

 攻撃の段取りを考えていると、ジャドーミストレスが突っ込んで来るのが見えた。

 この場に居ては巻き添えを食らう。直ぐに離れないと。

 全力で走り、竜の女王から離れる。

 一定の距離を開け、振り返ると竜の女帝が竜の女王にぶつかり、クイーンフレイヤーを押し倒していた。

 そのまま戦況を見守ると、ジャドーミストレスが鋭い爪で竜の女王に突き刺す。

 このまま竜の女帝がクイーンフレイヤーを倒す。そう思っていたが、女の戦いはまだ決着が付かなかった。

 竜の女王が口から火炎を吐き、ジャドーミストレスにダメージを与える。

 突然の炎に怯んだのか。竜の女帝はクイーンフレイヤーから離れた。

 その隙に竜の女王は立ち上がるが、苦しそうにしており息が荒い。

 竜の女帝の毒が回り始めている。これはそろそろ勝負が終わるか。

 戦況を見守っていると、クイーンフレイヤーはジャドーミストレスに背を向け、足を引き摺りながらこの場から離れようとする。

 もう少しで竜の女王は倒せる。

 そう思っていたが、何故か竜の女帝は追撃することなくジッと見ていた。

 このまま逃す訳にはいかない。

 全力で走り、クイーンフレイヤーに追い付く。そして素早くモンスターを切り裂き、とどめを刺した。

「あ、あぶねー! あのまま逃していたら体力を回復されるところだったよ」

『ギャオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオォォォォォォォォォォォォォォン!』

 竜の女王を討伐することに安堵していると、後方から竜の女帝の鳴き声が聞こえる。

 振り返ると口から炎がもれ、憤怒状態になっていた。

 あれ? どうして彼女は怒っているんだ? 俺、怒らせるようなことはしていないはずなのに。











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