ブラックギルドマスターへ、社畜以下の道具として扱ってくれてあざーす!お陰で転職した俺は初日にSランクハンターに成り上がりました!

仁徳

文字の大きさ
上 下
78 / 171
第八章

第二話 エリーザ姫を発見!

しおりを挟む
 フェルディナンから委託された依頼と、エリーザ姫の捜索の依頼を同時にすることになった俺は、ユリヤとテレーゼと一緒にガラン荒野に向かうことになった。

 武器は鍛冶職人のベルトラムさんに預けていた。なので、俺は先に工房に寄ることを告げる。すると、二人は工房の前で待っていると言ってきた。

 初めて会ったあの日から、二人はベルトラムさんに嫌悪感を抱いているもんな。できることなら会いたくはないか。

 外に二人を待たせ、俺は工房の中に入る。

「ベルトラムさん。俺の太刀は出来上がっていますか」

「おお、リュシアンか。出来ておるぞ。少し待ってくれ」

 ベルトラムさんはテーブルの上に鍛え直された俺の太刀を置いた。

 うん? 柄の部分に、水色の球体以外にも緑の球体が嵌め込まれているな。

「これって」

「風属性の球だ。お前が持っていた素材から作っておいた。どうだ? いいサプライズだろう?」

 ベルトラムさんはニヤリと笑みを浮かべ、白い歯を見せた。

「ありがとうございます。これで風の力を使うことができるのですね」

「どうする? 試し切りをするか?」

「いえ、これから依頼を受けに行くので、実戦で試しますよ」

「そうか。リュシアンはライトニングロウと戦ったときも、一発で水の属性を使いこなした秀才だからな。お前なら必ず風の属性も使い熟せると信じておる。依頼頑張れよ」

「ありがとうございます。では行って来ます」

 彼に礼を言うと、俺は工房から出て行った。そして外で待たせていたユリヤとテレーゼと合流し、ガラン荒野に向かう。





 馬車で移動して数時間、俺たちはガラン荒野の一番エリアに到達した。

 馬車から降り、二番エリアに続く道を見つめる。

「この先が二番エリアだな」

「目撃情報は二番エリアでしたね」

「隣国のお姫様ってどんな人なのかしら? 楽しみだわ」

「確か茶髪の長い髪に、毛先にはウエーブが掛かっていたな。顔立ちが整っていて綺麗な人だったから、見れば直ぐに分かると思う」

 彼女たちにエリーザ姫の特徴を言うと、何故か二人はジト目を向けて来る。

 どうしてエリーザ姫の特徴を言っただけで、そんな目を向けられる! 聞いてきたのはテレーゼじゃないか。

 いや、正確には彼女の独り言に俺が答えただけか。

「と、とにかく早く二番エリアに向かってエリーザ姫の手掛かりを探そう」

 この場に居づらい雰囲気を感じた俺は、逃げるように二番エリアに向けて歩く。

 二番エリアは一番エリアとは違って広い荒れ果てた大地が広がっていた。

「所々地面にヒビが入っているな。二人とも躓かないように気をつけて歩こう……うわあああああああああああああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」

 足元に気を付けて歩くように言った瞬間、急に地面の上を歩く感覚がなくなり、気が付くと落下していた。

 くそう。言った本人が足元を見ていないなんて滑稽だな。このまま落下したら確実に体を痛める。

 目線を下げて地面が見えた瞬間、大地の壁に太刀を突き刺して勢いを殺し、直撃を回避した。

 ジャンプしても問題ない高さであることを確認し、太刀を引き抜くと地面に足を付ける。

「リュシアンさん! 大丈夫ですか!」

リュシアンピグレット! ケガしていない!」
 頭上からユリヤとテレーゼの声が聞こえてきた。

「問題ない。俺は無傷だ!」

 無事であることを告げると、周辺を見て辺りの状況を確認する。

 どうやら俺は地下に落下したようだな。でも、こんなところ地図には載っていなかったぞ。

 地上までは結構高さがあるな。これでは登って地上に上がることもムリそうだ。

「ここから地上に上がることはムリそうだから出口を探す! 二人はそのままエリーザ姫を探してくれ!」

リュシアンピグレットと離れるなんて嫌よ! あたしも一緒に降りる!」

「テ、テレーゼさん! 何落ちようとしているのですか! リュシアンさんの言われたとおりにエリーザ姫を探しますよ!」

「ユリヤ離しなさいよ!」

 頭上から二人のやり取りが聞こえてくる。声だけで二人がどんな状況なのかが頭の中に浮かび、額に手を置いた。

「テレーゼ! 頼むから俺の言うことを聞いてくれ!」

「わ、分かったわよ! リュシアンピグレットを困らせる訳にはいかないもの」

 ふぅ、どうやら理解してくれたようだ。俺と一緒に居たいと言ってくれるのは正直嬉しいが、人命がかかっている以上は効率良く動かないといけないからな。

「とにかく、ここから脱出する方法を考えないとな」

 思考を巡らせながら、地下の細い通路を道なりに歩く。

 しばらく歩くと広い場所に出た。

「ここも地図には載っていない場所だな。広さからしてエリア指定されてもおかしくはないのに」

 今度エレーヌさんやレンナルト王様にでも話して、地図を新しくしてもらったほうがいいかもしれないな。

 そんなことを考えていると、手に何かが触れたような違和感を覚えた。

 見てみると手には蜘蛛くもの巣が付いている。

 蜘蛛の巣か。こんなところにも蜘蛛っているんだな。

 そう思いながらも出口を探して先を急ぐ。すると、視界に映る蜘蛛の巣の数が多くなってきた。

 しかも奥に進めば進むほど大きい。通常のサイズの蜘蛛ではあり得ない大きさだ。

 何だか嫌な予感がするな。

 太刀の柄を握り、いつでも抜刀できるようにしておく。

「きゃああああああああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」

 蜘蛛の巣だらけの場所を歩いていると、突如悲鳴が聞こえてきた。

「この声はまさかエリーザ姫!」

 お姫様の声が聞こえ、急いで声の聞こえた方角に向けて走る。

 すると、巨大な蜘蛛の巣に引っかかったエリーザ姫が、巨大な蜘蛛に襲われそうになっている光景が視界に入る。

「エリーザ姫!」

「リ、リュシアン王子!」

「エリーザ姫から離れろ! 蜘蛛やろう!」

 鞘から太刀を抜き、刃先をモンスターに向ける。そして水の属性の力を使った。

 空中に漂う水分子が剣先に集まり、知覚できる量にまで集まると、直径一ミリの細さになる。

「行け!」

 突くような動作を取ると、細い水はモンスターに直撃し、やつは蜘蛛の巣から落下した。

 起き上がると、やつの背中に幾何学模様があることに気づく。

「この模様の特徴からしてマンダラグモか!」










最後まで読んでいただきありがとうございます。

面白かった! この物語は期待できる! 続きが早く読みたい!

など思っていただけましたら、【感想】や【お気に入り登録】をしていただけると、作者のモチベが上がり、更新が早くなります。

【感想】は一言コメントや誤字報告でも大丈夫です。気軽に書いていただけると嬉しいです。

何卒宜しくお願いします。
しおりを挟む
感想 29

あなたにおすすめの小説

Sランク昇進を記念して追放された俺は、追放サイドの令嬢を助けたことがきっかけで、彼女が押しかけ女房のようになって困る!

仁徳
ファンタジー
シロウ・オルダーは、Sランク昇進をきっかけに赤いバラという冒険者チームから『スキル非所持の無能』とを侮蔑され、パーティーから追放される。 しかし彼は、異世界の知識を利用して新な魔法を生み出すスキル【魔学者】を使用できるが、彼はそのスキルを隠し、無能を演じていただけだった。 そうとは知らずに、彼を追放した赤いバラは、今までシロウのサポートのお陰で強くなっていたことを知らずに、ダンジョンに挑む。だが、初めての敗北を経験したり、その後借金を背負ったり地位と名声を失っていく。 一方自由になったシロウは、新な町での冒険者活動で活躍し、一目置かれる存在となりながら、追放したマリーを助けたことで惚れられてしまう。手料理を振る舞ったり、背中を流したり、それはまるで押しかけ女房だった! これは、チート能力を手に入れてしまったことで、無能を演じたシロウがパーティーを追放され、その後ソロとして活躍して無双すると、他のパーティーから追放されたエルフや魔族といった様々な追放少女が集まり、いつの間にかハーレムパーティーを結成している物語!

俺だけLVアップするスキルガチャで、まったりダンジョン探索者生活も余裕です ~ガチャ引き楽しくてやめられねぇ~

シンギョウ ガク
ファンタジー
仕事中、寝落ちした明日見碧(あすみ あおい)は、目覚めたら暗い洞窟にいた。 目の前には蛍光ピンクのガチャマシーン(足つき)。 『初心者優遇10連ガチャ開催中』とか『SSRレアスキル確定』の誘惑に負け、金色のコインを投入してしまう。 カプセルを開けると『鑑定』、『ファイア』、『剣術向上』といったスキルが得られ、次々にステータスが向上していく。 ガチャスキルの力に魅了された俺は魔物を倒して『金色コイン』を手に入れて、ガチャ引きまくってたらいつのまにか強くなっていた。 ボスを討伐し、初めてのダンジョンの外に出た俺は、相棒のガチャと途中で助けた異世界人アスターシアとともに、異世界人ヴェルデ・アヴニールとして、生き延びるための自由気ままな異世界の旅がここからはじまった。

無能扱いされた実は万能な武器職人、Sランクパーティーに招かれる~理不尽な理由でパーティーから追い出されましたが、恵まれた新天地で頑張ります~

詩葉 豊庸(旧名:堅茹でパスタ)
ファンタジー
鍛冶職人が武器を作り、提供する……なんてことはもう古い時代。 現代のパーティーには武具生成を役目とするクリエイターという存在があった。 アレンはそんなクリエイターの一人であり、彼もまたとある零細パーティーに属していた。 しかしアレンはパーティーリーダーのテリーに理不尽なまでの要望を突きつけられる日常を送っていた。 本当は彼の適性に合った武器を提供していたというのに…… そんな中、アレンの元に二人の少女が歩み寄ってくる。アレンは少女たちにパーティーへのスカウトを受けることになるが、後にその二人がとんでもない存在だったということを知る。 後日、アレンはテリーの裁量でパーティーから追い出されてしまう。 だが彼はクビを宣告されても何とも思わなかった。 むしろ、彼にとってはこの上なく嬉しいことだった。 これは万能クリエイター(本人は自覚無し)が最高の仲間たちと紡ぐ冒険の物語である。

スキル間違いの『双剣士』~一族の恥だと追放されたが、追放先でスキルが覚醒。気が付いたら最強双剣士に~

きょろ
ファンタジー
この世界では5歳になる全ての者に『スキル』が与えられる――。 洗礼の儀によってスキル『片手剣』を手にしたグリム・レオハートは、王国で最も有名な名家の長男。 レオハート家は代々、女神様より剣の才能を与えられる事が多い剣聖一族であり、グリムの父は王国最強と謳われる程の剣聖であった。 しかし、そんなレオハート家の長男にも関わらずグリムは全く剣の才能が伸びなかった。 スキルを手にしてから早5年――。 「貴様は一族の恥だ。最早息子でも何でもない」 突如そう父に告げられたグリムは、家族からも王国からも追放され、人が寄り付かない辺境の森へと飛ばされてしまった。 森のモンスターに襲われ絶対絶命の危機に陥ったグリム。ふと辺りを見ると、そこには過去に辺境の森に飛ばされたであろう者達の骨が沢山散らばっていた。 それを見つけたグリムは全てを諦め、最後に潔く己の墓を建てたのだった。 「どうせならこの森で1番派手にしようか――」 そこから更に8年――。 18歳になったグリムは何故か辺境の森で最強の『双剣士』となっていた。 「やべ、また力込め過ぎた……。双剣じゃやっぱ強すぎるな。こりゃ1本は飾りで十分だ」 最強となったグリムの所へ、ある日1体の珍しいモンスターが現れた。 そして、このモンスターとの出会いがグレイの運命を大きく動かす事となる――。

追放された最強賢者は悠々自適に暮らしたい

桐山じゃろ
ファンタジー
魔王討伐を成し遂げた魔法使いのエレルは、勇者たちに裏切られて暗殺されかけるも、さくっと逃げおおせる。魔法レベル1のエレルだが、その魔法と魔力は単独で魔王を倒せるほど強力なものだったのだ。幼い頃には親に売られ、どこへ行っても「貧民出身」「魔法レベル1」と虐げられてきたエレルは、人間という生き物に嫌気が差した。「もう人間と関わるのは面倒だ」。森で一人でひっそり暮らそうとしたエレルだったが、成り行きで狐に絆され姫を助け、更には快適な生活のために行ったことが切っ掛けで、その他色々が勝手に集まってくる。その上、国がエレルのことを探し出そうとしている。果たしてエレルは思い描いた悠々自適な生活を手に入れることができるのか。※小説家になろう、カクヨムでも掲載しています

回復力が低いからと追放された回復術師、規格外の回復能力を持っていた。

名無し
ファンタジー
回復術師ピッケルは、20歳の誕生日、パーティーリーダーの部屋に呼び出されると追放を言い渡された。みぐるみを剥がされ、泣く泣く部屋をあとにするピッケル。しかし、この時点では仲間はもちろん本人さえも知らなかった。ピッケルの回復術師としての能力は、想像を遥かに超えるものだと。

お荷物認定を受けてSSS級PTを追放されました。でも実は俺がいたからSSS級になれていたようです。

幌須 慶治
ファンタジー
S級冒険者PT『疾風の英雄』 電光石火の攻撃で凶悪なモンスターを次々討伐して瞬く間に最上級ランクまで上がった冒険者の夢を体現するPTである。 龍狩りの一閃ゲラートを筆頭に極炎のバーバラ、岩盤砕きガイル、地竜射抜くローラの4人の圧倒的な火力を以って凶悪モンスターを次々と打ち倒していく姿は冒険者どころか庶民の憧れを一身に集めていた。 そんな中で俺、ロイドはただの盾持ち兼荷物運びとして見られている。 盾持ちなのだからと他の4人が動く前に現地で相手の注意を引き、模擬戦の時は2対1での攻撃を受ける。 当然地味な役割なのだから居ても居なくても気にも留められずに居ないものとして扱われる。 今日もそうして地竜を討伐して、俺は1人後処理をしてからギルドに戻る。 ようやく帰り着いた頃には日も沈み酒場で祝杯を挙げる仲間たちに報酬を私に近づいた時にそれは起こる。 ニヤついた目をしたゲラートが言い放つ 「ロイド、お前役にたたなすぎるからクビな!」 全員の目と口が弧を描いたのが見えた。 一応毎日更新目指して、15話位で終わる予定です。 作品紹介に出てる人物、主人公以外重要じゃないのはご愛嬌() 15話で終わる気がしないので終わるまで延長します、脱線多くてごめんなさい 2020/7/26

出戻り国家錬金術師は村でスローライフを送りたい

新川キナ
ファンタジー
主人公の少年ジンが村を出て10年。 国家錬金術師となって帰ってきた。 村の見た目は、あまり変わっていないようでも、そこに住む人々は色々と変化してて…… そんな出戻り主人公が故郷で錬金工房を開いて生活していこうと思っていた矢先。王都で付き合っていた貧乏貴族令嬢の元カノが突撃してきた。 「私に貴方の子種をちょうだい!」 「嫌です」 恋に仕事に夢にと忙しい田舎ライフを送る青年ジンの物語。 ※話を改稿しました。内容が若干変わったり、登場人物が増えたりしています。

処理中です...