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第八章
第二話 エリーザ姫を発見!
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フェルディナンから委託された依頼と、エリーザ姫の捜索の依頼を同時にすることになった俺は、ユリヤとテレーゼと一緒にガラン荒野に向かうことになった。
武器は鍛冶職人のベルトラムさんに預けていた。なので、俺は先に工房に寄ることを告げる。すると、二人は工房の前で待っていると言ってきた。
初めて会ったあの日から、二人はベルトラムさんに嫌悪感を抱いているもんな。できることなら会いたくはないか。
外に二人を待たせ、俺は工房の中に入る。
「ベルトラムさん。俺の太刀は出来上がっていますか」
「おお、リュシアンか。出来ておるぞ。少し待ってくれ」
ベルトラムさんはテーブルの上に鍛え直された俺の太刀を置いた。
うん? 柄の部分に、水色の球体以外にも緑の球体が嵌め込まれているな。
「これって」
「風属性の球だ。お前が持っていた素材から作っておいた。どうだ? いいサプライズだろう?」
ベルトラムさんはニヤリと笑みを浮かべ、白い歯を見せた。
「ありがとうございます。これで風の力を使うことができるのですね」
「どうする? 試し切りをするか?」
「いえ、これから依頼を受けに行くので、実戦で試しますよ」
「そうか。リュシアンはライトニングロウと戦ったときも、一発で水の属性を使いこなした秀才だからな。お前なら必ず風の属性も使い熟せると信じておる。依頼頑張れよ」
「ありがとうございます。では行って来ます」
彼に礼を言うと、俺は工房から出て行った。そして外で待たせていたユリヤとテレーゼと合流し、ガラン荒野に向かう。
馬車で移動して数時間、俺たちはガラン荒野の一番エリアに到達した。
馬車から降り、二番エリアに続く道を見つめる。
「この先が二番エリアだな」
「目撃情報は二番エリアでしたね」
「隣国のお姫様ってどんな人なのかしら? 楽しみだわ」
「確か茶髪の長い髪に、毛先にはウエーブが掛かっていたな。顔立ちが整っていて綺麗な人だったから、見れば直ぐに分かると思う」
彼女たちにエリーザ姫の特徴を言うと、何故か二人はジト目を向けて来る。
どうしてエリーザ姫の特徴を言っただけで、そんな目を向けられる! 聞いてきたのはテレーゼじゃないか。
いや、正確には彼女の独り言に俺が答えただけか。
「と、とにかく早く二番エリアに向かってエリーザ姫の手掛かりを探そう」
この場に居づらい雰囲気を感じた俺は、逃げるように二番エリアに向けて歩く。
二番エリアは一番エリアとは違って広い荒れ果てた大地が広がっていた。
「所々地面にヒビが入っているな。二人とも躓かないように気をつけて歩こう……うわあああああああああああああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
足元に気を付けて歩くように言った瞬間、急に地面の上を歩く感覚がなくなり、気が付くと落下していた。
くそう。言った本人が足元を見ていないなんて滑稽だな。このまま落下したら確実に体を痛める。
目線を下げて地面が見えた瞬間、大地の壁に太刀を突き刺して勢いを殺し、直撃を回避した。
ジャンプしても問題ない高さであることを確認し、太刀を引き抜くと地面に足を付ける。
「リュシアンさん! 大丈夫ですか!」
「リュシアン! ケガしていない!」
頭上からユリヤとテレーゼの声が聞こえてきた。
「問題ない。俺は無傷だ!」
無事であることを告げると、周辺を見て辺りの状況を確認する。
どうやら俺は地下に落下したようだな。でも、こんなところ地図には載っていなかったぞ。
地上までは結構高さがあるな。これでは登って地上に上がることもムリそうだ。
「ここから地上に上がることはムリそうだから出口を探す! 二人はそのままエリーザ姫を探してくれ!」
「リュシアンと離れるなんて嫌よ! あたしも一緒に降りる!」
「テ、テレーゼさん! 何落ちようとしているのですか! リュシアンさんの言われたとおりにエリーザ姫を探しますよ!」
「ユリヤ離しなさいよ!」
頭上から二人のやり取りが聞こえてくる。声だけで二人がどんな状況なのかが頭の中に浮かび、額に手を置いた。
「テレーゼ! 頼むから俺の言うことを聞いてくれ!」
「わ、分かったわよ! リュシアンを困らせる訳にはいかないもの」
ふぅ、どうやら理解してくれたようだ。俺と一緒に居たいと言ってくれるのは正直嬉しいが、人命がかかっている以上は効率良く動かないといけないからな。
「とにかく、ここから脱出する方法を考えないとな」
思考を巡らせながら、地下の細い通路を道なりに歩く。
しばらく歩くと広い場所に出た。
「ここも地図には載っていない場所だな。広さからしてエリア指定されてもおかしくはないのに」
今度エレーヌさんやレンナルト王様にでも話して、地図を新しくしてもらったほうがいいかもしれないな。
そんなことを考えていると、手に何かが触れたような違和感を覚えた。
見てみると手には蜘蛛の巣が付いている。
蜘蛛の巣か。こんなところにも蜘蛛っているんだな。
そう思いながらも出口を探して先を急ぐ。すると、視界に映る蜘蛛の巣の数が多くなってきた。
しかも奥に進めば進むほど大きい。通常のサイズの蜘蛛ではあり得ない大きさだ。
何だか嫌な予感がするな。
太刀の柄を握り、いつでも抜刀できるようにしておく。
「きゃああああああああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
蜘蛛の巣だらけの場所を歩いていると、突如悲鳴が聞こえてきた。
「この声はまさかエリーザ姫!」
お姫様の声が聞こえ、急いで声の聞こえた方角に向けて走る。
すると、巨大な蜘蛛の巣に引っかかったエリーザ姫が、巨大な蜘蛛に襲われそうになっている光景が視界に入る。
「エリーザ姫!」
「リ、リュシアン王子!」
「エリーザ姫から離れろ! 蜘蛛やろう!」
鞘から太刀を抜き、刃先をモンスターに向ける。そして水の属性の力を使った。
空中に漂う水分子が剣先に集まり、知覚できる量にまで集まると、直径一ミリの細さになる。
「行け!」
突くような動作を取ると、細い水はモンスターに直撃し、やつは蜘蛛の巣から落下した。
起き上がると、やつの背中に幾何学模様があることに気づく。
「この模様の特徴からしてマンダラグモか!」
最後まで読んでいただきありがとうございます。
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【感想】は一言コメントや誤字報告でも大丈夫です。気軽に書いていただけると嬉しいです。
何卒宜しくお願いします。
武器は鍛冶職人のベルトラムさんに預けていた。なので、俺は先に工房に寄ることを告げる。すると、二人は工房の前で待っていると言ってきた。
初めて会ったあの日から、二人はベルトラムさんに嫌悪感を抱いているもんな。できることなら会いたくはないか。
外に二人を待たせ、俺は工房の中に入る。
「ベルトラムさん。俺の太刀は出来上がっていますか」
「おお、リュシアンか。出来ておるぞ。少し待ってくれ」
ベルトラムさんはテーブルの上に鍛え直された俺の太刀を置いた。
うん? 柄の部分に、水色の球体以外にも緑の球体が嵌め込まれているな。
「これって」
「風属性の球だ。お前が持っていた素材から作っておいた。どうだ? いいサプライズだろう?」
ベルトラムさんはニヤリと笑みを浮かべ、白い歯を見せた。
「ありがとうございます。これで風の力を使うことができるのですね」
「どうする? 試し切りをするか?」
「いえ、これから依頼を受けに行くので、実戦で試しますよ」
「そうか。リュシアンはライトニングロウと戦ったときも、一発で水の属性を使いこなした秀才だからな。お前なら必ず風の属性も使い熟せると信じておる。依頼頑張れよ」
「ありがとうございます。では行って来ます」
彼に礼を言うと、俺は工房から出て行った。そして外で待たせていたユリヤとテレーゼと合流し、ガラン荒野に向かう。
馬車で移動して数時間、俺たちはガラン荒野の一番エリアに到達した。
馬車から降り、二番エリアに続く道を見つめる。
「この先が二番エリアだな」
「目撃情報は二番エリアでしたね」
「隣国のお姫様ってどんな人なのかしら? 楽しみだわ」
「確か茶髪の長い髪に、毛先にはウエーブが掛かっていたな。顔立ちが整っていて綺麗な人だったから、見れば直ぐに分かると思う」
彼女たちにエリーザ姫の特徴を言うと、何故か二人はジト目を向けて来る。
どうしてエリーザ姫の特徴を言っただけで、そんな目を向けられる! 聞いてきたのはテレーゼじゃないか。
いや、正確には彼女の独り言に俺が答えただけか。
「と、とにかく早く二番エリアに向かってエリーザ姫の手掛かりを探そう」
この場に居づらい雰囲気を感じた俺は、逃げるように二番エリアに向けて歩く。
二番エリアは一番エリアとは違って広い荒れ果てた大地が広がっていた。
「所々地面にヒビが入っているな。二人とも躓かないように気をつけて歩こう……うわあああああああああああああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
足元に気を付けて歩くように言った瞬間、急に地面の上を歩く感覚がなくなり、気が付くと落下していた。
くそう。言った本人が足元を見ていないなんて滑稽だな。このまま落下したら確実に体を痛める。
目線を下げて地面が見えた瞬間、大地の壁に太刀を突き刺して勢いを殺し、直撃を回避した。
ジャンプしても問題ない高さであることを確認し、太刀を引き抜くと地面に足を付ける。
「リュシアンさん! 大丈夫ですか!」
「リュシアン! ケガしていない!」
頭上からユリヤとテレーゼの声が聞こえてきた。
「問題ない。俺は無傷だ!」
無事であることを告げると、周辺を見て辺りの状況を確認する。
どうやら俺は地下に落下したようだな。でも、こんなところ地図には載っていなかったぞ。
地上までは結構高さがあるな。これでは登って地上に上がることもムリそうだ。
「ここから地上に上がることはムリそうだから出口を探す! 二人はそのままエリーザ姫を探してくれ!」
「リュシアンと離れるなんて嫌よ! あたしも一緒に降りる!」
「テ、テレーゼさん! 何落ちようとしているのですか! リュシアンさんの言われたとおりにエリーザ姫を探しますよ!」
「ユリヤ離しなさいよ!」
頭上から二人のやり取りが聞こえてくる。声だけで二人がどんな状況なのかが頭の中に浮かび、額に手を置いた。
「テレーゼ! 頼むから俺の言うことを聞いてくれ!」
「わ、分かったわよ! リュシアンを困らせる訳にはいかないもの」
ふぅ、どうやら理解してくれたようだ。俺と一緒に居たいと言ってくれるのは正直嬉しいが、人命がかかっている以上は効率良く動かないといけないからな。
「とにかく、ここから脱出する方法を考えないとな」
思考を巡らせながら、地下の細い通路を道なりに歩く。
しばらく歩くと広い場所に出た。
「ここも地図には載っていない場所だな。広さからしてエリア指定されてもおかしくはないのに」
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蜘蛛の巣か。こんなところにも蜘蛛っているんだな。
そう思いながらも出口を探して先を急ぐ。すると、視界に映る蜘蛛の巣の数が多くなってきた。
しかも奥に進めば進むほど大きい。通常のサイズの蜘蛛ではあり得ない大きさだ。
何だか嫌な予感がするな。
太刀の柄を握り、いつでも抜刀できるようにしておく。
「きゃああああああああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
蜘蛛の巣だらけの場所を歩いていると、突如悲鳴が聞こえてきた。
「この声はまさかエリーザ姫!」
お姫様の声が聞こえ、急いで声の聞こえた方角に向けて走る。
すると、巨大な蜘蛛の巣に引っかかったエリーザ姫が、巨大な蜘蛛に襲われそうになっている光景が視界に入る。
「エリーザ姫!」
「リ、リュシアン王子!」
「エリーザ姫から離れろ! 蜘蛛やろう!」
鞘から太刀を抜き、刃先をモンスターに向ける。そして水の属性の力を使った。
空中に漂う水分子が剣先に集まり、知覚できる量にまで集まると、直径一ミリの細さになる。
「行け!」
突くような動作を取ると、細い水はモンスターに直撃し、やつは蜘蛛の巣から落下した。
起き上がると、やつの背中に幾何学模様があることに気づく。
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