ブラックギルドマスターへ、社畜以下の道具として扱ってくれてあざーす!お陰で転職した俺は初日にSランクハンターに成り上がりました!

仁徳

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第六章

第九話 チャプス王子の処遇

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~リュシアン視点~



 ふぅ、どうにか間に合ったみたいだな。

 俺は殺されそうになったチャプス王子の前に飛び出し、ロックモグーラの一撃を受け止める。

「ど、どうじでおばえがごごにいりゅる! がえったんじゃにゃいのか?」

 チャプス王子が意味不明な言葉を言ってきた。

 間に合ったと思ったけど、実際はそうではなかったみたいだ。よく見たらチャプス王子はボロボロで、顔面は真っ赤になっている。

 まぁ、命を救ってもらっただけでもありがたく思ってもらうか。

「ロックモグーラ、前回は使い慣れていないハンマーだったが、今度は使い慣れた太刀で挑ませてもらう!」

 モンスターの腕を弾き、剣先をロックモグーラに向ける。

 俺は念じると太刀に嵌めてある属性玉が反応し、空中に漂う水分子が剣先に集まり、知覚できる量にまで集まると、直径一ミリの細さになった。

「行け!」

 突きの動作をすると、水がロックモグーラの顔面に当たり、やつを怯ませる。

 今が攻撃のチャンス!

 足の収縮速度を速くするように意識しながら地を蹴って走り、素早くモンスターの懐に入る。

 そしてテレーゼが音波攻撃をした際に、破壊された胸部に向けて太刀を振り下ろす。

 守る岩のない剥き出しの体を切り裂き、鮮血が噴き出した。

 まだ俺の攻撃は終わっていないぞ!

 流れるように連続で弱点の胸部を斬り、やつにダメージを与えていく。

 堪らなくなったのか、ロックモグーラは後方に下がると口を大きく開けた。

 このモーションは岩石飛ばしか。

 ロックモグーラの口から放たれた岩が俺に襲いかかってくる。

リュシアンピグレットには傷一つ負わせないんだから!」

 後方からテレーゼの声が聞こえたかと思うと、俺に向かっていた岩が粉々に砕け散って地面に落下した。

 振り返ると、遅れてテレーゼとユリヤが俺のところにやって来る。

「テレーゼ助かった」

リュシアンピグレットをサポートするのもあたしの役目だからね」

「それにしてもリュシアンさんの感が当たりましたね」

「ああ」

 俺たちは依頼達成を知らせるために早朝宿屋を出て、手配した馬車でギルドに帰ろうとしていた。だが、道中胸騒ぎがして俺だけ先に戻って来たのだ。

「やつを倒す。二人は道を作ってくれ!」

「了解よ!」

「わかりました」

 太刀を構え、再度ロックモグーラに接近する。

 近付かれまいと、やつは口から岩を吐き出す。しかしそれらはテレーゼの音波によって粉砕された。

「私が先に攻撃してロックモグーラの気を引きます。その間にリュシアンさんは弱点の胸部を攻撃して止めをお願いします」

 戦術を伝えると、ユリヤは俺よりも速くロックモグーラに近づき、短剣でやつの身を守っている岩を攻撃した。

 ロックモグーラがユリヤに気を取られた。今がチャンス。

 二人のサポートにより、道が切り開かれた。

 俺はモンスターに再接近すると太刀を振り、弱点の胸部を切り裂く。

 すると今の一撃が決定打となったようだ。ロックモグーラは地面に倒れ、そのまま動かなくなる。

「ロックモグーラの討伐完了」

 モンスターを倒し、俺はチャプス王子のところに戻る。そしてポーチから回復ポーションを取り出し、彼に飲ませた。

「き、貴様! なんてことをしてくれたんだ!」

 回復ポーションの効果で元の状態に戻ったチャプス王子が、開口一番に文句を言ってくる。

 礼を言うかと思っていたけど、やっぱりそこはチャプス王子だったか。

「貴様がロックモグーラを倒したせいでパレードが続行できなくなったんだぞ!」

 はぁ? こいつは何を言っているんだ? ここまで城下町の道がボロボロになっては、パレードどころではないじゃないか。

 それに俺が来なければ、もっと大惨事になっていたと言うのに、やっぱりチャプス王子は自分のことしか考えていない。

「リュシアン、チャプス」

 どうしたものかと悩んでいると、後方からレンナルト王様の声が聞こえ、振り向く。

 俺たちのところにこの国の王様が護衛もなしで、一人で歩いてきた。

「ち、父上! 父上からも言ってくださいよ。こいつのせいでパレードが中止になってしまったんですよ」

 レンナルト王様が俺の横を通りすぎると、チャプス王子の前に立った。

「愚か者! お前のような息子を持ってワタシは恥ずかしいぞ!」

「え? ぶぎゃああああああああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」

 レンナルト王様が拳を握ると、瞬く間にチャプス王子の顔面を殴った。

 殴れた彼は吹き飛び、地面に転がる。

「ワタシはロックモグーラを見た際、不思議でならなかった。剣の稽古からも逃げていたお前が、どうしてあのモンスターを捕獲できたのか、俄かに信じられなかった。そこでワタシはわざと縛っている縄を緩め、パレード中にロックモグーラが暴れるようにした」

 王様からのカミングアウトを聞き、俺は自分の耳を疑った。

 この騒動は、レンナルト王様が仕組んだことだったのか。

「そしてこの目で確かめるためにチャプスにもう一度戦わせた。しかし結果はどうだろうか。ロックモグーラに一撃を与えることなくボロボロに敗北してリュシアン殿に助けられた」

 今度はレンナルト王様が俺の方を向くと軽く頭を下げる。

「先ほどのリュシアン殿の言葉と戦いぶりを見て確信した。あのロックモグーラを捕獲したのはリュシアン殿たちだったのだな」

 そう言えば俺『ロックモグーラ、前回は使い慣れていないハンマーだったが、今度は使い慣れた太刀で挑ませてもらう!』と言ってしまったな。

 あれでは俺が捕獲しましたと自白しているようなものだ。

 何て説明をしようかと考えていると、レンナルト王様は起き上がったチャプスの方に向き直る。

「チャプスよ! お前の成人の儀は失敗と見做みなす。己の過ちを悔い、反省するまで牢獄行きだ」

「そ、そんな! ち、父上! お考え直してください!」

 チャプス王子がレンナルト王様に駆け寄ると、情けなく擦り寄る。

「そんなところが甘えだと言っておる! いい加減に目を覚さぬか! 誰かチャプスを連れて行け!」

 レンナルト王様が声を上げると、兵士たちがやってきた。そしてチャプス王子を拘束すると、彼を城へと連行して行く。

「嫌だ! あんな薄暗くて狭くて臭い場所に入りたくない!」

 連れて行かれる中、チャプス王子は泣き叫んでいた。

「リュシアン殿、此度は本当にバカ息子が迷惑をかけた。成人の儀は失敗したが、依頼は成功とさせる。それと詫びになるか分からないが、ロックモグーラの素材はリュシアン殿にあげよう。好きに使いなさい」

「ありがとうございます」

「それと出発前にもう一度城に来てくれないか。貴殿に渡したいものがある」

「あ、はい。分かりました」

「では、後ほどまたお会いしよう。兵士諸君撤収だ!」

 兵士たちに声をかけると、レンナルト王様はこの場から離れて行く。

「それじゃあ、早速剥ぎ取りといきますか」

 ユリヤとテレーゼにも手伝ってもらい、モンスターの死骸を剥ぎ取って解体作業を行った。










最後まで読んでいただきありがとうございます。

【重要なお知らせ】
本日この前、間違えて連載を開始してしまった作品の再投稿を始めました。

『推しが必ず死ぬゲームのモブに転生した俺は、彼女を救うためにシナリオブレークします~俺の推し活は彼女を生かすための活動です~』

と言うタイトルです。

こちらの方は本日1時間毎に投稿する予定となっています。

アプリの方では検索していただくしかないかもしれませんが

ウェブ(スマホ)の場合は目次の下にある作者の他の作品のURLの下にあるタイトルをタップしていただけると作品を読むことができます。

ウェブ(パソコン)の場合は目次の下にある作者の他の作品のURLの下にあるタイトルをクリックするよりも、画面の左にある『仁徳の登録コンテンツ』の中にあるタイトルをクリックする方が早いです。

何卒宜しくお願いします。



追記
フリースペースにURLを載せたのですが、そちらからアクセスするとエラー画面になります。おそらく一度間違えて投稿して作品を削除したのが原因かもしれません。なのでアクセスする際は『仁徳の登録コンテンツの方からお願いします。
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