ブラックギルドマスターへ、社畜以下の道具として扱ってくれてあざーす!お陰で転職した俺は初日にSランクハンターに成り上がりました!

仁徳

文字の大きさ
上 下
36 / 171
第四章

第四話 素材玉の素材を手に入れる依頼

しおりを挟む
 闘技場の依頼でクックルーを討伐した俺は、改めて強化された太刀の威力に驚かされる。

「さすがSランクハンターだ。いい戦いを見せてもらった」

 上の観客席にいるベルトラムさんが、俺の戦いぶりを見て称賛する。

「ありがとう。いいものを見せてもらった。報酬の方はギルドに支払っておくので、後で貰ってくれ」

 続けて今回の依頼者である闘技場の責任者が声をかけてくる。

「今降りてくる。そこで待っておれ」

 ベルトラムさんがこちらに来るといい、視界から消える。そして一分ほどで俺のところに来た。

「この目で直接確認したが、ワシの打った太刀を思った以上に使いこなしてくれたな。ワシは今のが見られて満足だ」

 俺の戦い方を褒めると、彼は太刀の柄部分を指差す。

 前にも言ったが、この太刀には属性玉を嵌める穴がある。素材を持ってきてくれたら、ワシが付与してやろう。

「ありがとうございます」

 ベルトラムさんは懐から一枚の紙を取り出すと俺に手渡す。紙には各属性玉に必要な素材がリスト化されていた。

 ここに書かれてある素材さえ手に入れば、俺の武器はさらにパワーアップすることができる。

 だけど、どれも持っていない素材や、あと一つ足りない素材ばかりだ。直ぐには作れないな。

「ありがとうございます。素材が入ったら、属性玉を作りに工房に来ますね」

「気長に待っておるぞ。では、ワシは工房に帰るのでな。早くドスケベミエールを完成させなければ」

 彼の言葉に、俺は苦笑いを浮かべる。

 いつか捕まったりしないか心配だ。






 ギルドに帰ると、エレーヌさんが頬に手を当てながら困っていそうな表情をしていた。

「ただいま戻りました」

「あ、リュシアン君おかえりなさい。依頼主から連絡が来たわ。これが今回の報酬ね」

「ありがとうございます。あのう、何か困っているみたいですが、何かあったのですか?」

 金を受け取ると、俺はエレーヌさんに何かあったのかを訊ねる。

「それが緊急で依頼が入ってね。誰に振り分けようか悩んでいて」

 エレーヌさんが依頼書を俺に見せてくる。

『ルーレヌ水没林を観光で訪れていたのだが、睡眠魚シープヴォンが現れた。やつの歌声を聞くと、俺は眠らされたが、運よく襲われることはなかった。このままでは安心してルーレヌ水没林の観光なんてできっこない。頼むハンター! シープヴォンを討伐してくれ!』

 睡眠魚シープヴォンって!

 モンスターの名前を見た瞬間、急いでベルトラムさんから受け取ったリストを見る。そこには、シープヴォンの素材が書かれてあった。

 こいつはちょうどいい。俺が受けよう。

「エレーヌさん。俺がこの依頼を受けますよ」

「でも、今帰ってきたばかりじゃないの。休憩もなしに出向かわせる訳には」

「大丈夫です。たいした依頼ではなかったので、全然疲れてはいません」

「そう? なら、申し訳ないのだけどこの依頼受けてくれる?」

「はい! 任せてください」

「その依頼、あたしも行きたい!」

 胸に手を当てて了承すると、どこからかテレーゼの声が聞こえてきた。

 首を左右に振って彼女を探していると、出入り口の扉の前にテレーゼが立っていた。彼女はゆっくりと歩いてこちらにやって来る。

「テレーゼ、もう依頼を終わらせて来たの?」

「まだよ。これから出発しようとしたところで話が聞こえてきてね。この依頼をキャンセルするから、リュシアンピグレットと同じ依頼を……きゃっ!」

 テレーゼの言葉を遮るように、エレーヌさんが手刀を放つ。彼女の手が当たるとテレーゼは短い悲鳴を上げた。

「キャンセルだなんて認めません。今回は諦めて自分の仕事をしなさい」

「えー嫌だ! ルーレヌ水没林と言うことは泳ぐってことでしょう。あたしリュシアンピグレットの水着姿を見たい!」

 俺と同じ依頼を受けたい理由がそんなどうでもいいことなのかよ。

「はぁー、もっとマシな理由だったら考えていましたが、そんな理由なら許可を出すわけにはいきません」

「そんな理由ってどういうことよ! あたしにとっては、とても重要なことなのだからね!」

 テレーゼの訴えに、エレーヌさんは苦笑いする。

 そして無言のまま俺に視線を送ってきた。

 多分、自分が彼女を抑えているから、今の内に行って来てくれと行っているのだろうな。

 無言で頷き、俺はギルドを後にする。

「場所は水没林か。防御面では心配だけど、テレーゼが言ったように水着の方が動きやすいよな」

 一度寮に帰り、準備を整える。

「これでよし。水没林用に必要なアイテムはポーチの中に入れたから多分大丈夫だろう」

 準備を整え、俺は部屋を出るとルーレヌ水没林に向かった。










最後まで読んでいただきありがとうございます。

面白かった! この物語は期待できる! 続きが早く読みたい!

など思っていただけましたら、【感想】や【お気に入り登録】をしていただけると、作者のモチベが上がり、更新が早くなります。

【感想】は一言コメントや誤字報告でもでも大丈夫です。気軽に書いていただけると助かります。

何卒宜しくお願いします。
しおりを挟む
感想 29

あなたにおすすめの小説

Sランク昇進を記念して追放された俺は、追放サイドの令嬢を助けたことがきっかけで、彼女が押しかけ女房のようになって困る!

仁徳
ファンタジー
シロウ・オルダーは、Sランク昇進をきっかけに赤いバラという冒険者チームから『スキル非所持の無能』とを侮蔑され、パーティーから追放される。 しかし彼は、異世界の知識を利用して新な魔法を生み出すスキル【魔学者】を使用できるが、彼はそのスキルを隠し、無能を演じていただけだった。 そうとは知らずに、彼を追放した赤いバラは、今までシロウのサポートのお陰で強くなっていたことを知らずに、ダンジョンに挑む。だが、初めての敗北を経験したり、その後借金を背負ったり地位と名声を失っていく。 一方自由になったシロウは、新な町での冒険者活動で活躍し、一目置かれる存在となりながら、追放したマリーを助けたことで惚れられてしまう。手料理を振る舞ったり、背中を流したり、それはまるで押しかけ女房だった! これは、チート能力を手に入れてしまったことで、無能を演じたシロウがパーティーを追放され、その後ソロとして活躍して無双すると、他のパーティーから追放されたエルフや魔族といった様々な追放少女が集まり、いつの間にかハーレムパーティーを結成している物語!

俺だけLVアップするスキルガチャで、まったりダンジョン探索者生活も余裕です ~ガチャ引き楽しくてやめられねぇ~

シンギョウ ガク
ファンタジー
仕事中、寝落ちした明日見碧(あすみ あおい)は、目覚めたら暗い洞窟にいた。 目の前には蛍光ピンクのガチャマシーン(足つき)。 『初心者優遇10連ガチャ開催中』とか『SSRレアスキル確定』の誘惑に負け、金色のコインを投入してしまう。 カプセルを開けると『鑑定』、『ファイア』、『剣術向上』といったスキルが得られ、次々にステータスが向上していく。 ガチャスキルの力に魅了された俺は魔物を倒して『金色コイン』を手に入れて、ガチャ引きまくってたらいつのまにか強くなっていた。 ボスを討伐し、初めてのダンジョンの外に出た俺は、相棒のガチャと途中で助けた異世界人アスターシアとともに、異世界人ヴェルデ・アヴニールとして、生き延びるための自由気ままな異世界の旅がここからはじまった。

スキル間違いの『双剣士』~一族の恥だと追放されたが、追放先でスキルが覚醒。気が付いたら最強双剣士に~

きょろ
ファンタジー
この世界では5歳になる全ての者に『スキル』が与えられる――。 洗礼の儀によってスキル『片手剣』を手にしたグリム・レオハートは、王国で最も有名な名家の長男。 レオハート家は代々、女神様より剣の才能を与えられる事が多い剣聖一族であり、グリムの父は王国最強と謳われる程の剣聖であった。 しかし、そんなレオハート家の長男にも関わらずグリムは全く剣の才能が伸びなかった。 スキルを手にしてから早5年――。 「貴様は一族の恥だ。最早息子でも何でもない」 突如そう父に告げられたグリムは、家族からも王国からも追放され、人が寄り付かない辺境の森へと飛ばされてしまった。 森のモンスターに襲われ絶対絶命の危機に陥ったグリム。ふと辺りを見ると、そこには過去に辺境の森に飛ばされたであろう者達の骨が沢山散らばっていた。 それを見つけたグリムは全てを諦め、最後に潔く己の墓を建てたのだった。 「どうせならこの森で1番派手にしようか――」 そこから更に8年――。 18歳になったグリムは何故か辺境の森で最強の『双剣士』となっていた。 「やべ、また力込め過ぎた……。双剣じゃやっぱ強すぎるな。こりゃ1本は飾りで十分だ」 最強となったグリムの所へ、ある日1体の珍しいモンスターが現れた。 そして、このモンスターとの出会いがグレイの運命を大きく動かす事となる――。

出戻り国家錬金術師は村でスローライフを送りたい

新川キナ
ファンタジー
主人公の少年ジンが村を出て10年。 国家錬金術師となって帰ってきた。 村の見た目は、あまり変わっていないようでも、そこに住む人々は色々と変化してて…… そんな出戻り主人公が故郷で錬金工房を開いて生活していこうと思っていた矢先。王都で付き合っていた貧乏貴族令嬢の元カノが突撃してきた。 「私に貴方の子種をちょうだい!」 「嫌です」 恋に仕事に夢にと忙しい田舎ライフを送る青年ジンの物語。 ※話を改稿しました。内容が若干変わったり、登場人物が増えたりしています。

無能扱いされた実は万能な武器職人、Sランクパーティーに招かれる~理不尽な理由でパーティーから追い出されましたが、恵まれた新天地で頑張ります~

詩葉 豊庸(旧名:堅茹でパスタ)
ファンタジー
鍛冶職人が武器を作り、提供する……なんてことはもう古い時代。 現代のパーティーには武具生成を役目とするクリエイターという存在があった。 アレンはそんなクリエイターの一人であり、彼もまたとある零細パーティーに属していた。 しかしアレンはパーティーリーダーのテリーに理不尽なまでの要望を突きつけられる日常を送っていた。 本当は彼の適性に合った武器を提供していたというのに…… そんな中、アレンの元に二人の少女が歩み寄ってくる。アレンは少女たちにパーティーへのスカウトを受けることになるが、後にその二人がとんでもない存在だったということを知る。 後日、アレンはテリーの裁量でパーティーから追い出されてしまう。 だが彼はクビを宣告されても何とも思わなかった。 むしろ、彼にとってはこの上なく嬉しいことだった。 これは万能クリエイター(本人は自覚無し)が最高の仲間たちと紡ぐ冒険の物語である。

追放された最強賢者は悠々自適に暮らしたい

桐山じゃろ
ファンタジー
魔王討伐を成し遂げた魔法使いのエレルは、勇者たちに裏切られて暗殺されかけるも、さくっと逃げおおせる。魔法レベル1のエレルだが、その魔法と魔力は単独で魔王を倒せるほど強力なものだったのだ。幼い頃には親に売られ、どこへ行っても「貧民出身」「魔法レベル1」と虐げられてきたエレルは、人間という生き物に嫌気が差した。「もう人間と関わるのは面倒だ」。森で一人でひっそり暮らそうとしたエレルだったが、成り行きで狐に絆され姫を助け、更には快適な生活のために行ったことが切っ掛けで、その他色々が勝手に集まってくる。その上、国がエレルのことを探し出そうとしている。果たしてエレルは思い描いた悠々自適な生活を手に入れることができるのか。※小説家になろう、カクヨムでも掲載しています

~最弱のスキルコレクター~ スキルを無限に獲得できるようになった元落ちこぼれは、レベル1のまま世界最強まで成り上がる

僧侶A
ファンタジー
沢山のスキルさえあれば、レベルが無くても最強になれる。 スキルは5つしか獲得できないのに、どのスキルも補正値は5%以下。 だからレベルを上げる以外に強くなる方法はない。 それなのにレベルが1から上がらない如月飛鳥は当然のように落ちこぼれた。 色々と試行錯誤をしたものの、強くなれる見込みがないため、探索者になるという目標を諦め一般人として生きる道を歩んでいた。 しかしある日、5つしか獲得できないはずのスキルをいくらでも獲得できることに気づく。 ここで如月飛鳥は考えた。いくらスキルの一つ一つが大したことが無くても、100個、200個と大量に集めたのならレベルを上げるのと同様に強くなれるのではないかと。 一つの光明を見出した主人公は、最強への道を一直線に突き進む。 土曜日以外は毎日投稿してます。

追放されたギルドの書記ですが、落ちこぼれスキル《転写》が覚醒して何でも《コピー》出来るようになったので、魔法を極めることにしました

遥 かずら
ファンタジー
冒険者ギルドに所属しているエンジは剣と魔法の才能が無く、文字を書くことだけが取り柄であった。落ちこぼれスキル【転写】を使いギルド帳の筆記作業で生計を立てていた。そんなある日、立ち寄った勇者パーティーの貴重な古代書を間違って書き写してしまい、盗人扱いされ、勇者によってギルドから追放されてしまう。 追放されたエンジは、【転写】スキルが、物やスキル、ステータスや魔法に至るまで何でも【コピー】できるほどに極められていることに気が付く。 やがて彼は【コピー】マスターと呼ばれ、世界最強の冒険者となっていくのであった。

処理中です...