ブラックギルドマスターへ、社畜以下の道具として扱ってくれてあざーす!お陰で転職した俺は初日にSランクハンターに成り上がりました!

仁徳

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第四章

第一話 悪いが胸を揉んだのは事故だ

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~リュシアン視点~



 古城跡地でキングカルディアスを倒した俺たちは、報告するためにギルドに戻ってきていた。

「と言う訳で、古城跡地にいたモンスターは、伝龍ではありませんでした」

 俺はギルドマスターのエレーヌさんに調査結果の報告と、討伐したことを伝える。

「そうですか。伝龍ではなかったのですね。お疲れ様です。キングカルディアスを討伐したので、依頼主には私が報告しておきます。三人とも疲れたでしょう。今日は帰って休んでいいですよ」

「分かりました」

「やったー! 帰ってお風呂に入ろう!」

「私も部屋でゆっくりするとします」

 まだ夕方にもなっていないが、今日は早めに業務が終わった。俺たちは寮に帰って、これから自由に時間を使うことができる。

 前に所属していたギルドとは、本当に大違いだ。あの時、アントニオがクビにしてくれなかったら、こんな生活を送ることはなかったのかもしれないな。

 ブラックギルドマスターへ、社畜以下の道具として扱ってくれてあざーす! お陰で転職した初日にSランクハンターに成り上がりました!

 なんて手紙を書いて送ったら、どんな反応をするのだろうか。まぁ、これ以上あの男とは関わりたくないから、そんなことはしないのだけどね。

 そんなことを考えながら、俺は寮に帰っていく。





 翌日、俺は寮の扉を開けると、目の前にテレーゼがいた。

「あら、リュシアンピグレットも今から出るの? ちょうどあたしも今から行こうとしていたところなのよ。せっかくだから一緒に行きましょう」

 あれ? テレーゼの部屋は、寮の最上階だったよな。そして俺の部屋は二階。階段を普通に降りれば、俺の部屋の前を通ることはないはずなんだけど? まぁいいか。

「そうだな。せっかくだから一緒に行こう」

 外に出てから部屋に鍵をかけて戸締りをすると、彼女と一緒に一階に降りる。

「あ、リュシアンさん、テレーゼさん」

 一階に降りると、ユリヤが部屋から出て戸締りをしていた。俺たちに気付き、声をかけてくる。

「良かったら一緒に行ってもいいですか?」

「そうだな。別に断る理由もないから、一緒に行こう」

 ユリヤがこちらに駆け寄って来ると、俺の隣に並んだ。今の俺は、二人の女の子に挟まれて歩いている。

 そう言えば、最近ユリヤともばったり出会でくわすことが多いような気がする。

 まぁ、二度あることは三度あるって言う言葉があることだし、偶然が重なることもあるよな。

 ギルドは寮から徒歩五分のところにある。だから遅く寮を出ても、余裕で間に合う。

 ギルドの扉を開けて中に入ると、受付のところにスキンヘッドのお爺さんがいた。彼はエレーヌさんと何かを話している。

「おはようございます。エレーヌさん、そちらの方は依頼主さんですか?」

「リュシアン君おはよう。この方はベルトラムさん。今日からこのギルド専属の鍛冶職人になってもらったわ」

 ギルドマスターがお爺さんを紹介すると、彼は俺たちを見た。そしてエロい視線を向けてくる。

「ほう、ほう。エレーヌの言ったとおり、男だけではなく可愛い女の子もいるようじゃな」

「何、このジジイ。エロい目であたしを見ないでよ。マジ、キショイんだけど」

「テレーゼさんほど悪く言うつもりはないですけど、さすがにそんな目で女の子を見ない方がいいですよ」

 いやらしい視線を向けられ、二人は俺の背中に隠れる。

「こりゃすまない。ワシの悪い癖でな。可愛い女の子を見るとついつい胸や尻を見てしまう」

「このジジイとはあまり関わりたくないわね」

「ゴミを見るような目でワシを見ないでくれ。これは男としては当然の反応だ。なぁ、そこのボウズもワシの気持ちがわかるよな。可愛い女の子を見ると、胸や尻を見てしまうよな!」

 いや、俺に同意を求められても困るって。

 まぁ、同じ男としてベルトラムさんの気持ちもわからなくはない。だけどここで正直に言えば、二人からゴミを見るような目を向けられるかもしれないよな。ここは、彼の味方をしない方が良さそうだ。

「いや、俺は別にそんなことはないぞ。ベルトラムさんほど、意識して見るようなことは俺はしない」

「いやいや、痩せ我慢をするではない。同じ男として分かっておる」

 俺の何を理解しているのか分からないが、彼は突然俺の手首を掴む。そして俺の体を反転させ、後にいたユリヤの胸に押し当てた。

 俺の手はユリヤの胸を鷲掴む。服越しに柔らかい感触が伝わってきた。

「ボウズだって、こうして女の子の胸を揉みたいと日々思っておるはずだ」

「きゃあ!」

 俺に胸を揉まれたユリヤはみるみる顔を赤くして、短い悲鳴を上げる。彼女の声を聞いて俺は咄嗟に手を離すと、ユリヤは後方に下がって距離を空けた。

 そして両腕で胸を隠し、ベルトラムさんを睨みつける。

「リュシアンさんになんてことをさせるんですか!」

「そうよ! どうしてあたしじゃなくてユリヤなのよ!」

 二人はベルトラムさんを非難する。

「なんじゃ? 触って欲しかったのか? なら、ワシが君のお尻を触ってあげよう」

 ベルトラムさんがニヤニヤとしながら、両手の指をいやらしく動かす。

「そう言う意味じゃないわよ! あたしに近づかないで! アー!」

「ぎゃあああああああああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ! 痛い! 痛い! 痛い!」

 テレーゼの音波をくらい、ベルトラムさんは床に転がった。

「次にあたしたちにいやらしい視線を向けたら、ただでは済まさないからね」

「わ、分かった。可能な限り気を付けるとしよう。あたた。まったく、年寄りはもっと大切に扱わないか」

 床に倒れたベルトラムさんはよろよろと立ち上がる。

「まったく、とんだジャジャ馬娘じゃわい。入社初日から女の子にモテモテのハーレム生活を送れると思っておったのに」

 この爺さん、そんな妄想をしていたのかよ。

「まぁいい。冗談はその辺にして、今はやるべきことをしよう。ボウズ、お前の太刀を寄越せ」











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