ブラックギルドマスターへ、社畜以下の道具として扱ってくれてあざーす!お陰で転職した俺は初日にSランクハンターに成り上がりました!

仁徳

文字の大きさ
上 下
33 / 171
第四章

第一話 悪いが胸を揉んだのは事故だ

しおりを挟む
~リュシアン視点~



 古城跡地でキングカルディアスを倒した俺たちは、報告するためにギルドに戻ってきていた。

「と言う訳で、古城跡地にいたモンスターは、伝龍ではありませんでした」

 俺はギルドマスターのエレーヌさんに調査結果の報告と、討伐したことを伝える。

「そうですか。伝龍ではなかったのですね。お疲れ様です。キングカルディアスを討伐したので、依頼主には私が報告しておきます。三人とも疲れたでしょう。今日は帰って休んでいいですよ」

「分かりました」

「やったー! 帰ってお風呂に入ろう!」

「私も部屋でゆっくりするとします」

 まだ夕方にもなっていないが、今日は早めに業務が終わった。俺たちは寮に帰って、これから自由に時間を使うことができる。

 前に所属していたギルドとは、本当に大違いだ。あの時、アントニオがクビにしてくれなかったら、こんな生活を送ることはなかったのかもしれないな。

 ブラックギルドマスターへ、社畜以下の道具として扱ってくれてあざーす! お陰で転職した初日にSランクハンターに成り上がりました!

 なんて手紙を書いて送ったら、どんな反応をするのだろうか。まぁ、これ以上あの男とは関わりたくないから、そんなことはしないのだけどね。

 そんなことを考えながら、俺は寮に帰っていく。





 翌日、俺は寮の扉を開けると、目の前にテレーゼがいた。

「あら、リュシアンピグレットも今から出るの? ちょうどあたしも今から行こうとしていたところなのよ。せっかくだから一緒に行きましょう」

 あれ? テレーゼの部屋は、寮の最上階だったよな。そして俺の部屋は二階。階段を普通に降りれば、俺の部屋の前を通ることはないはずなんだけど? まぁいいか。

「そうだな。せっかくだから一緒に行こう」

 外に出てから部屋に鍵をかけて戸締りをすると、彼女と一緒に一階に降りる。

「あ、リュシアンさん、テレーゼさん」

 一階に降りると、ユリヤが部屋から出て戸締りをしていた。俺たちに気付き、声をかけてくる。

「良かったら一緒に行ってもいいですか?」

「そうだな。別に断る理由もないから、一緒に行こう」

 ユリヤがこちらに駆け寄って来ると、俺の隣に並んだ。今の俺は、二人の女の子に挟まれて歩いている。

 そう言えば、最近ユリヤともばったり出会でくわすことが多いような気がする。

 まぁ、二度あることは三度あるって言う言葉があることだし、偶然が重なることもあるよな。

 ギルドは寮から徒歩五分のところにある。だから遅く寮を出ても、余裕で間に合う。

 ギルドの扉を開けて中に入ると、受付のところにスキンヘッドのお爺さんがいた。彼はエレーヌさんと何かを話している。

「おはようございます。エレーヌさん、そちらの方は依頼主さんですか?」

「リュシアン君おはよう。この方はベルトラムさん。今日からこのギルド専属の鍛冶職人になってもらったわ」

 ギルドマスターがお爺さんを紹介すると、彼は俺たちを見た。そしてエロい視線を向けてくる。

「ほう、ほう。エレーヌの言ったとおり、男だけではなく可愛い女の子もいるようじゃな」

「何、このジジイ。エロい目であたしを見ないでよ。マジ、キショイんだけど」

「テレーゼさんほど悪く言うつもりはないですけど、さすがにそんな目で女の子を見ない方がいいですよ」

 いやらしい視線を向けられ、二人は俺の背中に隠れる。

「こりゃすまない。ワシの悪い癖でな。可愛い女の子を見るとついつい胸や尻を見てしまう」

「このジジイとはあまり関わりたくないわね」

「ゴミを見るような目でワシを見ないでくれ。これは男としては当然の反応だ。なぁ、そこのボウズもワシの気持ちがわかるよな。可愛い女の子を見ると、胸や尻を見てしまうよな!」

 いや、俺に同意を求められても困るって。

 まぁ、同じ男としてベルトラムさんの気持ちもわからなくはない。だけどここで正直に言えば、二人からゴミを見るような目を向けられるかもしれないよな。ここは、彼の味方をしない方が良さそうだ。

「いや、俺は別にそんなことはないぞ。ベルトラムさんほど、意識して見るようなことは俺はしない」

「いやいや、痩せ我慢をするではない。同じ男として分かっておる」

 俺の何を理解しているのか分からないが、彼は突然俺の手首を掴む。そして俺の体を反転させ、後にいたユリヤの胸に押し当てた。

 俺の手はユリヤの胸を鷲掴む。服越しに柔らかい感触が伝わってきた。

「ボウズだって、こうして女の子の胸を揉みたいと日々思っておるはずだ」

「きゃあ!」

 俺に胸を揉まれたユリヤはみるみる顔を赤くして、短い悲鳴を上げる。彼女の声を聞いて俺は咄嗟に手を離すと、ユリヤは後方に下がって距離を空けた。

 そして両腕で胸を隠し、ベルトラムさんを睨みつける。

「リュシアンさんになんてことをさせるんですか!」

「そうよ! どうしてあたしじゃなくてユリヤなのよ!」

 二人はベルトラムさんを非難する。

「なんじゃ? 触って欲しかったのか? なら、ワシが君のお尻を触ってあげよう」

 ベルトラムさんがニヤニヤとしながら、両手の指をいやらしく動かす。

「そう言う意味じゃないわよ! あたしに近づかないで! アー!」

「ぎゃあああああああああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ! 痛い! 痛い! 痛い!」

 テレーゼの音波をくらい、ベルトラムさんは床に転がった。

「次にあたしたちにいやらしい視線を向けたら、ただでは済まさないからね」

「わ、分かった。可能な限り気を付けるとしよう。あたた。まったく、年寄りはもっと大切に扱わないか」

 床に倒れたベルトラムさんはよろよろと立ち上がる。

「まったく、とんだジャジャ馬娘じゃわい。入社初日から女の子にモテモテのハーレム生活を送れると思っておったのに」

 この爺さん、そんな妄想をしていたのかよ。

「まぁいい。冗談はその辺にして、今はやるべきことをしよう。ボウズ、お前の太刀を寄越せ」











最後まで読んでいただきありがとうございます。

面白かった! この物語は期待できる! 続きが早く読みたい!

など思っていただけましたら、【感想】や【お気に入り登録】をしていただけると、作者のモチベが上がり、更新が早くなります。

【感想】は一言コメントや誤字報告でも大丈夫です。書いてもらえると嬉しくって励みになります。

何卒宜しくお願いします。
しおりを挟む
感想 29

あなたにおすすめの小説

Sランク昇進を記念して追放された俺は、追放サイドの令嬢を助けたことがきっかけで、彼女が押しかけ女房のようになって困る!

仁徳
ファンタジー
シロウ・オルダーは、Sランク昇進をきっかけに赤いバラという冒険者チームから『スキル非所持の無能』とを侮蔑され、パーティーから追放される。 しかし彼は、異世界の知識を利用して新な魔法を生み出すスキル【魔学者】を使用できるが、彼はそのスキルを隠し、無能を演じていただけだった。 そうとは知らずに、彼を追放した赤いバラは、今までシロウのサポートのお陰で強くなっていたことを知らずに、ダンジョンに挑む。だが、初めての敗北を経験したり、その後借金を背負ったり地位と名声を失っていく。 一方自由になったシロウは、新な町での冒険者活動で活躍し、一目置かれる存在となりながら、追放したマリーを助けたことで惚れられてしまう。手料理を振る舞ったり、背中を流したり、それはまるで押しかけ女房だった! これは、チート能力を手に入れてしまったことで、無能を演じたシロウがパーティーを追放され、その後ソロとして活躍して無双すると、他のパーティーから追放されたエルフや魔族といった様々な追放少女が集まり、いつの間にかハーレムパーティーを結成している物語!

俺だけLVアップするスキルガチャで、まったりダンジョン探索者生活も余裕です ~ガチャ引き楽しくてやめられねぇ~

シンギョウ ガク
ファンタジー
仕事中、寝落ちした明日見碧(あすみ あおい)は、目覚めたら暗い洞窟にいた。 目の前には蛍光ピンクのガチャマシーン(足つき)。 『初心者優遇10連ガチャ開催中』とか『SSRレアスキル確定』の誘惑に負け、金色のコインを投入してしまう。 カプセルを開けると『鑑定』、『ファイア』、『剣術向上』といったスキルが得られ、次々にステータスが向上していく。 ガチャスキルの力に魅了された俺は魔物を倒して『金色コイン』を手に入れて、ガチャ引きまくってたらいつのまにか強くなっていた。 ボスを討伐し、初めてのダンジョンの外に出た俺は、相棒のガチャと途中で助けた異世界人アスターシアとともに、異世界人ヴェルデ・アヴニールとして、生き延びるための自由気ままな異世界の旅がここからはじまった。

スキル間違いの『双剣士』~一族の恥だと追放されたが、追放先でスキルが覚醒。気が付いたら最強双剣士に~

きょろ
ファンタジー
この世界では5歳になる全ての者に『スキル』が与えられる――。 洗礼の儀によってスキル『片手剣』を手にしたグリム・レオハートは、王国で最も有名な名家の長男。 レオハート家は代々、女神様より剣の才能を与えられる事が多い剣聖一族であり、グリムの父は王国最強と謳われる程の剣聖であった。 しかし、そんなレオハート家の長男にも関わらずグリムは全く剣の才能が伸びなかった。 スキルを手にしてから早5年――。 「貴様は一族の恥だ。最早息子でも何でもない」 突如そう父に告げられたグリムは、家族からも王国からも追放され、人が寄り付かない辺境の森へと飛ばされてしまった。 森のモンスターに襲われ絶対絶命の危機に陥ったグリム。ふと辺りを見ると、そこには過去に辺境の森に飛ばされたであろう者達の骨が沢山散らばっていた。 それを見つけたグリムは全てを諦め、最後に潔く己の墓を建てたのだった。 「どうせならこの森で1番派手にしようか――」 そこから更に8年――。 18歳になったグリムは何故か辺境の森で最強の『双剣士』となっていた。 「やべ、また力込め過ぎた……。双剣じゃやっぱ強すぎるな。こりゃ1本は飾りで十分だ」 最強となったグリムの所へ、ある日1体の珍しいモンスターが現れた。 そして、このモンスターとの出会いがグレイの運命を大きく動かす事となる――。

出戻り国家錬金術師は村でスローライフを送りたい

新川キナ
ファンタジー
主人公の少年ジンが村を出て10年。 国家錬金術師となって帰ってきた。 村の見た目は、あまり変わっていないようでも、そこに住む人々は色々と変化してて…… そんな出戻り主人公が故郷で錬金工房を開いて生活していこうと思っていた矢先。王都で付き合っていた貧乏貴族令嬢の元カノが突撃してきた。 「私に貴方の子種をちょうだい!」 「嫌です」 恋に仕事に夢にと忙しい田舎ライフを送る青年ジンの物語。 ※話を改稿しました。内容が若干変わったり、登場人物が増えたりしています。

無能扱いされた実は万能な武器職人、Sランクパーティーに招かれる~理不尽な理由でパーティーから追い出されましたが、恵まれた新天地で頑張ります~

詩葉 豊庸(旧名:堅茹でパスタ)
ファンタジー
鍛冶職人が武器を作り、提供する……なんてことはもう古い時代。 現代のパーティーには武具生成を役目とするクリエイターという存在があった。 アレンはそんなクリエイターの一人であり、彼もまたとある零細パーティーに属していた。 しかしアレンはパーティーリーダーのテリーに理不尽なまでの要望を突きつけられる日常を送っていた。 本当は彼の適性に合った武器を提供していたというのに…… そんな中、アレンの元に二人の少女が歩み寄ってくる。アレンは少女たちにパーティーへのスカウトを受けることになるが、後にその二人がとんでもない存在だったということを知る。 後日、アレンはテリーの裁量でパーティーから追い出されてしまう。 だが彼はクビを宣告されても何とも思わなかった。 むしろ、彼にとってはこの上なく嬉しいことだった。 これは万能クリエイター(本人は自覚無し)が最高の仲間たちと紡ぐ冒険の物語である。

追放された最強賢者は悠々自適に暮らしたい

桐山じゃろ
ファンタジー
魔王討伐を成し遂げた魔法使いのエレルは、勇者たちに裏切られて暗殺されかけるも、さくっと逃げおおせる。魔法レベル1のエレルだが、その魔法と魔力は単独で魔王を倒せるほど強力なものだったのだ。幼い頃には親に売られ、どこへ行っても「貧民出身」「魔法レベル1」と虐げられてきたエレルは、人間という生き物に嫌気が差した。「もう人間と関わるのは面倒だ」。森で一人でひっそり暮らそうとしたエレルだったが、成り行きで狐に絆され姫を助け、更には快適な生活のために行ったことが切っ掛けで、その他色々が勝手に集まってくる。その上、国がエレルのことを探し出そうとしている。果たしてエレルは思い描いた悠々自適な生活を手に入れることができるのか。※小説家になろう、カクヨムでも掲載しています

S級冒険者の子どもが進む道

干支猫
ファンタジー
【12/26完結】 とある小さな村、元冒険者の両親の下に生まれた子、ヨハン。 父親譲りの剣の才能に母親譲りの魔法の才能は両親の想定の遥か上をいく。 そうして王都の冒険者学校に入学を決め、出会った仲間と様々な学生生活を送っていった。 その中で魔族の存在にエルフの歴史を知る。そして魔王の復活を聞いた。 魔王とはいったい? ※感想に盛大なネタバレがあるので閲覧の際はご注意ください。

~最弱のスキルコレクター~ スキルを無限に獲得できるようになった元落ちこぼれは、レベル1のまま世界最強まで成り上がる

僧侶A
ファンタジー
沢山のスキルさえあれば、レベルが無くても最強になれる。 スキルは5つしか獲得できないのに、どのスキルも補正値は5%以下。 だからレベルを上げる以外に強くなる方法はない。 それなのにレベルが1から上がらない如月飛鳥は当然のように落ちこぼれた。 色々と試行錯誤をしたものの、強くなれる見込みがないため、探索者になるという目標を諦め一般人として生きる道を歩んでいた。 しかしある日、5つしか獲得できないはずのスキルをいくらでも獲得できることに気づく。 ここで如月飛鳥は考えた。いくらスキルの一つ一つが大したことが無くても、100個、200個と大量に集めたのならレベルを上げるのと同様に強くなれるのではないかと。 一つの光明を見出した主人公は、最強への道を一直線に突き進む。 土曜日以外は毎日投稿してます。

処理中です...