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第一章
第一話 ブラックハンターギルドをクビになりました
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「リュシアン、お前を今からクビにする! このギルドを出ていけ!」
俺、リュシアンはハンターとしての激務を終え、ギルドに帰還するなり、ギルドマスターのアントニオからいきなりクビを言い渡された。
はあ? どうして俺がクビにならないといけないんだよ。
俺はクビになる理由に心当たりがないか。今日一日のできごとを思い出す。
「では、これより諸君らにやってもらう本日の任務を配る」
ここのギルドマスターであり、俺の雇い主でもあるアントニオ・チェチェーレが、社員であるハンターたちに本日分の依頼を配る。
「リュシアン・プライム。お前は依頼を頑張ってこなしているからな。特別に沢山の仕事をくれてやる。感謝しろよ」
憎たらしい笑みを浮かべながら、ギルドマスターのアントニオは依頼の束を俺に渡した。
「本日も頑張ってくれ」
マジかよ。この紙の分厚さ、一日で終わらせられる量を超えているぞ。今日も夜遅くまで依頼をやらないと間に合わないじゃないか。
「それでは諸君、今日もケガは最低限に抑えて依頼を終えてくるように。では解散!」
仕事の分配が終わると、ギルドマスターのアントニオは、ギルドマスター専用の部屋に入って行く。
くそう。俺たちが汗水垂らして命懸けでモンスターと戦っているのに、あの男は今日も安全な場所で指示を出すだけかよ。
「あーあ、ギルドマスターに気に入ってもらっているやつは、沢山仕事をもらえていいなぁ。俺とは大違いだぜ」
心の中でアントニオに対して文句を言っていると、俺の横に立っている金髪の髪をランダムマッシュにしている男が嫌味を言う。
「フェルディナンもそこそこの依頼を貰っているじゃないか。それなのに、よく定時までに全ての依頼を終わらせられるよな」
「バーカ、俺はお前と違って効率よくやっているんだよ。と言う訳で、仕事を毎日頑張っているリュシアンに、俺からのプレゼントだ。この依頼をお前に預ける」
俺の持っている依頼書の上に、彼は請け負った依頼の紙の殆どを乗せた。
「おい、これはどう言う冗談だ!」
「それじゃ、あとは任せた! 依頼をやらないと、依頼主が悲しんでしまうぜ」
ギルドの扉を開けながら、フェルディアンは捨て台詞を吐く。そして逃げるように外に出た。
フェルディナンは逃げ足だけは早い。今から追いかけても追い付かないだろう。
くそう。また仕事が増えてしまった。だけど彼の言うとおり、この依頼を終わらせないと依頼主が悲しんでしまう。
ここは俺が頑張って依頼を終わらせないといけない。全ては依頼主の笑顔のために。
たくさんの依頼書をテーブルの上に置くと、俺はざっと眺めた。
ここにある依頼を今日中に全て終わらせるには、効率がもっとも重要だ。ムダな往復を避けるために、まずはこの町から近い場所の依頼からやって、少しずつ遠くの依頼をこなす。
そして採取の依頼は、何が必要なのかを頭の中に叩き込んでおく必要があるな。
討伐対象が生息しているエリアに入った場所にも、採取のお願いが来ている。
効率良く動くために依頼書の順番を並び替えると、俺は急いでギルドを出た。
とにかく一分一秒たりともムダにはできない。依頼主を悲しませないためにも、迅速に行う必要がある。依頼を終わらせるために、不必要なものは全て捨てなければならない。
くそう。今日もお昼は抜きか。だけど全ては依頼主の笑顔のためだ。
「や、やっと終わった。今何時だ? 日付が変わっていなければいいのだけど」
夜の遅い時間、俺はフェルディナンの分も含めて全ての依頼を終わらせた。
町に戻り、ギルドに向かう。
ギルドに明かりが付いている。と言うことは、アントニオはまだいる。
俺はギルドの扉を開けて中に入った。
「遅い! どこで油を売っていたんだ! もう少しで日付が変わってしまうところだったんだぞ!」
ギルドの中に入るなり、ギルドマスターのアントニオが怒鳴り声を上げる。
「たった今、依頼主様から依頼達成の報告を受けた。ギリギリではないか! このノロマ! お前に与えた依頼はこんなに時間がかかるものではなかったはずだぞ!」
アントニオの怒声を聞きながら、俺は両の拳を握る。
俺だって、フェルディナンの依頼をやらなければこんなに遅くなることはなかった。
「それに比べてフェルディナンは本当に優秀だ。お前ほどの仕事を与えてはいないが、定時までに全ての依頼を終わらせて帰ってきた。あの男ほど優れたハンターは他にはいない」
フェルディナンのことを思い出していると、アントニオは突然彼の話題を出して褒めちぎる。
あいつが定時で帰れたのは、俺が仕事を肩代わりしてやったからだ。そうでなければ、あの男では今日中に依頼を終えることができない内容だった。
そのことが分かっていたからこそ、フェルディナンは俺にあの仕事を押し付けたんだ。
「お前のせいで、俺はこんな時間までギルドに残らないといけなくなった。どう責任を取ってくれるんだ! ギルドマスターと言う役職は残業代が出ないんだぞ!」
アントニオの怒声を聞きながら、俺は歯を食い縛ってひたすら耐えた。
「ああもういい! お前の顔を見ているとムカムカしてくる。ほら、今日の報酬をくれてやる! さっさと帰れ! 明日も依頼主様からの仕事が溜まっているんだからな」
アントニオが大声を上げながら一枚の紙幣を床に投げ捨てる。
せ、千ギル! あれだけ頑張ってこれだけしかもらえないのかよ。これじゃあ宿に一泊するだけで今日の収入がなくなるじゃないか。
「いつまで突っ立っているんだ! 早く出て行け! 鍵を閉められないではないか! まったくとろいやつめ!」
「がぁ!」
床に落ちた一枚の紙幣を取ったその時、アントニオが声を荒げて俺の体を蹴り飛ばす。
疲れた体では彼の一撃を避けることができず、俺は蹴り飛ばされて地面に転がった。
「それじゃあ明日も朝の八時前にはギルドに来るように」
それだけを言い残し、アントニオは地面に倒れる俺のことなんか気に病む素振りを見せずに、この場から離れて行った。
と、とにかく。早く宿屋に帰って体を休めよう。あ、その前に川で汚れを落としていかないといけないな。
よろよろと立ち上がり、俺は体を洗うために川に向かう。
「たく、今日の依頼は一つだけでいい代わりに、お前とペアで行動しないといけないなんてかったるいぜ。俺の足だけは引っ張るんじゃないぞ! リュシアン!」
俺はギルドマスターのアントニオから、フェルディナンと一緒に依頼を受けるように言われ、共に行動している。
「分かっている。俺が足を引っ張るなんてことはあり得ない。相手はこれまで何度か討伐したことがあるモンスターだからな」
「まぁ、その件に関して信頼しているさ。俺が言いたいのは別の意味での足の引っ張りだ」
うん? どう言う意味なんだ? フェルディナンの言っている意味が分からないのだけど? まぁいいか。
「そろそろ目的地だからな。気を抜くんじゃないぞ。リュシアン」
「それはこっちのセリフだ。ほら、いたぞ」
討伐対象を視認すると、俺は鞘から剣を抜く。
「それにしても、お前の得物は珍しいよな? 太刀だっけ?」
「ああ、子供の頃に東の国出身の人から貰ったものだ」
俺は剣を構えたまま、気配を殺して討伐対象に近づく。
討伐する魔物はピッグコングと言うモンスターだ。頭はブタで身体がゴリラの形をしている。そしてくるくると丸まった尻尾を器用に使って石を拾い、投げつけてくることもある。
よし、よし。気づかれていないな。今の内に仕留める!
俺は勢いよく太刀を振り下ろし、一撃でモンスターの尻尾を切断した。
「ブヒヒヒィ!」
尻尾を斬られて悲鳴を上げたピッグコングは、驚いて腕をくるくると回しながら仰向けに倒れた。
胸を晒した。今のうちに止めをさす。
跳躍して跳び上がると、俺はやつの心臓に向けて得物を突き刺した。太刀がモンスターの肉を突き破り、臓器を破壊したことにより傷口から鮮血が噴き出す。
「これでよし。討伐完了だ」
「ご苦労さん。それじゃああとはこいつの剥ぎ取り作業だな。ピッグコングの体内で生成されるピゴ結晶を持って帰れば依頼達成だぜ」
討伐に参加しなかったフェルディナンが、ピッグコングの死体に近づくと剥ぎ取りを始めた。
こいつ、戦闘には参加しなかったのに、剥ぎ取りだけはやってくれるのかよ。まぁ、素材を傷つけないようにする必要があるし、やってくれるのはありがたい。俺の場合は三十パーセントの確率で素材に傷を入れてしまうからな。
「よし、目的のものは剥ぎ取った。と言う訳で、お前にはしばらく眠ってもらうとしようリュシアン」
「何を……言って!」
いきなり腹部に激痛が走った。どうやら俺は、フェルディナンに腹部を殴られたみたいだ。
「悪いな。お前は俺の踏み台になってもらう。俺が昇格するために、ちょっとした犠牲になってくれ」
その言葉を聞いた瞬間、俺は意識を失ってしまった。
それからどれくらい時間が経ったのか分からない。
目が覚めた俺は、殴られた腹を抑えながらギルドに戻る。
扉を開けて中に入ると、俺を見たアントニオが鋭い眼光で睨みつけてきた。
「リュシアン! ちょっと来い!」
来るように言われ、俺はギルドマスターのところに行く。
ちょうどフェルディナンのことを報告しないといけないからな。
「リュシアン、お前を今からクビにする! このギルドを出ていけ!」
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俺、リュシアンはハンターとしての激務を終え、ギルドに帰還するなり、ギルドマスターのアントニオからいきなりクビを言い渡された。
はあ? どうして俺がクビにならないといけないんだよ。
俺はクビになる理由に心当たりがないか。今日一日のできごとを思い出す。
「では、これより諸君らにやってもらう本日の任務を配る」
ここのギルドマスターであり、俺の雇い主でもあるアントニオ・チェチェーレが、社員であるハンターたちに本日分の依頼を配る。
「リュシアン・プライム。お前は依頼を頑張ってこなしているからな。特別に沢山の仕事をくれてやる。感謝しろよ」
憎たらしい笑みを浮かべながら、ギルドマスターのアントニオは依頼の束を俺に渡した。
「本日も頑張ってくれ」
マジかよ。この紙の分厚さ、一日で終わらせられる量を超えているぞ。今日も夜遅くまで依頼をやらないと間に合わないじゃないか。
「それでは諸君、今日もケガは最低限に抑えて依頼を終えてくるように。では解散!」
仕事の分配が終わると、ギルドマスターのアントニオは、ギルドマスター専用の部屋に入って行く。
くそう。俺たちが汗水垂らして命懸けでモンスターと戦っているのに、あの男は今日も安全な場所で指示を出すだけかよ。
「あーあ、ギルドマスターに気に入ってもらっているやつは、沢山仕事をもらえていいなぁ。俺とは大違いだぜ」
心の中でアントニオに対して文句を言っていると、俺の横に立っている金髪の髪をランダムマッシュにしている男が嫌味を言う。
「フェルディナンもそこそこの依頼を貰っているじゃないか。それなのに、よく定時までに全ての依頼を終わらせられるよな」
「バーカ、俺はお前と違って効率よくやっているんだよ。と言う訳で、仕事を毎日頑張っているリュシアンに、俺からのプレゼントだ。この依頼をお前に預ける」
俺の持っている依頼書の上に、彼は請け負った依頼の紙の殆どを乗せた。
「おい、これはどう言う冗談だ!」
「それじゃ、あとは任せた! 依頼をやらないと、依頼主が悲しんでしまうぜ」
ギルドの扉を開けながら、フェルディアンは捨て台詞を吐く。そして逃げるように外に出た。
フェルディナンは逃げ足だけは早い。今から追いかけても追い付かないだろう。
くそう。また仕事が増えてしまった。だけど彼の言うとおり、この依頼を終わらせないと依頼主が悲しんでしまう。
ここは俺が頑張って依頼を終わらせないといけない。全ては依頼主の笑顔のために。
たくさんの依頼書をテーブルの上に置くと、俺はざっと眺めた。
ここにある依頼を今日中に全て終わらせるには、効率がもっとも重要だ。ムダな往復を避けるために、まずはこの町から近い場所の依頼からやって、少しずつ遠くの依頼をこなす。
そして採取の依頼は、何が必要なのかを頭の中に叩き込んでおく必要があるな。
討伐対象が生息しているエリアに入った場所にも、採取のお願いが来ている。
効率良く動くために依頼書の順番を並び替えると、俺は急いでギルドを出た。
とにかく一分一秒たりともムダにはできない。依頼主を悲しませないためにも、迅速に行う必要がある。依頼を終わらせるために、不必要なものは全て捨てなければならない。
くそう。今日もお昼は抜きか。だけど全ては依頼主の笑顔のためだ。
「や、やっと終わった。今何時だ? 日付が変わっていなければいいのだけど」
夜の遅い時間、俺はフェルディナンの分も含めて全ての依頼を終わらせた。
町に戻り、ギルドに向かう。
ギルドに明かりが付いている。と言うことは、アントニオはまだいる。
俺はギルドの扉を開けて中に入った。
「遅い! どこで油を売っていたんだ! もう少しで日付が変わってしまうところだったんだぞ!」
ギルドの中に入るなり、ギルドマスターのアントニオが怒鳴り声を上げる。
「たった今、依頼主様から依頼達成の報告を受けた。ギリギリではないか! このノロマ! お前に与えた依頼はこんなに時間がかかるものではなかったはずだぞ!」
アントニオの怒声を聞きながら、俺は両の拳を握る。
俺だって、フェルディナンの依頼をやらなければこんなに遅くなることはなかった。
「それに比べてフェルディナンは本当に優秀だ。お前ほどの仕事を与えてはいないが、定時までに全ての依頼を終わらせて帰ってきた。あの男ほど優れたハンターは他にはいない」
フェルディナンのことを思い出していると、アントニオは突然彼の話題を出して褒めちぎる。
あいつが定時で帰れたのは、俺が仕事を肩代わりしてやったからだ。そうでなければ、あの男では今日中に依頼を終えることができない内容だった。
そのことが分かっていたからこそ、フェルディナンは俺にあの仕事を押し付けたんだ。
「お前のせいで、俺はこんな時間までギルドに残らないといけなくなった。どう責任を取ってくれるんだ! ギルドマスターと言う役職は残業代が出ないんだぞ!」
アントニオの怒声を聞きながら、俺は歯を食い縛ってひたすら耐えた。
「ああもういい! お前の顔を見ているとムカムカしてくる。ほら、今日の報酬をくれてやる! さっさと帰れ! 明日も依頼主様からの仕事が溜まっているんだからな」
アントニオが大声を上げながら一枚の紙幣を床に投げ捨てる。
せ、千ギル! あれだけ頑張ってこれだけしかもらえないのかよ。これじゃあ宿に一泊するだけで今日の収入がなくなるじゃないか。
「いつまで突っ立っているんだ! 早く出て行け! 鍵を閉められないではないか! まったくとろいやつめ!」
「がぁ!」
床に落ちた一枚の紙幣を取ったその時、アントニオが声を荒げて俺の体を蹴り飛ばす。
疲れた体では彼の一撃を避けることができず、俺は蹴り飛ばされて地面に転がった。
「それじゃあ明日も朝の八時前にはギルドに来るように」
それだけを言い残し、アントニオは地面に倒れる俺のことなんか気に病む素振りを見せずに、この場から離れて行った。
と、とにかく。早く宿屋に帰って体を休めよう。あ、その前に川で汚れを落としていかないといけないな。
よろよろと立ち上がり、俺は体を洗うために川に向かう。
「たく、今日の依頼は一つだけでいい代わりに、お前とペアで行動しないといけないなんてかったるいぜ。俺の足だけは引っ張るんじゃないぞ! リュシアン!」
俺はギルドマスターのアントニオから、フェルディナンと一緒に依頼を受けるように言われ、共に行動している。
「分かっている。俺が足を引っ張るなんてことはあり得ない。相手はこれまで何度か討伐したことがあるモンスターだからな」
「まぁ、その件に関して信頼しているさ。俺が言いたいのは別の意味での足の引っ張りだ」
うん? どう言う意味なんだ? フェルディナンの言っている意味が分からないのだけど? まぁいいか。
「そろそろ目的地だからな。気を抜くんじゃないぞ。リュシアン」
「それはこっちのセリフだ。ほら、いたぞ」
討伐対象を視認すると、俺は鞘から剣を抜く。
「それにしても、お前の得物は珍しいよな? 太刀だっけ?」
「ああ、子供の頃に東の国出身の人から貰ったものだ」
俺は剣を構えたまま、気配を殺して討伐対象に近づく。
討伐する魔物はピッグコングと言うモンスターだ。頭はブタで身体がゴリラの形をしている。そしてくるくると丸まった尻尾を器用に使って石を拾い、投げつけてくることもある。
よし、よし。気づかれていないな。今の内に仕留める!
俺は勢いよく太刀を振り下ろし、一撃でモンスターの尻尾を切断した。
「ブヒヒヒィ!」
尻尾を斬られて悲鳴を上げたピッグコングは、驚いて腕をくるくると回しながら仰向けに倒れた。
胸を晒した。今のうちに止めをさす。
跳躍して跳び上がると、俺はやつの心臓に向けて得物を突き刺した。太刀がモンスターの肉を突き破り、臓器を破壊したことにより傷口から鮮血が噴き出す。
「これでよし。討伐完了だ」
「ご苦労さん。それじゃああとはこいつの剥ぎ取り作業だな。ピッグコングの体内で生成されるピゴ結晶を持って帰れば依頼達成だぜ」
討伐に参加しなかったフェルディナンが、ピッグコングの死体に近づくと剥ぎ取りを始めた。
こいつ、戦闘には参加しなかったのに、剥ぎ取りだけはやってくれるのかよ。まぁ、素材を傷つけないようにする必要があるし、やってくれるのはありがたい。俺の場合は三十パーセントの確率で素材に傷を入れてしまうからな。
「よし、目的のものは剥ぎ取った。と言う訳で、お前にはしばらく眠ってもらうとしようリュシアン」
「何を……言って!」
いきなり腹部に激痛が走った。どうやら俺は、フェルディナンに腹部を殴られたみたいだ。
「悪いな。お前は俺の踏み台になってもらう。俺が昇格するために、ちょっとした犠牲になってくれ」
その言葉を聞いた瞬間、俺は意識を失ってしまった。
それからどれくらい時間が経ったのか分からない。
目が覚めた俺は、殴られた腹を抑えながらギルドに戻る。
扉を開けて中に入ると、俺を見たアントニオが鋭い眼光で睨みつけてきた。
「リュシアン! ちょっと来い!」
来るように言われ、俺はギルドマスターのところに行く。
ちょうどフェルディナンのことを報告しないといけないからな。
「リュシアン、お前を今からクビにする! このギルドを出ていけ!」
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