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第四章
第十話 現れたのはギャルゲー設定のキャラ
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半壊状態の建物の上にいる女の子を見て、俺の予想が的中したことを知る。
ピンクの髪をツインテールに纏め、頭にはキツネ耳のカチューシャを嵌めている巫女服を着た女の子。間違いなくカムイの側近の一人であるタマヨ・ミコマイだ。
彼女は他のキャラとは違って、一癖も二癖もある女の子だ。
ゲームでは、なぜか彼女だけギャルゲーに出てくるような好感度が存在している。プレイヤーの選択や彼女に対しての接し方によって、好感度に変動が起き、溜まった好感度によって仲間になることもある。
そして好感度が最大になると、タマヨ専用のルートが発生する。その内容と言うものが、恋仲になると言うものだ。
プレイヤーが使うキャラが男性であれば普通のカップルに、女性だった場合は百合のカップルになると言うものだ。
しかも彼女の性格によるものなのか、プレイヤーには拒否権がなく、強制的に恋人になってしまう。
彼女を仲間に引き込むまで好感度を上げるのは全然ありだが、タマヨの好感度をマックスにするのだけは避けなければならない。
万が一好感度をマックスにしてしまえば、カレンへの愛を貯めるのに邪魔をされ、最大の障害へとなり得る。
だけどゼウスと再戦するには少しでも戦力が欲しいと言うのも事実。
まぁ、ここは程良く好感度を上げて仲間に引き込ませてもらうとするか。
まずは名前からだ。彼女はタマヨと呼ばれるのを嫌っている。好感度を上げるために、ここは彼女の望みどおりにマリアと呼ぶとするか。
「あー、マリアね。了解した。次からそう呼ばせてもらうよ」
「お願いしますわね。あんなダサい名前で呼ばれるのは嫌ですので」
タマヨが注意を促し、俺たちを見下ろす。
「それにしても、よくワタクシが操る式神を倒しましたね。こうなるのであれば、あなた方を舐めないで、最初から強力な式神を使うべきでした」
タマヨが巫女服の袖から一枚の紙を取り出すと、地面に向けて投げる。
紙切れには文字が書かれており、地面に落ちると同時にモンスターが現れた。
狼の顔に獅子の身体、頭には一本の角があり、体毛は静電気を帯びた髪のように逆立っている。そして前足と後ろ足は、鋭い爪が伸びていた。
「さぁ、ライちゃんやっておしまい」
この特徴のあるモンスターは、タマヨが使う大型式神の一体、ライトニングロウ。
あの鋭い爪で切り裂かれれば、ゲームでは一発で瀕死に追い込まれたことを覚えている。
若干トラウマ感のある式神だが、こいつには某ハンターゲームのように攻撃の際に予備動作がある。
やつの動きを見極めれば、逆にこちらがダメージを受けずに叩きのめすことも可能だ。
『グルルルル!』
低い唸り声を上げてモンスターは俺たちに威嚇をしつつ、ゆっくりと近付く。
まずはあの鋭利な爪を封じさせてもらう。
「【氷の拘束】!」
スキルを発動した瞬間、空気中の酸素と水素が磁石のように引き合い、電気的な力によって水素結合を起こす。これにより水分子間がつながり、水分子のクラスターが形成され、水の塊が出現。
毛を逆立てているモンスターの足首に巻きついた。
すると今度は巻きついた水に限定して気温が下がり、水分子が運動するための熱エネルギーが極端に低くなると、水分子は動きを止めてお互いに結合して氷へと変化した。
白銀のオオカミのときのように、氷でモンスターの動きを封じ込めることに成功した。
「やったね! さすがユウリだよ」
「あの鋭利な爪が正直怖かったけど、これなら接近しても大丈夫そうね」
カレンが俺を褒め、アリサが安堵する。しかしやつのことを知っている俺は油断できない状況であることを知っている。
「油断してはダメだ。身動きを封じただけでは、全ての攻撃を封じたことにはならない」
「そう、そのとおりです。ライちゃんの攻撃手段は、鋭利な爪だけではありませんわ。あなたの力を見せつけるのです」
タマヨが袖から一つの棒を取り出す。先端には菱形の紙が取り付けられてあった。
あのアイテムは、彼女のユニークスキルで作り出したお祓い棒!
「我が崇拝する神々よ。ワタクシに力をお与え賜え!」
彼女がお祓い棒を左右に振った瞬間。空が厚い雲に覆われる。
チッ、ライトニングロウが本領発揮できる環境を作りやがったか。
「さぁ、準備は整いました。ライちゃん、思う存分に暴れてくださいまし」
『ガオオオオオオオオオオォォォォォォォォン!』
タマヨが指示を出した瞬間、ライトニングロウが顔を上げて吠える。
その瞬間、分厚い雲に変化が起きた。
ゴロゴロと音を鳴らし、今にも雷が発生しそうだ。
「まずい。【水の守り】!」
スキルを発動した瞬間、空気中の酸素と水素が磁石のように引き合い、電気的な力によって水素結合を起こす。これにより水分子間がつながり、水分子のクラスターが形成され、水の塊が出現。
俺たちを包み込むように水が出現する。
防御が間に合ったと同時に落雷が落ち、水の表面に電気を纏う。
危なかった。あと一秒でも判断が遅ければ間に合わなかったかもしれない。
ライトニングロウが、顔を上方へと向けて吠えたことによって風が舞い上がり、上昇気流へと変化する。すると上空の雲に到達して中にある小さい氷の粒と、霰や雹に成長した大きい氷の粒が衝突を繰り返すことで、この時摩擦が起きる。静電気が発生すると蓄えきれなくなった電荷が大地の正電荷に誘導され、大地に目がけて放電を起こしたのだ。
尋常ではない肺活量で上空にまで届く風を生み、意図的に落雷を引き寄せることができるモンスター。これがライトニングロウと呼ばれる所以だ。
「さっきはよくもやってくれたな。お返しだ! 合成スキル【稲妻水】!」
電気を纏った水を引き離し、落雷を落とすモンスターに当てる。
しかし元々電気に耐性のあるモンスターだけあって、さほどダメージを与えている様子はない。
さて、次はどんな手を打つとするか。
ピンクの髪をツインテールに纏め、頭にはキツネ耳のカチューシャを嵌めている巫女服を着た女の子。間違いなくカムイの側近の一人であるタマヨ・ミコマイだ。
彼女は他のキャラとは違って、一癖も二癖もある女の子だ。
ゲームでは、なぜか彼女だけギャルゲーに出てくるような好感度が存在している。プレイヤーの選択や彼女に対しての接し方によって、好感度に変動が起き、溜まった好感度によって仲間になることもある。
そして好感度が最大になると、タマヨ専用のルートが発生する。その内容と言うものが、恋仲になると言うものだ。
プレイヤーが使うキャラが男性であれば普通のカップルに、女性だった場合は百合のカップルになると言うものだ。
しかも彼女の性格によるものなのか、プレイヤーには拒否権がなく、強制的に恋人になってしまう。
彼女を仲間に引き込むまで好感度を上げるのは全然ありだが、タマヨの好感度をマックスにするのだけは避けなければならない。
万が一好感度をマックスにしてしまえば、カレンへの愛を貯めるのに邪魔をされ、最大の障害へとなり得る。
だけどゼウスと再戦するには少しでも戦力が欲しいと言うのも事実。
まぁ、ここは程良く好感度を上げて仲間に引き込ませてもらうとするか。
まずは名前からだ。彼女はタマヨと呼ばれるのを嫌っている。好感度を上げるために、ここは彼女の望みどおりにマリアと呼ぶとするか。
「あー、マリアね。了解した。次からそう呼ばせてもらうよ」
「お願いしますわね。あんなダサい名前で呼ばれるのは嫌ですので」
タマヨが注意を促し、俺たちを見下ろす。
「それにしても、よくワタクシが操る式神を倒しましたね。こうなるのであれば、あなた方を舐めないで、最初から強力な式神を使うべきでした」
タマヨが巫女服の袖から一枚の紙を取り出すと、地面に向けて投げる。
紙切れには文字が書かれており、地面に落ちると同時にモンスターが現れた。
狼の顔に獅子の身体、頭には一本の角があり、体毛は静電気を帯びた髪のように逆立っている。そして前足と後ろ足は、鋭い爪が伸びていた。
「さぁ、ライちゃんやっておしまい」
この特徴のあるモンスターは、タマヨが使う大型式神の一体、ライトニングロウ。
あの鋭い爪で切り裂かれれば、ゲームでは一発で瀕死に追い込まれたことを覚えている。
若干トラウマ感のある式神だが、こいつには某ハンターゲームのように攻撃の際に予備動作がある。
やつの動きを見極めれば、逆にこちらがダメージを受けずに叩きのめすことも可能だ。
『グルルルル!』
低い唸り声を上げてモンスターは俺たちに威嚇をしつつ、ゆっくりと近付く。
まずはあの鋭利な爪を封じさせてもらう。
「【氷の拘束】!」
スキルを発動した瞬間、空気中の酸素と水素が磁石のように引き合い、電気的な力によって水素結合を起こす。これにより水分子間がつながり、水分子のクラスターが形成され、水の塊が出現。
毛を逆立てているモンスターの足首に巻きついた。
すると今度は巻きついた水に限定して気温が下がり、水分子が運動するための熱エネルギーが極端に低くなると、水分子は動きを止めてお互いに結合して氷へと変化した。
白銀のオオカミのときのように、氷でモンスターの動きを封じ込めることに成功した。
「やったね! さすがユウリだよ」
「あの鋭利な爪が正直怖かったけど、これなら接近しても大丈夫そうね」
カレンが俺を褒め、アリサが安堵する。しかしやつのことを知っている俺は油断できない状況であることを知っている。
「油断してはダメだ。身動きを封じただけでは、全ての攻撃を封じたことにはならない」
「そう、そのとおりです。ライちゃんの攻撃手段は、鋭利な爪だけではありませんわ。あなたの力を見せつけるのです」
タマヨが袖から一つの棒を取り出す。先端には菱形の紙が取り付けられてあった。
あのアイテムは、彼女のユニークスキルで作り出したお祓い棒!
「我が崇拝する神々よ。ワタクシに力をお与え賜え!」
彼女がお祓い棒を左右に振った瞬間。空が厚い雲に覆われる。
チッ、ライトニングロウが本領発揮できる環境を作りやがったか。
「さぁ、準備は整いました。ライちゃん、思う存分に暴れてくださいまし」
『ガオオオオオオオオオオォォォォォォォォン!』
タマヨが指示を出した瞬間、ライトニングロウが顔を上げて吠える。
その瞬間、分厚い雲に変化が起きた。
ゴロゴロと音を鳴らし、今にも雷が発生しそうだ。
「まずい。【水の守り】!」
スキルを発動した瞬間、空気中の酸素と水素が磁石のように引き合い、電気的な力によって水素結合を起こす。これにより水分子間がつながり、水分子のクラスターが形成され、水の塊が出現。
俺たちを包み込むように水が出現する。
防御が間に合ったと同時に落雷が落ち、水の表面に電気を纏う。
危なかった。あと一秒でも判断が遅ければ間に合わなかったかもしれない。
ライトニングロウが、顔を上方へと向けて吠えたことによって風が舞い上がり、上昇気流へと変化する。すると上空の雲に到達して中にある小さい氷の粒と、霰や雹に成長した大きい氷の粒が衝突を繰り返すことで、この時摩擦が起きる。静電気が発生すると蓄えきれなくなった電荷が大地の正電荷に誘導され、大地に目がけて放電を起こしたのだ。
尋常ではない肺活量で上空にまで届く風を生み、意図的に落雷を引き寄せることができるモンスター。これがライトニングロウと呼ばれる所以だ。
「さっきはよくもやってくれたな。お返しだ! 合成スキル【稲妻水】!」
電気を纏った水を引き離し、落雷を落とすモンスターに当てる。
しかし元々電気に耐性のあるモンスターだけあって、さほどダメージを与えている様子はない。
さて、次はどんな手を打つとするか。
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