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第二章
第十七話 野盗の村を襲撃
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~ソフィー視点~
馬に跨り、シルヴィアの操作で目的地に向かう。
杖が指し示している場所に向かっていると、村らしき建物が見えた。
でも、おかしい。この辺には村なんてものはなかったはず。
「ねぇ、シルヴィア、あんなところに村なんてあったかしら?」
「いや、地図上にはなかったはず。おそらく噂に聞く野盗たちの村、アラクーレの可能性が高いな。騎士団が長年探して発見することができなかったが、まさかこんな形で発見することになるとは。言い方は悪いが、ラルスが攫われてくれたお陰で見つけることができた」
緊張を解すためか、シルヴィアは冗談混じりで言葉を連ねる。
野盗たちの村、つまり相当な数の野盗たちが居るとみていいでしょうね。
出入り口には2人組の男が立っていた。
「どうやら見張り役のようね。どうする?」
「このまま突っ込んで勢い良く突破したいところだが、そんな派手な侵入をしてしまっては、ラルスの救出が困難になる。ここは見張りの2人を気付かれる前に倒す。仲間を呼ばれないようにしてくれ」
「分かったわ」
シルヴィアの作戦に乗り、2人の野盗たちを見据える。そろそろあいつらも私たちの接近に気付く頃、その前に先手必勝を取らせてもらうわ。
「スリープ!」
野盗たちが私たちの存在に気付く前に睡眠魔法を彼らに発動する。すると、魔法の効果により、脳に睡眠物質を溜め、それを抑制するために脳に働きかけたことで、彼らは眠りについた。
「これで正面突破しても大丈夫よ」
勢いが衰えることなく走り続け、馬は村の中に侵入した。
「敵襲! 全員武器を持って外に出ろ!」
カン、カン、カンと鐘が打ち付けられる音と共に、何者かが叫ぶ声が聞こえてきた。顔を上げて声が聞こえた方に顔を向けると、見張り台と思われる場所に、男が立っている。
私としたことが、村の出入り口に立っていた男たちばかりに気を取られていた。
鐘の音が聞こえ、馬が興奮したのか、落ち着かない様子を見せる。
「くそう。私のコントロールが効かない。このまま飛び降りるぞ」
シルヴィアは私の手を掴み、そのまま持ち上げてお姫様だっこをすると、馬から飛び降りて地面に着地する。
「見つかってしまったな。さて、どうするか」
「居たぞ! こっちだ!」
シルヴィアがポツリと呟くと、村民である野盗の1人が私たちを見つけてしまった。彼は指笛を吹くと、次々と敵が現れ、私たちを取り囲む。
「ハハハ! どんな目的なのかは知らないが、野盗たちの村に足を踏み込みやがって」
「中々の上玉じゃないか。奴隷商にでも売れば、相当な金になりそうだぜ」
「いや、売る前に一発やってからじゃないともったいないぜ」
野盗たちは下卑た笑みを浮かべながら、ゆっくりと距離を縮めてくる。
「ここはワタシが引き付ける。ソフィーはラルスの救出を頼んだ」
「シルヴィア! いくらあなたでも、この数では勝てないわよ」
この場に居る野盗全員を1人で相手にすると言い、思わず声を上げる。
「多人数との戦闘訓練も積んでいる。大丈夫だ。お前がラルスを救出する時間くらいは稼げるさ」
凛々しい表情を保ったまま、シルヴィアは口角を上げる。でも、彼女が強がっているのは分かっていた。そもそも、たった2人だけで野盗の村に突入したのも、隠密行動を取りつつラル君を探すためだった。
野盗に見つかり、取り囲まれてしまっている以上は、私がこの場から抜け出す訳にはいかない。
「何を言っているのよ。あなたを放って置いて1人でラル君を探しに行ける訳がないわ。ラル君救出は、シルヴィアも一緒よ」
自分も戦うと言い、思考を巡らせる。
何か方法はないかしら? この場を一気に逆転する方法が。
色々と考えていると、サーカスのテント内で、ラル君がモンスターの動きを止めたことを思い出す。
そうよ! わざわざ真面目に相手をする必要はないじゃない。敵の行動を封じ込めれば、この場を切り抜けることができるわ!
「これを食らいなさい! シャクルアイス!」
魔法を発動すると、空気中の酸素と水素が磁石のように引き合い、電気的な力によって水素結合を起こす。
これにより水分子間がつながり、水分子のクラスターが形成され、水の塊が出現。
水の一部を切り離し、蛇のように野盗たちに向けて飛び出すと、敵の足首に巻きつく。
すると今度は巻きついた水に限定して気温が下がり、水分子が運動するための熱エネルギーが極端に低くなる。
それにより、水分子は動きを止めてお互いに結合して氷へと変化した。
分子同士の間にできた隙間の分だけ体積が増えたからでしょうね。
氷の拘束具は、野盗たち足に密着し、バランスを崩してその場で転倒した者まで現れる。
「うわ! 何だ! 魔法か!」
「くそう。俺の足がびくともしない」
突然動きを封じられ、野盗たちは戸惑っている。これなら、この場から逃げることもできそう。
「ソフィー、礼を言おう。このまま突っ込む! ワタシの後をついて来てくれ!」
声を上げると、シルヴィアは村の奥に向けて駆け寄る。足首を凍らされて戸惑っている野盗が、近付いた際に得物で反撃に出る可能性があったからか、シルヴィアはすれ違いの際に峰打ちで彼らの意識を奪う。
気を失っている野盗たちの間をすり抜けると、握っている杖に魔力を送る。
「シルヴィア! ラル君はあの大きい建物の中にいるわ!」
馬に跨り、シルヴィアの操作で目的地に向かう。
杖が指し示している場所に向かっていると、村らしき建物が見えた。
でも、おかしい。この辺には村なんてものはなかったはず。
「ねぇ、シルヴィア、あんなところに村なんてあったかしら?」
「いや、地図上にはなかったはず。おそらく噂に聞く野盗たちの村、アラクーレの可能性が高いな。騎士団が長年探して発見することができなかったが、まさかこんな形で発見することになるとは。言い方は悪いが、ラルスが攫われてくれたお陰で見つけることができた」
緊張を解すためか、シルヴィアは冗談混じりで言葉を連ねる。
野盗たちの村、つまり相当な数の野盗たちが居るとみていいでしょうね。
出入り口には2人組の男が立っていた。
「どうやら見張り役のようね。どうする?」
「このまま突っ込んで勢い良く突破したいところだが、そんな派手な侵入をしてしまっては、ラルスの救出が困難になる。ここは見張りの2人を気付かれる前に倒す。仲間を呼ばれないようにしてくれ」
「分かったわ」
シルヴィアの作戦に乗り、2人の野盗たちを見据える。そろそろあいつらも私たちの接近に気付く頃、その前に先手必勝を取らせてもらうわ。
「スリープ!」
野盗たちが私たちの存在に気付く前に睡眠魔法を彼らに発動する。すると、魔法の効果により、脳に睡眠物質を溜め、それを抑制するために脳に働きかけたことで、彼らは眠りについた。
「これで正面突破しても大丈夫よ」
勢いが衰えることなく走り続け、馬は村の中に侵入した。
「敵襲! 全員武器を持って外に出ろ!」
カン、カン、カンと鐘が打ち付けられる音と共に、何者かが叫ぶ声が聞こえてきた。顔を上げて声が聞こえた方に顔を向けると、見張り台と思われる場所に、男が立っている。
私としたことが、村の出入り口に立っていた男たちばかりに気を取られていた。
鐘の音が聞こえ、馬が興奮したのか、落ち着かない様子を見せる。
「くそう。私のコントロールが効かない。このまま飛び降りるぞ」
シルヴィアは私の手を掴み、そのまま持ち上げてお姫様だっこをすると、馬から飛び降りて地面に着地する。
「見つかってしまったな。さて、どうするか」
「居たぞ! こっちだ!」
シルヴィアがポツリと呟くと、村民である野盗の1人が私たちを見つけてしまった。彼は指笛を吹くと、次々と敵が現れ、私たちを取り囲む。
「ハハハ! どんな目的なのかは知らないが、野盗たちの村に足を踏み込みやがって」
「中々の上玉じゃないか。奴隷商にでも売れば、相当な金になりそうだぜ」
「いや、売る前に一発やってからじゃないともったいないぜ」
野盗たちは下卑た笑みを浮かべながら、ゆっくりと距離を縮めてくる。
「ここはワタシが引き付ける。ソフィーはラルスの救出を頼んだ」
「シルヴィア! いくらあなたでも、この数では勝てないわよ」
この場に居る野盗全員を1人で相手にすると言い、思わず声を上げる。
「多人数との戦闘訓練も積んでいる。大丈夫だ。お前がラルスを救出する時間くらいは稼げるさ」
凛々しい表情を保ったまま、シルヴィアは口角を上げる。でも、彼女が強がっているのは分かっていた。そもそも、たった2人だけで野盗の村に突入したのも、隠密行動を取りつつラル君を探すためだった。
野盗に見つかり、取り囲まれてしまっている以上は、私がこの場から抜け出す訳にはいかない。
「何を言っているのよ。あなたを放って置いて1人でラル君を探しに行ける訳がないわ。ラル君救出は、シルヴィアも一緒よ」
自分も戦うと言い、思考を巡らせる。
何か方法はないかしら? この場を一気に逆転する方法が。
色々と考えていると、サーカスのテント内で、ラル君がモンスターの動きを止めたことを思い出す。
そうよ! わざわざ真面目に相手をする必要はないじゃない。敵の行動を封じ込めれば、この場を切り抜けることができるわ!
「これを食らいなさい! シャクルアイス!」
魔法を発動すると、空気中の酸素と水素が磁石のように引き合い、電気的な力によって水素結合を起こす。
これにより水分子間がつながり、水分子のクラスターが形成され、水の塊が出現。
水の一部を切り離し、蛇のように野盗たちに向けて飛び出すと、敵の足首に巻きつく。
すると今度は巻きついた水に限定して気温が下がり、水分子が運動するための熱エネルギーが極端に低くなる。
それにより、水分子は動きを止めてお互いに結合して氷へと変化した。
分子同士の間にできた隙間の分だけ体積が増えたからでしょうね。
氷の拘束具は、野盗たち足に密着し、バランスを崩してその場で転倒した者まで現れる。
「うわ! 何だ! 魔法か!」
「くそう。俺の足がびくともしない」
突然動きを封じられ、野盗たちは戸惑っている。これなら、この場から逃げることもできそう。
「ソフィー、礼を言おう。このまま突っ込む! ワタシの後をついて来てくれ!」
声を上げると、シルヴィアは村の奥に向けて駆け寄る。足首を凍らされて戸惑っている野盗が、近付いた際に得物で反撃に出る可能性があったからか、シルヴィアはすれ違いの際に峰打ちで彼らの意識を奪う。
気を失っている野盗たちの間をすり抜けると、握っている杖に魔力を送る。
「シルヴィア! ラル君はあの大きい建物の中にいるわ!」
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