記憶喪失のおねショタハーレム〜遊んでいるだけなのになぜか大人や魔物よりも強いです〜

仁徳

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第二章

第十五話 作戦成功

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~ウイーク視点~

「報告します。野盗が無事にラルスの捕獲に成功しました」

「そうか、そうか。良くやってくれた。これで邪魔者の心配はしなくて良さそうだな」

 護衛役の兵士長から、ラルスの捕獲に成功したことを聞き、口角を上げる。

 これで私の邪魔をする者はいないだろう。シルヴィアを私の嫁と言う名の奴隷にする計画を始めるとするか。

 座っていた椅子から立ち上がろうとすると、ある懸念が思い浮かんできた。

 待てよ。まだ安心するのは早くないか? あのガキは不思議な力を持っている。ただ遊んでいるだけでユニークスキルが発動して、予想外のことを仕出かすのだ。

 確実にやつが手も足も出せない状況であることを確認するまでは、行動に移すのは時期尚早な気がする。

 ここは私も野盗たちの村に向かい、この目で確認するべきだ。

「あ、そうでした。一応念のために確認をして欲しいとのことですが、いかが致しましょうか?」

 思い出したかのように、兵士長はラルスの確認をするように言われたことを伝える。

「丁度私も、確認をすべきだと思っていたところだ。今から野盗の村に向かう。護衛のために、お前の部下たちを集めろ」

「ハッ! 了解しました」

 兵士長が返事をすると部屋から出て行く。

 彼が出て行った後、外出する準備を行った。





 野盗の村に向かい、馬車で1時間ほど経っただろうか。窓から顔を出して外の風景を見ていると、ようやく建物らしきものが見えてきた。

 村に近づくと、入り口には2人の男が立っているのが視界に映る。彼らは下卑た笑みを浮かべながら談笑に耽っている様子だ。

 しかし私たちの存在に気付いたようで、地面に置いていた斧を握り、こちらを見つめてくる。

「そこの馬車止まれ!」

 出入り口に立っていた男が止まるように静止を促すと、馬車は速度を緩めて次第に止まる。

「へへへ、中々豪華そうな馬車じゃないか。乗っているのは貴族様か?」

「護衛なんて者も付けちゃって。だけど来た場所が悪かったな。ここは普通の村とは違う。落ちぶれた奴らが集う、アラクーレ村だ。命が欲しければ、金目の物を全て置いて行け。通行料だ」

 1人の男が指笛を吹く。すると村の中から、多くの強面の男たちが建物の中から現れる。

 これはいったいどう言うことだ? どうして私たちのことが分かっていない。

「落ちぶれ野盗の分際の癖に図が高い! この馬車に乗っておられる方は、あのマッタン男爵の御子息であるぞ!」

 兵士長を務める男が勇敢にも前に出ると、私の存在を声高らかに言う。

 すると野盗たちが騒めき始める。

「おい、今のを聞いたか?」

「ああ、あの馬車に乗っているのはマッタン男爵の子どもらしいぞ」

 そうか。私の存在を知らないから、野盗たちは獲物を狩るハンターのような目をしていたのだな。

 誤解が解けたのなら、何もトラブルもなくこの村に入ることができるだろう。これでラルスが捕まって何もできない状況であることを確認することができる。

 そう思った瞬間、野盗たちの表情が変わった。

 口角を上げ、目をぎらつかせる。

「これは大物が通りかかったものだ!」

「お前を捕まえて人質にすれば、マッタン家から金を貰い放題じゃないか! みんなやっちまえ!」

 野盗の男が命令をすると、他の野盗たちが一斉に獲物を振りかぶり始める。

 嘘だろう! これは何かの間違いに決まっている!

「おい! これはどう言うことだ!」

 馬車の中から兵士長に向けて声を上げると、彼は野盗たちと戦いながらも困惑の表情を浮かべる。

「俺にも分かりません。もしかしたら、協力者に嵌められたのかもしれません」

 兵士長の言葉が耳に入ると歯を食い縛る。

 くそう! なんてことだ。まさか裏切られるとはな。

「はいはいやめーい! 双方得物を仕舞ってくれ!」

 拳を強く握っていると、こちらに向かっていた男が声を上げながら駆け寄ってくる。

 冒険者の格好をしている男だ。彼が現れた瞬間、野盗たちは借りてきた猫のように大人しくなり、得物をしまう。

「いやー悪かったな。事前に仲間に連絡するのを忘れていたよ。ハハハ!」

 男は笑いながら、兵士長に近付く。

「びっくりさせて悪かったな。俺の方も色々とやることがあってさ。ガキの確認に来たのだろう? さぁ、入ってくれ」

 村の中に入るように促した後、冒険者の格好をした男は、仲間の野盗たちを見渡す。

「あー、お前たちは日常生活に戻っていろ。こいつらの相手は俺がやっておく」

 男は野盗たちに指示を出すと、彼らは村の中に戻り、家の中に入って行く。

「さて、では案内をしよう。こっちだ」

 彼が手招きをすると、再び馬車が動き出し、村の中に入っていく。

 一時はどうなるのかと思っていたが、手違いであって助かった。あのままあの男が来なければ、今頃大惨事になっていたかもしれない。

 暫くすると、大きい建物の前で馬車が止まる。

「さぁ、着いたぜ。ここにラルスを閉じ込めている」

 男が目的地に着いたことを知らせると、馬車の扉が開いた。

 馬車から降りると、野盗のまとめ役のような冒険者の男が目の前にいた。

「ウイーク様、先程はご迷惑をおかけした。こいつはお詫びの品だ。受け取ってくれ」

 彼はポケットから手のひらサイズの玉を取り出すと、手渡してくる。

「何のつもりだ?」

「だからお詫びの品だと言っているじゃないですか。きっとあなたが困っているときに助けてくれます」

 冒険者の男が友好的な笑みを浮かべるも、完全には信じきることができない。でも、やつが言っていることが本当であれば、役には立つ。

「分かった。受け取っておこう」

 玉をポケットにしまうと、建物を見る。

 さて、それでは早速確認をするとしようか。
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