28 / 42
第二章
第十三話 ショタはご両親と会う
しおりを挟む「とりあえず、少し休んでみようか。息抜きしよう」
そう答えると、ユージェフの顔にわかりやすく安堵が浮かんだ。隠しているのだろうがわかりやすい。アーサーは微笑ましい気持ちになった。
「息抜き……ですか」
そうだよ、とアーサーは頷く。いまのユージェフに必要なのはとにかく休息だ。
「たぶんね、いまユージェフくんの視野はすごく狭くなってるんだ。それは悪いことばかりじゃなくて、目指した目標に向かって一直線に走れるっていう美点でもある。けれど同時に、逃げ道を塞いでしまって、自分を追い詰めることになってしまう」
ユージェフが目標に向かって一直線な人間であることは明らかだ。それをするための行動力だって十分に持ち合わせている。ジルベルトについて尋ねてきた勢いを思い出し、アーサーは目尻を緩めた。
「……追い詰める、ですか」
「うん。もちろんそうやって自分を追い込まなくちゃいけないときだってある。けれど、常にそうではないよね。全力で頑張ってるのに、さらに上を求めるのは無理がある。適度に緩めて色んなものを取り込むことも必要だし、そこから新しい発見もあるかもしれない」
「……」
ユージェフは頷いた。賢い子だから、理屈としてとっくに理解はしているのだろう。
しかしその表情にはまだ焦りがある。アーサーからしてみればユージェフはまだ第一学年で、焦る必要なんて一片もない。話を聞く限り彼はすでに実力もあって、それを伸ばそうとする気概もある。試験だってこのさき何度もあるのだから、彼の伸びしろはあまりにも大きいのだ。とはいえ、そう俯瞰できるのはアーサーがひととおり経験したからであって、いまその成長の渦中にいる本人には響かない。
ユージェフ本人も休むべきだとわかっているのだ。だからさっき、アーサーに休めと言われてほっとした。だからあとは彼のなかにあるという焦りを宥めて、納得させてやるだけでいい。
アーサーは慎重に言葉を選んだ。
「そうだな……ジルベルトの話をしようか。彼は超人のよう見えるだろうけど、やっぱり息抜きはしていたよ。昼寝だってそうだし、真面目くさった顔で論文を読んでいるのかと思ったら冒険小説だったこともある。『暁の英雄』だって読んでいたよ。僕は、そういうところが彼のすごさに繋がっていると思う」
「ジルベルト様が……」
ユージェフの表情が動いた。やはり憧れの人物の影響力は凄まじい。
「うん。彼が昼寝するのは夜遅くまで頑張っているからだろうし――いや、授業をサボるのはよくないんだけどね。小説を読んでいても、横にはやっぱり論文も積んであった。彼だって人間だから、常に全力で稼働できるわけないんだよ。うまくできないときだってあるし、ときには休んでだらだらしないとやってられない」
適度な休息が作業の効率を上げる、という研究もあるよ。アーサーはそう言い添えた。
ユージェフの表情が揺らぐ。あと一押しだろう。
「だからユージェフくんも、ちょっと息抜きしてみたらどうかな。もし罪悪感があるなら、頑張るための休みだと思えばいい」
「……頑張るために、休む」
「そうそう。街に甘いものを食べに行ってもいいし、家でのんびり昼寝したっていい。この週末は星花祭りもある――そうだ」
星花祭りで思い出した。アーサーは引き出しを開けた。取り出したのはチラシである。
そこに印字されたタイトルに、ユージェフが「あ」と目を瞠る。アーサーは微笑んだ。
「星花祭りで『暁の英雄』の劇をするんだって。評判もいい劇団だし、行ってみたらどうかな。ユージェフくん、『暁の英雄』は好きでしょう」
「はい……好きです」
チラシを手に、ユージェフが頷く。まじまじとチラシを見る目が、少しずつ輝いてきた。
「先生も行かれるんですか?」
「うん。これを楽しみに仕事してるよ」
誘った相手には断られてしまったけども。内心付け加えて自嘲する。あのあともジルベルトは毎晩のようにやってくるし、アーサーを抱えて眠る。朝はいつもアーサーのほうが早くて、朝食をひとりぶん余分に作るのが常だ。帰宅するとなくなっているから、ちゃんと食べてはいるらしい。
「確かに……確かに、楽しみも必要です、よね」
「そうそう」
しっかり頷いてやると、ユージェフはようやく顔をほころばせた。
「あの……先生、突然来てすみませんでした。ありがとうございます。少しほっとしました」
「どういたしまして」
「あと、あの、それから……」
「ん?」
「その、サルウェル先生は」
ユージェフがちらりとバジルのほうを見やる。ああ、なるほど。言わんとすることを察し、アーサーは目配せを返した。ちなみにバジルはすっかり書類に埋もれてしまっていて、時折ミルクティー色の髪がふわふわ跳ねるのが見えるのみである。
「サルウェル先生、まだしばらくは安静らしいね。でも命に別状はないそうだよ」
「そう、なんですね。よかった……!」
ぱっとユージェフの顔が明るくなる。事件からずっと気になっていたのだろう。第一発見者とはいえ、いち生徒であるユージェフにはそれほど情報が回っていないはずだ。大丈夫だよ、とアーサーは柔らかく笑ってみせる。
「本当に、よかったです」
「早く戻られるといいね」
ユージェフは頷いた。しかしすぐにハッと気づいたように首を振る。
「あっ、あの、いまのはアーサー先生が代理で不満とか、そういう意味じゃないですからね!」
「あはは、わかってるよ」
なにを言いだすかと思えば。だが当のユージェフは必死である。身を乗り出して、アーサーの手でも握りそうな勢いだ。
「俺はアーサー先生が来てくださって、本当に、本当にうれしく思っているので!」
「うん、ありがとう」
「優しいし、教えるのお上手ですし、ジルベルト様のお話もたくさんしてくださいますし、もうこのままずっと担任でいてほしいくらいで――あっ、サルウェル先生が嫌というわけではなくてですね」
「あははっ」
堂々巡りだ。
堪らず吹き出すと、「し、真剣なんですよ俺……」とユージェフが眉を下げる。もちろんわかっている。わかっているからこそおもしろいし、嬉しいのだ。あと教師としての評価にしれっとジルベルトの話を聞きたい下心が紛れていて、そのブレなさがいっそ清々しい。
笑いすぎてずれた眼鏡を直しながら、アーサーは緩む口許をなんとか引き締める。
「まぁとにかく、試験も終わったことだしゆっくり休んでね」
「はい」
「サルウェル先生のこともあるし、……くれぐれも身体には気をつけて」
言外にまだ犯人は捕まっていないと匂わせると、ユージェフがはっと目を見開いた。そうしてしっかりと頷く。
「先生も。気をつけてくださいね」
「ありがとう」
それじゃ、失礼します。ユージェフが部屋を出て行く。ぱたりと扉が閉じると同時、ずっと黙っていたバジルがぼそりと呟いた。
「……なんというか、よくわからん悩みでしたね」
「そう?」
「頭のいい連中の考えることは不思議です」
「バジルくんも成績いいほうだったでしょう」
「おれは中の上ですよ。あんな感じにガツガツやってないし、平均点超えてたらやったーって感じでした」
アーサーは笑った。確かにそんな感じだった気がする。とはいえバジルはなにごとにおいても器用で要領がよかった。そんな彼には、なるほどユージェフの悩みは理解しがたいのかもしれない。
と、いうより。
「もしかしてバジルくん、ユージェフくんのことちょっと苦手だったりする?」
「……わかります?」
「まぁ、わりとあからさまだから」
アーサーはくるりとペンを回した。
ユージェフが来ると若干身構えている雰囲気がある。誰にでも人当たりがいいバジルがここまでわかりやすいのは珍しい。
「もちろん本人に当たったりはしませんよ。でもその、先生に対する接し方が、ちょっと……」
「僕?」
まさか言及されるとは思わなかった。瞬くと、バジルは顔をしかめる。
「なんか……下心を感じるんですよね」
「下心?」
「はい。下心です。先生、ご飯とかデートとか誘われてません? 大丈夫です?」
「まさか」
アーサーは手を振った。あのユージェフに限ってまさか、だ。確かに懐かれてはいると思うが、半分くらいはジルベルトのエピソード目当てのような気もしている。それくらい毎回根掘り葉掘り尋ねられるのだ。
「ならいいんですけど。でも、必要以上に先生に寄りかかってくる感じとか……なーんか、嫌な感じするんですよね」
「なるほど……? ええと、じゃあ気をつけるね」
「そうしてください」
バジルが重々しく頷く。冗談を言っているふうではない様子に、アーサーは困惑した。アーサーにとってユージェフは勉強熱心な生徒だが、他人から見るとまた違うのだろう。
「でも、好き嫌いとか関係なくさっきのはよくわかんないですよ。テストが揮わなかったのは、まあ残念ですけど。できないなら割り切って休むしかないじゃないですか。なにをあんな思いつめることがあるんですかね? 首席どうこう言っても、まだ第一学年でしょう彼」
不思議そうなバジルに、そうだねとアーサーは頷いた。
「相談ってわざわざ言ってたでしょう。彼もね、休まなきゃいけないってきっとわかってるんだ。でも頑張らないとだめだって思ってるから躊躇ってしまう。だから他人が「休まないとだめだよ」って後押ししなきゃいけない」
「そういうもんですか」
「そういうもんです」
実際、ああいうタイプは何度か出会ったことがある。真面目であればあるほど休むのに罪悪感を抱くのだ。アーサー自身もそのあたりの切り替えがうまくない自覚はあるので、あまりユージェフにえらそうに言えた立場ではない。
はぁ、とバジルは首を捻る。
「なんとも難儀な性格ですね」
「……そう、かもね」
アーサーは思わず胸のあたりを押さえた。いま、ちょっとぐさりと来た。
そう答えると、ユージェフの顔にわかりやすく安堵が浮かんだ。隠しているのだろうがわかりやすい。アーサーは微笑ましい気持ちになった。
「息抜き……ですか」
そうだよ、とアーサーは頷く。いまのユージェフに必要なのはとにかく休息だ。
「たぶんね、いまユージェフくんの視野はすごく狭くなってるんだ。それは悪いことばかりじゃなくて、目指した目標に向かって一直線に走れるっていう美点でもある。けれど同時に、逃げ道を塞いでしまって、自分を追い詰めることになってしまう」
ユージェフが目標に向かって一直線な人間であることは明らかだ。それをするための行動力だって十分に持ち合わせている。ジルベルトについて尋ねてきた勢いを思い出し、アーサーは目尻を緩めた。
「……追い詰める、ですか」
「うん。もちろんそうやって自分を追い込まなくちゃいけないときだってある。けれど、常にそうではないよね。全力で頑張ってるのに、さらに上を求めるのは無理がある。適度に緩めて色んなものを取り込むことも必要だし、そこから新しい発見もあるかもしれない」
「……」
ユージェフは頷いた。賢い子だから、理屈としてとっくに理解はしているのだろう。
しかしその表情にはまだ焦りがある。アーサーからしてみればユージェフはまだ第一学年で、焦る必要なんて一片もない。話を聞く限り彼はすでに実力もあって、それを伸ばそうとする気概もある。試験だってこのさき何度もあるのだから、彼の伸びしろはあまりにも大きいのだ。とはいえ、そう俯瞰できるのはアーサーがひととおり経験したからであって、いまその成長の渦中にいる本人には響かない。
ユージェフ本人も休むべきだとわかっているのだ。だからさっき、アーサーに休めと言われてほっとした。だからあとは彼のなかにあるという焦りを宥めて、納得させてやるだけでいい。
アーサーは慎重に言葉を選んだ。
「そうだな……ジルベルトの話をしようか。彼は超人のよう見えるだろうけど、やっぱり息抜きはしていたよ。昼寝だってそうだし、真面目くさった顔で論文を読んでいるのかと思ったら冒険小説だったこともある。『暁の英雄』だって読んでいたよ。僕は、そういうところが彼のすごさに繋がっていると思う」
「ジルベルト様が……」
ユージェフの表情が動いた。やはり憧れの人物の影響力は凄まじい。
「うん。彼が昼寝するのは夜遅くまで頑張っているからだろうし――いや、授業をサボるのはよくないんだけどね。小説を読んでいても、横にはやっぱり論文も積んであった。彼だって人間だから、常に全力で稼働できるわけないんだよ。うまくできないときだってあるし、ときには休んでだらだらしないとやってられない」
適度な休息が作業の効率を上げる、という研究もあるよ。アーサーはそう言い添えた。
ユージェフの表情が揺らぐ。あと一押しだろう。
「だからユージェフくんも、ちょっと息抜きしてみたらどうかな。もし罪悪感があるなら、頑張るための休みだと思えばいい」
「……頑張るために、休む」
「そうそう。街に甘いものを食べに行ってもいいし、家でのんびり昼寝したっていい。この週末は星花祭りもある――そうだ」
星花祭りで思い出した。アーサーは引き出しを開けた。取り出したのはチラシである。
そこに印字されたタイトルに、ユージェフが「あ」と目を瞠る。アーサーは微笑んだ。
「星花祭りで『暁の英雄』の劇をするんだって。評判もいい劇団だし、行ってみたらどうかな。ユージェフくん、『暁の英雄』は好きでしょう」
「はい……好きです」
チラシを手に、ユージェフが頷く。まじまじとチラシを見る目が、少しずつ輝いてきた。
「先生も行かれるんですか?」
「うん。これを楽しみに仕事してるよ」
誘った相手には断られてしまったけども。内心付け加えて自嘲する。あのあともジルベルトは毎晩のようにやってくるし、アーサーを抱えて眠る。朝はいつもアーサーのほうが早くて、朝食をひとりぶん余分に作るのが常だ。帰宅するとなくなっているから、ちゃんと食べてはいるらしい。
「確かに……確かに、楽しみも必要です、よね」
「そうそう」
しっかり頷いてやると、ユージェフはようやく顔をほころばせた。
「あの……先生、突然来てすみませんでした。ありがとうございます。少しほっとしました」
「どういたしまして」
「あと、あの、それから……」
「ん?」
「その、サルウェル先生は」
ユージェフがちらりとバジルのほうを見やる。ああ、なるほど。言わんとすることを察し、アーサーは目配せを返した。ちなみにバジルはすっかり書類に埋もれてしまっていて、時折ミルクティー色の髪がふわふわ跳ねるのが見えるのみである。
「サルウェル先生、まだしばらくは安静らしいね。でも命に別状はないそうだよ」
「そう、なんですね。よかった……!」
ぱっとユージェフの顔が明るくなる。事件からずっと気になっていたのだろう。第一発見者とはいえ、いち生徒であるユージェフにはそれほど情報が回っていないはずだ。大丈夫だよ、とアーサーは柔らかく笑ってみせる。
「本当に、よかったです」
「早く戻られるといいね」
ユージェフは頷いた。しかしすぐにハッと気づいたように首を振る。
「あっ、あの、いまのはアーサー先生が代理で不満とか、そういう意味じゃないですからね!」
「あはは、わかってるよ」
なにを言いだすかと思えば。だが当のユージェフは必死である。身を乗り出して、アーサーの手でも握りそうな勢いだ。
「俺はアーサー先生が来てくださって、本当に、本当にうれしく思っているので!」
「うん、ありがとう」
「優しいし、教えるのお上手ですし、ジルベルト様のお話もたくさんしてくださいますし、もうこのままずっと担任でいてほしいくらいで――あっ、サルウェル先生が嫌というわけではなくてですね」
「あははっ」
堂々巡りだ。
堪らず吹き出すと、「し、真剣なんですよ俺……」とユージェフが眉を下げる。もちろんわかっている。わかっているからこそおもしろいし、嬉しいのだ。あと教師としての評価にしれっとジルベルトの話を聞きたい下心が紛れていて、そのブレなさがいっそ清々しい。
笑いすぎてずれた眼鏡を直しながら、アーサーは緩む口許をなんとか引き締める。
「まぁとにかく、試験も終わったことだしゆっくり休んでね」
「はい」
「サルウェル先生のこともあるし、……くれぐれも身体には気をつけて」
言外にまだ犯人は捕まっていないと匂わせると、ユージェフがはっと目を見開いた。そうしてしっかりと頷く。
「先生も。気をつけてくださいね」
「ありがとう」
それじゃ、失礼します。ユージェフが部屋を出て行く。ぱたりと扉が閉じると同時、ずっと黙っていたバジルがぼそりと呟いた。
「……なんというか、よくわからん悩みでしたね」
「そう?」
「頭のいい連中の考えることは不思議です」
「バジルくんも成績いいほうだったでしょう」
「おれは中の上ですよ。あんな感じにガツガツやってないし、平均点超えてたらやったーって感じでした」
アーサーは笑った。確かにそんな感じだった気がする。とはいえバジルはなにごとにおいても器用で要領がよかった。そんな彼には、なるほどユージェフの悩みは理解しがたいのかもしれない。
と、いうより。
「もしかしてバジルくん、ユージェフくんのことちょっと苦手だったりする?」
「……わかります?」
「まぁ、わりとあからさまだから」
アーサーはくるりとペンを回した。
ユージェフが来ると若干身構えている雰囲気がある。誰にでも人当たりがいいバジルがここまでわかりやすいのは珍しい。
「もちろん本人に当たったりはしませんよ。でもその、先生に対する接し方が、ちょっと……」
「僕?」
まさか言及されるとは思わなかった。瞬くと、バジルは顔をしかめる。
「なんか……下心を感じるんですよね」
「下心?」
「はい。下心です。先生、ご飯とかデートとか誘われてません? 大丈夫です?」
「まさか」
アーサーは手を振った。あのユージェフに限ってまさか、だ。確かに懐かれてはいると思うが、半分くらいはジルベルトのエピソード目当てのような気もしている。それくらい毎回根掘り葉掘り尋ねられるのだ。
「ならいいんですけど。でも、必要以上に先生に寄りかかってくる感じとか……なーんか、嫌な感じするんですよね」
「なるほど……? ええと、じゃあ気をつけるね」
「そうしてください」
バジルが重々しく頷く。冗談を言っているふうではない様子に、アーサーは困惑した。アーサーにとってユージェフは勉強熱心な生徒だが、他人から見るとまた違うのだろう。
「でも、好き嫌いとか関係なくさっきのはよくわかんないですよ。テストが揮わなかったのは、まあ残念ですけど。できないなら割り切って休むしかないじゃないですか。なにをあんな思いつめることがあるんですかね? 首席どうこう言っても、まだ第一学年でしょう彼」
不思議そうなバジルに、そうだねとアーサーは頷いた。
「相談ってわざわざ言ってたでしょう。彼もね、休まなきゃいけないってきっとわかってるんだ。でも頑張らないとだめだって思ってるから躊躇ってしまう。だから他人が「休まないとだめだよ」って後押ししなきゃいけない」
「そういうもんですか」
「そういうもんです」
実際、ああいうタイプは何度か出会ったことがある。真面目であればあるほど休むのに罪悪感を抱くのだ。アーサー自身もそのあたりの切り替えがうまくない自覚はあるので、あまりユージェフにえらそうに言えた立場ではない。
はぁ、とバジルは首を捻る。
「なんとも難儀な性格ですね」
「……そう、かもね」
アーサーは思わず胸のあたりを押さえた。いま、ちょっとぐさりと来た。
0
お気に入りに追加
314
あなたにおすすめの小説

男女比1:10。男子の立場が弱い学園で美少女たちをわからせるためにヒロインと手を組んで攻略を始めてみたんだけど…チョロいんなのはどうして?
悠
ファンタジー
貞操逆転世界に転生してきた日浦大晴(ひうらたいせい)の通う学園には"独特の校風"がある。
それは——男子は女子より立場が弱い
学園で一番立場が上なのは女子5人のメンバーからなる生徒会。
拾ってくれた九空鹿波(くそらかなみ)と手を組み、まずは生徒会を攻略しようとするが……。
「既に攻略済みの女の子をさらに落とすなんて……面白いじゃない」
協力者の鹿波だけは知っている。
大晴が既に女の子を"攻略済み"だと。
勝利200%ラブコメ!?
既に攻略済みの美少女を本気で''分からせ"たら……さて、どうなるんでしょうねぇ?

男女比の狂った世界で愛を振りまく
キョウキョウ
恋愛
男女比が1:10という、男性の数が少ない世界に転生した主人公の七沢直人(ななさわなおと)。
その世界の男性は無気力な人が多くて、異性その恋愛にも消極的。逆に、女性たちは恋愛に飢え続けていた。どうにかして男性と仲良くなりたい。イチャイチャしたい。
直人は他の男性たちと違って、欲求を強く感じていた。女性とイチャイチャしたいし、楽しく過ごしたい。
生まれた瞬間から愛され続けてきた七沢直人は、その愛を周りの女性に返そうと思った。
デートしたり、手料理を振る舞ったり、一緒に趣味を楽しんだりする。その他にも、色々と。
本作品は、男女比の異なる世界の女性たちと積極的に触れ合っていく様子を描く物語です。
※カクヨムにも掲載中の作品です。

Sランク昇進を記念して追放された俺は、追放サイドの令嬢を助けたことがきっかけで、彼女が押しかけ女房のようになって困る!
仁徳
ファンタジー
シロウ・オルダーは、Sランク昇進をきっかけに赤いバラという冒険者チームから『スキル非所持の無能』とを侮蔑され、パーティーから追放される。
しかし彼は、異世界の知識を利用して新な魔法を生み出すスキル【魔学者】を使用できるが、彼はそのスキルを隠し、無能を演じていただけだった。
そうとは知らずに、彼を追放した赤いバラは、今までシロウのサポートのお陰で強くなっていたことを知らずに、ダンジョンに挑む。だが、初めての敗北を経験したり、その後借金を背負ったり地位と名声を失っていく。
一方自由になったシロウは、新な町での冒険者活動で活躍し、一目置かれる存在となりながら、追放したマリーを助けたことで惚れられてしまう。手料理を振る舞ったり、背中を流したり、それはまるで押しかけ女房だった!
これは、チート能力を手に入れてしまったことで、無能を演じたシロウがパーティーを追放され、その後ソロとして活躍して無双すると、他のパーティーから追放されたエルフや魔族といった様々な追放少女が集まり、いつの間にかハーレムパーティーを結成している物語!

美人四天王の妹とシテいるけど、僕は学校を卒業するまでモブに徹する、はずだった
ぐうのすけ
恋愛
【カクヨムでラブコメ週間2位】ありがとうございます!
僕【山田集】は高校3年生のモブとして何事もなく高校を卒業するはずだった。でも、義理の妹である【山田芽以】とシテいる現場をお母さんに目撃され、家族会議が開かれた。家族会議の結果隠蔽し、何事も無く高校を卒業する事が決まる。ある時学校の美人四天王の一角である【夏空日葵】に僕と芽以がベッドでシテいる所を目撃されたところからドタバタが始まる。僕の完璧なモブメッキは剥がれ、ヒマリに観察され、他の美人四天王にもメッキを剥され、何かを嗅ぎつけられていく。僕は、平穏無事に学校を卒業できるのだろうか?
『この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません』

無限に進化を続けて最強に至る
お寿司食べたい
ファンタジー
突然、居眠り運転をしているトラックに轢かれて異世界に転生した春風 宝。そこで女神からもらった特典は「倒したモンスターの力を奪って無限に強くなる」だった。
※よくある転生ものです。良ければ読んでください。 不定期更新 初作 小説家になろうでも投稿してます。 文章力がないので悪しからず。優しくアドバイスしてください。
改稿したので、しばらくしたら消します
スライムすら倒せない底辺冒険者の俺、レベルアップしてハーレムを築く(予定)〜ユニークスキル[レベルアップ]を手に入れた俺は最弱魔法で無双する
カツラノエース
ファンタジー
ろくでもない人生を送っていた俺、海乃 哲也は、
23歳にして交通事故で死に、異世界転生をする。
急に異世界に飛ばされた俺、もちろん金は無い。何とか超初級クエストで金を集め武器を買ったが、俺に戦いの才能は無かったらしく、スライムすら倒せずに返り討ちにあってしまう。
完全に戦うということを諦めた俺は危険の無い薬草集めで、何とか金を稼ぎ、ひもじい思いをしながらも生き繋いでいた。
そんな日々を過ごしていると、突然ユニークスキル[レベルアップ]とやらを獲得する。
最初はこの胡散臭過ぎるユニークスキルを疑ったが、薬草集めでレベルが2に上がった俺は、好奇心に負け、ダメ元で再びスライムと戦う。
すると、前までは歯が立たなかったスライムをすんなり倒せてしまう。
どうやら本当にレベルアップしている模様。
「ちょっと待てよ?これなら最強になれるんじゃね?」
最弱魔法しか使う事の出来ない底辺冒険者である俺が、レベルアップで高みを目指す物語。
他サイトにも掲載しています。

異世界に転移した僕、外れスキルだと思っていた【互換】と【HP100】の組み合わせで最強になる
名無し
ファンタジー
突如、異世界へと召喚された来栖海翔。自分以外にも転移してきた者たちが数百人おり、神父と召喚士から並ぶように指示されてスキルを付与されるが、それはいずれもパッとしなさそうな【互換】と【HP100】という二つのスキルだった。召喚士から外れ認定され、当たりスキル持ちの右列ではなく、外れスキル持ちの左列のほうに並ばされる来栖。だが、それらは組み合わせることによって最強のスキルとなるものであり、来栖は何もない状態から見る見る成り上がっていくことになる。

ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる