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第一章
第十一話 屋敷のお化けモンスター
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ローザと一緒に目的地の屋敷に来たけれど、そこはお化け屋敷みたいにボロボロの建物だった。中は暗く、本当にお化けが出て来そうな雰囲気がある。
「早いところローザの目的を果たして帰ろう」
一歩ずつゆっくりと歩いて屋敷の中を探索する。
中庭に用事があるってことは、1階を調べれば中庭に続く扉があるはずだよね。
奥に向かって廊下を歩いていると、鎧が飾られてあった。その数は奥に進めば進むほど数を増やしている。
「ねぇ、ねぇ、あたしたち以外にも足音が聞こえない?」
中庭に繋がっていそうな扉を探しながら廊下を歩いていると、ローザが不気味なことを言ってくる。
「何を言っているんだよ。そんな訳ーー」
彼女の気のせいであると告げようとしてその場で足を止める。しかし、ワンテンポ遅れて止まる足音が耳に入った。
間違いない。僕たち以外の足音だ。
この屋敷の所有者? でも、それなら僕たちをつけるようなことをしないで、注意をしてきても良いはずだよね。
「ローザ、1回振り向くよ。もし、お化けだったら全速力で逃げよう」
「分かったわ」
小声で作戦を伝え、ゆっくりと振り返る。
僕の目に映った光景は、先ほど廊下に置かれてあった鎧たちだった。
『お前たちを食ってやる!』
「出た! お化け!」
僕たちは作戦通り、廊下を走ってその場から逃げ出す。
走りながら後方を見ると、鎧たちは追いかけてくる。
僕を食べても美味しくはないよ!
「きゃあ!」
一生懸命に走っていると、ローザが転んで小さい悲鳴をあげる。直ぐに駆け寄り、彼女に手を差し伸ばす。
「何しているのよ! ラルスは逃げなさい! 私が時間を稼ぐから」
自分を置いて先に行くようにローザは言うけど、彼女の目尻からは涙の雫が今にも溢れ落ちそうになっている。
女の子を放って僕だけが逃げる訳にはいかない。そんなことをすれば、シルヴィアお姉さんに根性を叩き直されてしまう。
考えている間も、鎧お化けたちはどんどん距離を縮めてくる。
何かないの? 何か方法は?
必死になって何かを閃こうとすると、あるアイディアが思い浮かぶ。
そうだ! ここはお化け屋敷の中で行われる大運動会。そして競技はお化けに逃げながらの借り物競走だ。
そう言う遊びにしてしまえば、肉体強化と俊足の魔法が自動で発動するはず。
頭の中で遊びを決め、ローザを持ち上げると彼女をお姫様抱っこする。
やっぱり、思った通りにローザを持ち上げることができた。彼女を物扱いしてしまうけれど、こればかりはしょうがないよね。
「逃げるよ。喋ったら舌を噛むから気をつけてて」
ローザに注意をすると、床を蹴って廊下を走る。
そして曲がり角を曲がった先にある扉を開けて中に入った。
「多分これで逃げ切れたと思う。ローザは大丈夫?」
「う、うん。ありがとう」
ローザを見ると、彼女は顔が少し赤くなっていた。
「顔が赤いよ。もしかして熱でも出た!」
「こ、これは急いで逃げていたから体が熱っているだけよ」
「良かった。風邪を引いた訳ではなくって」
ホッと安心すると、辺りを見渡す。
部屋にはたくさんの本棚があり、本が収納されてあった。
「どうやらここは書斎のようだね」
鎧のお化けがどこかに行くまでの間、暇つぶしができる絵本でもないかな?
部屋に籠っているだけでは退屈だ。なので絵本がないか本棚を覗く。
「あ、あれって絵本かも」
絵本のような本を見つけて取り出そうとする。でも、背が小さいせいで本には届かなかった。
「うーん! うーん!」
つま先立ちで腕を伸ばして本を取ろうとすると、隣の本棚から一冊の本が落ちた。
仕方がないから、あの本にしようかな。もしかしたら絵本かもしれない。
読むために本に近付こうとしたその時、本が空中に浮いて凄い勢いでページが捲られていく。
そして動きが止まると、開かれたページが僕たちの方を向く。
『あの方ではないな! 侵入者は排除する』
開かれたページに顔が浮き上がり、声を出す。
「本のお化け !ローザ、逃げるよ!」
本のお化けに背を向けてローザのもとに戻ると、彼女の腕を引っ張って部屋から出る。
『侵入者、食べちゃうぞ!』
廊下に出たその時、鎧のお化けの声が聞こえ、声がした方に顔を向ける。
こちらに向かって鎧のお化けが走って来た。
「見つかった!」
「あっちの壁に穴が空いているわ。あそこに入れば逃げられるかも!」
ローザが指を指した方に顔を向ける。そこには僕たちなら入れそうなほどの小さい穴が空いていた。
体を反転させると、床を蹴って穴に向けて走る。
最初にローザを入れ、その後に僕も穴の中に入る。でも、穴は広くなく、直ぐに行き止まりになっていた。
ドン、ドン、バキッ!
鎧のお化けが持っている剣で壁を斬っているようで、徐々に穴が広がっていく。
このままでは2人とも捕まってお化けに食べられちゃう。僕は食べられても良い。でも、ローザだけは助けないと。
こうなったら、僕があいつらと戦っている間にローザを逃そう。
「ローザ、僕が時間を稼いでいるから、その間に屋敷から脱出するんだ」
「嫌よ! ラルスを1人で置いて行くことなんかできない。見殺しなんかできないわよ」
「大丈夫、僕はお化けたちに食べられるつもりはない。僕が時間を稼いでいる間に大人の人を呼んできて」
ローザにお願いをすると、勢い良く穴から飛び出す。
「お化け屋敷の中で戦いごっこ!」
設定を口に出して鎧のお化けに体当たりをする。すると、鎧のお化けは吹き飛ばされて床に倒れると同時にバラバラになった。
「あれ? どうなっているの?」
予想とは違う展開になり、僕は唖然としてしまう。
「早いところローザの目的を果たして帰ろう」
一歩ずつゆっくりと歩いて屋敷の中を探索する。
中庭に用事があるってことは、1階を調べれば中庭に続く扉があるはずだよね。
奥に向かって廊下を歩いていると、鎧が飾られてあった。その数は奥に進めば進むほど数を増やしている。
「ねぇ、ねぇ、あたしたち以外にも足音が聞こえない?」
中庭に繋がっていそうな扉を探しながら廊下を歩いていると、ローザが不気味なことを言ってくる。
「何を言っているんだよ。そんな訳ーー」
彼女の気のせいであると告げようとしてその場で足を止める。しかし、ワンテンポ遅れて止まる足音が耳に入った。
間違いない。僕たち以外の足音だ。
この屋敷の所有者? でも、それなら僕たちをつけるようなことをしないで、注意をしてきても良いはずだよね。
「ローザ、1回振り向くよ。もし、お化けだったら全速力で逃げよう」
「分かったわ」
小声で作戦を伝え、ゆっくりと振り返る。
僕の目に映った光景は、先ほど廊下に置かれてあった鎧たちだった。
『お前たちを食ってやる!』
「出た! お化け!」
僕たちは作戦通り、廊下を走ってその場から逃げ出す。
走りながら後方を見ると、鎧たちは追いかけてくる。
僕を食べても美味しくはないよ!
「きゃあ!」
一生懸命に走っていると、ローザが転んで小さい悲鳴をあげる。直ぐに駆け寄り、彼女に手を差し伸ばす。
「何しているのよ! ラルスは逃げなさい! 私が時間を稼ぐから」
自分を置いて先に行くようにローザは言うけど、彼女の目尻からは涙の雫が今にも溢れ落ちそうになっている。
女の子を放って僕だけが逃げる訳にはいかない。そんなことをすれば、シルヴィアお姉さんに根性を叩き直されてしまう。
考えている間も、鎧お化けたちはどんどん距離を縮めてくる。
何かないの? 何か方法は?
必死になって何かを閃こうとすると、あるアイディアが思い浮かぶ。
そうだ! ここはお化け屋敷の中で行われる大運動会。そして競技はお化けに逃げながらの借り物競走だ。
そう言う遊びにしてしまえば、肉体強化と俊足の魔法が自動で発動するはず。
頭の中で遊びを決め、ローザを持ち上げると彼女をお姫様抱っこする。
やっぱり、思った通りにローザを持ち上げることができた。彼女を物扱いしてしまうけれど、こればかりはしょうがないよね。
「逃げるよ。喋ったら舌を噛むから気をつけてて」
ローザに注意をすると、床を蹴って廊下を走る。
そして曲がり角を曲がった先にある扉を開けて中に入った。
「多分これで逃げ切れたと思う。ローザは大丈夫?」
「う、うん。ありがとう」
ローザを見ると、彼女は顔が少し赤くなっていた。
「顔が赤いよ。もしかして熱でも出た!」
「こ、これは急いで逃げていたから体が熱っているだけよ」
「良かった。風邪を引いた訳ではなくって」
ホッと安心すると、辺りを見渡す。
部屋にはたくさんの本棚があり、本が収納されてあった。
「どうやらここは書斎のようだね」
鎧のお化けがどこかに行くまでの間、暇つぶしができる絵本でもないかな?
部屋に籠っているだけでは退屈だ。なので絵本がないか本棚を覗く。
「あ、あれって絵本かも」
絵本のような本を見つけて取り出そうとする。でも、背が小さいせいで本には届かなかった。
「うーん! うーん!」
つま先立ちで腕を伸ばして本を取ろうとすると、隣の本棚から一冊の本が落ちた。
仕方がないから、あの本にしようかな。もしかしたら絵本かもしれない。
読むために本に近付こうとしたその時、本が空中に浮いて凄い勢いでページが捲られていく。
そして動きが止まると、開かれたページが僕たちの方を向く。
『あの方ではないな! 侵入者は排除する』
開かれたページに顔が浮き上がり、声を出す。
「本のお化け !ローザ、逃げるよ!」
本のお化けに背を向けてローザのもとに戻ると、彼女の腕を引っ張って部屋から出る。
『侵入者、食べちゃうぞ!』
廊下に出たその時、鎧のお化けの声が聞こえ、声がした方に顔を向ける。
こちらに向かって鎧のお化けが走って来た。
「見つかった!」
「あっちの壁に穴が空いているわ。あそこに入れば逃げられるかも!」
ローザが指を指した方に顔を向ける。そこには僕たちなら入れそうなほどの小さい穴が空いていた。
体を反転させると、床を蹴って穴に向けて走る。
最初にローザを入れ、その後に僕も穴の中に入る。でも、穴は広くなく、直ぐに行き止まりになっていた。
ドン、ドン、バキッ!
鎧のお化けが持っている剣で壁を斬っているようで、徐々に穴が広がっていく。
このままでは2人とも捕まってお化けに食べられちゃう。僕は食べられても良い。でも、ローザだけは助けないと。
こうなったら、僕があいつらと戦っている間にローザを逃そう。
「ローザ、僕が時間を稼いでいるから、その間に屋敷から脱出するんだ」
「嫌よ! ラルスを1人で置いて行くことなんかできない。見殺しなんかできないわよ」
「大丈夫、僕はお化けたちに食べられるつもりはない。僕が時間を稼いでいる間に大人の人を呼んできて」
ローザにお願いをすると、勢い良く穴から飛び出す。
「お化け屋敷の中で戦いごっこ!」
設定を口に出して鎧のお化けに体当たりをする。すると、鎧のお化けは吹き飛ばされて床に倒れると同時にバラバラになった。
「あれ? どうなっているの?」
予想とは違う展開になり、僕は唖然としてしまう。
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