記憶喪失のおねショタハーレム〜遊んでいるだけなのになぜか大人や魔物よりも強いです〜

仁徳

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第一章

第八話 ショタは女の子を助ける。

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 お城の書庫で、僕のユニークスキルについて詳しく知った次の日、僕はソフィーお姉さんの家でお留守番をしていた。

「ソフィーお姉さんまだ帰って来ないかな?」

 ソフィーお姉さんは今日、ギルドで依頼を受けに行っている。僕も付いて行きたいと言ったけれど、子どもは入ってはいけないと言われた。

 初めて合った日は普通に入れてくれたのに、どうして今回はダメなの!

「家でごろごろしているのも飽きてきたなぁ。そうだ! 僕も出かけよう! どうせソフィーお姉さんはまだ帰って来ないし、バレない内に帰ってくれば良いよね!」

 お姉さんに内緒で家を出ることを決めると、早速準備に取り掛かる。

 家の窓の鍵を全部かけて泥棒さんが入って来れないようにすると、最後に玄関の鍵をかける。

「これでよし。それじゃあ僕も出かけよう!」

 この城下町を1人で歩くのは初めてだ。

 いつも出かける時はソフィーお姉さんと手を繋ぎながら歩いている。

 さて、どこに行こうかな? お金を持ってはいないから、お店に入って買い物をすることはできないし、城下町の中を探検でもしようかな。

 町中を歩いて面白そうなものを探す。

「ちょっと、返しなさいよ!」

「返して欲しかったら、取り返してみろよ。ほれほれ」

 道を歩いていると、誰かが揉めている声が聞こえてきた。

 声音の感じからして大人ではない。もしかしたら僕とあまり変わらない年の人たちかも。

 辺に関わったら、僕が内緒で外出したことがバレてしまうかもしれない。でも、困っている人を放っておくこともできないよ。

 ソフィーお姉さんから怒られる覚悟で、僕は声がしたところに駆け寄る。

 すると子供にしては図体が大きい体格の男の子が、女の子に嫌がらせをしているところを目撃した。

 彼の手には女の子の物と思われるリボンが握られてあり、彼女の手が届かないように上に上げている。

 女の子はどうにかして取ろうと、その場でジャンプを繰り返すも、体格に差があるせいで全然届く感じがしない。

 女の子は涙目になっており、今にでも溢れ落ちそうになっている。

「その辺にしてあげなよ。彼女が嫌がっているよ。女の子を大切にできない男はダメだってソフィーお姉さんが言っていたんだから!」

 2人に近付き、男の子に意地悪は止めるように言う。

「なんだお前は? この辺りでは見かけないな」

「うん、僕の名前はラルス、最近この町に住むお姉さんの家でお世話になっているんだ」

「そうかよ。なら知らないと思うが、俺はこの町のキッズの中でも1番強い。ケガをしたくなければどっかに行っていろよ」

「そうなんだ。なら、僕がこの町で1番強いキッズってことになるね。だって大人の冒険者や盗賊を倒したらしいから」

「嘘を吐くな! そんなやつは、この俺様がぶちのめしてやる!」

 本当のことを言うと、なぜか彼は怒り出した。

 そして僕に向けて拳を放つ。

 は、早い! このままでは殴られちゃうよ! ケガして帰ったらソフィーお姉さんを悲しませてしまう。

 どうすれば良いのか悩んでいると、昨日の書庫での出来事を思い出す。

 そうだ。僕はこれまで無意識にユニークスキルを発動していた。なら、このケンカもごっこ遊びにすれば良い。

 そう思った瞬間、男の子の動きがスローモーションのようにゆっくりに見えた。

 なぜか分からないけれど、男の子の動きが見える。これから避けることもできそう。

 体を横にして男の子の攻撃を避ける。

「そんなバカな! 俺の攻撃を避けただと!」

「あ、危なかった。ギリギリだったよ」

「生意気にも俺の攻撃を避けやがって! 今度こそ当てて泣かせてやるからな!」

 男の子が再び拳を放ってくる。でもさっきと同じように動きが分かった。

 体を屈ませて拳を避けると、足を前に出す。すると、男の子の足が僕の足に引っかかり、彼はそのまま転んでしまう。

 男の子が転んで数秒経つけれど、起き上がろうとはしない。

「だ、大丈夫?」

 声をかけると、男の子は顔を上げる。顔中に土が付いていて、擦りむいたみたい。所々血が流れていた。

「うえーん! 痛いよおおおおおおおおぉぉぉぉぉぉ! 母ちゃああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁん!」

 男の子が涙を流して大声で泣き始めた。そして握っていた女の子のリボンを離すと、立ち上がってどこかに走って行く。

 泣かせてしまったよ。今度会った時にでも謝らないと。

 地面に落ちているリボンを拾い、付いてしまった土を払って女の子に見せる。

「はい、これ君のだよね?」

 声をかけた瞬間、女の子は僕の手からひったくるようにしてリボンを取った。

「頼んでもないのに勝手に取り返さないでよね。あんたに助けてもらわなくても、ちゃんと取り返したんだから!」

 男の子からリボンを取り返してあげたのに、女の子は余計なお世話だと言ってきた。

 その瞬間落ち込んでしまう。女の子は自分でも取り返す手段を用意していたのだ。それなのに、僕が余計な気を回してしまったせいで、彼女が自分から取り返す機会を奪ってしまった。

「ごめんなさい」

「ど、どうして謝るのよ!」

「だって、君は自分で取り返す方法が合ったのに、僕がその機会を奪ってしまったから」

 正直に言うと、女の子の顔が赤く染まる。

 やっぱり怒っているんだ。誰だって、自分がやりたいことを邪魔されたら、嫌だもんね。

 女の子の邪魔をしてしまったことで落ち込んでいると、彼女は頭を掻き毟り始める。

 頭が痒いのかな? 良く見たら着ている服も薄汚れている。

「ああもう! 正直に言うわよ! 助けてくれてありがとう。私1人では取り返せられなかったわ。だから君が助けてくれて嬉しかった」

 声を上げたかと思うと、女の子はそっぽを向きながらお礼を言ってくれた。

 どうしてこの子は素直に言えないのだろう?
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