記憶喪失のおねショタハーレム〜遊んでいるだけなのになぜか大人や魔物よりも強いです〜

仁徳

文字の大きさ
上 下
7 / 42
第一章

第七話 ショタはユニークスキルの詳細を知る

しおりを挟む
 シルヴィアお姉さんが、最新のユニークスキルが載っている図鑑のページを捲っていく。

 今度こそ、僕のユニークスキルである『遊び』について分かることができるのかな?

 不安な気持ちとワクワクが入り混じった状態で、捲られて行く図鑑を見る。

「あった。ここに遊びについて書いてある」

「シルヴィアお姉さん! なんて書いてあるの!」

 図鑑には難しい言葉が書かれてある。なので読むことが出来なかった。

「ユニークスキル『遊び』は遊ぶことで新たな技、魔法を習得する非常に珍しいユニークスキルである。例えば喧嘩でもごっこ遊びとして認識した場合、肉体強化の魔法を瞬時に習得、そして本人の意思に関係なく自動的に発動することができる……と書かれてあるな」

「遊べば遊ぶほど強くなる。そして習得したものは自動的に発動する……ってことは、これまで野盗やグリゴリーをラル君が倒したのは!」

「ああ昨日見た習得技を見る限りだと、石を野盗に向けて投げた時に石投げを習得して、そのまま発動したのだろう」

 2人が真剣な顔で話している中、僕はお姉さんたちの会話についていくことができなかった。

「もう! 2人とも難しい話しをしないでよ! 僕にも分かるように教えて!」

 どうにかお姉さんたちの会話に混ざろうとして声を上げる。

「あ、ごめんね。つまりラル君は凄い存在なんだよ。特別に努力をしなくても、遊んでいるだけで強くなるのよ」

「本当! なら、勇者になることもできるかな!」

 努力をしなくても強くなれることを教えてもらい、気分が高揚する。

「あ、遊び人の勇者か。そ、それはそれでどうなんだろうか? 勇者のイメージをぶち壊すことになるぞ」

「そう? 私は遊び人でも、人々を救ってくれたら、それは勇者だと思うのだけどなぁ」

 人差し指を顎に置き、ソフィーお姉さんが言葉を漏らす。

「まぁ、ラルスがどんな人生を送るかは、こいつ次第だ。わたしたちは預かっている間は変な道に突き進まないように、見張っているしかないな」

「そうね。これでラル君のユニークスキルが分かったことだし、少しは捜査のヒントになるかもしれないわね。シルヴィア、今日はありがとう」

 ソフィーお姉さんが椅子から立ち上がり、シルヴィアお姉さんに礼を言う。

 もう帰るんだ。何だか寂しいな。もっとお城の中を見て回りたかった。

 どうにかしてもう少しお城にいられないかと考えていると、いいことを思い付く。

「ねぇ、昨日の水晶に出ていた魔法ってどんな効果なの?」

 2人訊ねると、お姉さんたちはお互いに顔を見合わせる。

 すると2人は心が通じ合っているようで、アイコンタクトで会話らしきものをしていた。

 そして最後に苦笑いを浮かべる。

「ごめんね。ラル君の魔法ってよく知らないのよ。名前からして身体能力を向上させるものだと思うのだけど」

「まぁ、せっかくだから調べてみるか。魔法が載っている本を探して来るよ」

 本を探すと言って、シルヴィアお姉さんはこの場から離れて行く。

 やった! これでもう少しだけお城に居ることができる!

 心の中で喜びながら、僕は本を探すのに時間がかかりますようにと神様にお願いした。

「あった。意外と直ぐに見つけられてラッキーだったよ」

 嬉しそうにニコッと笑みを浮かべて本を持って来るシルヴィアお姉さんを見て、僕は両手を頬に持っていく。

 そ、そんな! シルヴィアお姉さん、見つけるの早すぎるよ!

「えーと、確かラルスが習得している魔法はエンハンスドボディーとスピードスターだったよな」

 確認をしつつ、シルヴィアお姉さんは本のページを捲っていく。

「あった。エンハンスドボディーは……この魔法は2種類の効果を持つ。攻撃に使えば、瞬間的に神経による運動制御の抑制を外し、自分の筋肉の限界に近い力を発揮させることができる。そして防御に使えば体内の水分を利用し、攻撃を受けた際に生じる慣性力と粘性力によって、元の位置に留まろうとする力が働き、一時的に体内の水分が硬化することで、肉体に強度を与えることができる魔法である」

 シルヴィアお姉さんが本に書かれてある内容を読んでくれるも、何て言っているのか意味が分からなかった。

「えーと、例えばね。ラル君が悪い人にパンチをしたとするでしょう。すると正義の力で眠っているラル君の力が呼び覚まされて、途轍もない威力を発揮するのよ」

「ソフィー、君は何て言う説明をするんだ。間に受けたらどうする!」

 ソフィーお姉さんが説明をすると、なぜかシルヴィアお姉さんが怒った。

 でも、どうして突然シルヴィアお姉さんが声を上げたのかが分からず、首を傾げる。

「シルヴィア、ラル君のユニークスキルは、普通のユニークスキルを遥かに凌駕しているわ。少しでもラル君が自分の力のことを理解させないと、間違った方向に遊びを使ってしまうわ。私は一時的の保護者として、ラル君を間違った方向に育てたくない。だから、多少間違った覚え方をしていても、正しく使えるようにさせたいのよ」

 ソフィーお姉さんがシルヴィアお姉さんをジッと見つめる。するとシルヴィアお姉さんは小さく息を吐いた。

「それならそうと早く言ってくれ。確かに、ラルスの力は普通ではない。悪人に悪用される可能性もあるからな。分かった。話しの腰を折ってしまったな。続けてくれ」

 シルヴィアお姉さんが話しを再会するように言うと、ソフィーお姉さんは僕を見る。

「さっきは話しを中断してごめんね。それで続きなんだけど、ラル君が暴力を振るわれた時、正義の心がラル君の体を打たれ強くしてくれるのよ。これがエンハンスドボディーの効果ね」

 ソフィーお姉さんが魔法の説明を終えると、シルヴィアお姉さんに視線を向ける。

「ああ、次だったよな。えーと、スピードスターの説明は……あった。人が全力で走っている場合、足にかかる負荷は片足で跳ねる動作で30パーセントしかなく、まだ余裕がある。この魔法を発動することにより、走ることに必要な筋肉の収縮速度を速くすることで、通常よりも速く走ることを可能にする。その最高速度は、理論上で時速56キロから64キロと言われている」

「時速56キロから64キロで走ることができる魔法だなんて」

 シルヴィアお姉さんが読み上げた言葉を聞き、ソフィーお姉さんは驚く。

 でも、僕には本に書かれてある内容が分からなかった。

「ねぇ、僕にも分かるように教えてよ!」

「う、うん。そうだね。えーとね、とにかく普通の人よりも早く走れるようになるのよ。お馬さんと同じくらいにね」

「お馬さんと一緒に走ることができるの!」

 お馬さんのように走ることができると教えてもらい、とても嬉しい気分になった。

 だってお馬さん並みに走れるのなら、かけっこで1番になれるってことだもん!

「そろそろわたしは仕事に戻らないといけないな。その本はわたしが貸し出しの許可を取っておくから、ソフィーが持っていてくれ」

「うん、分かったわ。ありがとうシルヴィア」

 ソフィーお姉さんがシルヴィアお姉さんにお礼を言い、僕たちは城の書庫から出ることになった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

男女比1:10。男子の立場が弱い学園で美少女たちをわからせるためにヒロインと手を組んで攻略を始めてみたんだけど…チョロいんなのはどうして?

ファンタジー
貞操逆転世界に転生してきた日浦大晴(ひうらたいせい)の通う学園には"独特の校風"がある。 それは——男子は女子より立場が弱い 学園で一番立場が上なのは女子5人のメンバーからなる生徒会。 拾ってくれた九空鹿波(くそらかなみ)と手を組み、まずは生徒会を攻略しようとするが……。 「既に攻略済みの女の子をさらに落とすなんて……面白いじゃない」 協力者の鹿波だけは知っている。 大晴が既に女の子を"攻略済み"だと。 勝利200%ラブコメ!? 既に攻略済みの美少女を本気で''分からせ"たら……さて、どうなるんでしょうねぇ?

男女比の狂った世界で愛を振りまく

キョウキョウ
恋愛
男女比が1:10という、男性の数が少ない世界に転生した主人公の七沢直人(ななさわなおと)。 その世界の男性は無気力な人が多くて、異性その恋愛にも消極的。逆に、女性たちは恋愛に飢え続けていた。どうにかして男性と仲良くなりたい。イチャイチャしたい。 直人は他の男性たちと違って、欲求を強く感じていた。女性とイチャイチャしたいし、楽しく過ごしたい。 生まれた瞬間から愛され続けてきた七沢直人は、その愛を周りの女性に返そうと思った。 デートしたり、手料理を振る舞ったり、一緒に趣味を楽しんだりする。その他にも、色々と。 本作品は、男女比の異なる世界の女性たちと積極的に触れ合っていく様子を描く物語です。 ※カクヨムにも掲載中の作品です。

Sランク昇進を記念して追放された俺は、追放サイドの令嬢を助けたことがきっかけで、彼女が押しかけ女房のようになって困る!

仁徳
ファンタジー
シロウ・オルダーは、Sランク昇進をきっかけに赤いバラという冒険者チームから『スキル非所持の無能』とを侮蔑され、パーティーから追放される。 しかし彼は、異世界の知識を利用して新な魔法を生み出すスキル【魔学者】を使用できるが、彼はそのスキルを隠し、無能を演じていただけだった。 そうとは知らずに、彼を追放した赤いバラは、今までシロウのサポートのお陰で強くなっていたことを知らずに、ダンジョンに挑む。だが、初めての敗北を経験したり、その後借金を背負ったり地位と名声を失っていく。 一方自由になったシロウは、新な町での冒険者活動で活躍し、一目置かれる存在となりながら、追放したマリーを助けたことで惚れられてしまう。手料理を振る舞ったり、背中を流したり、それはまるで押しかけ女房だった! これは、チート能力を手に入れてしまったことで、無能を演じたシロウがパーティーを追放され、その後ソロとして活躍して無双すると、他のパーティーから追放されたエルフや魔族といった様々な追放少女が集まり、いつの間にかハーレムパーティーを結成している物語!

美人四天王の妹とシテいるけど、僕は学校を卒業するまでモブに徹する、はずだった

ぐうのすけ
恋愛
【カクヨムでラブコメ週間2位】ありがとうございます! 僕【山田集】は高校3年生のモブとして何事もなく高校を卒業するはずだった。でも、義理の妹である【山田芽以】とシテいる現場をお母さんに目撃され、家族会議が開かれた。家族会議の結果隠蔽し、何事も無く高校を卒業する事が決まる。ある時学校の美人四天王の一角である【夏空日葵】に僕と芽以がベッドでシテいる所を目撃されたところからドタバタが始まる。僕の完璧なモブメッキは剥がれ、ヒマリに観察され、他の美人四天王にもメッキを剥され、何かを嗅ぎつけられていく。僕は、平穏無事に学校を卒業できるのだろうか? 『この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません』

無限に進化を続けて最強に至る

お寿司食べたい
ファンタジー
突然、居眠り運転をしているトラックに轢かれて異世界に転生した春風 宝。そこで女神からもらった特典は「倒したモンスターの力を奪って無限に強くなる」だった。 ※よくある転生ものです。良ければ読んでください。 不定期更新 初作 小説家になろうでも投稿してます。 文章力がないので悪しからず。優しくアドバイスしてください。 改稿したので、しばらくしたら消します

スライムすら倒せない底辺冒険者の俺、レベルアップしてハーレムを築く(予定)〜ユニークスキル[レベルアップ]を手に入れた俺は最弱魔法で無双する

カツラノエース
ファンタジー
ろくでもない人生を送っていた俺、海乃 哲也は、 23歳にして交通事故で死に、異世界転生をする。 急に異世界に飛ばされた俺、もちろん金は無い。何とか超初級クエストで金を集め武器を買ったが、俺に戦いの才能は無かったらしく、スライムすら倒せずに返り討ちにあってしまう。 完全に戦うということを諦めた俺は危険の無い薬草集めで、何とか金を稼ぎ、ひもじい思いをしながらも生き繋いでいた。 そんな日々を過ごしていると、突然ユニークスキル[レベルアップ]とやらを獲得する。 最初はこの胡散臭過ぎるユニークスキルを疑ったが、薬草集めでレベルが2に上がった俺は、好奇心に負け、ダメ元で再びスライムと戦う。 すると、前までは歯が立たなかったスライムをすんなり倒せてしまう。 どうやら本当にレベルアップしている模様。 「ちょっと待てよ?これなら最強になれるんじゃね?」 最弱魔法しか使う事の出来ない底辺冒険者である俺が、レベルアップで高みを目指す物語。 他サイトにも掲載しています。

異世界に転移した僕、外れスキルだと思っていた【互換】と【HP100】の組み合わせで最強になる

名無し
ファンタジー
突如、異世界へと召喚された来栖海翔。自分以外にも転移してきた者たちが数百人おり、神父と召喚士から並ぶように指示されてスキルを付与されるが、それはいずれもパッとしなさそうな【互換】と【HP100】という二つのスキルだった。召喚士から外れ認定され、当たりスキル持ちの右列ではなく、外れスキル持ちの左列のほうに並ばされる来栖。だが、それらは組み合わせることによって最強のスキルとなるものであり、来栖は何もない状態から見る見る成り上がっていくことになる。

貞操逆転世界の男教師

やまいし
ファンタジー
貞操逆転世界に転生した男が世界初の男性教師として働く話。

処理中です...