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124 巨大化

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 今回、小愛はダンジョンでは無くとある草原へとやってきていた。
 と言うのも、突如としてこの草原に大型の魔物が出現したのだ。
 この現象自体には小愛も覚えがあった。
 ゲームにおいて特定の条件によってフィールドにボスモンスターが出現することがあり、今回現れた魔物もその内の一つだったのである。

 そしてそう言う場合には多くのプレイヤーが集まって来る。
 熟練のプレイヤー数十人に袋叩きにされる都合上、フィールドボスモンスターは出現してから数分と経たずに討伐されてしまうだろう。
 そのため普通であればボスモンスターが周りに悪影響を及ぼすことは無い。

 だがそれはあくまでゲームの話。
 この世界において熟練プレイヤーレベルで強い者は少なく、ましてやその者たちが偶然同じ場所にいること自体がありえないことだった。
 つまりこの世界では一度フィールドボスが出現した場合、すぐに討伐することが出来ないのである。
 
 とは言え何もしない訳にもいかないため、ほとんどの場合は近くの街の冒険者ギルドへと緊急依頼が出される。
 小愛もその依頼を受けてこの場へとやってきた一人であった。

「行くぞ! うぉぉぉソードスラッシュ!!」

 一人の剣士がフィールドボスへと斬りかかる。

「ぐぁぁっ!?」

 しかし一般冒険者である彼ではどう足掻いても勝ち目など無いどころか、近づくことさえ出来ないためにかすり傷を与えることすら出来なかった。

「では俺が! 炎の聖霊よ、その業火で我が敵を焼き尽くせ……ファイアボール!!」

 その様子を見ていた魔術師は今度は自分の番だと言わんばかりに魔法を放つ。
 しかし基礎中の基礎であるファイアボールではまともなダメージが入るわけも無く、フィールドボスは全くダメージを受けていないピンピンしたその姿を魔術師に見せつけた。

「そんな……」

 あまりにも規格外の存在を前にして絶望する魔術師。
 その間にも他の冒険者たちが攻撃を続けるものの、やはりと言うべきか、そのどれもが無力であった。

 その後、一通りの攻撃が止んだ瞬間に小愛は前へと出る。
 
「そおぃ!!」

 そしてフィールドボスに向けて勢いよく剣を振り下ろした。
 
「グルォォォッ!?」

 堅い地面すら容易に抉る一撃がフィールドボスの外殻を破壊し、これまでは一切リアクションをしなかったフィールドボスが初めて苦痛の声を辺りに響かせた。

「お、おお! 凄い攻撃だ……これならいけるぞ!!」

 小愛のその攻撃は他の冒険者の士気を上げるのには十分であった。
 しかし皆が沸き立ったその瞬間、フィールドボスは魔法を発動させたのだった。

「危ない!!」

 攻撃魔法かもしれないそれから皆を守るために、小愛は自らを盾にするようにして他の冒険者を庇った。

「……あれ、なんともない? って……なにこれぇっ!?」

 自身の体を見た小愛が叫ぶ。
 体にはおおよそダメージと言えるものは無かったようだが、それよりも彼女を驚かせたのは自身に起こった変化であった。
 どういう訳か彼女の体は巨大化していたのである。

「もしかして今の魔法で……」

 この現象がたった今フィールドボスが放った魔法によるものだと小愛は瞬時に理解していた。
 しかし何故このようなことになったのか。
 
 その原因となったのが彼女の持つ魔力吸引スキルであった。
 本来ならフィールドボスが自身に巨大化魔法をかけて強化するはずだったのだが、彼女の魔力吸引がその巨大化魔法を吸引してしまったのである。
 その結果、代わりに小愛にその魔法が発動したことで彼女は巨大化したのだった。

「なんだ!? 一体何が起こって……うわ、凄い際どい」

「何事だこれは! うぉ……すっご」

 他の冒険者も小愛が突如として巨大化したことに驚いていたが、男冒険者を中心にすぐにその驚きは消え去ることになった。

 なにしろ彼らは巨大化した小愛の真下にいるため、彼女のスカートの中を直視してしまったのである。
 むっちりとした太ももに、秘部を覆う際どい下着。
 それを見た男がそうなってしまうのも無理も無い話だった。

「あっ……」

 そして遅れて小愛もその事実に気付く。

「み、見ないでください!?」

 思わずそう叫ぶ小愛。しかし時既に時間切れ。
 とっくに彼女の下半身は真下にいる冒険者たちの脳裏に深く刻み込まれてしまっていた。
 だが彼女を襲う災難はまだまだ終わってなどいない。

「グルォォ!!」

 巨大化魔法が発動しなかったためか、フィールドボスは怒りを露わにしたまま勢いよく小愛へと突進する。

「うわぁっ!?」

 彼女のステータスであれば大したダメージでは無いものの突進による衝撃を消すことは出来ないため、バランスを崩してしまった小愛はそのまま後方へとドスンと倒れ込んでしまった。
 
 なお、その体勢はあまりにも際どいものとなっている。
 股を大胆に開いているために、彼女のぷにぷにとした柔らかな秘部周りの肉が下着越しにこれでもかと強調されていた。なんなら筋が見えてしまっている。
 そんな所謂M字開脚と呼ばれる体勢となっていた彼女の姿は年頃の男冒険者にとっては刺激が強すぎたようだ。

「お、おい……お前なんでそんなに前かがみなんだよ」

「ああ? お前もだろうがよ!」

 ただでさえ小愛の太ももと下着で興奮状態になっていた彼らなのだ。
 そこにさらに追い打ちとしてこれほどの物を見せられてしまっては、いくら戦場であろうがフル勃起不可避であった。

 だが、これでもまだまだ序の口である。

「グルルゥ……グォォッ!!」

「あ、駄目っそこは……!」

 フィールドボスは再び突進を行い、それは見事に彼女の秘部へと直撃した。
 先述の通り、小愛にとってこの程度の攻撃は大したものでは無いためダメージを負うことは無い。
 故にこの攻撃によって彼女の秘部に影響が出ることは無かった。

 ……しかし彼女の下着は別である。

「ぁっ……」

 秘部を伝う爽やかな風。そして下着による圧迫感からの解放。
 本来布に覆われているはずのその場所が絶対に感じることは無いそれらの感覚から、小愛は自らに起こっていることを理解してしまった。
 
 そう、下着が破けたのである。
 確かにフィールドボスによる突進は彼女にダメージを与えることは無い。
 だが彼女の下着には深刻なダメージを与えていたのだ。

「……」

 むちむちな太ももに挟まれた彼女の聖域を直視してしまった男冒険者たちはもはや一切の声を出すことも無く、ただただ黙ってその光景を脳裏に焼き付けていた。
 とにかくむっちむちでえちえちな小愛の下半身はこの世界においてあまりにも煽情的が過ぎるのだ。
 そんな今後二度と見ることは無いだろうその光景を、彼らが食い入るように見続けることを誰が止められるだろうか。

「……ッ!!」

 我に返った小愛は顔中を真っ赤に染め上げ、声にならない声を漏らす。
 そして蹴りでフィールドボスを軽く吹き飛ばすやいなや、すぐさまその場から走り去るのだった。

【スキル『巨大化』を習得しました】
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