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72 催淫シャンプー

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 毎日のように依頼をこなしていた小愛だったが、今日は一転して街の美容室を訪れていた。
 というのもまあ、当然だが髪が伸びていたのだ。
 そんな訳でいつもの美容室に行こうとしていた彼女だったのだが、その店は偶然休業していた。
 ので、別の所に訪れていた。

 そうして美容室を訪れた小愛を迎えたのは美しい女性だった。
 同性である小愛でもドキッとしてしまう程の美貌を持つその女性は優しい雰囲気で小愛を店内へといざなう。

 店内は薄暗く、妙な匂いが充満していた。普段の小愛ならば警戒していただろう。しかしどういう訳か小愛は無警戒のまま、案内されるがままに店の奥へと連れられて行く。
 まるで何かに操られているかのように。

 そのまま小愛が案内された部屋は至って普通の美容室といった風貌の部屋だった。
 魔法によって作られたアイテムによるものか、他の店よりも文明的に進んだ設備が整っているがそれ以外は特に妙な所は見られない。そんな部屋だった。

 そこで小愛は椅子に座らせられ、他の店と変わらないようにヘアカットが行われることとなった。
 しかし妙な点もあった。何故か店側が用意した別の服に着替えさせられたのだ。ここはマッサージ店では無い。ヘアカットやシャンプーのためだけに全身着替えさせるのは異常だと言えるだろう。
 とは言え何故か小愛はそこにも違和感を覚えることもなく、ただただなすがままになっていた。

 その後軽く頭をシャワーで流され、さらに緊張をほぐすようにして肩や頭のマッサージが行われた。「うへ~」とその気持ち良さを享受する小愛の情けない声が部屋内に響く。
 ……彼女は完全に警戒を解いていた。

 そんな状態の彼女に女性は声をかける。

「それではこれからシャンプーを行います。少し大変かもしれませんが……耐えてくださいね?」
「た、耐え……え?」

 小愛は女性の言葉を聞き小首をかしげた。
 シャンプーをするうえで耐える必要があるとはどういうことなのだろうか……と。
 だが彼女はすぐにその意味を思い知ることとなる。

「それでは行きますね」

 女性がそう言ってシャンプーを馴染ませた手で小愛の頭に触れた瞬間だった。

「んひっ!?」

 小愛の体が小さく跳ねた。
 
「な、なにこれ……?」

 頭を軽く触られただけだと言うのに全身が跳ね上がるような妙な気持ち良さが彼女の体を襲ったのだ。

「我が店舗特製のシャンプーです。どうです? 気持ち良いでしょう?」
「気持ち良い……けど、これ……そういう気持ち良さじゃ……」

 小愛を襲った気持ち良さはマッサージのそれでは無く、性的な快楽だったのだ。
 それをなんとか伝えようとするが、女性は続けて小愛の頭を洗い始めた。

「まずは軽ーく泡立てて行きますね」
「ぁっぁぁ」

 女性は小愛の髪にシャンプーを絡め、シャワシャワと泡立てていく。
 その間にも小愛の体はジワジワと快楽に侵食されていった。

「だいぶ泡立ちましたね。では本格的に洗って行きますよ」
「ま、待って……これ、なんかおかしっぁ」

 一旦待つように女性に声をかける小愛。が、女性はそれを無視してシャンプーを続けた。

「ぁっぁあ、だっだめ……なんで頭洗われてるだけ、なのにっ」

 ぴくぴくと体を震わせながら小愛はなんとか耐えている。先程女性が行っていた「耐えてください」という言葉の意味を理解したのだった。

「良いですよ。ほとんどのお客様はこの時点で気を失ってしまうので貴方はかなりの逸材です」
「そ、それって相当ヤバいものじゃ……」
「安心してください。人体に害のある物質では無いですから。ただ少し……いえ、かなり感度が上昇してしまうだけで……」
「それって本当に大丈夫なんですか!?」

 女性がちらっと漏らした言葉を聞き逃さなかった小愛は強く反応する。
 と、そうしている間にも女性はシャンプーを終え、シャワーを手に取っていた。

「それでは洗い流していきますね。これもちょっと……いや大分大変なことになるかもしれませんが頑張ってください」
「えっ、待って……どういうことっぉ゛!?」

 シャワーから出てきた液体を頭にかけられた瞬間、小愛は艶やかさの欠片も無い声を漏らしながら体を大きく跳ねさせた。

「あら、もう限界なのでしょうか」
「ぐぐっ、んぐ……」
「いえ、まだ意識はあるみたいですね」

 今にも意識を失いそうな小愛だが、なんとか根性で耐えていた。
 しかしそれもじきに限界が来るだろう。

「さて、聞こえているかはわかりませんが説明いたしますね。こちらのシャワー、なんとシャンプーよりもさらに濃度を高めた催淫効果のある液体なんですよ。なので……」
「んぉ゛っぉぉ♡」
「かけられると、こうしてすっごく気持ちよくなっちゃうんですよね。ふふっもっと声を出しても良いんですよ?」

 女性はニコニコしながら嬉々として説明を続けた。

「それにこうして揉みこむと……よいしょ」
「んぅっ!?」

 女性は小愛の頭皮を優しく揉みこむ。まるで液体を馴染ませるかのように。

「毛穴にまでしっかりと浸透して、より効果が強くなるんです。どうです?」
「ふぅっ♡ ふぅっ♡」

 女性が熱心に説明をするも、小愛はとろんと蕩けた目で虚空を見つめていた。流石の彼女も限界だったのだ。
 着替えさせられた下着は彼女の愛液でぐしょぐしょに濡れ、小さく可愛らしい胸の先の二つの突起はぷっくりと膨れ上がっている。

「あらあら、出来上がってしまったようですね。ですが施術はまだ終わっていませんので、もう少し頑張ってもらいますよ」

 そう言って女性は小愛の頭をシャワーで流し続ける。
 女性がヘッドマッサージのために小愛の頭に触れるたびに、彼女は呻き声を漏らしながら体をぴくぴくと震わせた。

 そうして数十分が経った頃だろうか。やっと施術が終わったようだ。
 とは言え小愛は完全に意識を失っていたため、回復するまで別室で寝かされていたのだった。

「う、うぅ……」
「目が覚めましたか?」
「あ、あれ……そ、そうだ私シャンプーで、その……」
「大丈夫です。他のお客様も同じように気持ち良くなってますから。ああ、そうそうこちらをどうぞ」

 女性は謎の液体が入った小瓶を小愛へと手渡す。

「……これは?」
「貴方の体に適応させた特製のシャンプーです。ここを利用していただいたお客様にサービスでプレゼントしているんですよ」
「そ、そうなんですね……」

 小愛は先ほどまでの現実味の無い出来事が夢では無いんだと改めて認識させられると同時に、またあの感覚を楽しめるのかと密かに昂ってしまっていた。
 しかしそれはそれとして心配事もあった。

「あ、あの……私が気絶している間って何かあったりとかは……」

 こんな異常な場所で無防備のまま気絶してしまっていたことへの心配だ。
 だがそれは杞憂に終わった。

「心配なさらないでください。ここはそう言った場所ではありませんから、施術が終わったあとのお客様はこちらで休んでいただいているのです。監視もありますので万が一にもそう言ったことは起こりませんよ」
「そ、それなら良かったです」

 実際、女性の言う事は正しかった。ここはあくまで美容室。ちょっと異常な美容室だった。そういった行為を行う場所では無いと、オーナー含め全職員が固く誓っていたのだ。
 なにしろここはサキュバスが運営する催淫美容室なのだから。淫魔はルールを守る。これ常識。
 ちなみにそのための契約は客を催淫させた状態でしているため、そこに誠実性は無い。

 そんな訳で大変な目にあった小愛だったが、貰ったシャンプーに思った以上にはまり込んでしまったために定期的にこの催淫美容室に通う事になるのだった。
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