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38 人形劇

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「ひーひっひ。私は冥王様が配下の一人。人呼んで『無敗の人形師』でございます」

 道化師姿の女性が小愛の目の前に姿を現した。

「冥王……あの時の」

 小愛は彼女の口から出た「冥王」の名に反応を示す。以前にも冥王の配下を名乗る者と相対していたため、警戒はしたまま情報を引き出そうと口を開く。

「もしかしてソウルイーターと同じ冥王の配下なの?」
「冥王様の名を知っているとは……何ともまあ罪深き子なのでしょうか。ただの人の子が口にして良い名ではありませんよ」
「やっぱりそうなんだ。なんか冥王っていうのの配下はキャラが濃いのが多いね……?」

 以前小愛が出会ったソウルイーターもやたらと小物感の凄い存在だったが、目の前の無敗の人形師なる女性も中々なものだった。

「冥王様を侮辱するのであれば、例え子どもであろうと容赦は致しません事よ。ひっひっひ……まずは軽く試してみましょうか」

 小愛的にはただの疑問だったようだが、人形師は侮辱に感じたようだ。
 どこからか人形を取り出し、小愛に向けながらポーズを変え始めた。 

「むっ!?」

 するとどういう訳か、小愛の体は人形と同じポーズになってしまうでは無いか。
 
「ひーっひっひ! これは人形と同じポーズとなってしまう呪いでございます。本人の意思では逃れることは決して出来ません」
「そんな……! んっ……だめだ全然動かない」

 小愛は体に力を入れる。が、彼女の華奢な体が動くことは無かった。

「無駄ですわよ。この呪いはそう簡単には解けませんもの」
「くっ……身動きを取れなくして一体何をしようっていうの!? エロいことするんでしょ!」
「……? ひひっ、それがお望みならして差し上げましょう」

 人形師は人形の腕を動かし、自慰行為のような動きをさせ始めた。当然、その動きと同じように小愛の腕も動き始める。

「んっ……」
「おや、無理やり動かされて感じちゃっているのですか? 何ともまあ変態な子ですこと♡」
「へ、変態なんかじゃ……」

 否定しようとした小愛だったが突然言葉に詰まる。彼女はその一瞬に今までの自分の行動を思い起こしていた。

「……やっぱり変態かも」

 その結論は、自分は紛れも無く変態であると言うものだった。
 
「あら? まあ良いでしょう。変態だと言うのならこう言う事もしたいでしょう?」

 人形師は小愛の服を脱がせるように人形の四肢を動かす。

「ぅぁっ……んくっ……♡」
「自ら服を脱ぐことにも快感を覚えるだなんて、本当にドが付くほどの変態ですのね」

 露出プレイによって目覚めてしまった快楽が小愛の脳を優しく焼く。
 ダンジョンの中での露出。ましてや敵対する存在の前での行為などあってはならない。
 しかし小愛はそれでも気持ち良くなってしまう。そう精神が作り替えられてしまっているのだ。

「ひひっひ、この人形はただ対象を動かすだけのものではありませんよ。ほら、こうして……んちゅっ」
「ひぃっ!?」

 人形師が人形を舐めると同時に、小愛は可愛らしくも艶やかな声を漏らした。

「ちゅぱ……ぬちゅっ……こうして舐められると、本当に舐められているみたいでしょう?」
「んぅっ……♡ ふはぁっ……♡」

 全身をくまなく舐められているような感覚が彼女を襲う。もちろん実際に触れられているわけでは無い。
 舐められているという感覚だけが、彼女に届いているのだ。

「あらあら、そんなにお乳を立たせちゃって……それならこれでも食らいなさいな♡」

 裁縫用の針を取り出した人形師は人形の胸の部分にそれを当てて行く。

「ぃ゛っ……」

 人形に針が当たるたびに、小愛は体をビクンと跳ねさせながら荒く呼吸をする。

「だめっ……痛いはずなのに……なんか気持ちいいのぉ゛っっ♡」
「ひひっひひひっ……もっとその甘美な声を聞かせなさい♡ 私の満足するように喘いで見せなさい♡」
「ぉぉ゛っらめっ……ちくびおかしくなりゅぅっ♡」

 針による刺激が彼女の乳首を大きく膨れ上がらせていく。もはや痛みは全て快楽に変換されていた。
 チクチクと。カリカリと。様々な刺激が彼女の中に快楽物質を生み出していく。

「ふぅーっ……ふぅーっ……♡」
「こんなにぐちゃぐちゃになってしまうなんて、なんてイジメがいがある子なのでしょうか。でも流石にこれは耐えられないでしょう?」
「っ! 何を……!?」

 人形師は太めの針を持ち、人形の股間へと向けていた。

「ひひっ、このまま突き刺したらどれだけ痛いでしょうどれだけ苦しいでしょう」
「やめ……」
「やめてと言われてやめる者はいませんわ。そーれ♡」
「んぐっ……んぁっ♡」
「……う、うん?」

 人形師は思っていた反応が来なかったためか動揺を隠せずにいた。

「え……あれ? 刺す場所が悪かったのでしょうか。も、もう一度……」
「おぉ゛っ♡」
「いややっぱりおかしいのではありませんか!? 何故これほどの針を刺されて快楽だけで済んでいるのです!?」
「それは……私には攻撃は通らない……から……あぁっ♡」

 小愛の言う通り、彼女の耐久力は相当に高い。並みの存在では攻撃の意思のある行為で彼女にダメージを与えることは出来ないと言っても過言では無いだろう。
 先ほどの針による乳首責めのように、攻撃では無く愛撫であればダメージも発生する。しかし残念ながら人形師はそれに気付くことは出来なかった。

「そんな、そんなことがありえるはずが……!」
「あ、待って……!」

 人形師は目の前にいる存在の異質さに恐怖し逃げた。
 が、小愛を前にして逃げられるはずなど無かった。

「ねえっ待って……まだ私満足できてない……!」

 当然のように追いついた小愛は人形師に向かって懇願する。

「ひひっひぃぃっ!? 自分より弱い者を蹂躙するのは好きですがそうじゃないのはご勘弁被りますわぁぁ!」
「あ、危ない……!!」
「あっ……」

 ここはダンジョンの中腹。当然だがトラップも大量に存在している。
 そしてその対象は冥王の配下であっても例外では無い。

「こっちに……!!」
「ひぃっ!?」

 両側から押し出された壁によって人形師は潰されかけた。しかし直前で小愛が彼女の手を引っ張り、ギリギリのところで助けたのだった。

「そんな……私は貴方をいたぶろうとしたのに……」
「だって、私はまだ満足していないから」

 満面の笑みでそう答える小愛。
 こうして人の善意……? に触れた人形師は冥王の配下を辞め、人里で人形劇をしながら暮らすことを決めたのだった。
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