[R18G]デッドエンド・獣宿し

遠野紫

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IF11 極氷龍(プライムアイスドラゴン)

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[あらすじ]
極氷龍(プライムアイスドラゴン)と戦うことになったショータは見事に敗北し、氷漬けにされてしまった!

※内容※
氷漬け
生きたまま固められる
看取り

――――――

 温泉都市の異変を解決するために凍結した火山へとやってきたショータ。その奥にいたのは彼が探していた存在である極氷龍だった。

「魂すらも凍り付きなさい……プライマリーアイス……!!」
「ッ!!」

 極氷龍の放った攻撃がショータを包む。

「コイツは……!?」

 なんと、ショータの足が凍り付いてしまった。

「私の本気、いかがでしょうか」
「ふぅ、流石はプライムの名を冠するドラゴンってことか……」
「あら、強気ですね。もう貴女に勝ち目は無いというのに」

 極氷龍の言っていることはハッタリでもなんでも無かった。
 
「あぁ、これは確かに不味いな……」

 たった数秒の間にショータの足全体が凍り付いていたのだ。そして今この瞬間も少しずつ氷が彼の体を登って行っている。
 このままだとあと十秒ほどで彼の体全てが凍り付いてしまうだろう。

「最後に何か言い残すことは?」
「……特にねえさ」

 ショータ自身ももう駄目だと言うことに気付いていた。今の自分にはこの状況を打開する術が無い。どうあがいても無駄。それをわかってしまっていた。

「……完全に凍り付きましたね」

 極氷龍はそう言って凍り付いたショータの体を持ち上げ、火山の奥にある空間に持って行った。

(おい、なんなんだこりゃぁ……?)

 まだ意識はあるショータはその空間を見て驚愕した。
 なんとそこには氷漬けの少女が大量に置かれていたのだから。

「あら、まだ意識があるのですね。心配しないでください。直に意識は無くなります、苦しいことも痛いことも、全てから解放されるのです。貴女もあの子たちのようになるのですよ」

 そう言って極氷龍は空いている場所にショータを置く。

「私は可愛いくて美くて奇麗な女の子が大好きなんです。でも、女の子はいつか成長してしまう。悲しいですよね。なので、一番美しい状態で氷漬けにして保存しているのです」

 極氷龍は氷漬けのショータに向かって話し続ける。

「貴女もその一人なんですよ? 最上位種の私がそう言うのですから、誇りに思って良いんです」

 極氷龍は恍惚とした表情をしながらショータの胸の部分を撫でる。当然氷を通しているためショータにその感触が伝わることは無い。
 というよりも、もう彼の意識自体が怪しかった。

(ぁぁ、意識が飛んじまう……もう体温も下がりきっちまってる。……限界なのか)

 薄れゆく意識の中、ショータはもはや低温による痛みすら感じなくなっていることに強い恐怖を感じていた。
 それを感じ取ったのか極氷龍はショータを抱きしめる。

「ああ、可哀想な子。寒いですよね? 痛いですよね? 寂しいですよね? でも大丈夫。最後まで私が付いています」

(なんなんだよ……自分で凍らせといて、とんだサイコパス……じゃねえか……。でも、なんだか悪くない気分……だ……)

 もはやまともに思考出来ないショータは極氷龍の行為に慈悲を感じてしまっていた。安心してしまっていた。
 ショータはこの世界に飛んでからずっと、誰も知らない所でひっそりと死ぬことになるのでは無いかという恐怖と常に戦っていたのだ。
 日本で怪物と戦っていた時は周りに友がいた。大事な人がいた。最悪死んでしまってもをれをみとってくれる人がいたのだ。

 だがここでは違う。異世界という全く知らない場所にただ一人投げ出され、内心不安だったのだ。
 それが今ここに来て溢れ出てしまったのだった。

「……意識が、無くなってしまったのですね」

 極氷龍はそう言ったものの、しばらくショータから離れることは無かった。そうして彼女に抱かれているショータの表情は、苦痛など一切無いとても安らかなものであった。

 とまあ、こうしてショータの冒険は終わってしまった!
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