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IF9 地下研究施設
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[あらすじ]
地下研究施設に攻め込んだショータたちを待っていたのは敵の用意した罠だった!
※内容※
体が溶ける
アンデッド化
――――――
獣王国地下にある地下研究施設に攻め込んだショータ達は早速敵の罠にはまってしまう。
「ぐぁっ……!?」
細い通路へと誘導され、そのまま攻撃を受けてしまったショータ。すると攻撃を受けた箇所から体がすこしずつ溶け始めたのだった。
「こいつ、地上で見たやつか……! っぐぁっぁぁ!?」
鋭い痛みと共にショータの色白の肌は見る影も無く赤くただれていき、そこから肉が露出し血が噴き出る。最終的にその細くしなやかな片腕は骨だけを残して全てが溶けてしまったのだった。
「ショータ、こっちに!」
仲間に助けられ、安全なところに引っ張られていくショータ。そうしてなんとか助かった訳だが、その代償は大きかった。
レジスタンスの内の一人が肉盾となり攻撃を受け続けた結果、完全に溶けてしまったのだ。
「ゥ……ゴ……」
もはや人語を話すことも出来ずにただひたすら苦しみ続ける肉塊と化した仲間。
「俺も、こうなってたかもしれねえのか……。せめて、ここで楽にしてやるからな……」
ショータはそう言って獣宿しの力を使って肉塊を葬った。
恐怖、怒り、悲しみ、様々な感情が入り混じった複雑な表情をしながらショータはその場から離れる。
「ショータ……」
「大丈夫だ。……一番辛いのは俺じゃねえだろ」
「……ああ、そうだな。先へ進もう」
悲しむ暇も無く、三人は奥へと進み始める。しかし敵の罠はこれだけでは終わらず、再び肉を溶かす攻撃が飛んできたのだった。
結局もう一人も肉塊となってしまい、もはや残っているのはリーダーとショータの二人だけだった。
「ここが最後の部屋……か」
「そう思いたいな」
二人の前にはえらく厳重に閉じられている扉があった。見るからにこの先は重要な場所といった雰囲気だった。
「開けるぞ……!」
アルフィーは仲間の形見である巨大な槌を使って扉をぶち破った。
「ほう、思ったよりも速かったな」
「……誰だアンタは」
扉を開けると部屋の真ん中に一人の男がいた。不敵な笑みを浮かべながら二人の方を見ている。
「私はただの学者だよ」
「ただの学者がこんなとこにいるかよ」
「ククッそれもそうだね。詳しくは言えないけど、少なくとも君たちの敵ではある。それは確定しているよ。でも……今は私の出る幕では無い」
学者を名乗る男がそう言った瞬間、ショータのとなりにいたアルフィーの様子がおかしくなっていく。
「おいてめえ! アルフィーに何をしやがった!」
「完成したばかりの新兵器だよ。今までのものは動物性の物体を分解するだけの効果しか無かったが、とうとう一時的に魔族へと変貌させる効果を付与することに成功したんだ」
「ぁ……あぐぁ……」
男が偉そうに解説をしている間にもアルフィーの姿は人のソレでは無いものに変わって行く。
「だけどまだ不完全でね。魔族とはいってもかなり下級の……アンデッドと言えば良いかな。そんな感じになっちゃうんだよね」
「そうか。随分とペラペラ情報を喋ってくれるんだな」
「学者としての職業病と言うべきかな。必要無いことまで頭が勝手にしゃべってしまうんだよ。でも関係無いだろう? どうせ君たちはここで死ぬんだから」
「待ちやがれ! クソッ……!」
どうやら男の姿はホログラムによって映し出されたものだったらしく、ショータが攻撃した瞬間にその姿を消した。
しかし今の彼にとってはそれは重要では無かった。
すぐ隣にもがき苦しみながらアンデッドに変わりつつあるアルフィーがいるのだから。
「仕方がねえ、やるしかねえのか!」
臨戦態勢を取るショータ。しかし片腕を失った状態で戦うのは無理があったようだ。
「ぐぁっぁ!?」
アンデッドと化したアルフィーの射出した棘を残った方の腕で受け止め、そのまま溶かしてしまった。
先ほどと同じ鋭い痛みに苦しみながらも、ショータはアルフィーの方を向き続ける。しかし両腕を失った彼にもう勝ち目は無かった。
「ゥ……ウガァァァッ」
「クソッ、クソッ……!!」
ショータはアルフィーに組み付かれてしまうも、もう抜け出すことも出来ない。そのまま首元を噛まれ、肉を噛みちぎられてしまう。
「あがっ……!」
焼けるような痛みに耐えきれず叫ぶショータ。しかし恐怖はこれからだった。
「ぁっがぁああ゛ぁ゛っぁ゛」
ショータの全身に疼くような痛みが走る。噛まれたところからアンデッドの魔力が浸透し、彼の体を蝕んでいるのだ。
「ぐっ……はぁっ、はぁっ……」
意識を保とうとするショータだが、そんな彼をあざ笑うようにアンデッド化は進んで行く。色白の肌も徐々に青紫色に変わっていき、体に力が入らなくなっていく。
(不味い、意識が……消えて……)
体の所有権が徐々に奪われていく恐怖。自分が自分でなくなって行く恐怖。しかしいつしかそれすらも無くなってしまっていた。
「……ッガ、グアぁっァぁ」
もはや彼に意識は無い。痛みも感じない。何も感じないし何かを思う事も無い。
ただただ本能のままに動き続けるアンデッドになってしまったのだから。
つまり、ショータの冒険は終わってしまった!
地下研究施設に攻め込んだショータたちを待っていたのは敵の用意した罠だった!
※内容※
体が溶ける
アンデッド化
――――――
獣王国地下にある地下研究施設に攻め込んだショータ達は早速敵の罠にはまってしまう。
「ぐぁっ……!?」
細い通路へと誘導され、そのまま攻撃を受けてしまったショータ。すると攻撃を受けた箇所から体がすこしずつ溶け始めたのだった。
「こいつ、地上で見たやつか……! っぐぁっぁぁ!?」
鋭い痛みと共にショータの色白の肌は見る影も無く赤くただれていき、そこから肉が露出し血が噴き出る。最終的にその細くしなやかな片腕は骨だけを残して全てが溶けてしまったのだった。
「ショータ、こっちに!」
仲間に助けられ、安全なところに引っ張られていくショータ。そうしてなんとか助かった訳だが、その代償は大きかった。
レジスタンスの内の一人が肉盾となり攻撃を受け続けた結果、完全に溶けてしまったのだ。
「ゥ……ゴ……」
もはや人語を話すことも出来ずにただひたすら苦しみ続ける肉塊と化した仲間。
「俺も、こうなってたかもしれねえのか……。せめて、ここで楽にしてやるからな……」
ショータはそう言って獣宿しの力を使って肉塊を葬った。
恐怖、怒り、悲しみ、様々な感情が入り混じった複雑な表情をしながらショータはその場から離れる。
「ショータ……」
「大丈夫だ。……一番辛いのは俺じゃねえだろ」
「……ああ、そうだな。先へ進もう」
悲しむ暇も無く、三人は奥へと進み始める。しかし敵の罠はこれだけでは終わらず、再び肉を溶かす攻撃が飛んできたのだった。
結局もう一人も肉塊となってしまい、もはや残っているのはリーダーとショータの二人だけだった。
「ここが最後の部屋……か」
「そう思いたいな」
二人の前にはえらく厳重に閉じられている扉があった。見るからにこの先は重要な場所といった雰囲気だった。
「開けるぞ……!」
アルフィーは仲間の形見である巨大な槌を使って扉をぶち破った。
「ほう、思ったよりも速かったな」
「……誰だアンタは」
扉を開けると部屋の真ん中に一人の男がいた。不敵な笑みを浮かべながら二人の方を見ている。
「私はただの学者だよ」
「ただの学者がこんなとこにいるかよ」
「ククッそれもそうだね。詳しくは言えないけど、少なくとも君たちの敵ではある。それは確定しているよ。でも……今は私の出る幕では無い」
学者を名乗る男がそう言った瞬間、ショータのとなりにいたアルフィーの様子がおかしくなっていく。
「おいてめえ! アルフィーに何をしやがった!」
「完成したばかりの新兵器だよ。今までのものは動物性の物体を分解するだけの効果しか無かったが、とうとう一時的に魔族へと変貌させる効果を付与することに成功したんだ」
「ぁ……あぐぁ……」
男が偉そうに解説をしている間にもアルフィーの姿は人のソレでは無いものに変わって行く。
「だけどまだ不完全でね。魔族とはいってもかなり下級の……アンデッドと言えば良いかな。そんな感じになっちゃうんだよね」
「そうか。随分とペラペラ情報を喋ってくれるんだな」
「学者としての職業病と言うべきかな。必要無いことまで頭が勝手にしゃべってしまうんだよ。でも関係無いだろう? どうせ君たちはここで死ぬんだから」
「待ちやがれ! クソッ……!」
どうやら男の姿はホログラムによって映し出されたものだったらしく、ショータが攻撃した瞬間にその姿を消した。
しかし今の彼にとってはそれは重要では無かった。
すぐ隣にもがき苦しみながらアンデッドに変わりつつあるアルフィーがいるのだから。
「仕方がねえ、やるしかねえのか!」
臨戦態勢を取るショータ。しかし片腕を失った状態で戦うのは無理があったようだ。
「ぐぁっぁ!?」
アンデッドと化したアルフィーの射出した棘を残った方の腕で受け止め、そのまま溶かしてしまった。
先ほどと同じ鋭い痛みに苦しみながらも、ショータはアルフィーの方を向き続ける。しかし両腕を失った彼にもう勝ち目は無かった。
「ゥ……ウガァァァッ」
「クソッ、クソッ……!!」
ショータはアルフィーに組み付かれてしまうも、もう抜け出すことも出来ない。そのまま首元を噛まれ、肉を噛みちぎられてしまう。
「あがっ……!」
焼けるような痛みに耐えきれず叫ぶショータ。しかし恐怖はこれからだった。
「ぁっがぁああ゛ぁ゛っぁ゛」
ショータの全身に疼くような痛みが走る。噛まれたところからアンデッドの魔力が浸透し、彼の体を蝕んでいるのだ。
「ぐっ……はぁっ、はぁっ……」
意識を保とうとするショータだが、そんな彼をあざ笑うようにアンデッド化は進んで行く。色白の肌も徐々に青紫色に変わっていき、体に力が入らなくなっていく。
(不味い、意識が……消えて……)
体の所有権が徐々に奪われていく恐怖。自分が自分でなくなって行く恐怖。しかしいつしかそれすらも無くなってしまっていた。
「……ッガ、グアぁっァぁ」
もはや彼に意識は無い。痛みも感じない。何も感じないし何かを思う事も無い。
ただただ本能のままに動き続けるアンデッドになってしまったのだから。
つまり、ショータの冒険は終わってしまった!
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