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IF4 極水龍(プライムアクアドラゴン)
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[あらすじ]
極水龍とショータは友人となり、暇を見つけては戦い合う仲(基本は極水龍からやってくる)になったのだ!
※内容※
上下に真っ二つ
友の死
愛する人の死
――――――
「今日もよろしく頼むぞショータ殿」
極水龍は今日もいつものようにショータに戦ってくれるように願っていた。彼が戦って面白いと思える相手はこの世界にはほとんどいなかったのだ。そんな時、突然現れた強者であるショータは彼にとって大事な友だった。
「はぁ、仕方ない」
そしてなんやかんや言ってショータもそれを受けていた。これもいつもの事だ。
極水龍はこの世界に来てから初めて性別関係なく自分を見てくれる相手だったのだ。彼と一緒にいる時は中身とガワの乖離を気にしなくても良い。気が楽だったのだ。
そう言う事もあり、今日もそうしていつものような日々が過ぎる……はずだった。はずだったのだ。
あの事故が起こるまでは。
「不味いッ……!?」
それは不慮の事故だった。ショータが一瞬の油断をしたのだ。ただの油断ならばまだ何とかなったのかもしれない。しかしプライムの名を冠するドラゴンを相手にしてその一瞬の油断は、生きるか死ぬかを直に左右すると言っても過言では無かった。
……そして実際に、ショータは死ぬこととなった。
「ぐぅっぁ!? な、何で俺の足が……あ、あんなところに……?」
極水龍の放った水のカッターがショータの体を上下に真っ二つに斬り裂いたのだ。実のところ極水龍自身も油断していた。久しぶりに戦い合える相手が見つかり、大分うかれていたのだ。
「ぁ、っぁああぁ!?」
「ショータ殿……!?」
そんな中、目の前で友が自分の手から放たれた攻撃で真っ二つになってしまったらどうだろうか。
並みの存在ならばすぐさま発狂するなり泣き崩れるなり唖然とするなり、少なくとも思考して動くことは出来ないだろう。
だが極水龍は違った。流石は最上位種と言ったところだろうか。彼は真っ二つになったショータの元へと急いで飛んで行くとその体を両手で受け止めた。
「ガフッ……す、すまねえ……俺の不注意で……」
抱えられたショータは血を吐きながら、今にも消え入りそうな瞳で極水龍の顔を見る。掠れ気味の声からしてもう長くはもたないのは明白だった。
「ち、違うんだショータ殿! 俺の方こそ、うかれてたんだ……。それよりも速く治療を!」
極水龍はショータの上半身を抱えて街へ戻ろうとする。だが彼自身もう駄目だとわかっていた。いくら炎龍を軽く一ひねりに出来る程の強者であるショータでも、上半身と下半身が別れて生きていられるはずは無いのだ。
実際、どんどんショータの体温は下がり息も不規則になっていた。もう助からない。それはショータ自身にも極水龍にもわかっていたのだ。
それでも彼は諦めきれなかった。数百年ぶりに出来た友をそんな簡単にあきらめることなど誰が出来ようか。
極水龍は死に物狂いで街へと戻り、治療師や神官にショータを見せた。しかしどこに行ってももう間に合わないと言われ、いつしか冷たくなった骸を抱きかかえながら歩いていた。
「ショータ殿……。俺は……俺は……」
「ショータ……様?」
そこに偶然通りすがったのは一人の少女だった。恐らく今一番出会ってはいけないその少女リーシャは極水龍の抱えている骸を見るなりその場に力なく崩れ落ち、そのまま泣き続けた。
不当に奴隷として売られそうになっていた自分を助けてくれただけでは無く、ワイバーンに襲われ無くなってしまった故郷の代わりに居場所をくれた恩人。それどころか恋心すら抱き始めていた。その矢先にこれだった。
「どうして……どうしてですか水龍様!!」
「俺の……俺のせいだ。俺のせいでショータ殿が……」
感情を露わにして声を荒らげるリーシャ。それに対して極水龍は何も出来ず、ただただ自分を責める言葉を言い続けていた。
それからそう経たない内に極水龍も街から姿を消し、街は獣人の組織に攻め落とされた。女子供も皆まとめて惨殺され、組織の行った儀式により世界は渾沌と化した。
なので、ショータの冒険は終わってしまった!
ついでに、世界は終わってしまった!
極水龍とショータは友人となり、暇を見つけては戦い合う仲(基本は極水龍からやってくる)になったのだ!
※内容※
上下に真っ二つ
友の死
愛する人の死
――――――
「今日もよろしく頼むぞショータ殿」
極水龍は今日もいつものようにショータに戦ってくれるように願っていた。彼が戦って面白いと思える相手はこの世界にはほとんどいなかったのだ。そんな時、突然現れた強者であるショータは彼にとって大事な友だった。
「はぁ、仕方ない」
そしてなんやかんや言ってショータもそれを受けていた。これもいつもの事だ。
極水龍はこの世界に来てから初めて性別関係なく自分を見てくれる相手だったのだ。彼と一緒にいる時は中身とガワの乖離を気にしなくても良い。気が楽だったのだ。
そう言う事もあり、今日もそうしていつものような日々が過ぎる……はずだった。はずだったのだ。
あの事故が起こるまでは。
「不味いッ……!?」
それは不慮の事故だった。ショータが一瞬の油断をしたのだ。ただの油断ならばまだ何とかなったのかもしれない。しかしプライムの名を冠するドラゴンを相手にしてその一瞬の油断は、生きるか死ぬかを直に左右すると言っても過言では無かった。
……そして実際に、ショータは死ぬこととなった。
「ぐぅっぁ!? な、何で俺の足が……あ、あんなところに……?」
極水龍の放った水のカッターがショータの体を上下に真っ二つに斬り裂いたのだ。実のところ極水龍自身も油断していた。久しぶりに戦い合える相手が見つかり、大分うかれていたのだ。
「ぁ、っぁああぁ!?」
「ショータ殿……!?」
そんな中、目の前で友が自分の手から放たれた攻撃で真っ二つになってしまったらどうだろうか。
並みの存在ならばすぐさま発狂するなり泣き崩れるなり唖然とするなり、少なくとも思考して動くことは出来ないだろう。
だが極水龍は違った。流石は最上位種と言ったところだろうか。彼は真っ二つになったショータの元へと急いで飛んで行くとその体を両手で受け止めた。
「ガフッ……す、すまねえ……俺の不注意で……」
抱えられたショータは血を吐きながら、今にも消え入りそうな瞳で極水龍の顔を見る。掠れ気味の声からしてもう長くはもたないのは明白だった。
「ち、違うんだショータ殿! 俺の方こそ、うかれてたんだ……。それよりも速く治療を!」
極水龍はショータの上半身を抱えて街へ戻ろうとする。だが彼自身もう駄目だとわかっていた。いくら炎龍を軽く一ひねりに出来る程の強者であるショータでも、上半身と下半身が別れて生きていられるはずは無いのだ。
実際、どんどんショータの体温は下がり息も不規則になっていた。もう助からない。それはショータ自身にも極水龍にもわかっていたのだ。
それでも彼は諦めきれなかった。数百年ぶりに出来た友をそんな簡単にあきらめることなど誰が出来ようか。
極水龍は死に物狂いで街へと戻り、治療師や神官にショータを見せた。しかしどこに行ってももう間に合わないと言われ、いつしか冷たくなった骸を抱きかかえながら歩いていた。
「ショータ殿……。俺は……俺は……」
「ショータ……様?」
そこに偶然通りすがったのは一人の少女だった。恐らく今一番出会ってはいけないその少女リーシャは極水龍の抱えている骸を見るなりその場に力なく崩れ落ち、そのまま泣き続けた。
不当に奴隷として売られそうになっていた自分を助けてくれただけでは無く、ワイバーンに襲われ無くなってしまった故郷の代わりに居場所をくれた恩人。それどころか恋心すら抱き始めていた。その矢先にこれだった。
「どうして……どうしてですか水龍様!!」
「俺の……俺のせいだ。俺のせいでショータ殿が……」
感情を露わにして声を荒らげるリーシャ。それに対して極水龍は何も出来ず、ただただ自分を責める言葉を言い続けていた。
それからそう経たない内に極水龍も街から姿を消し、街は獣人の組織に攻め落とされた。女子供も皆まとめて惨殺され、組織の行った儀式により世界は渾沌と化した。
なので、ショータの冒険は終わってしまった!
ついでに、世界は終わってしまった!
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