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9 Sランク冒険者パーティ
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あれから数日、たまに極水龍の戦いに付き合っている事以外は特に大きなことも無いな。いや、極水龍との戦いも日常に溶け込み過ぎて大きなことじゃなくなりかけているが。
冒険者ギルドに持ち込まれる情報もドラゴンが暴走しているっていうもの以外はほとんど無い。それがわかっているからどうにかしようって話なんだよな。
というか外がうるさいな。噂をすれば何か大きなことでも起こったか?
「ショータ様、何やら外が騒がしいようですが何かあったのでしょうか」
「どれ、ちょっと見てくるか」
外へ出て大通りを確認すると、普段よりも数割増しで人口密度が高くなっていた。特に冒険者が多いのが気になるところだ。いったい何が……。
「おい、Sランク冒険者パーティがこの国に来てるらしいぞ!」
「見に行こうぜ! Sランク冒険者なんて一生に一度見られるかどうかってもんだぜ!」
Sランク冒険者……そういえばギルドで冒険者登録をした時にそんなことを言っていたような。
確か一番下がFランクだったか。そっから冒険者としての活躍によって上がって行って一番上がSランクだったな。Sランクパーティってことは少なくとも数人のSランク冒険者がいるってことか。
そういえば今の俺のランクは……ああそうだBだった。ワイバーン討伐やドラゴン討伐の功績で条件付きでBランクにしてもらっているんだったな。となるとSランクって相当すげえんじゃ……。せっかくだし俺も見に行くか。そしてあわよくば仲良くなって極水龍の相手を押し付けてやろう。
「リーシャ、どうやらSランク冒険者がこの国に来ているらしい。ちょっと見に行こう思うんだけど、リーシャはどうする?」
「それでは私も!」
耳としっぽが動きまくってる……冒険者じゃなくてもSランク冒険者ってのは気になるのか。ぐっ……触りてえ……けど、いきなり触ったら不味いよな。いや、そもそも他人の耳に触るって普通にやべえ奴では?
「……? ショータ様、どうしました?」
「いや、何でもない」
落ち着け俺。今はとりあえずSランク冒険者を見に行こう。
おお、あれがSランク冒険者パーティか。身に付けているものがどんくらい凄いものなのかはわからねえが、歩き方や仕草に隙が無い。まず間違いなく強者だな。
「クライム様! サインください!」
「私も!」
凄い人気だな。あの熱狂ぶり……冒険者にとってはハリウッドスターみたいなもんなのか。
「凄い……」
「リーシャって冒険者に興味あったんだな」
「私も昔は冒険者になろうとしていたんです。でも力も魔力もあまりなくて、結局諦めちゃったんですけど……」
そうだったのか。そう言えば俺に冒険者になることを言ってきたのもリーシャだったな。
「すまないが僕たちも忙しいのでね。今はギルドに向かいたいんだ」
「そうですか……」
「でも、僕の事を思ってくれるのは嬉しいよ」
「ク、クライム様……♡」
うわああこんな大勢の前で顎クイしてやがるぅ!? 顔が良いからって何しても許されると思うなよ……!
「もうクライム、またそうやって……」
「ははは、いつものことじゃないか。だがクライム、あまり変なことをするとアマンダが嫉妬しちまうぜ?」
「ちょっそう言うのじゃないから!? へ、変なこと言わないでよアルバート!」
仲良さそうだな。クソっ……かつての仲間を思い出しちまう。別れは乗り越えたと思っていたが、まだまだ駄目そうだ。
「……でもアマンダがクライムのことを好いているのは事実」
「ちょっとエイミーまで!?」
「何だか楽しそうですね」
「ああ、そうだな……」
「ショータ様……?」
「いやすまない。ちょっと昔の事を思い出していただけだ」
リーシャには余計な心配はかけたくないし、俺の過去は黙っていた方が良いだろう。
「どうやら彼らはギルドに行くみたいだ付いて行ってみるか」
「はい!」
とりあえずギルドへ……ってまあそりゃそうなるか。普段からは考えられねえくらいにぎっちぎちだぜこりゃ……。入れるのかこれ?
「はぐれるといけないから手を繋いでおこう」
「は、はい」
手を繋いで入ったのは正解だな。人が多すぎて一度はぐれたら騒ぎが収まるまでは合流出来なさそうだ。
「タシーユ王国へようこそ! Sランク冒険者の方に訪れていただけるなんて光栄です!」
「偶然通りかかっただけさ。それよりも何か良い依頼はあるかな」
「それなら……これなんてどうでしょうか」
グレートバジリスクの依頼か。俺が倒したドラゴンロードと同等かそれ以上の魔物と聞いたが……。
「ほう……悪くない。アマンダにアルバート、それにエイミーもこの依頼で問題は無いかな?」
「私は構わないわよ」
「……私も」
「俺も文句はねえぜ」
満場一致か。一切の躊躇も無しに決める辺り、あの魔物なら簡単に倒せるってことだろうな。
「それならその依頼を受けようか」
「久しぶりのAランク依頼だし、少し気が楽ね」
「おいおいあまり気を抜くなよ? 前だってアマンダが魔力切れを起こしたせいで危なかったんだからな」
「仕方ないじゃない。まさか魔力を吸収するなんて思わなかったんだもの」
「……それでもアマンダの魔力は吸い取り切れなかった。……アマンダの魔力量は凄い」
「当たり前よ。何しろ私は……」
「じゃあ行こうか。さっさと終わらせてゆっくりしたいしね」
行っちまったな。どうにかして仲良くなれないかと思ったが、そもそも人が多すぎて近づけねえ。会話すら出来ねえんじゃどうしようもねえな。
「凄い人気でしたね」
「ああ。それだけSランク冒険者ってのが凄いヤツなんだってわかったぜ」
龍種を洗脳しているという輩もワンチャンあいつらがどうにかしてくれねえかな。たぶん勝てないことは無いだろ。まあとにかく依頼に出たってんならもうここに居る必要も無いか。
「Sランクパーティもいっちまったし、帰るか」
「そうですね」
次は依頼から帰って来たタイミングか。また人の渦に巻き込まれそうだな。
「お肉とお野菜と……よし!」
今夜の分はこれで大丈夫かな。そう言えばSランク冒険者さんたちが依頼に出てから結構経ってるから、そろそろ帰って来てたりするのかな。
「おや、君ひとりかい?」
「そうですけど……ってクライムさん!? どうしてこんなところに!」
「依頼が終わってね。国を見て回っていたんだ。でもちょっと広くてわからないところもあるから、案内してくれると助かるんだけど……」
「それなら私にお任せください!」
Sランク冒険者さんたち、もう帰って来てたんだ。確かにこの国大きいし、私も最初の内はよく迷子になってたっけ。
「じゃあまずは……」
「いや、あっちに気になるものがあるんだ」
「え……?」
向こうはなにも無い裏路地のはず……。
「ふぅ……助かったよ」
クライムさん……だよね? 何か雰囲気が怖い…。Sランクだからかな。きっとそうだよね。
「君が……人を疑う事を知らない純粋な馬鹿でねえ!」
「ひぃ!?」
なんで……なんでクライムさんが!
「ほう、本気じゃないとは言え僕の攻撃を避けるんだ。……ああイライラする! 獣人如きが僕に歯向かうのか!」
「た、助けて……」
「こんな裏路地、誰も来ないよ。ふふっどうしようかな。サンドバッグにするのも良いけど、君結構良い体してるから美味しくいただいちゃうのも良いかもね」
「いや……やめて……」
「とりあえずその邪魔な口は塞いじゃおうかねぇ!」
「ショータ様ぁ!」
こんなことになるのならSランク冒険者なんて見なければよかった。こんなことになるのなら冒険者になんて憧れなければよかった。でも今からそんなこと考えたってもう……。
……あれ?
「なっお前一体どこから!?」
「Sランク冒険者がこんなことして良いのか?」
聞き覚えのある声。心の奥が温かくなる声だ。
「ぅう……ショータ様ぁぁ!」
「すまないリーシャ。俺がもっと注意していれば」
「あーなに、そういう関係? ならお前も一緒にやられてしまえ!」
「来い。お前は絶対許さねえ」
冒険者ギルドに持ち込まれる情報もドラゴンが暴走しているっていうもの以外はほとんど無い。それがわかっているからどうにかしようって話なんだよな。
というか外がうるさいな。噂をすれば何か大きなことでも起こったか?
「ショータ様、何やら外が騒がしいようですが何かあったのでしょうか」
「どれ、ちょっと見てくるか」
外へ出て大通りを確認すると、普段よりも数割増しで人口密度が高くなっていた。特に冒険者が多いのが気になるところだ。いったい何が……。
「おい、Sランク冒険者パーティがこの国に来てるらしいぞ!」
「見に行こうぜ! Sランク冒険者なんて一生に一度見られるかどうかってもんだぜ!」
Sランク冒険者……そういえばギルドで冒険者登録をした時にそんなことを言っていたような。
確か一番下がFランクだったか。そっから冒険者としての活躍によって上がって行って一番上がSランクだったな。Sランクパーティってことは少なくとも数人のSランク冒険者がいるってことか。
そういえば今の俺のランクは……ああそうだBだった。ワイバーン討伐やドラゴン討伐の功績で条件付きでBランクにしてもらっているんだったな。となるとSランクって相当すげえんじゃ……。せっかくだし俺も見に行くか。そしてあわよくば仲良くなって極水龍の相手を押し付けてやろう。
「リーシャ、どうやらSランク冒険者がこの国に来ているらしい。ちょっと見に行こう思うんだけど、リーシャはどうする?」
「それでは私も!」
耳としっぽが動きまくってる……冒険者じゃなくてもSランク冒険者ってのは気になるのか。ぐっ……触りてえ……けど、いきなり触ったら不味いよな。いや、そもそも他人の耳に触るって普通にやべえ奴では?
「……? ショータ様、どうしました?」
「いや、何でもない」
落ち着け俺。今はとりあえずSランク冒険者を見に行こう。
おお、あれがSランク冒険者パーティか。身に付けているものがどんくらい凄いものなのかはわからねえが、歩き方や仕草に隙が無い。まず間違いなく強者だな。
「クライム様! サインください!」
「私も!」
凄い人気だな。あの熱狂ぶり……冒険者にとってはハリウッドスターみたいなもんなのか。
「凄い……」
「リーシャって冒険者に興味あったんだな」
「私も昔は冒険者になろうとしていたんです。でも力も魔力もあまりなくて、結局諦めちゃったんですけど……」
そうだったのか。そう言えば俺に冒険者になることを言ってきたのもリーシャだったな。
「すまないが僕たちも忙しいのでね。今はギルドに向かいたいんだ」
「そうですか……」
「でも、僕の事を思ってくれるのは嬉しいよ」
「ク、クライム様……♡」
うわああこんな大勢の前で顎クイしてやがるぅ!? 顔が良いからって何しても許されると思うなよ……!
「もうクライム、またそうやって……」
「ははは、いつものことじゃないか。だがクライム、あまり変なことをするとアマンダが嫉妬しちまうぜ?」
「ちょっそう言うのじゃないから!? へ、変なこと言わないでよアルバート!」
仲良さそうだな。クソっ……かつての仲間を思い出しちまう。別れは乗り越えたと思っていたが、まだまだ駄目そうだ。
「……でもアマンダがクライムのことを好いているのは事実」
「ちょっとエイミーまで!?」
「何だか楽しそうですね」
「ああ、そうだな……」
「ショータ様……?」
「いやすまない。ちょっと昔の事を思い出していただけだ」
リーシャには余計な心配はかけたくないし、俺の過去は黙っていた方が良いだろう。
「どうやら彼らはギルドに行くみたいだ付いて行ってみるか」
「はい!」
とりあえずギルドへ……ってまあそりゃそうなるか。普段からは考えられねえくらいにぎっちぎちだぜこりゃ……。入れるのかこれ?
「はぐれるといけないから手を繋いでおこう」
「は、はい」
手を繋いで入ったのは正解だな。人が多すぎて一度はぐれたら騒ぎが収まるまでは合流出来なさそうだ。
「タシーユ王国へようこそ! Sランク冒険者の方に訪れていただけるなんて光栄です!」
「偶然通りかかっただけさ。それよりも何か良い依頼はあるかな」
「それなら……これなんてどうでしょうか」
グレートバジリスクの依頼か。俺が倒したドラゴンロードと同等かそれ以上の魔物と聞いたが……。
「ほう……悪くない。アマンダにアルバート、それにエイミーもこの依頼で問題は無いかな?」
「私は構わないわよ」
「……私も」
「俺も文句はねえぜ」
満場一致か。一切の躊躇も無しに決める辺り、あの魔物なら簡単に倒せるってことだろうな。
「それならその依頼を受けようか」
「久しぶりのAランク依頼だし、少し気が楽ね」
「おいおいあまり気を抜くなよ? 前だってアマンダが魔力切れを起こしたせいで危なかったんだからな」
「仕方ないじゃない。まさか魔力を吸収するなんて思わなかったんだもの」
「……それでもアマンダの魔力は吸い取り切れなかった。……アマンダの魔力量は凄い」
「当たり前よ。何しろ私は……」
「じゃあ行こうか。さっさと終わらせてゆっくりしたいしね」
行っちまったな。どうにかして仲良くなれないかと思ったが、そもそも人が多すぎて近づけねえ。会話すら出来ねえんじゃどうしようもねえな。
「凄い人気でしたね」
「ああ。それだけSランク冒険者ってのが凄いヤツなんだってわかったぜ」
龍種を洗脳しているという輩もワンチャンあいつらがどうにかしてくれねえかな。たぶん勝てないことは無いだろ。まあとにかく依頼に出たってんならもうここに居る必要も無いか。
「Sランクパーティもいっちまったし、帰るか」
「そうですね」
次は依頼から帰って来たタイミングか。また人の渦に巻き込まれそうだな。
「お肉とお野菜と……よし!」
今夜の分はこれで大丈夫かな。そう言えばSランク冒険者さんたちが依頼に出てから結構経ってるから、そろそろ帰って来てたりするのかな。
「おや、君ひとりかい?」
「そうですけど……ってクライムさん!? どうしてこんなところに!」
「依頼が終わってね。国を見て回っていたんだ。でもちょっと広くてわからないところもあるから、案内してくれると助かるんだけど……」
「それなら私にお任せください!」
Sランク冒険者さんたち、もう帰って来てたんだ。確かにこの国大きいし、私も最初の内はよく迷子になってたっけ。
「じゃあまずは……」
「いや、あっちに気になるものがあるんだ」
「え……?」
向こうはなにも無い裏路地のはず……。
「ふぅ……助かったよ」
クライムさん……だよね? 何か雰囲気が怖い…。Sランクだからかな。きっとそうだよね。
「君が……人を疑う事を知らない純粋な馬鹿でねえ!」
「ひぃ!?」
なんで……なんでクライムさんが!
「ほう、本気じゃないとは言え僕の攻撃を避けるんだ。……ああイライラする! 獣人如きが僕に歯向かうのか!」
「た、助けて……」
「こんな裏路地、誰も来ないよ。ふふっどうしようかな。サンドバッグにするのも良いけど、君結構良い体してるから美味しくいただいちゃうのも良いかもね」
「いや……やめて……」
「とりあえずその邪魔な口は塞いじゃおうかねぇ!」
「ショータ様ぁ!」
こんなことになるのならSランク冒険者なんて見なければよかった。こんなことになるのなら冒険者になんて憧れなければよかった。でも今からそんなこと考えたってもう……。
……あれ?
「なっお前一体どこから!?」
「Sランク冒険者がこんなことして良いのか?」
聞き覚えのある声。心の奥が温かくなる声だ。
「ぅう……ショータ様ぁぁ!」
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