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第一部 異世界アーステイル編
10 魔法の実験をしよう
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シルバーランクに上がって早速怪しげな依頼を受けたいところではあるが、それは我慢して今日は以前スキルの実験をした時と同じように草原へと来ている。
今回の目的は魔法の詠唱についての研究だ。一応無詠唱でも魔法は使えるようだが、デメリットが大きすぎる。
いざと言う時に本来の力が出なかったり暴走したりする魔法なんて危なっかしくてまともに使えた物じゃない。
しかしだからと言って毎回毎回あのクソ長い詠唱をするのはそれはそれでリスクだ。後なにより恥ずかしい。
なのでどうにかして簡略化出来無いものか研究している訳だ。
そしてひとまず色々と試してみた結果、傾向がわかって来た。
まず詠唱を短縮して魔法が発動するパターンと発動しないパターンだ。あまりにも短縮し過ぎたり、変な場所で区切ったりすると発動しないみたいだった。
そしてとりあえずたどり着いた短縮詠唱が以下の二つ。
『炎の魔素よ、我の力となりてその姿を示せ。ファイアボール』
この詠唱で魔法を行使した場合、威力が著しく落ちるものの何の問題も無く放つことが出来た。
『赤き烈火の如く全てを燃やす炎の球、ファイアボール』
こっちの詠唱の場合、威力はそのままだが消費する魔力の量が通常よりも上昇したうえで火球の速度もかなり落ちてしまった。
だがどちらにせよ、とりあえず半分ほどの詠唱に短縮したうえで安定発動できるようになった。これは着実に進歩と言える。
とは言えここからが長かった。どう足掻いてもここから短縮できなかった。最終的には魔法名だけで発動できるようにしたいがそれだと魔法が発動しない。
……どうしたものか。やはり異世界生まれの素人には無理な話なのだろうか。
[参考になるかはわかりませんが、魔法についての補足をしておきます]
「おぉ、何か情報があるのか?」
[はい。まず大前提として、魔法の発動には強いイメージを必要とします。そしてそのイメージを肩代わりしているのが詠唱なのです]
なるほどそう言う事か。
ファイアボールで言うなら『炎の魔素』を使って『火球の姿を示す』訳だ。
だからこれだけで詠唱した場合は威力こそ落ちるものの安定して魔法を発動できた。
一方で威力特化になってしまった方は『赤き烈火』だとか『全てを燃やす』だとかそう言った攻撃的な文言が入っているから威力だけが大幅に上昇して、それに応じて魔力消費も多くなってしまったと。
つまり、詠唱を必要としない程のイメージ力があれば理論上は何とかなるわけだ。
[その考えで間違いありません。ですが魔法を具現化する程のイメージ力は並大抵のものでは無く、ほとんどの魔術師は詠唱を行うことで足りない分を補填しています。中には無詠唱に近いことが出来る者もいるようですが、そう言った者は数百年に一人の逸材かと思われます]
「まあまあ俺に任せろって」
イメージ力。それは特に日本人には得意な人が多いはずだぜ。それに俺も妄想力になら自身がある。
まずは炎の魔素を……炎の魔素って何?
不味い、初っ端から積んだかもしれない。まあいいや、なんかこう熱い感じの火とか炎をイメージしておけば何とかなるでしょ。
と、気のせいか手の平の周りが温まってきた気がする。正解なのか?
よしこの調子でいくぞ。
次は火球だな。炎の弾がこう、燃え盛るイメージで……。
「……ファイアボール!」
そう叫んだ瞬間、手の平の上で燃え盛っていた炎の弾が凄まじい速度で正面へと飛んで行った。
そして着弾し、大爆発を起こした。
[魔法の正常な発動を確認。どうやら成功したようですね]
「マジか、まさか一発で行けるとは……」
一発で成功するのは想定外だ。もっとこう何度も何度もやりなおしては確認してってのを覚悟していたんだがな。
恐らく勇者パワーも入っているだろうが、それでもこの結果は少し才能があると思ってしまっても良いんじゃないか?
いやぁ、超優秀美幼女魔術師HARUの大冒険が始まってしまうなこいつは。
[報告。速やかな消火を推奨]
「……え?」
とか浮かれていた俺はナビの言葉によって現実に引き戻された。
「あぁ、やべえくらい燃えてる!」
そう、ここは草原。燃えるものはたっぷりあった。草も木も燃え放題だ。
生きている植物は燃えにくいらしいが、俺の放った魔法はそれを容赦なく貫通するレベルの火力を持っているらしい。
正直危なっかしくて誇って良いのかどうかわからない。
「不味い不味い、このままだと大火災で大炎上だぞ! そうだ、ファイアボールと同じ要領で水属性の下級魔法も行けるはず!」
ゲーム通りの能力なら俺は水属性の下級魔法であるウォーターボールも使えるはずだ。それに幸いにも同じ球体型だからイメージしやすい。
まずは水をイメージして、それを球体にして纏めて……よし!
「ウォーターボール!」
そう叫ぶと、手の平から水の弾が射出された。成功だ。
そんな訳で無事消火も出来たし、偶然にも二種類の短縮魔法を会得したのだった。怪我の功名と言うやつだな。
……次からはもう少し気を付けよう。
今回の目的は魔法の詠唱についての研究だ。一応無詠唱でも魔法は使えるようだが、デメリットが大きすぎる。
いざと言う時に本来の力が出なかったり暴走したりする魔法なんて危なっかしくてまともに使えた物じゃない。
しかしだからと言って毎回毎回あのクソ長い詠唱をするのはそれはそれでリスクだ。後なにより恥ずかしい。
なのでどうにかして簡略化出来無いものか研究している訳だ。
そしてひとまず色々と試してみた結果、傾向がわかって来た。
まず詠唱を短縮して魔法が発動するパターンと発動しないパターンだ。あまりにも短縮し過ぎたり、変な場所で区切ったりすると発動しないみたいだった。
そしてとりあえずたどり着いた短縮詠唱が以下の二つ。
『炎の魔素よ、我の力となりてその姿を示せ。ファイアボール』
この詠唱で魔法を行使した場合、威力が著しく落ちるものの何の問題も無く放つことが出来た。
『赤き烈火の如く全てを燃やす炎の球、ファイアボール』
こっちの詠唱の場合、威力はそのままだが消費する魔力の量が通常よりも上昇したうえで火球の速度もかなり落ちてしまった。
だがどちらにせよ、とりあえず半分ほどの詠唱に短縮したうえで安定発動できるようになった。これは着実に進歩と言える。
とは言えここからが長かった。どう足掻いてもここから短縮できなかった。最終的には魔法名だけで発動できるようにしたいがそれだと魔法が発動しない。
……どうしたものか。やはり異世界生まれの素人には無理な話なのだろうか。
[参考になるかはわかりませんが、魔法についての補足をしておきます]
「おぉ、何か情報があるのか?」
[はい。まず大前提として、魔法の発動には強いイメージを必要とします。そしてそのイメージを肩代わりしているのが詠唱なのです]
なるほどそう言う事か。
ファイアボールで言うなら『炎の魔素』を使って『火球の姿を示す』訳だ。
だからこれだけで詠唱した場合は威力こそ落ちるものの安定して魔法を発動できた。
一方で威力特化になってしまった方は『赤き烈火』だとか『全てを燃やす』だとかそう言った攻撃的な文言が入っているから威力だけが大幅に上昇して、それに応じて魔力消費も多くなってしまったと。
つまり、詠唱を必要としない程のイメージ力があれば理論上は何とかなるわけだ。
[その考えで間違いありません。ですが魔法を具現化する程のイメージ力は並大抵のものでは無く、ほとんどの魔術師は詠唱を行うことで足りない分を補填しています。中には無詠唱に近いことが出来る者もいるようですが、そう言った者は数百年に一人の逸材かと思われます]
「まあまあ俺に任せろって」
イメージ力。それは特に日本人には得意な人が多いはずだぜ。それに俺も妄想力になら自身がある。
まずは炎の魔素を……炎の魔素って何?
不味い、初っ端から積んだかもしれない。まあいいや、なんかこう熱い感じの火とか炎をイメージしておけば何とかなるでしょ。
と、気のせいか手の平の周りが温まってきた気がする。正解なのか?
よしこの調子でいくぞ。
次は火球だな。炎の弾がこう、燃え盛るイメージで……。
「……ファイアボール!」
そう叫んだ瞬間、手の平の上で燃え盛っていた炎の弾が凄まじい速度で正面へと飛んで行った。
そして着弾し、大爆発を起こした。
[魔法の正常な発動を確認。どうやら成功したようですね]
「マジか、まさか一発で行けるとは……」
一発で成功するのは想定外だ。もっとこう何度も何度もやりなおしては確認してってのを覚悟していたんだがな。
恐らく勇者パワーも入っているだろうが、それでもこの結果は少し才能があると思ってしまっても良いんじゃないか?
いやぁ、超優秀美幼女魔術師HARUの大冒険が始まってしまうなこいつは。
[報告。速やかな消火を推奨]
「……え?」
とか浮かれていた俺はナビの言葉によって現実に引き戻された。
「あぁ、やべえくらい燃えてる!」
そう、ここは草原。燃えるものはたっぷりあった。草も木も燃え放題だ。
生きている植物は燃えにくいらしいが、俺の放った魔法はそれを容赦なく貫通するレベルの火力を持っているらしい。
正直危なっかしくて誇って良いのかどうかわからない。
「不味い不味い、このままだと大火災で大炎上だぞ! そうだ、ファイアボールと同じ要領で水属性の下級魔法も行けるはず!」
ゲーム通りの能力なら俺は水属性の下級魔法であるウォーターボールも使えるはずだ。それに幸いにも同じ球体型だからイメージしやすい。
まずは水をイメージして、それを球体にして纏めて……よし!
「ウォーターボール!」
そう叫ぶと、手の平から水の弾が射出された。成功だ。
そんな訳で無事消火も出来たし、偶然にも二種類の短縮魔法を会得したのだった。怪我の功名と言うやつだな。
……次からはもう少し気を付けよう。
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