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1 追放
6 失ってから気付くことって案外多い①(追放側視点)
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「Sランクの依頼を受けるには三人だと辛い。サザンの穴を埋める新しいエンチャンターを仲間にしよう」
「サザンがいなくなっちゃったのは悲しいけど、私たちは前に進まないとだもんね」
「……そうね」
俺たちのパーティはSランクになった。あの足手まといのサザンがいなくなった今、新たなパーティメンバーを迎え入れる余裕が出来たわけだ。
ただ長い時間をかけてエンチャンター有りでの戦闘に慣れてしまったためか、今から戦闘スタイルを変えるのは容易ではないだろう。
しかしまあSランクともなれば優秀なエンチャンターの一人や二人、向こうから入れてくださいって願ってくるだろうな。
俺はそんな楽観的な考えで新たなパーティメンバーを探すことにした。
「……いない。なぜだ……?」
俺たちは各地の色々なギルドを見て回った。だが、それらしい装備をした冒険者に声をかけるもエンチャンターである者は一人もいなかったのだ。
諦めて、受付嬢に協力を仰ぐことにする。
「エンチャンター……ですか?」
「ああ。俺たちのパーティに入ってくれる頼もしいエンチャンターを求めていてな」
ギルドの受付嬢にパーティ参加を希望しているエンチャンターはいないかと聞いたが、その表情は不思議なものを見るかのようであった。
「エンチャンターとなると、希少性が高いですからね……。高レベルとなるとそれだけ数も少なくなりますし。わざわざ数の少ないエンチャンターに絞らなくとも、グロスさんのパーティであれば入りたいという者は数多くいるのでは?」
「……どういうことだ?」
どうやら受付嬢が言うには、エンチャンターは適正を持つものが少なく希少性の高いものらしい。
それに、本人の戦闘能力が低いためレベルを上げ辛く、その点も高レベルのエンチャンターが少ないことに拍車をかけているらしい。
しかしいくら高レベルがいないとは言え、サザンの穴を埋めるために低レベルのエンチャンターを迎え入れたのでは本末転倒だ。それではサザンというお荷物を連れているのと何も変わらない。
「エンチャンター以外の方で良ければこちらから斡旋できますがいかがでしょうか」
「そうか。ではお願いしようかな」
結局、エンチャンター以外の高レベル冒険者を入れることにした。エンチャンターでなくとも根本的な問題にはならないはずだ。高レベルのメンバーが増えればそれだけ戦力が高くなり安定するはずだからな。
「皆さん、これからよろしくお願いします!」
ギルドの斡旋によって新しくパーティに入ったのは重戦士のギラ。筋肉質な体に白髪ショート、メルやリアとは系統の違う美女だ。どうせだからこのまま高レベル女冒険者を集めて、最強ハーレムを築くのも有りかもな。
その時にはもしかしたらSランクを超える冒険者パーティになっているかもしれない。そうなればもう入れ食い状態なわけだ。美女をとっかえひっかえできるかもしれないということに、笑顔がこみあげそうになる。
「私はリアって言うの。これからよろしくねギラちゃん」
「ギラちゃん!?」
リアにちゃん付けで呼ばれ、ギラはとても驚いた様子だった。
「私、周りの女の子に比べて筋肉質だからそうやって可愛い感じで呼ばれたこと無くて……」
「そうなの? でもギラちゃん、私は可愛いと思うよ?」
「ありがとうございます、リアさん」
「リアで良いよ。それに敬語も硬いからやめようよ。一緒のパーティ組むんだからさ」
リアとギラは早くも打ち解けたようだ。リアは誰とでも分け隔てなく接するという性格をしている。だからこそ他の男に奪われる前に俺のパーティに引き込んでおいたのだ。
「私はメル。頼りにしてるからね」
「はい、私も頑張りま……頑張るね」
「ふふっ、無理しなくてもいいわ。少しづつ慣れていきましょう?」
「最後に、パーティリーダーのグロスだ。わからないことや聞きたいことが有ったら何でも言ってくれよ」
一通り挨拶を終え、新たなメンバーであるギラと共に俺たちはダンジョン探索に向かった。
「サザンがいなくなっちゃったのは悲しいけど、私たちは前に進まないとだもんね」
「……そうね」
俺たちのパーティはSランクになった。あの足手まといのサザンがいなくなった今、新たなパーティメンバーを迎え入れる余裕が出来たわけだ。
ただ長い時間をかけてエンチャンター有りでの戦闘に慣れてしまったためか、今から戦闘スタイルを変えるのは容易ではないだろう。
しかしまあSランクともなれば優秀なエンチャンターの一人や二人、向こうから入れてくださいって願ってくるだろうな。
俺はそんな楽観的な考えで新たなパーティメンバーを探すことにした。
「……いない。なぜだ……?」
俺たちは各地の色々なギルドを見て回った。だが、それらしい装備をした冒険者に声をかけるもエンチャンターである者は一人もいなかったのだ。
諦めて、受付嬢に協力を仰ぐことにする。
「エンチャンター……ですか?」
「ああ。俺たちのパーティに入ってくれる頼もしいエンチャンターを求めていてな」
ギルドの受付嬢にパーティ参加を希望しているエンチャンターはいないかと聞いたが、その表情は不思議なものを見るかのようであった。
「エンチャンターとなると、希少性が高いですからね……。高レベルとなるとそれだけ数も少なくなりますし。わざわざ数の少ないエンチャンターに絞らなくとも、グロスさんのパーティであれば入りたいという者は数多くいるのでは?」
「……どういうことだ?」
どうやら受付嬢が言うには、エンチャンターは適正を持つものが少なく希少性の高いものらしい。
それに、本人の戦闘能力が低いためレベルを上げ辛く、その点も高レベルのエンチャンターが少ないことに拍車をかけているらしい。
しかしいくら高レベルがいないとは言え、サザンの穴を埋めるために低レベルのエンチャンターを迎え入れたのでは本末転倒だ。それではサザンというお荷物を連れているのと何も変わらない。
「エンチャンター以外の方で良ければこちらから斡旋できますがいかがでしょうか」
「そうか。ではお願いしようかな」
結局、エンチャンター以外の高レベル冒険者を入れることにした。エンチャンターでなくとも根本的な問題にはならないはずだ。高レベルのメンバーが増えればそれだけ戦力が高くなり安定するはずだからな。
「皆さん、これからよろしくお願いします!」
ギルドの斡旋によって新しくパーティに入ったのは重戦士のギラ。筋肉質な体に白髪ショート、メルやリアとは系統の違う美女だ。どうせだからこのまま高レベル女冒険者を集めて、最強ハーレムを築くのも有りかもな。
その時にはもしかしたらSランクを超える冒険者パーティになっているかもしれない。そうなればもう入れ食い状態なわけだ。美女をとっかえひっかえできるかもしれないということに、笑顔がこみあげそうになる。
「私はリアって言うの。これからよろしくねギラちゃん」
「ギラちゃん!?」
リアにちゃん付けで呼ばれ、ギラはとても驚いた様子だった。
「私、周りの女の子に比べて筋肉質だからそうやって可愛い感じで呼ばれたこと無くて……」
「そうなの? でもギラちゃん、私は可愛いと思うよ?」
「ありがとうございます、リアさん」
「リアで良いよ。それに敬語も硬いからやめようよ。一緒のパーティ組むんだからさ」
リアとギラは早くも打ち解けたようだ。リアは誰とでも分け隔てなく接するという性格をしている。だからこそ他の男に奪われる前に俺のパーティに引き込んでおいたのだ。
「私はメル。頼りにしてるからね」
「はい、私も頑張りま……頑張るね」
「ふふっ、無理しなくてもいいわ。少しづつ慣れていきましょう?」
「最後に、パーティリーダーのグロスだ。わからないことや聞きたいことが有ったら何でも言ってくれよ」
一通り挨拶を終え、新たなメンバーであるギラと共に俺たちはダンジョン探索に向かった。
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