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終章『アヴァロンヘイムと悪魔の軍勢』
73 アヴァロンヘイムの危機
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この姿の理由……もとい言い訳をアリアに伝えた。
と言っても全てをそのまま話したら俺がただのドスケベ変質者と言うことになってしまうため、少しぼかす。
具体的には、モードチェンジのスキルを使用すると代償としてこの姿になってしまう……と言ったものだ。
「そう言う事だったのね……。そこまでして私を助けてくれたなんて……本当に感謝するわ」
「いえ、当然のことですから。それよりも、アリアさんのその腕……」
アリアの腕は二の腕辺りから先が無くなっていた。
やはり、落ちていたあの腕はアリアの腕で間違いないんだろう。
「止血はしているから問題ないわ。……格上相手に腕だけで済んだことを感謝しないとね」
彼女はそう言っているが、その表情は暗かった。
……当然だ。片腕を失ってしまっては冒険者としての活動に大きな影響が出る。
特に彼女が使っている大斧は両手で持って力任せに振り回すような武器だから、もう二度と今まで通りの戦い方は出来ないんだ。
でもそれは……今ここに俺がいなかった場合の話だった。
「アリアさん、これをどうぞ」
アイテムボックスから回復ポーションを取り出し、彼女に渡した。
「今どこから……もしかして空間魔法? 凄い、私初めて見たわ! それにこのポーションも、こんなに澄んだ緑色のポーションなんて見たことがない……本当に使っても良いのよね?」
「ええ、お構いなく」
「それじゃお言葉に甘えて……」
アリアがポーションを飲み干すと、彼女の全身の傷が癒えると共に腕が光り始めた。
そしてそこから無くなったはずの腕が生えてくる。
……欠損にまで効果があるかは確認してなかったけど、再生したようでなによりだ。
「嘘……でしょ? まさか、夢じゃないわよね……?」
「無事かアリア!! って、その腕……!」
走って来たエルドは彼女の腕を見るなり仰天していた。
「ステラがくれたポーションを飲んだら治ったの……! 本当に、本当に感謝するわ……! 今は渡せるものもお金も無いけど、この恩は必ずいつか返してみせるから!!」
「いえいえ、そんなに気にしなくてもいいですよ」
ショップで店売りしていたポーションだし、俺にとってはそこまで貴重なものでもない。
なによりも俺のキャラは魔法系生産職のスキルも持っているから、やろうと思えばもっと安い素材で作れるんだよね。
「それよりも、さっきのT字路に戻りましょう。またいつ敵が出てくるかもわかりませんから」
二人を連れて、ルキオラたちと別れたT字路へと一旦戻る。
するとそこには既に戻っていた二人と、もう一人……聖女がいた。
どうやら護衛の人達が命を懸けて彼女だけは守りきったらしく、一人で彷徨っていたところをルキオラたちが保護したのだとか。
メイデンも彼女の魔力は紛れもなく聖女のそれであると言っていたし、アスモデウスのあの発言からして今聖女に化ける必要も無いだろう。
……まあ、ひとまずは聖女本人として扱って良いはずだ。
となると、流石にこのまま聖女と共に捜索を続ける訳にもいかないな。あまりにも要人過ぎる。
ので、一旦ルキオラとメイデンの二人にはエルド、アリア、聖女を連れて王国へと転移してもらった。
そして残った俺が引き続き聖王都の生き残りを探すことにする。
……その結果、見つかったのはたったの数人。
そのどれもがある程度の実力を持っている冒険者や聖職者であった。
結局のところはほとんどが低級悪魔にすら勝てない訳で、むしろ数人生き残ることが出来ただけでも奇跡と言えるだろう。
そして、これこそがアスモデウスの目的なんだ。
ほんの数人だけを生かしておき、悪魔には絶対に勝てないのだと言う恐怖を別の国へと伝える。
それをもって人類への宣戦布告とした訳だ。
生き残った彼らと共に王国へと転移した俺は、そのことを国王へと伝えるためにまずアーロンの元へと向かった。
俺の交友関係の中で一番国王に近いのは彼女であり、今回の遠征についても報告をしないといけないからな。
だが、冒険者組合に行った時にはもう既にアーロンは動き始めていた。どうやらルキオラとメイデンが既に大体のことを伝えてくれていたらしい。
流石はエルトリア王国冒険者組合長であり王国お抱えの魔物学者であるアーロンと言うべきか、「任せてください、ステラさん!」と、意気揚々とそう言いきっただけあって色々と上手くやってくれたようだった。
まずその日の内に、国王から直々に王国だけではなくアヴァロンヘイム全体の緊急事態であると宣言されたのだ。
また聖女についても色々と話を付けてくれたみたいで、少なくとも彼女が雑な扱いをされるようなことにはならなくて安心した。
これで俺は悪魔退治に専念できる。
待っていろよアスモデウス……聖王都の人たち、いやもはや聖王都自体の仇討ちか。全部まとめて俺がやってやるから覚悟しておけよ。
と言っても全てをそのまま話したら俺がただのドスケベ変質者と言うことになってしまうため、少しぼかす。
具体的には、モードチェンジのスキルを使用すると代償としてこの姿になってしまう……と言ったものだ。
「そう言う事だったのね……。そこまでして私を助けてくれたなんて……本当に感謝するわ」
「いえ、当然のことですから。それよりも、アリアさんのその腕……」
アリアの腕は二の腕辺りから先が無くなっていた。
やはり、落ちていたあの腕はアリアの腕で間違いないんだろう。
「止血はしているから問題ないわ。……格上相手に腕だけで済んだことを感謝しないとね」
彼女はそう言っているが、その表情は暗かった。
……当然だ。片腕を失ってしまっては冒険者としての活動に大きな影響が出る。
特に彼女が使っている大斧は両手で持って力任せに振り回すような武器だから、もう二度と今まで通りの戦い方は出来ないんだ。
でもそれは……今ここに俺がいなかった場合の話だった。
「アリアさん、これをどうぞ」
アイテムボックスから回復ポーションを取り出し、彼女に渡した。
「今どこから……もしかして空間魔法? 凄い、私初めて見たわ! それにこのポーションも、こんなに澄んだ緑色のポーションなんて見たことがない……本当に使っても良いのよね?」
「ええ、お構いなく」
「それじゃお言葉に甘えて……」
アリアがポーションを飲み干すと、彼女の全身の傷が癒えると共に腕が光り始めた。
そしてそこから無くなったはずの腕が生えてくる。
……欠損にまで効果があるかは確認してなかったけど、再生したようでなによりだ。
「嘘……でしょ? まさか、夢じゃないわよね……?」
「無事かアリア!! って、その腕……!」
走って来たエルドは彼女の腕を見るなり仰天していた。
「ステラがくれたポーションを飲んだら治ったの……! 本当に、本当に感謝するわ……! 今は渡せるものもお金も無いけど、この恩は必ずいつか返してみせるから!!」
「いえいえ、そんなに気にしなくてもいいですよ」
ショップで店売りしていたポーションだし、俺にとってはそこまで貴重なものでもない。
なによりも俺のキャラは魔法系生産職のスキルも持っているから、やろうと思えばもっと安い素材で作れるんだよね。
「それよりも、さっきのT字路に戻りましょう。またいつ敵が出てくるかもわかりませんから」
二人を連れて、ルキオラたちと別れたT字路へと一旦戻る。
するとそこには既に戻っていた二人と、もう一人……聖女がいた。
どうやら護衛の人達が命を懸けて彼女だけは守りきったらしく、一人で彷徨っていたところをルキオラたちが保護したのだとか。
メイデンも彼女の魔力は紛れもなく聖女のそれであると言っていたし、アスモデウスのあの発言からして今聖女に化ける必要も無いだろう。
……まあ、ひとまずは聖女本人として扱って良いはずだ。
となると、流石にこのまま聖女と共に捜索を続ける訳にもいかないな。あまりにも要人過ぎる。
ので、一旦ルキオラとメイデンの二人にはエルド、アリア、聖女を連れて王国へと転移してもらった。
そして残った俺が引き続き聖王都の生き残りを探すことにする。
……その結果、見つかったのはたったの数人。
そのどれもがある程度の実力を持っている冒険者や聖職者であった。
結局のところはほとんどが低級悪魔にすら勝てない訳で、むしろ数人生き残ることが出来ただけでも奇跡と言えるだろう。
そして、これこそがアスモデウスの目的なんだ。
ほんの数人だけを生かしておき、悪魔には絶対に勝てないのだと言う恐怖を別の国へと伝える。
それをもって人類への宣戦布告とした訳だ。
生き残った彼らと共に王国へと転移した俺は、そのことを国王へと伝えるためにまずアーロンの元へと向かった。
俺の交友関係の中で一番国王に近いのは彼女であり、今回の遠征についても報告をしないといけないからな。
だが、冒険者組合に行った時にはもう既にアーロンは動き始めていた。どうやらルキオラとメイデンが既に大体のことを伝えてくれていたらしい。
流石はエルトリア王国冒険者組合長であり王国お抱えの魔物学者であるアーロンと言うべきか、「任せてください、ステラさん!」と、意気揚々とそう言いきっただけあって色々と上手くやってくれたようだった。
まずその日の内に、国王から直々に王国だけではなくアヴァロンヘイム全体の緊急事態であると宣言されたのだ。
また聖女についても色々と話を付けてくれたみたいで、少なくとも彼女が雑な扱いをされるようなことにはならなくて安心した。
これで俺は悪魔退治に専念できる。
待っていろよアスモデウス……聖王都の人たち、いやもはや聖王都自体の仇討ちか。全部まとめて俺がやってやるから覚悟しておけよ。
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